人対人の言語コミュニケーションに対する交差脳神経メカニズム

A cross-brain neural mechanism for human-to-human verbal communication
J. Hirsch, J. Adam Noah, X. Zhang S. Dravida and Y. Ono
Social cognitive and affective neuroscience, vol. 13, no. 9, pp.907-920, 2018.

動的な社会的相互作用を仲介する神経メカニズムは,その進化の重要性にも関わらず,依然として研究が進んでいない.インタラクティブブレイン仮説は,相互的な社会的合図が専用の脳基盤によって処理されるということを提案しており,社会的相互作用の根底にある神経メカニズムを調査するための一般的な理論的枠組みを提供する.我々は,会話と聞き取りに基づいた社会的相互作用時に標準的な言語領域が脳間で増加し,動的に結合されるというこの仮説の具体的な事例を実験する.自然な環境で相互作用がある場合とない場合でObject NamingタスクとDescriptionタスクを実行し,交互に会話と聞き取りを行なう相手の脳のデオキシヘモグロビン信号を機能的近赤外分光法を用いて同時に取得した.相互的と非相互的条件の比較により,相互作用時に上側頭回を含むウェルニッケ野に関連する神経活動の増加が確認された(P=0.04).ところが,仮説はブローカ野に対しては支持されなかった.上側頭回や中心下領域に由来する信号のウェーブレット分析により定められるクロスブレインコヒーレンスは非相互作用時より相互作用時の方がより大きかった(P<0.01).インタラクティブブレイン仮説の裏付けとして,これらの知見は対人情報を共有する経路に特化した,動的に結合されたクロスブレインの神経メカニズムを示唆する.

熟練のマインドフルネス瞑想の実践者と対照群の時間推定の心理生理学

Psychophysiology of duration estimation in experienced mindfulness meditators and matched controls
Otten, Simone and Schotz, Eva and Wittmann, Marc and Kohls, Niko and Schmidt, Stefan and Meissner, Karin
Frontiers in psychology, vol.6, pp.1-15, 2015

最近の研究では,身体的な信号と内受容感覚は私たちの時間感覚と強く関連していることが示唆されている.マインドフルネス瞑想の実践者は身体の状態を認知するために訓練を受け,間隔のタイミングに対してより正確になる可能性がある.この研究では,心拍数および皮膚コンダクタンスを連続的に評価しながら,22人の熟練のマインドフルネス瞑想の実践者及び,22人の年齢を合わせた対照群を8,14及び20秒間隔の聴覚及び視覚持続再生タスクを行った.さらに,被験者は心拍知覚課題と2つの選択的注意課題を行った.その結果,持続再生または注意能力のパフォーマンスに関して,瞑想実践者と対照群の間に差異がないことを明らかにした.さらに,心拍知覚スコアにおける2群の差は見られなかった.すべての被験者における相関分析において,持続再生タスクにおけるパフォーマンスと心理生理学的変化との間のいくつかの関連性を明らかにした.後者は心拍知覚スコアとも相関がみられた.さらに,聴覚持続時間推定タスク中の線形的に増加する心拍周期及び,減少する皮膚コンダクタンスレベルの以前の所見は再現可能であり,これらの変化は視覚持続再生タスク中にも観察されうる.これまでの所見とは対照的に,心拍知覚テストはタイミングのパフォーマンスと相関はなかった.全体的に見て,熟練した瞑想実践者は,持続再生と内受容認知に関して対照群と異ならなかったが,この研究は時間知覚が自律調整および身体状態の認識に関連しているという新たな見解を有意に追加する.

高解像度パターン認識を用いた脳年齢の推定:長期瞑想実践者の若い脳

Estimating brain age using high-resolution pattern recognition: Younger brains in long-term meditation practitioners
Luders, Eileen and Cherbuin, Nicolas and Gaser, Christian
Neuroimage, vol.134, pp. 508–513, 2016

正常な老化は,脳の物質の喪失を伴うことが知られている.本研究は,瞑想の実践が脳の年齢の低下に関連しているかどうかを調べることを目的としている.中年期は老化プロセスがより顕著になることが知られている時代であるため,特定の焦点は50歳以上を対象としていた.我々は,脳の年齢の解剖学的相関を同定するために訓練された最近開発された機械学習アルゴリズムを適用して,それらを1つの単一スコア:BrainAGE指数(年)に変換した.高次元のパターン認識に基づいたこの検証されたアプローチを使用して,我々は,50人の長期瞑想者と50人の対照被験者の大規模なサンプルを再解析し,脳の年齢を推定し比較した.我々は,50歳瞑想者の脳は対照の脳よりも7.5歳若いと推定された.さらに,年齢の増加に伴い脳年齢の推定値が変化するかどうかを調べた.脳の年齢の推定値は対照群ではほんのわずかしか変化しなかったが,瞑想者には重大な変化が検出された.50歳を超える人の脳は,同年代よりもさらに1か月と22日若いと推定された.全体的に,これらの知見は瞑想が脳保存に有益であり一生を通して脳老化の一貫して遅い速度で年齢関連萎縮症を効果的に防御することを示唆しているようである.

注意課題中の瞑想者と非瞑想者の脳機能に及ぼす7 日間瞑想リトリートの効果

Effects of a 7-Day Meditation Retreat on the Brain Function of Meditators and Non-Meditators During an Attention Task
Jo, Han-Gue and Schmidt, Stefan and Inacker, Elisa and Markowiak, Michael and Hinterberger, Thilo
International Journal of Psychophysiology, vol. 99, pp. 33-39, 2016

認知向上技術としての瞑想は,健康分野と脳機能研究において関心が高まっている.Stroop Word-Color Task(SWCT)は,認知制御メカニズムの理解のための興味深い例として神経イメージング研究のために適応されてきた.SWCTにおけるパフォーマンスは,注意と刺激コントロールの両方を必要とし,瞑想の実践において訓練される.我々は,MRI装置内にSWCTを提示し,瞑想リトリートの前後で非瞑想者と比較した瞑想者のパフォーマンスを測定した.この研究の目的は,瞑想者および非瞑想者に対する7日間の禅集中瞑想訓練(リトリート)がSWCTにおけるパフォーマンスレベルと神経メカニズムに及ぼす影響を評価することであった.7日間の禅の瞑想リトリートの前後に,19人の瞑想者と14人の非瞑想者がスキャンされた.リトリート前後のSWCTにおける正答率と応答時間(RT)の数において,瞑想者と非瞑想者の間に有意差は認められなかった.瞑想者は注意の訓練を受けたため,前部帯状皮質,内側前頭前野皮質,尾状核/被殻/淡蒼球/中側頭葉,島/右側頭葉そして後部帯状皮質における脳活動はSWCT中のニュートラルと比較して不一致課題において減少した.瞑想リトリート後,非瞑想者はこれらの領域の活性を減少させ,リトリート前の瞑想者と同様になった.この結果は,わずか7日間で集中的に瞑想を訓練することによって促進される,非瞑想者(注意関連領域における脳の活性化がより少なく,同じ行動反応)の脳効率の増加と解釈することができる.一方,瞑想者は同じ訓練の後,これらの領域で脳活性化の増加を示した.集中瞑想訓練(リトリート)は,神経可塑性はもちろん,注意プロセスや熟練度の違いによって,瞑想者と非瞑想者における注意関連領域に対する明確な効果を示した.

マルチモーダル最適化問題に対する Affinity Propagation

Dual-Strategy Differential Evolution With Affinity Propagation Clustering for Multimodal Optimization Wang, Zi-Jia, et al.
IEEE Transactions on Evolutionary Computation, 2018, 22.6, 894-908.

複数の最適解を同時に探索するマルチモーダル最適化問題(MMOP)は,最適化にとって最も困難な問題の 1 つである.MMOP を解決するための 2 つの一般的な目標がある. 1 つは,グローバルな最適化を可能な限り多く するように,集団の多様性を維持することある.もう 1 つは,見つかった解の精度を上げることである.この 2 つの目標を達成するために,本論文では,affinity propagation clustering(APC)を用いた新しい dual-strategy differential evolution(DSDE)を提案する. DSDE の新しさと利点には,次の 3 つの側面があります.第一に, 二重戦略突然変異計画は,子孫を生み出す際の探索と搾取のバランスをとるように設計されている.第 2 に,可 能な限り多くのピークを特定するために,異なる最適領域から多様な個体を選択するための APC に基づく適応選 択メカニズムが提案される.第 3 に,停滞および収束した個人を検出し,保護するためのアーカイブ技術が適用 される.これらの個人はアーカイブに保存されており,見つかった有望な解決策を維持し,より新しい分野を探索 するために再初期化される.実験結果は,提案された DSDE アルゴリズムが,CEC2013 のベンチマーク問題で評 価された場合には,よりグローバルな最適化の位置付け,より高精度の解の獲得,および最新のマルチモーダル アルゴリズムと比較して優れていることを示し,より速い速度で収束する.

資源と配送の制約および欠陥商品を伴った共同補充問題のための遺伝的アルゴリズム

A genetic algorithm for a joint replenishment problem with resource and shipment constraints and defective items
Ongkunaruk, P and Wahab, MIM and Chen, Y
International Journal of Production Economics, Volume 175, 142-152, May 2016

共同補充問題(a joint replenishment problem: JRP)とは,欠陥商品をある割合で含む複数品目の商品の最適な再発注方法を決定するために提案された問題である.JRP には配送の制約,予算の制約,配送容量の制約などの複数の制約が存在する.一方,配送コストが制限された複数の経路が考慮され,制約を課された商品の注文数は,配送中に経路間で共有されない.この問題の目的は単位時間当たりの総コストを最小限に抑えることである.ここで,最適なサイクルの長さと再配送頻度を決定するために,二次元の遺伝的遺伝的アルゴリズムを提案する.そして,数値実験を行いその結果を議論する.数値実験ではGA の性能をテストするための広範な数値実験を行う.また,JRP を他の進化計算アルゴリズムで解き,GA とEA を利用することで獲得された結果の比較を行う.

高齢被験者におけるNIRSを用いたウェーブレットベースのコヒーレンス解析により明らかにされた脳機能の接続性に及ぼす睡眠不足の影響

Effects of poor sleep quality on brain functional connectivity revealed by wavelet-based coherence analysis using NIRS methods in elderly subjects
L. Bu, D. Wang, C. Huo, G. Xu, Z. Li and J. Li
Neuroscience letters, vol. 668, pp. 108-114, 2018.

【目的】認知コントロールの障害に典型的に関連する睡眠不足が高齢者の間で増えている.しかしながら,睡眠と高齢者の行動に関連する脳機能のメカニズムは明らかにされていない.本研究は,NIRSにより計測されたオキシヘモグロビン濃度変化($\Delta$[HbO2])のウェーブレット位相コヒーレンス(WPCO)とウェーブレット振幅(WA)に基づいて,低周波神経振動が睡眠不足に及ぼす影響を評価することを目的とする.【方法】主観的睡眠の質は,ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)によって測定した.15人の睡眠不足の高齢者(PSQ群)と14人の健康な高齢者(対照群)の休息状態および作業状態のprefrontal cortex,sensorimotor cortical,occipital lobesのNIRS信号を連続的に記録した.WPCOおよびWA値は,低周波(0.01-0.08Hz)において算出された.ピアソン相関分析は,bilateral prefrontal lobes の WPCO,left prefrontal cortex (LPFC) のWA,right prefrontal cortex (RPFC)のWA、F1およびPSQIスコアの間の相関の程度を評価するために使用した.【結果】PSQ群のWPCO値は,対照群より有意に低かった(p$<$0.05).対照群と比較して,WAはPSQ群で有意に高く,休止状態においてタスク状態より有意に高かった.1-back課題を実行する際のF1のスコアは,PSQ群で有意に低かった.PSQ群における相関分析の結果,PSQIスコアとWPCO値の負の相関を示した.LPFCとRFFCのWA値は,PSQIスコアと正の相関を示した.【結論】まとめると,これらの結果は,睡眠不足は位相同期を低下させることを示唆し,これは試料集団の間の認知機能の低下に寄与する可能性があることを示している.

条件付き敵対生成ネットワークによる顔の老化

Face aging with conditional generative adversarial networks
Antipov, Grigory and Baccouche, Moez and Dugelay, Jean-Luc
2017 IEEE International Conference on Image Processing (ICIP),Pages 187-194, 17-20 September 2017

近年,敵対生成ネットワークである GAN が視覚的にかなり忠実な,模造の画像を生み出すことが可能であると 示されている.この研究では顔を自動的に老化させるための,GAN に基づいた手法を提案する.顔の特性を変え るために GAN を採用した以前の研究とは対照的に,私たちは特に男女共に顔の老化において元となる人物の独自 性を保持することに重点を置いている.この目的を達成するために,私たちは独自性の保存,つまり GAN の固有 ベクトルの最適化のための新たな手法を導入する.最先端の顔認識と年齢推定によって,結果として生じる老化 した顔画像と若返りした顔画像の客観的評価は,提案された手法の高い可能性を示している.

小児期発症性統合失調症におけるワーキングメモリ課題中の脳の活性化と機能的結合の低下

Reduced Functional Brain Activation and Connectivity During a Working Memory Task in Childhood-Onset Schizophrenia
Frances F. Loeb, BA, Xueping Zhou, MHS, Kirsten E.S. Craddock, BS, Lorie Shora, MS, Diane D. Broadnax, MSW, Peter Gochman, MA, Liv S. Clasen, PhD, Francois M. Lalonde, PhD, Rebecca A. Berman, PhD, Karen F. Berman, MD, Judith L. Rapoport, MD, Siyuan Liu, PhD
Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry, Volume 57,Issue 3: Pages 166-174, March 2018

“【目的】
ワーキングメモリの不足は統合失調症で一貫して報告され,機能的帰結の結果に関連している.成人発症性統合失調症の機能的磁気共鳴画像法における研究では,WMネットワークにおける活性化および機能的結合の低下が報告されているが小児期発症性統合失調症(childhood-onset schizophrenia : COS)における機能的磁気共鳴画像法を用いたWMの調査は行われていない.
本研究の目的はCOSのワーキングメモリについて調査することである.
【方法】
3TのMRI内でCOS患者32名 (21.3 ± 1.1歳),COS患者の非精神病兄弟30名 (19.4 ± 0.8歳),健常者39名 (20.0 ± 0.7歳)に対して1-back,2-backのタスクを行なった.COS(17.9 ± 7.4歳)の若年患者23名の別グループは,標準的な訓練を2回完了した後で作業を行うことができず,この報告書には含まれていない.
【結果】
COS患者は全てのtaskで健常者よりも有意に低い成績を示した.
COS患者は,背外側前頭前皮質,後頭頂葉皮質,小脳および尾状核における活性化が有意に低く,前頭前頭皮質および皮質線条体の機能的結合性が健常者と比較して有意に低かった(p<.05,corrected).兄弟姉妹は統合失調症患者と健常者の中間的な活性化と機能的結合を有していた.(p < .05, corrected). また患者では,左後頭部ネットワークにおける機能的結合強度は,1-back課題中の正確なスコアと正の相関を示した (p = .0023, corrected). 【結論】 COS患者のWMネットワークにおける活性化および機能的結合の低下は,成人発症統合失調症との病態生理的連続性を示唆する. 患者の参加率と成績が低いことから,COS疾患の重症度が強調される.低活性化と低結合性は,COS患者の兄弟によって共有され,COSが潜在的なエンドフェノタイプであることを示唆している."

脳卒中後失語患者の多変量分類に基づく全脳の機能的接続性

Whole-brain functional connectome-based multivariate classification of post-stroke aphasia
Mi Yang, Jiao Li, Zhiqiang Li, Dezhong Yao, Wei Liao, Huafu Chen Neurocomputing, Volume 269, Pages 199-205, 20 December 2017

脳卒中後失語患者(PSA)は,内因性機能的接続性の異常を示す.しかし,PSAと健常者を区別するための機能として全脳機能性コネクトームを使用できるかどうかはほとんど解明されていない.我々は,全脳機能接続ベースの多変量解析を用いて,PSA患者を対照から区別することを目指す.これらの特徴は,PSAの病態生理の理解に役立つ.本研究ではPSA17人および年齢,性別が一致する健常対照患者20人分の安静状態の機能的磁気共鳴画像(fMRI)を用いた. 2つのグループを分類するために,機能的接続パターンと線形サポートベクトルマシンを使用した.その結果,分類の精度は86.5%に達し,感度は76.5%に達し,特異度は95.0%に達した.さらに,接続は,主に前頭頭頂,聴覚,感覚運動,および視覚ネットワークに位置していた.右補足運動野は最も大きい重みを与えられた.これらはPSA患者と対照を区別するために,脳全体の機能的接続性を潜在的な神経マーカーとして使用可能であることを示唆している.