機能的ネットワーク行列のランダム性の評価方法

A method to assess randomness of functional connectivity matrices
Victor M.Vergara, QingbaoYu, Vince D.Calhoun Journal of Neuroscience Methods, Volume 303, Pages 146-158, 1 June 2018

“機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)は、脳の機能的接続性の測定を可能にする.このコンテキストにおいて,グラフ理論は,特徴的な非ランダム接続パターンを明らかにした.しかし,fMRIへのグラフ理論の適用はしばしば,エッジ表現を抽出するために非線形変換(絶対値)を利用する.対照的に,この研究は機能的接続性評価からのランダム性の分析のための数学的枠組みを提案する.この枠組みは,機能マトリックス(FCM)の分析にランダムマトリックス理論を適用する.発生したランダム性測定値には,確率密度関数と統計的検査法が含まれる.利用されたデータは,603人の健常者を含む以前の研究から得られたものである.結果は提案された方法の適用を実証し,全脳FCMがランダムマトリックスではないことを確認した.一方,いくつかのFCMサブマトリックスは,有意なランダム性を示さなかった.提案された方法は,グラフ理論に置き換わるものではない.その代わりに,機能的な接続性のさまざまな側面を評価する.グラフ理論に含まれていない特徴はノードの数が少なく,FCMの部分行列をテストした際の負の値と正のエッジ値を扱うことである.ランダムテストは,ランダム性を決定するだけでなく,非ランダムFCM内のより小さな非ランダムパターンの指標としても役立つ.結果は,データの広範な記述として,より低次のモデルでは十分であるかもしれないが情報の損失を示す.開発されたランダム性尺度は,グラフ理論とは異なるランダム性の側面を評価する.”

規範に基づく個人の分割が示す性別特有の機能的ネットワークの必要性

An exemplar-based approach to individualized parcellation reveals the need for sex specic functional networks
Guillermo Gallardo, WilliamWells III, Rachid Deriche, DemianWassermann Mehraveh Salehi, Amin Karbasi, Xilin Shen, Dustin Scheinost, R. Todd Constable NeuroImage, Volume 170, 15 April 2018

脳の機能的接続性を用いた近年の研究によって,脳の機能的ネットワーク構成の理解は著しく進歩している.多くの文献は集団レベルでの分割方法に焦点を当てているが,一方で,多くの研究が脳は個体間で構造および機能の両方が変化することを示唆している.本研究では,個人レベルと集団レベルの両方で脳機能ネットワークを組み込んだ分割方法を提案する.本手法では,個別化された複数の機能ネットワーク間の対応を保持,統合して分割する「サブモジュラリティ」の概念を提案する.この分割手法を用いて我々は分割のスキーム,つまり,ノード対ネットワークの割り当てベクトルに基づいて個人の性別を予測する交差検証モデルを確立した.性別の予測の結果は,個人の脳機能ネットワークを分割した領域が集団内のサブグループを明らかにすることが可能であることを示唆した.さらに,この結果は集団全体のネットワークに基づくアトラスの使用が機能的ネットワーク構成の根本的な違いを見逃す可能性を示唆する.これは,患者対コントロール,または患者内のサブグループを比較する研究において考慮すべき重要なポイントである.個人の脳における機能的ネットワーク構成について,本アプローチは,神経科学および臨床応用の両方に対して大きく寄与すると考えられる.

うつ病の感情認知の強化:生理的覚醒と主観的知覚の違い

Intensified emotion perception in depression: Differences in physiological arousal and subjective perceptions.
Sofia Wenzler, Marleen Hagen, Mika P. Tarvainenb, Marietheres Hilke, Naddy Ghirmai, Ann-Caitlin Huthmacher, Marco Trettin, Rolf van Dickd, Andreas Reif, Viola Oertel-Knöchel
Psychiatry researc, vol.253, pp.303‾310, 2017

うつ病に苦しむ人々は,自分自身とその周囲を健康な人よりもネガティブなものとして認識する.うつ状態の人は,非うつ状態の被験者よりもストレスの多い負の情報を経験し,その結果,主観的および生理学的レベルで増幅されたやり方で応答する可能性がある.この提案をテストするために,反復性うつ病エピソード41例と,国際感情画像システムからの刺激を伴う42例を,3つの価数カテゴリに分割し,生理的覚醒(例えば、心拍変動)の異なるパラメータおよび原子価および覚醒の主観的知覚評価から評価する.さらに,社会的スキルと感情的能力を調べた.生理的覚醒に関する結果は,うつ状態の被験者において,皮膚温度の上昇およびより顕著な呼吸頻度を明らかにした.さらに、うつ状態の被験者は,刺激が社会的および感情的能力の低下に関連してより陰性であり,覚醒していると評価した.抗うつ薬,月経周期,およびHRVに影響を与える他の因子の変動は潜在的な偏りである.我々のの知見は、うつ状態の個人における負の感情の認知が,生理的な覚醒の増加および主観的なレベルで現れる対照と比較して,強く認識されることを示唆している.この感情認識の強化は,社会的および感情的能力の欠損にさらに関連する.

fNIRS のためのセンサ空間集団解析

Sensor space group analysis for fNIRS data
Tak, S and Uga, M and Flandin, G and Dan, I and Penny, WD
Journal of neuroscience methods, Vol.264, pp.103-112, 2016

機能的近赤外分光法(fNIRS)は,頭皮上に設置された光学プローブを用いてヘモグロビン応答をモニタリング する方法である.fNIRS 空間分解能は,光源と検出器の対として定義されるチャンネル間の距離によって制限さ れ,チャンネル位置は被験者間で不一致である.これらの課題は,チャンネル固有の測定値による集団効果の予 測精度が低下する可能性を引き起こす.そこで本稿では,補間された fNIRS トポグラフィ画像に要約統計量を使 用するランダム効果分析を適用することによってこれらの課題に対処している.具体的には,標準的な頭皮表面 に関心のある実験的効果を含む個々のコントラスト画像を生成する.ランダム効果分析は,母集団内における複 数の実験因子によって誘発された局所的な特異的効果の推論を可能にする.Stroop 課題の実験データを用いて提 案手法を検証したところ,左前頭領域が課題時に集団で有意に活性した.この結果は以前の神経画像の所見と一 致する.既存手法と比較して提案手法は 3 つの特徴がある.(1)空間補間を用いて対象間のセンサ位置の潜在的な ずれに対処する.(2)標準的な頭皮表面の表現である 2D 規則格子または 3D 三角形のメッシュのいずれかで実験 的効果を生成する.(3)計算効率の良いランダム効果分析を用いて fNIRS データからの母集団効果を推論するこ とが可能である.また,領域の有意性はランダムフィールド理論を用いて評価する.結論として本稿では,複数 の被験者からの fNIRS データをランダム効果分析を用いてセンサ空間でどのように分析できるかを示した.

fNIRSに基づいたハイパースキャニングにより明らかにされた親子の脳と脳の同期と感情調節との関係

Brain-to-brain synchrony in parent-child dyads and the relationship with emotion regulation revealed by fNIRS-based hyperscanning
V. Reindl, C. Gerloff, W. Scharke and K. Konrad NeuroImage, pp.493-502, 2018.

親子の同期は,ここでは社会的接触時の親子の行動と生物学的信号の結合をさすが,感情的な結びつきの形成と関連のある子供の脳回路と感情制御の発達を微調整する可能性がある.ここでは,我々は,機能的近赤外分光法によるハイパースキャニングを用いて親と子供の前頭前野の神経活動を測定することにより,これらの過程の神経生物学的基盤を調査した.それぞれの子供は協力的なゲームと競争的なゲームの両方を見知らぬ大人だけでなく親,主に母親と行った.協力時に親と子供の脳活動は背外側前頭前皮質で同期し,これはその後の試行での協調性を予測するものであった.親子の競争,他人と子供の協力,他人と子供の競争の条件では,有意な脳と脳の同期はみられなかった.さらに,前頭前皮質における協力時の他人と子供の脳と脳の同期と比較すると,親子の脳と脳の同期はアンケートで評価される親と子供の感情制御の間に関連を仲介した.したがって,我々は脳と脳の同期は,子供の適応的な感情制御の発達に関連する,親子の間の感情的なつながりの基本的な神経メカニズムを表している可能性があると結論づける.将来の研究では脳と脳の同期が,危険な状況に敏感である,二者間の社会的感情の相互作用の神経生物学的マーカーとして役立ち,介入により修正されうるかどうかを明らかにする可能性がある.

競争時の脳:fNIRSを用いたハイパースキャニングによる認知力の向上と脳間カップリング

Brains in Competition: Improved Cognitive Performance and Inter-Brain Coupling by Hyperscanning Paradigm with Functional Near-Infrared Spectroscopy
Balconi, Michela and Vanutelli, Maria E Frontiers in behavioral neuroscience, vol.11, p.163, 2017.

脳のハイパースキャニングは,2人の被験者による競争課題に適用された.機能的近赤外分光法(fNIRS)および認知能力は,共同作業中の被験者(14ペア)間の脳間および認知戦略の類似性によって調査された.我々は,共同作業と競争によって脳間カップリングの増加と認知力の向上が示唆した.被験者の間の直接的な相互作用と観察されるパフォーマンスの外部フィードバック(実験的に誘発された架空のフィードバック)は,エラー率(ER)および応答時間(RT)の低下という認知能力に影響を及ぼすと考えられた.また,fNIRSの測定値(オキシヘモグロビン)は,前のフィードバック条件よりも後のフィードバックの条件において,前頭前皮質(PFC)における脳活動の増加を明らかにした.さらに,課題中の被験者ペアの脳活動の類似性はより高く,前フィードバック条件よりも後フィードバック条件において高かった.最後に,右半球において前頭部の有意な増加が観察された.実際,右のPFCは,後のフィードバック条件において,被験者ペア内で類似する応答性がみられた.共同作業および競合課題は,これらの認知能力の向上,ペア間の脳の同期した応答性のおよび左右機能分化効果(負の感情)を説明した.

1人より2人の方が優れている:fNIRSによる戦略的協力が脳内と脳間の結合性に及ぼす影響

Two is better than one :The effects of strategic cooperation on intra- and inter-brain connectivity by fNIRS
M. Balconi, L. Pezard, J.-L. Nandrino and M.E. Vanutelli
PloS one, vol.12, no. 11, p.e0187652, 2017.

共同作業中の脳間同期は社会的神経科学の中心的問題である.また,自己効力感の知覚ような心理学的変数の役割や脳内と脳間の機能的結合性の関与の違いは未だ明らかにされていない.同期ゲーム中の共同作業の基礎となる認知能力および神経基盤は,NIRSによって記録された.8チャネルの光学センサーを前頭前野領域に配置した.タスク中,2者は一般的な戦略の採用を誘導するために実験的に操作し補強されたフィードバックを受けた.脳内および脳間の接続性の指標と共に,脳内/脳間結合指数(ConIndex)を算出した.最後に,相関分析を行い,行動レベルと生理レベルとの関係を評価した.その結果,行動および神経基盤の両方において外部フィードバックが,被験者の応答を調節し得ることを示した.補強操作後は,応答時間が速くなり,脳間の接続性が向上した.脳内/脳間結合指数は主に背外側前頭前野でみられた.さらに,応答時間と脳間接続との間に有意な相関が存在することから,「2者の接続」のみが効率的なパフォーマンスを生むことが明らかになった.本研究は,社会的補強が与えられた場合の脳内および脳間の機能的接続性の同定に重要な知見を与える.

客観的な特性マインドフルネスの動的機能接続性マーカー

Dynamic functional connectivity markers of objective trait mindfulness
J. Lim, J. Teng, A. Patanaik, J. Tandi and S.A. Massar
NeuroImage, vol. 176, pp. 193-202, 2018.

マインドフルネスは,実践を通して培われるスキルであると一般的に考えられるが,訓練されていない個人も性質的なマインドフルネスにおいて大幅に変化する可能性がある.先行研究では,この特性の神経接続相関が確認された.本稿では,自然な状態変化と客観的に測定された特性マインドフルネスに関する時間変化する接続パターンを研究するために,Resting state fMRIの動的機能接続性(DFC)解析を使用する.被験者は高性能マインドフルネス群(21名)と低性能マインドフルネス群(18名)のグループを形成するために,Breath countingタスクの上位と下位の三分位置から選択された.Resting state fMRIのDFC解析は,高性能マインドフルネス群がタスク準備状態に関連する脳状態で有意に多くの時間を費やしたことを明らかにした.タスク準備状態とは,ネットワーク内の接続性が高く,タスクポジティブネットワークとデフォルトモードネットワークとの間により大きな反相関を特徴とする状態である.高性能マインドフルネス群は脳状態の遷移頻度が高いが,タスク準備状態の各サイクルにおける滞留時間は群間で同等であった.これらの結果は,PVTの後も維持された.個人間では,特定の接続性指標はFFMQによるマインドフルネスと弱い相関であったが,多重比較補正に耐えられなかった.静的な接続性マップでは,高性能マインドフルネス群の個人は,デフォルトモードネットワークとセイリエンスネットワークでより大きなネットワーク内の接続性を持ち,デフォルトモードネットワークとタスクポジティブネットワークとの間に大きな相関性があった.つまり,DFCは高性能マインドフルネス群および低性能マインドフルネス群を強く区別し,特性マインドフルネスのすく測定に有用な生物学的マーカーとなり得る.

時間導関数分布修復(TDDR):fNIRS の動き補正方法

Temporal Derivative Distribution Repair (TDDR): A motion correction method for fNIRS
Fishburn, Frank A and Ludlum, Ruth S and Vaidya, Chandan J and Medvedev, Andrei V
NeuroImage, 2018

機能的近赤外分光法(fNIRS)は, 皮質活動の調査のためのツールとして関心が高まっている光学的な神経イメージング技術である. 頭部上にオプトードの配置をするために, 頭部の動きから生じるアーチファクトは, 機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)の場合よりも比較的重症ではない. しかし, モーションアーチファクトを除去することは依然として必要である. 我々は, ロバスト回帰に基づいた新規の動き補正手順を提示する. これは, ユーザーが入力したパラメータを必要とせずにベースラインシフトおよびスパイクアーチファクトを効果的に除去する. 我々のシミュレーションは, この方法が5つの他の現在の動き補正方法よりも良好な活性化検出性能をもたらすことを示している. 7から15歳の子供の被験者の作業記憶課題に対する実証的検証において, 本発明者らの方法は, 試験された他の方法より強力でより広範な活性化をもたらした. 新しい動き補正方法は, fMRIに従順ではない集団使用するための機能的神経画像様式としてのfNIRSの可能性を高める.

課題における記憶作業負荷の評価のためのワイヤレスEEG 信号の使用

Using Wireless EEG Signals to Assess Memory Workload in the n-Back Task n-back
Jacek Gwizdka, and W. Art Chaovalitwongse
IEEE,Volume 46, Issue 3, Pages 424-435, June 2016

生理学的尺度である脳波記録(EEG)信号を用いた精神的な作業負荷の評価は活発な分野である.近年,EEGや他の生理学的信号を計測できる多数の無線取得システムが利用可能になった.このような無線システムを応用して認知的作業負荷を評価したりその性能を評価する研究はほとんど存在しない.本稿はよく知られているN-back課題において記憶の作業負荷レベルを評価するための一般的な無線システム(Emotiv EPOC ヘッドセット)の可能性を調べるための最初のステップである.我々は自動アーチファクト除去アルゴリズム,広範囲の特徴抽出技術,個人ごとの特徴スケーリング法,情報理論に基づく特徴選択法,および近位サポートベクターマシンに基づく分類モデルを統合した信号処理と分類のフレームワークを開発した.実験の結果として無線で収集されたEEG 信号は9 人の被験者の異なる記憶作業負荷レベルの分類に用いることができることが示された.最低の作業負荷レベル(0-back)と活発な作業負荷レベル(1,2,3-back)の間の分類精度は100%に近かった.1-back と2-back の最良な分類精度は80%,1-back と3-back は84%であった.この研究は無線取得システムと先進的なデータ分析及びパターン認識技術は現代社会における多種多様な認知活動に従事する人間の精神的作業負荷レベルのリアルタイムモニタリング及び識別を達成していることを示唆する.