Conn: 脳内ネットワークの相関と非相関のための機能的コネクティビティツールボックス

Conn: A Functional Connectivity Toolbox for Correlated and Anticorrelated Brain Networks
BRAIN CONNECTIVITY, Vol.2, No.3, pp.125–141, 2012
20151215sobuchi

レスティングステイト機能的コネクティビティは ,ヒトの脳の機能的構造の基礎となる ,本質的で自然なネッ トワークを明らかにする.しかしながら ,神経由来でないの偽相関などの信号の混合を避けるため ,機能的ネッ トワークを特定する有効な統計解析には ,ノイズの原因に対処する必要がある.生理学的なノイズや他のノイズ の原因を低減させるためコンポーネントベースドノイズコレクションメソッド(CompCor)を実装した ,機能的 コネクティビティツールボックスであるConnを開発した.さらに ,体動と時系列共変量の除去 ,時間フィルタ リングとBOLDコントラスト信号の残差に窓をかけ ,機能的コネクティビティMRI(fcMRI)のファーストレベ ル推定とレスティングステイトとタスク関連のデータのためのセカンドレベルランダム効果解析を行う.グローバ ルシグナル回帰に依存する手法に比較して ,CompCor ノイズリダクション手法はグローバルシグナル回帰がな いかのように反相関の説明を可能にする.このツールボックスではシード・ボクセルとROI・ROIの機能的相関 の推定 ,部分相関と2変量あるいは多変量の回帰分析 ,グラフ理論解析 ,ボクセル・ボクセル機能的コネクティ ビティ解析などの fcMRI 解析を行う.本稿では ,実装された fcMRI 解析の推定と使用例と共に ,Conn ツール ボックスに実装された手法を説明する.CompCor手法はfcMRI解析の選択性と感受性を増加させ ,fcMRI解析 のインタスキャンの高い信頼性を示す.

多感覚検出課題中の統合失調症における血流動態反応関数の異常

Hemodynamic response function abnormalities in schizophrenia during a multisensory detection task
”Human Brain Mapping” 2015
20151215 taki

fMRI の BOLD 応答は血流動態反応関数が一定であると仮定された BOLD 応答の正の位相を調べることで統合 失調症を有する患者における認知及び感覚障害の根底にある神経病理を研究するために用いられてきた.しかし, HRFの各位相は基となる病態の様々な異なる影響を受ける可能性がある.統合失調症と健常者でHRFのアンダー シュートを含めた位相を調査するために,現在の実験は速い事象関連の fMRI パラダイムで,多感覚検出課題を使 用した.行動の結果はタスク・パフォーマンスの違いによるグループ間の有意差を示さなかった.HRF の形を調 べた分析は 2 つのグループの違いを示した.第一に,二次聴覚野と視覚野において健常者と比較して通常の事象 関連の正の BOLD 活性に続いて統合失調症の患者はアンダーシュートが減少または長期化、またはその両方の傾 向を示した.第二に,統合失調症患者はデフォルトモードネットワークにて,健常者と比較してタスクによる負 の活性を示さなかった.正の位相に焦点を当てる従来の分析を行う場合は対照的に,群間に差は無かった.興味 深いことに,二次聴覚野と視覚野においてアンダーシュートの大きさは,デフォルトモードネットワークの中の タスクによる負の活性の大きさと明らかに関係していた.そして,これらの異常(神経抑制の失敗)の両方の基 礎をなしている可能性がある一般の神経のメカニズムを提案した.これらの結果は別々の神経処理が HRF の 2 つ の位相の基礎をなすことと,統合失調症の患者が差別的に影響を受けるという見解と一致している.

脳機能接続のオンライ可視化

Online visualization of brain connectivity
Journal of Neuroscience Methods, Vol.256, p.106-116, 2015
20151211 ktanaka

背景 リアルタイム脳機能マッピングやニューロフィードバックのような脳活動を視覚化する実用的なアプリケーショ ンが構築される一方で,脳機能の接続性に関する分野では視覚化アプリケーションはまだ充分に発展していない. 加えて,接続性の推定は技術的にも難しいためオンラインアプリケーションにおいて脳機能接続性に関する実用 的な使用は避けられてきた.
提案手法 本研究では,オンライン脳波計測時における独立した信号源間の接続性を推定し,可視化することができるアル ゴリズムを提案する.
結果 信号源の抽出と接続性の推定に有効な CSPVARICA のような処理のコアプログラムは Python のツールボックス としてSCoTをオープンソース化している.我々は初めてオンライン上での接続性の可視化を実現可能にした.本 実験では 12 名の被験者に参加協力をして頂き,眼球の開閉によるレストと左右手運動想起で構成されているタス クを行った.接続パターンは 4 名の被験者において 2 つの運動想起間で顕著に異なった.また 7 名の被験者にお いてはレスト区間で異なる接続パターンが観測された.
既存手法との比較 既存の脳機能接続性に関する研究ではオフラインでの手法が主である.それに対して,オンラインでの接続性推 定の研究はさほど行われていない.例えば,一人の被験者に対して着用可能なウェアラブル型の EEG 端末を基に した Glass Brain Project は有名な Science 紙でかなりの注目を昨年浴びた.しかしながら,彼らの手法は多数の 被験者において有効な手法ではない.
結論 我々は EEG 計測時にオンラインで接続性パターンを観測した.これはリアルタイムで接続性を分析するための初 段階の試みである.

EEG, Connectivity, ICA, Real-time, Visualization

ヒトにおける概日の代謝について

The human circadian metabolome
Proceedings of the National Academy of Sciences, vol. 109, no. 7, pp. 2625-2629, 20122015.1211.okamura

ヒトにおける概日周期は生理学の多くの側面を統合しており,この周期の破綻は癌からメタボリックシンドロー ムや糖尿病までに及ぶ様々な病理に影響を受ける.代謝物と概日周期の働きは転写レベルで密接に関係している という証拠はあるが,これらの結果が直接的な時間制御によるものか,安静-活動のサイクル,食事のタイミング によってもたらされるかどうかは不明である.この問いに答えるために,我々は異なる日時で血漿と唾液の代謝 物質に対してバイアスの無いスクリーニングを行った.間接的な影響を最小限にするため,被験者は姿勢の強制 と恒常的な薄暗い光,1 時間に 1 回の等カロリーの食事,睡眠遮断という 40 時間のルーチンを保たれた.これら の状況下において,血漿と唾液内で特定された代謝物質の 15%が概日周期に従っており,唾液内のアミノ酸と血 漿内の脂肪酸においてこの特徴が最も明白だった.我々のデータは,睡眠や食事とは独立した複数のヒトの代謝 経路において,内在性の概日周期は強く直接的に影響することを示唆する.さらに,それらはヒトの概日周期や 睡眠から複数の潜在的なバイオマーカーを識別する.

3 軸加速度センサを用いた HMM-Based をベースとした人間の転落に対する検出予知手法

HMM-Based Human Fall Detection and Prediction Method Using Tri-Axial Accelerometer
Sensors Journal, IEEE, Vol.13, No.5, p.p1849-1856, 2013
20151209_tsato

高齢者の転落は医療や社会の観点から重大な問題である.転落を検出したり予知するために,3 軸加速度センサ を人に取り付け隠れマルコフモデル(HNM)をベースとした手法が提案されている.3 軸加速度センサを用いて ウェアラブルデバイスを設計した.そして人間の胴体上部の三軸方向の加速度に基づいて、落下を予測すること ができる.人間の動作の過程を表した加速度の時系列データは,動作の特徴を表現するために使用され,落下の 方向を得ることができる.ランダム過程の数学モデルである HMM が使用され,転落の危険性を評価することが できる.実験の結果 200 から 400ms 前に転落を予測することができ,日常動作との識別率は 100 %であった.

LOD に基づくヘルス情報の表現と可視化システムの設計と開発:ポテンシャルと予備評価

Design and Development of a Linked Open Data-Based Health Information Representation and Visualization System: Potentials and Preliminary Evaluation
Potentials and Preliminary Evaluation’, JMIR Med. Inf. 2(2), pp.196-208, 2014
20151209_kmishima

背景:世界中の医療機関は協調と結果を改善をすることで,より少ないリソースでより多くを提供できるように コスト削減に努めている.これは,効果的な計画や利用可能なデータから重要な情報を生成することによる,証 拠に基づく実践が必要である.したがって,柔軟かつユーザフレンドリーな方法でヘルスデータを表現すること や問い合わせすることがより重要視されてきている.世界保健機関(WHO)のような国際機関は,定期的に公衆 衛生政策と保健サービスの開発のために利用可能で優先的な健康トピックに関する重要なデータを公開している. しかし,ほとんどのポータル内のデータは発見や再利用が困難な形式である Excel や PDF で公開されている.そ のため,異なるデータ間で公開され,それらをリンクするためのベストプラクティスの標準としての新しいセマ ンティックウェブである,LOD(Linked Open Data)はこのような課題を軽減するために公衆衛生レベルのデー タの表示および管理に適用することができる.しかし,ヘルスデータのための LOD システムとその有用性を支え る技術は,また評価する必要がある. 目的:本研究の目的は,リンクトデータの技術はヘルス情報の表現,可視化および検索システムの開発のため に有効かどうかを評価し,利用可能なツールとリンクトデータベースの医療情報システムを構築するための方法 論を特定することである. 方法:我々は,情報可視化のためのデータ表現のために RDF(Resource Description Framework),データス トレージとして Fuseki,情報可視化のために Sgvizler を用いた.さらに,データ問い合わせのための SPARQL ク エリインターフェースを統合した.我々は主にシステムテストの為に WHO ヘルスの観測データセット使用した. 全てのデータは RDF を用いて表現しており,データのウェブ用のリンク発見用フレームワークである Silk を用いてデータのウェブ上のデータセットとリンクさせた.予備ユーザビリティ評価は,システムユーザビリティス ケール(SUS)の方法に従って行った. 結果:我々は,リンクトデータツールを用いて LOD ベースのヘルス情報表現,クエリ,および可視化システム を開発した.我々は,WHO のグローバル・ヘルスの展望データベースから自由に利用可能である死亡率,罹患 率,発生率,および関連する変数の 2 万件以上の HIV 関連データ要素を追加した.さらに,我々は自動的に Slk フレームワークを用いて DBpedia,Bio2RDF および LinkedCT から 5312 のデータ要素をリンクした.システム のユーザは,自分の興味に応じたヘルス情報を取得し,可視化することができる.SPARQL クエリに慣れていな いユーザのために,我々はデータを検索し,閲覧するためにリンクされたデータの検索エンジン・インターフェー スを統合した.我々はデータストアや柔軟なクエリ,様々な種類の視覚化を容易に表現するためにシステムを使用 している.公衆のヘルスデータ管理者とユーザによる予備ユーザ評価スコアが SUS のユーザビリティ測定スケー ルで 82 であった.インターフェースでクエリを作成することは主にエンドユーザに LOD ベースシステムの難し いことがわかった. 結論:本稿では,現在の LOD 技術が知的なクエリを提供し,意思決定を支援することができるように,柔軟で 再利用可能な方法で,異なるヘルスデータを表現するために有望な代替であることを示している.しかし,高度 なテキストベースの検索エンジンの開発は,特に非技術系ユーザのためのユーザビリティを向上させる必要があ る.大規模なデータセットを用いたさらなる研究は,将来の医療情報システム開発のためのセマンティックウェブ とリンクトデータの可能性のために推奨される.

実数値属性の量子化 ラフ集合とブール推論アプローチ

QUANTIZATION OF REAL VALUE ATTRIBUTES Rough Set and Boolean Reasoning Approach
Proc. of the Second Joint Annual Conference on Information Sciences,Wrightsville Beach,North Carolina, Sept 28-Oct 1. 1995
20151209_jnishida

実数値属性の量子化は,実数値の属性を持つデータテーブルから決定規則の統合にて解決すべき主な問題の一つ である. 我々は,ラフ集合の方法およびブール推論に基づいて,この問題へのアプローチを提案する. 主な結果は, 実数値の属性の最適な量子化問題は最小限の縮約発見の問題に対する多項式還元可能であることを述べている. 故 に,NP 困難である.我々は,実数値の属性の最適値以下の量子化を見つけるための効率的な経験則を構築する.

Rough Set, Boolean Reasoning Approach, the quantization of real value, the problem of minimal reduct finding

Web スケールのデータベースとしての Linked Open Data の理解

Understanding Linked Open Data as a Web-Scale Database
Second International Conference on Advances in Databases, Knowledge, and Data Applications, pp.56-61, 2010
20151209 wada

近年 Linked Open Data(LOD) は注目されているが,データベースの観点から LOD の使用に関する要件や課題 への取り組みが不足している.我々は,このような取り組みは LOD の受け入れを増加させるために重要であると 考えている.本稿では,Web スケールのデータベースとして,LOD の理解のために,LOD とリレーショナル データベースの特性や制約を比較する.我々は,この分野のデータベース研究コミュニティと Linked Data 研 究コミュニティの将来の取り組みを組み合わせることを目指して,確立されたデータベースのルールと注目され ている研究の課題を超えて LOD 特定の要件を提案する.

酸素化および脱酸素化ヘモグロビン変動の負の相関関係に基づく機能性近赤外分光法(NIRS)信号の改善

Functional near infrared spectroscopy (NIRS) signal improvement based on negative correlation between oxygenated and deoxygenated hemoglobin dynamics
Neuroimage, vol.49, no.4, pp.3039–3046, 2010
20151208 murakami

近赤外分光法 (NIRS)は,限られたスペースで静止した状態を必要とせず,機能的磁気共鳴画像 (fMRI)と 同様に皮質からの血行動態信号を測定する脳機能イメージングのための有望な技術である.従って NIRS は,対 面式のコミュニケーションや自然な身体の動きを含む,より自然な実験に使用される.そして長いトレーニング を必要とするリアルタイムの応用に非常に適している.しかし,信号の質を向上させ,ノイズを減らしても,特 に頭部運動によって誘発されるノイズは,特にリアルタイムの応用では困難である.本稿ではノイズを引き起こ す頭部運動の特性を調査し,通常計測した酸素化及び脱酸素化ヘモグロビン信号は強く負に相関しているが,動 作のノイズがより正の相関をもつことを発見した.次に,酸素及び脱酸素化ヘモグロビンの濃度変化が負の相関 関係を持つという原則に基づいて,ノイズを低減する方法を開発した.単純な方法はノイズを低減し,オンライ ン,オフラインの両方で信号の質を改善するのに有効だった

安静時の fNIRS 測定結果を独立成分分析することによって明らかにされた機能的神経結合

Functional connectivity as revealed by independent component analysis of resting-state fNIRS measurements
Neuroimage, vol.51, issue 3, pp.1150-1161, 2010
20151208 htanaka

非侵襲的イメージング技術として有望な近赤外分光法 (fNIRS) は,安静時の機能的神経結合 (RSFC) の研究に おいて,近年注目されている.fNIRS を用いた RSFC の先行研究では,関心領域の時系列変化をもとに全脳領域 との相関を算出する手法を適用し,興味深い結果が得られた.しかし,この手法には,複数の関心領域間の相互作 用や関心領域抽出における依存関係を無視するなど,いくつかの問題点がある.さらに,fNIRS の測定結果に含 まれるノイズやアーティファクトもまた,RSFC の結果に影響を与える.本研究では,安静時の fNIRS の測定結 果を用いて RSFC を検討する際の問題点を解決するために,独立成分分析 (ICA) が適用された.感覚運動野と視 覚野のデータによる ICA の結果は,機能的に明確な神経結合を示した.ICA と関心領域から相関を算出する従来 の手法を比較した結果,ICA ではより複雑なノイズが含まれている場合でも,質的および定量的に優れた結果が 実証された.ICA により,安静時の fNIRS データからノイズやアーティファクトを分離し,ノイズやアーチファ クトを抽出することが可能であると示された.最終的に,安静時の fNIRS データに ICA を適用することにおける いくつかの実用的な問題点が議論された.