精神疲労と機能的近赤外分光法(fNIRS)に基づいた軽度の外傷性脳損傷後の認知能力の評価

Mental Fatigue and Functional Near Infrared Spectroscopy (fNIRS) Based Assessment of Cognitive Performance After Mild Traumatic Brain Injury
Simon Skau Lina Bunketorp Kall Hans Georg Kuhn Birgitta Johansson
Frontiers in Human Neuroscience,vol.13,pp.145,2019

軽度の外傷性脳損傷(TBI-MF)後の病理学的な精神疲労は認知活動後の精神的疲労感によって特徴づけられる.神経学的仕組みは不明の為,本研究では各TBI-MF 患者において長期の精神活動が認知能力と神経相関への影響の仕方に焦点をあて調査した.外傷から少なくとも5 か月以上のTBI-MF 患者(20 人)と,同世代の健康な対照群(20 人)を募集した.本研究では,fNIRS を用いて前頭葉のHb 変化を評価した.精神的エネルギーレベルの主観的評価はVAS を用いて実験の前後に測定された.6 個の一連の神経科学的なテストにはStroop-Simon,Symbol Search,digit span,PaSMO,sustain attention and working memory test,DSC が使用された. 一連のテストは8 分間の注意維持テストのあとに行われた.テストは2.5 時間続いた.実験の結果,対照群と比較してTBI-MF 患者において精神的エネルギーが減少した(p<0.01).TBI-MF 患者は2 回のDSC テストを同レベルで行ったが,対照群では2 回目のテストでパフォーマンスが改善された(p<0.01).Stroop-Simon のテストの間,fNIRS の事象関連応答は時間効果を示さなかった.しかしながら,テストの開始時点からTBI-MF 患者は前頭極領域,腹外側運動皮質,背外側前頭前野領域においてOxy-Hb 濃度の低下を示した.Stroop における集団相互作用は,TBI-MF 患者は一致と不一致の両方の試行で同じoxy-Hb 濃度を示したが,対照群は不一致の試行においてより多くのoxy-Hb を示した.これらの結果は個々のTBI-MF 患者は前頭葉に動員する機能の減少が,主観的な精神疲労と相関関係にあることを示した.長期にわたる精神活動は,認知機能の低下と精神疲労の経験の両方をもたらす可能性がある.

トレッドミル歩行中の頭皮脳波(EEG)における無視できる運動アーチファクト

Negligible Motion Artifacts in Scalp Electroencephalography (EEG) During Treadmill Walking
Kevin Nathan, Jose L. Contreas-Vidal
Frontiers in human neuroscience, 13 JANUARY 2016

“アクティブ電極頭皮脳波(EEG)に基づく最近のモバイル脳/ボディイメージング(MoBI)技術は,トレッドミルウォーキング,オーバーグラウンドウォーキングやその他のロコモティブタスクとノンロコモティブの全身運動を含むアクティブ無制限運動行動中の脳ダイナミクスの取得とリアルタイム分析を可能である.残念なことに,MoBIプロトコルは,運動アーチファクトを含む生理学的および非生理的アーチファクトを生じやすく,EEG記録を汚染する可能性がある.ロコモティブタスクにおいてこれらのアーチファクトを定量化するためのいくつかの試みがなされてきたが,方法論的な落とし穴のために決定的な結果は得られていない.本稿では,ワイヤレス64 チャンネルアクティブEEG システムと被験者の頭部に取り付けられたワイヤレス慣性センサーを使用して,3つの異なる速度(1.5,3.0,および4)でトレッドミルウォーキング中の頭皮脳波におけるモーションアーチファクトの潜在的な影響を調べた.実験装置は,最先端の市販の機器を使用して優れた測定方法に従って設計され,測定値はフーリエ解析とウェーブレットコヒーレンスアプローチを使用して解析された.先の主張とは反対に,歩行速度が4.5km / hに近づくときには注意が払われるべきであるが,被験者の運動はトレッドミル歩行中のEEG測定に有意に影響を及ぼさなかった.全体として,これらの調査結果は,MoBI 法が神経,認知,およびリハビリテーション工学の応用において安全に展開される方法を示唆している.”

近赤外分光法を用いた実際の運転中の運転者の脳内ネットワークのEffective Connectivity 解析

Effective Connectivity Analysis of the Brain Network in Drivers during Actual Driving Using Near-Infrared Spectroscopy
Zhian Liu, Ming Zhang, Gongcheng Xu, Congcong Huo, Qitao Tan, Zengyong Li ,and Quan Yuan Frontiers in Behavioral Neuroscience Vol.31 October 2017

自動車の運転は高度な脳機能を必要とする複雑な活動である.本研究は,安静時,単純運転時,自動車追従時の脳ネットワークにおける前頭前野(PFC)、運動関連領域(MA)、および視覚関連領域(VA)の間のEffective Connectivity(EC)の変化を評価することを目的とした.実車実験に参加するために,12 人の若い男性右利き成人が募集された.機能的近赤外分光法(fNIRS)機器を用いることで,酸化ヘモグロビンの信号を連続的に記録した.EC を評価するために,条件付きGranger 因果関係(GC)分析(異なる脳領域間の因果的相互作用を調査することができるデータ駆動型の方法)を実施した.解析の結果は,脳の血行動態活動レベルが認知作業負荷の増加とともに増加することを実証した.PFC,MA,VA 間の接続強度は静止状態から単純運転状態へと移行した際に増加したが,一方で自動車追従作業中に移行した際に相対的に接続強度は減少した.EC においては,PFC が,MA とVA からの因果関係を持つことが示された.しかしながら,左のMA はcar-follow のタスクにおいて因果関係を受ける側になった.これらの知見は,大脳皮質の血行動態活性レベルが認知作業負荷の増加とともに直線的に増加することを示唆している.脳ネットワークのEC は,認知作業負荷によって強化され得るが,タスクの一部で運転することのような過剰な認知作業負荷によっては弱められ可能性がある.

運転者の眠気を予測するためのEEG / NIRS併用システムの利用

Utilization of a combined EEG/NIRS system to predict driver drowsiness
Thien Nguyen, Sangtae Ahn, Hyojung Jang, Sung Chan Jun, Jae Gwan Kim
Scientific reports, 7: 43933, 2017

運転者の居眠りによる多数の自動車事故は多くの国々にとって重大な懸念である.この問題を解決するために,数多くの対策方法が提案されている.しかしながら,居眠り検出の精度が不十分であるため,結果は不鮮明であった.本研究では,運転者の眠気を検出するための新しいアプローチ,EEGとNIRSの組み合わせを提案する. EEG,EOG,ECGおよびNIRS信号は,被験者が覚醒および眠気状態の両方を伴う模擬運転作業中に測定された.瞬目率,目の閉じ具合,心拍数,アルファおよびベータバンドパワーを使用して被験者の状態を特定した.最も有益なパラメータを見つけるために,EEGおよびNIRS信号に対して統計的検定が行われた.覚醒状態と眠気状態を分類するために,フィッシャーの線形判別分析法が採用された.時系列分析を使用して眠気を予測した.前頭葉におけるオキシヘモグロビン濃度変化およびベータバンドパワーは.2状態の間で最も異なることが明らかになった.さらに,これら2つのパラメータは,覚醒状態から眠気状態への遷移によく対応している.オキシヘモグロビン濃度変化の急激な増加は,ベータバンドパワーの劇的な減少と共に,最初の目の閉鎖の数秒前に起こった.

人工知能による生物活性小分子のde novo 設計

De Novo Design of Bioactive Small Molecules by Artificial Intelligence
Daniel Merk, Lukas Friedrich, Francesca Grisoni, Gisbert Schneider
Molecular Informatics, Volume37, Issue1-2 Special Issue: Generative Models January 2018

“人工知能による生成モデルは分子設計において新たな観点を提示する.我々は,所望の活性を有する未知の薬らしい化合物を設計するための深層学習モデルの有望なアプリケーションを提示する.この目的のために,SMILES文字列として表現される既知の生物活性化合物の大規模なデータセットの性質を捉えるために,再帰型ニューラルネットワークを訓練させた. 転移学習により,この生成モデルは,レチノイドX 受容体および,ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アゴニストの認識に関してファインチューニングさせた.我々はこの生成モデルにより設計された5 つの上位化合物を合成した.化合物のうち4 つは細胞を用いたアッセイにおいてナノモルから低マイクロモルの受容体調整活性を明らかにした.明らかに,計算モデルは明示的な規則を必要とせずに本質的に関連する化学的および生物学的知識を獲得した.この研究の結果は将来のde novo 分子設計のための人工知能による生成モデルを提唱し,そして将来の医化学のためにこれらの方法の可能性を証明している.”

一次内受容性および外受容性皮質の注意調節

Attentional Modulation of Primary Interoceptive and Exteroceptive Cortices
Farb, Norman AS and Segal, Zindel V and Anderson, Adam K
Cerebral cortex, vol.23, pp.114-126, 2012

どのように外受容性注意(EA)が外界の神経表現を変化させるのかはよく特徴付けられているが,内受容性注意(IA)がどのように体の内部状態の神経表現を変えるかについてはほとんど知られていない.我々は呼吸に向けたIAに対する視覚的なEAを比較した.視覚的EAは一次視覚野,外線条皮質,及び外側前頭頭頂の「実行」ネットワークを調節した.対照的に,呼吸に向けたIAは,一次の内受容性皮質と関連している呼吸頻度に影響を受ける後部島領域,及び海馬,楔前部,および中帯状皮質を含む後部辺縁及び内側頭頂ネットワークを調節した.EAとIAネットワークをさらに区別し,注意依存性結合分析は,EAは下頭頂小葉と視床pulvinarの視覚皮質の接続性を強化した一方,IAは内受容的求心性を支持する層状I脊髄視床皮質経路の中継である後部内側腹側視床との島の結合を高めた.後部島と前部島との間の強い結合性にも関わらず,島の解剖学的区画は,その前後軸に沿ったIAからEAへの動員勾配を明らかにした.これらの結果は,異なるネットワークがEAとIAを支持する可能性があることを示唆している.さらに,前部島は純粋な身体認識の領域ではないが,感情的経験のための潜在的な基礎として外界表現と身体の内部状態とを結びつけるかもしれない.

多変量タスクベースの機能的脳イメージングにより明らかにされた類推の個人差

Individual differences in analogical reasoning revealed by multivariate task-based functional brain imaging
Hammer, Rubi and Paul, Erick J and Hillman, Charles H and Kramer, Arthur F and Cohen, Neal J and Barbey, Aron K NeuroImage, vol. 184, pp. 993-1004, 2019
類推(AR)は,より高いレベルの認識において中心的な役割を果たし,知的能力における個人差の主な原因となっているが,ARの個人差を説明する神経メカニズムは依然として十分に特徴付けられていない.ここでは,多変量fMRI解析(単純なマルチカーネル学習マシン)を使用して,大きなサンプル(n=229)内のARの個人差を調査した.個々のAR能力は前頭前野実行ネットワークと視覚空間ネットワークにおける賦活レベルと正の相関があった.特に,これらのネットワーク内のARの個人差の最良の予測因子は,背外側前頭前野(反応選択)および舌状回(視覚特徴マッピング)における活性化であった.対照的に,AR機能はデフォルトモードネットワークでの賦活と負の相関があった.報告された調査結果の意味は2つある.一つ目は,ARの個人差は,それぞれの寄与が個人の認知スキルに左右される複数の執行および視覚空間脳領域に依存する.2つ目は,ARの個人差に関連する脳領域は,関連するタスク要求に敏感な脳領域(すなわち,グループレベルでの類似関係の複雑さに敏感な脳領域)と部分的にしか重ならない.我々は,より高レベルの認知プロセスの基礎となる脳の構造の例として,ARを支持するそのような脳の組織化の意味を議論する.

安静時脳の変化が導く瞑想に基づいたレジリエンスの即時的,持続的な肯定的効果

The Immediate and Sustained Positive Effects of Meditation on Resilience Are Mediated by Changes in the Resting Brain
Kwak, Seoyeon and Lee, Tae Young and Jung, Wi Hoon and Hur, Ji-Won and Bae, Dahye and Hwang, Wu Jeong and Cho, Kang Ik K and Lim, Kyung-Ok and Kim, So-Yeon and Park, Hye Yoon and others
Frontiers in human neuroscience, vol.13, 2019

最近の研究はストレス耐性に対する瞑想効果の維持を調査しているが,根底にある神経機構はまだ調査されていない.本研究では,脳機能の変化と瞑想がマインドフルネスと回復力に及ぼす長期的な影響を調査するために4日間の瞑想介入について制御された実験を行った.瞑想実践の30 人の参加者と対照群の17 人の参加者は,ベースライン時と介入後にMRI スキャンを受け,ベースライン時に認知とマインドフルネススケール(CAMS)とレジリエンス検定(RQT)を計測した.介入および3ヶ月のフォローアップへのすべての参加者が介入後にCAMSおよびRQT スコアの増加を示したが,瞑想群のみが3ヶ月後に増強を持続した.左吻側前帯状回皮質(rACC)と背内側前頭前皮質(dmPFC),角膜前,および角回(rsFC)の安静時機能的連結性はコントロール群と比較して瞑想群で介入後に有意に増加した. rACC-dmPFC やrsFC の変化は,CAMS とRQT スコアの変化の間の関係を媒介し,介入直後と介入後3ヶ月の両方でRQT スコアの変化と相関していた.本研究者の知見は,瞑想によるrACC-dmPFC rs FC の増加が持続的なレジリエンスの即時の増強を引き起こすことを示唆する,レジリエンスは様々な精神障害の予防効果に関連していることが知られているので,ストレス関連の神経機構の改善は高い臨床的リスクのある個人にとって有益であるかもしれない.

カラーウェーブレット特徴と畳み込みニューラルネットワーク特徴の融合を用いたビデオ内視鏡検査における 自動胃腸ポリープ検出システム

An Automatic Gastrointestinal Polyp Detection System in Video Endoscopy Using Fusion of Color Wavelet and Convolutional Neural Network Features
Mustain Billah, Sajjad Waheed, and Mohammad Motiur Rahman
International Journal of Biomedical Imaging 2017, pp.1-9 , Published 14 August 2017
“消化管ポリープはほとんどの場合,癌発生の前兆と考えられている.したがってポリープの早期発見と早期切 除は癌の可能性を低減させることが可能である.ビデオ内視鏡検査は,消化管ポリープに最もよく使用される診 断法である.しかし,それは内視鏡医のオペレータ操作に依存するため,人的要因がポリープの誤検出を招く可 能性がある.ポリープ検出におけるコンピュータ支援は,ポリープの誤検出率を低下させ,医師が注意を払うべ き最も重要な領域を見つけるのを助けることが可能である.本稿では,胃腸ポリープ検出の支援として自動シス テムを提案した.本システムは,内視鏡ビデオからビデオストリームをキャプチャし,その出力に識別されたポ リープを表示する.ビデオフレームのカラーウェーブレット(CW)特徴および畳み込みニューラルネットワーク(CNN)特徴は,線形サポートベクトルマシン(SVM)に学習させるために抽出され組み合わされる.公共の標 準的なデータベースを用いた評価は,98.65 %の精度,98.79 %の感度,および 98.52 %の特異度を得,提案シス テムが最先端の方法よりも優れていることを示した.”

条件付き敵対生成ネットワークによる顔の老化

Face aging with conditional generative adversarial networks
Antipov, Grigory and Baccouche, Moez and Dugelay, Jean-Luc
2017 IEEE International Conference on Image Processing (ICIP),Pages 187-194, 17-20 September 2017

近年,敵対生成ネットワークである GAN が視覚的にかなり忠実な,模造の画像を生み出すことが可能であると 示されている.この研究では顔を自動的に老化させるための,GAN に基づいた手法を提案する.顔の特性を変え るために GAN を採用した以前の研究とは対照的に,私たちは特に男女共に顔の老化において元となる人物の独自 性を保持することに重点を置いている.この目的を達成するために,私たちは独自性の保存,つまり GAN の固有 ベクトルの最適化のための新たな手法を導入する.最先端の顔認識と年齢推定によって,結果として生じる老化 した顔画像と若返りした顔画像の客観的評価は,提案された手法の高い可能性を示している.