深層学習による上部消化管内視鏡画像に対するピロリ菌感染の分析

Application of Convolutional Neural Networks in the Diagnosis of Helicobacter pylori Infection Based on Endoscopic Images
Takumi Itoh, Hiroshi Kawahira, Hirotaka Nakashima, Noriko Yata Endoscopy International Volume 6 pp.139-144 2018

“Helicobacter pylori(HP)に関連する慢性胃炎は,粘膜萎縮と腸上皮化生を引き起こす可能性があり,どちらも胃がんのリスクを高める.定期検診中のHP感染の診断精度は重要である.そこで胃の内視鏡画像の特定の特徴を認識できる,深層学習に似た機械学習アルゴリズムの畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を開発することを目的とした.このようなシステムの開発の背後にある目標は,HP感染を早期に発見し胃癌を予防することである.CNNの開発には,139人(65人はHP陽性,74人はHP陰性)の患者から得られた179枚の上部消化管内視鏡検査画像を使用した. 179枚の画像のうち,149枚はトレーニング画像として使用され,残りの30枚(HP陰性患者から15枚,HP陽性患者から15枚)はテスト画像として使用するために確保した.149枚のトレーニング画像はデータ増加の対象とされ,596枚の画像を生成した.CNNを使用してHP感染を認識する学習ツールを作成し,感度,特異性,および受信者動作特性曲線(ROC)の下の面積(Area Under the Corve :AUC)を計算することにより,30枚のテスト画像でCNNの精度を評価した.
HP感染の検出に対するCNNの感度と特異性はそれぞれ86.7%と86.7%であり,AUCは0.956であった.HP感染のCNN支援診断は可能と思われ,検診中の診断を促進および改善することが期待される.”

マルチスケールスーパーピクセルクラスタリングを用いた 2 次元皮膚画像における自動乾癬病変セグメンテー ション

Automatic psoriasis lesion segmentation in two-dimensional skin images using multiscale superpixel clustering
Yasmeen George, Mohammad Aldeen, Rahil Garnavia Journal of Medical Imaging vol.4(4), 044004, 2017

乾癬は皮膚科医によって視覚的に評価される慢性皮膚疾患である.乾癬の面積と重症度指数(PASI)は現在の 主流の指標であり,面積,紅斑,うろこ状,および厚さの 4 つのパラメーターを評価することにより病変の重症 度を測定するために使用される.これに関連し,乾癬皮膚病変セグメンテーションは,PASI スコア決定の基礎と して必要である.マルチスケールスーパーピクセルと K-means クラスタリングを活用した自動病変セグメンテー ション手法の概要を説明する.具体的には異なるスケールを使用して,CIE-L*a*b*色空間にスーパーピクセルセ グメンテーションを適用する.また,皮膚でない領域に属するスーパーピクセルを排除する.異なるスケールで同 様の領域が取得されれば,K-means アルゴリズムを使用し,各スケールにおけるスーパーピクセルを正常皮膚領 域と病変皮膚領域にクラスタリングする.クラスタリングプロセスでは,a*および b*の色帯の両方の特徴が使用 される.さらに多数決により各スケールにおけるセグメンテーション結果が融合され,最終的な出力が得られる. 提案手法は,オーストラリアメルボルンにある Royal Melbourne Hospital から取得した 457 症例の乾癬画像セッ トで広範囲に評価された.実験結果は,毛深い肌やさまざまな病変サイズ,形状,および重症度を含む画像に適用 した場合でも,提案手法が非常に効果的かつ効率的であることの証拠を示している.さらに,CIE-L*a*b*色空間 は,乾癬病変の分析とセグメンテーションで他の色空間よりも優れていることが確認された.検出結果の評価に は,Dice 係数,Jaccard 係数,Pixel Accuracy の 3 つの評価指標が使用された.これらの評価指標では,それぞ れ平均 0.783,0.698,86.99%が達成された.最後に,肌分解とサポートベクターマシンまたは色相-クロム平面の ユークリッド距離のいずれかを使用する既存手法と比較して,マルチスケールスーパーピクセルに基づく我々の 提案手法は,少なくとも 20%の精度向上が確認され,優れた性能を実現していた.

画像強調観察は,臨床現場において胃炎の京都分類の診断を改善できるか

Can image-enhanced endoscopy improve the diagnosis of Kyoto classification of gastritis in the clinical setting?
Osamu Dohi, Atsushi Majima, Yuji Naito, Takuma Yoshida, Tsugitaka Ishida, Yuka Azuma, Hiroaki Kitae, Shinya Matsumura, Naoki Mizuno, Naohisa Yoshida, Kazuhiro Kamada and Yoshito Itoh Digestive Endoscopy 2019, Available online 10 October

胃がんの最も一般的な原因であるヘリコバクターピロリ感染の内視鏡診断は,胃がんの罹患率と死亡率を減ら すために,胃がんになりやすい患者を明確化するので,非常に重要である.最近では,ピロリ菌感染の状態の明確 化や胃がんのリスク要因を評価するために,胃炎に関連したピロリ菌感染の内視鏡初見を元に,胃炎の京都分類が 開発された.最近では,狭帯域イメージング(NBI)を用いた拡大内視鏡は,ピロリ菌に関連した前癌状態の領域 の内視鏡診断の精度や再現性に利点があると報告されている.NBI に加えて,自家蛍光イメージング,blue lazer imaging,そして,linked color imaging などを含めた様々な画像強調観察が利用されている.この評価は,現在 利用可能な IEE の進歩した技術を使用して,京都分類に基づいた胃炎診断を向上させる為の臨床応用や,その対 応する証拠に焦点を当てている.

路上走行研究における聴覚散漫中のEEGアルファスピンドルと長時間のブレーキ反応時間

EEG alpha spindles and prolonged brake reaction times during auditory distraction in an on-road driving study
Andreas Sonnleitner, Matthias Sebastian Treder, Michael Simon, Sven Willmann, Arne Ewald, Axel Buchner, Michael Schrauf Kevin Nathan, Jose L. Contreas-Vidal
Accident Analysis Prevention, Volume 62, January 2014, Pages 110-118

“運転者の注意散漫は,相当数の交通事故の原因となっている.本稿では,一次運転タスク中の聴覚的二次タスクが運転者の精神状態に及ぼす影響について述べる.N=20人の参加者が,非公開テストコースにおいて車内で繰り返し強制ブレーキをかけるタスクを行った.パフォーマンス尺度(ブレーキライトで誘発される反応時間)および脳活動(EEGアルファスピンドル)を分析して,ドライバーの注意状態を特徴づけた.さらに,アルファスピンドルがドライバーの精神状態を予測できるかどうかを調査するために分類アプローチが使用された.
結果は,反応時間およびアルファスピンドル速度がタスク時間とともに増加することを示した.さらに,運転のみとは対照的に聴覚二次タスクで運転している間のブレーキ反応時間とアルファスピンドル速度は著しく高かった.単一試行分類では,スピンドルパラメータの組み合わせは,注意喚起運転から注意をそらされたものを区別することにおいて約8%の中央分類誤差をもたらした.認知負荷が増大している間の運転性能の低下(すなわち,ブレーキ反応時間の延長)は,EEGアルファスピンドルによって示されると想定され,運転者の精神状態を口頭で評価することなく公道での実験における運転者注意散漫の定量化を可能にする.”

精神的な作業負荷の持続による脳疲労の視覚化: タイムオンタスク効果のASL 灌流研究

Imaging brain fatigue from sustained mental workload: An ASL perfusion study of the time-on-task effect
Julian Lim, Wen-chau Wu, Jiongjiong Wang, John A. Detre, David F. Dinges, Hengyi Rao
NeuroImage,vol.49,pp.3426-3435,2010

“困難な認知作業負荷の継続持続中,通常ではタイムオンタスク(TOT)効果が見られ,認知作業負荷のパフォーマンスがタスク完了までに非常に悪化する.この研究では,15人のグループがPVT課題を20分間行った際の,TOT効果の神経相関を調査する為にfMRIにおけるASL灌流が使用された.被検者は,タスク後に反応時間の遅延と精神疲労の増加といった重要なTOT効果を示した.灌流データはPVTにおいて大脳基底核と感覚運動皮質に加えて右外側前頭前野の注意ネットワークが活動する事を示した.タスク後のレストをタスク前のレストと比較すると,前頭前野ネットワークの活動が減少し, パフォーマンス低下に関連するネットワークのCBF領域が減少した.それらの結果は,重度の精神的な作業後の認知疲労からなる効果と注意ネットワークの果たす重要な役割の指標を論証した.さらに,タスクのオンセット前の視床と中前頭回におけるレスト時のCBF領域は,その後の被験者のパフォーマンス低下を予測し,fMRIにおけるASL灌流によって定量化したレスト時のCBFは,視覚注意テストにおけるパフォーマンスのポテンシャルの指標や疲労レベルのマーカーとして役立つ可能性を提案する.”

cECGは障害なくドライバの認知状態を決定するための代理となりうるか

Can cECG be an unobtrusive surrogate to determine cognitivestate of driver?
Venkatesh Balasubramanian, Rahul Bhardwaj
Transportation research part F: traffic psychology and behaviour, 58, 797-806. 2018

脳波(EEG)は認知行動の尺度として有効である.本研究では,ドライバの疲労を推定するためのEEGの代用として,非接触容量結合ECG(cECG)技術を用いた.35人の男性ボランティアがこの研究に参加した.低周波(LF),高周波(HF),及びLF/HF比のようなHRV成分をcECGシステムを用いて算出した.EEGバンド(ベータ,アルファ及びシータ)及び比率指数がHRV成分とともにEEGシステムを使用して算出された.EEGとcECGの間に相互作用があるかの調査のため,高周波数のRR間隔kと全体域のEEG周波数の間のコヒーレンス,利得,位相シフトを推定した.120分間の運転シミュレーション内において,有意な(p<0.05)増加傾向があったHFに対して,LFやLF/HFは減少傾向にあったことが確認された.EEGの結果は,ベータ活性の有意な(p<0.05)減少を示した.さらに,運転中にアルファとシータの活動の増加を示した.正規化された高周波HFnuとEEG帯域間のコヒーレンスは高かったが,利得はデルタ帯域とそれに続くシータ帯域で最大であった.シータバンドと(HFnu)との間の位相シフト11.24±13.67°であった.心臓迷走神経活動は,5.35±4.15分に続く位相シフトにおいて,シータバンドに対応する変化を示した.これらの結果は,EEGとcECGの間のコヒーレンスに基づいてcECGを使用することによって認知疲労の推定が可能であることを示す.

脳活動と実際の車道運転行動の関連性:ベクトルベースの全脳に対する機能的近赤外分光法研究

Relationship between brain activity and real-road driving behavior: a vector-based whole-brain functional near-infrared spectroscopy study
Orino, Yoshitomo and Yamamoto, Kouji and Oka, Noriyuki and Takahashi, Hideki and Sugimachi, Toshiyuki and Suda, Yoshihiro and Kato, Toshinori
2017 Driving Assessment Conference

“自動車の運転には複数の脳機能が必要となる.しかしながら,自動車の運転行動に関連する脳の領域は不明である.そのため,我々は機能的近赤外分光法(fNIRS)を用いて運転中の前頭葉,頭頂葉および後頭葉の活動の測定を行った.皮質下の活性化パターンは,ステアリング動作,アクセルペダルの動作,速度制御などの運転行動に関連して調査された.本実験には6 人の健常な大人が被験者として参加した.脳酸素交換量(COE)は,fNIRSによって測定されたオキシヘモグロビンおよびデオキシヘモグロビン濃度に基づいて算出された.COE と運転行動のデータは1m ごとに収集され,すべての被験者において移動距離に対して正規化された.主成分分析を使用して,全98 チャンネルの機能的NIRS データから主成分を抽出した.抽出された成分と運転行動との間の関係性は,|cosine similarity|> 0.3 であるかどうかによって確認された.確認された類似性を有する成分の中で,我々は高い主成分負荷を有する脳領域を抽出した(|PCL|> 0.4).抽出された16個のCOE の主成分のうち,COE 主成分1 および5 はステアリング運動との類似性を示した(cosine similarity:主成分1,-0.538; 主成分5,0.551).
COE 主成分1 および主成分5 の主成分負荷量が高い領域は前頭葉であった(Brodmann area [BA] 9,8,および4/3)(PCL > 0.8).COE 主成分6 はアクセルペダルの動きとの類似性を示し(cosine similarity:0.369),COE主成分6 の主成分負荷量は頭頂葉(BA7)が最も高かった(PCL =-0.62).速度制御はいずれのCOE 因子とも類似性を示さなかった.fNIRS が自動車運転時の脳活動評価に利用される場合,これらの調査結果は脳領域測定における関心領域の選択に貢献し得る.”

ワーキングメモリ負荷中の音声処理における皮質振動と同調

Cortical oscillations and entrainment in speech processing during working memory load
Jens Hjortkjær, Jonatan Märcher‐Rørsted Søren A. Fuglsang Torsten Dau European Journal of Neuroscience

神経振動は,作業記憶(WM)および音声処理において重要な役割を果たすと考えられている.現実の状況で音声を聞くことはしばしば認知的に要求されるが,聴覚皮質の脳活動が音声機能に同期する際,WM負荷がどのように影響するかどうかは明らかでない.ここでは,異なる程度のWM負荷下での音声エンベロープ変動への皮質の同調を調査するため,聴覚のN-backパラダイムを開発した.N-backタスクを入れた連続音声を聞いている22人の被験者から,脳波,瞳孔の拡大,および行動パフォーマンスを測定した.音声刺激は,文のイントネーション,音節の速度,および音声の内容に関して,自然な音声に一致するよう作成された長い数字の文章で構成された.音声処理中にさまざまなWM機能に負荷をかけるために,聞き手はさまざまなレベルのバックグラウンドノイズの音声シーケンスに対してN-backタスクを実行した.より高いN-backレベルでのWM負荷の増加は,後頭のアルファ度の減少と瞳孔拡張の増加に関連していた.前頭のシータ出力は,訓練の開始時に増加し,N-backレベルが高くなるとさらに増加した.観測されたアルファシータパワーの変化は,WM処理負荷の一般的な振動相関を示唆する視覚的なN-backパラダイムと一致している.発話同調は,発話信号のエンベロープと低周波皮質活動(<13Hz)の間の線形マッピングとして測定された.両方のタイプのWM負荷(バックグラウンドノイズとN-backレベル)の増加により,皮質音声エンベロープの引き込みが減少することが分かった.同調は高負荷下で持続したが,我々の結果は,皮質音声同調に対するWM処理のトップダウンの影響を示唆している.

視覚画像の鮮明さの神経相関–fMRIの研究と文献レビュー

The neural correlates of visual imagery vividness – An fMRI study and literature review
J. Fulford, F. Milton, D. Salas, A. Smith, A. Simler, C. Winlove and A. Zeman Cortex, vol. 105, pp. 26-40, 2018.
視覚心像のアンケートの鮮明さを使用して,111人の大学生のサンプルから,14人の高得点者と15人の低得点者の健常被験者を選択した. 2つのグループは,年齢,IQ,記憶,気分の尺度で一致したが,画像の鮮明さは大きく異なった.参加者が有名な顔や有名な建物を見たり,後で想像したりしている際に,fMRIを使用して脳の活性化を調査した.グループ比較により,低鮮明度のグループは,高鮮明度のグループよりも視覚化しながら,より広範な脳領域のセットを活性化することが明らかになった.被験者のグループ全体の画像の鮮明さに関連した脳の活性化のパラメトリック分析は,正と負の相関の明確なパターンを明らかにした.特に,いくつかの後部皮質領域は,画像の鮮明さと正の相関関係を示す.紡錘状回,後部帯状回,および海馬傍回(BA 19,29,31,36)の領域は,正の相関関係のみを示した.対照的に,前帯状皮質(BA 24)および下前頭回(BA 44および47)の一部,島皮質(BA 13),聴覚皮質(BA 41)および初期視覚皮質(BA 17および18)は,負の相関関係のみを示した.これらの結果は,「盲目の想像力」の臨床症例の以前の機能的イメージング研究,および視覚および他のドメインにおける画像の鮮明さと関連する現象の機能的イメージング相関に関する既存の文献に関連して議論する.

マインドフルネス,内受容,及び身体:現代的な視点

Mindfulness, Interoception, and the Body: A Contemporary Perspective
Jonathan Gibson Frontiers in Psychology, vol.10, pp.1-18, 2019

“マインドフルネスは,多くの訓練,プロセス,及び特性を特徴付ける包括的な用語としてよく使用される.批評家は,この広範な定義が誤った情報,誤解,および方法論的に厳密な研究の一般的な欠如をもたらしたと主張する.マインドフルネスを取り巻く混乱の一部は,マインドフルネスと瞑想という用語の区別されない使用に起因すると考えられている.マインドフルネス,及び他のすべての瞑想は,内受容の主要なハブである島を調節することが示されている.内受容はマインドフルネスの基礎であり,実践から利益を得るための主要なメカニズムであると主張する人もいる.しかし,マインドフルネスの文献と同様に,内受容は精度がなく,領域が限定された意味と含意を伴って広く定義されることがよくある.研究は,島と周囲の神経回路が,注意,認識,及びすべての主観的経験を含む内受容以外の多くの機能に関与していると考えられていることを示している.マインドフルネスがこれらの神経可塑性と機能的効果を生み出すと考えられてきた.マインドフルネスとその利点のいくつかは,島の神経可塑性の変化の結果である内受容の増加としてよりよく説明でき,島と周囲の神経回路の発達がマインドフルネス傾向を育てる可能性があるという証拠がある.本稿の目的は,(1)マインドフルネスの文献で特定された利点の多くを内受容とその神経学的相関に関連付ける方がより正確であることを強調し,(2)マインドフルネス,内受容,及び瞑想を取り巻く混乱の一部を明らかにする手段として,注意状態を提案することである.異なる瞑想には異なる注意状態が必要である.注意は,各焦点が独自の視点を提供する焦点に類似している場合がある.すべての瞑想技術が島を調節することを考えると,各瞑想は他の瞑想の伝統では利用できない複雑な内受容信号を調査するために固有の視点を提供できる.抽象的で広く定義された瞑想手法のセットよりも,それらを調査する手段として身体に科学的発見を固定する方がより有用であるかもしれない.