視覚探索におけるトップダウン的な空間情報および特徴情報の神経的統合

Neural Integration of Top-Down Spatial and Feature-Based Information in Visual Search

視覚探索は,探すものの特徴や空間的にどのあたりにあるのかという過去の知識情報をもとに行われる.しかしながら,人間の脳活動において,視覚探索過程で,特徴情報と空間情報をどのように統合されるのかに関しては未だに明らかになっていない.特に,解剖学的に分離された領域において特徴情報と空間情報のどちらが初めに表出するのか,どの段階で統合されるのかが明らかになっていない.これらの問題を解決するため,独立的パラメトリック手法で空間的および特徴(色)情報を対象とした視覚探索課題時のBOLD信号を記録した.探索のパフォーマンス向上は,空間的および特徴の手がかり情報の量により改善され,視覚探索の準備期間に空間および特徴の手がかり情報を前頭葉,頭頂葉および帯状皮質で加算的に表出されたことがBOLD信号により示された.これらのデータは,空間および特徴情報に基づく情報表出が,探索が始まる前のトップダウン的および眼球運動の情報源の領域に集積されていることを示している.従来は,空間情報と特徴情報は異なる神経基盤により情報処理が行われていると考えられていたが,同一の神経基盤により処理されていることが明らかとなった.この神経基盤は,主に前頭葉,頭頂葉および帯状皮質に加算的な変化として表出されることが示された.また,この神経活動がトップダウン的な探索機能に関わりがあり,さらに頭頂間溝が情報の取りまとめに重要であることが示唆された.

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MRI なしのMNI 空間への多数チャンネル、多数被験者fNIRS データの空間登録

Spatial registration of multichannel multi-subject fNIRS data to MNI space without MRI

共通の脳領域への脳機能データの登録は,複数の種類のデータの統合と共有のための大きな利点をもたらしている.しかしながら,fNIRSでこれを達成するのは難しい.なぜならばfNIRSデータは頭皮から獲得されており,計測した脳の構成情報が欠落しているから.そのため,私たちの以前の論文で,被験者の磁気共鳴画像(MRI)を使用せずに国際10-20法を通じて標準モントリオール神経学研究所(MNI)テンプレートにfNIRSデータの確率的登録のための方法を提示した.現在の研究では,私たちはグループの研究を促進し,様々な構成における情報をもたらすために,新たな統計モデルを用いた方法を示している.fNIRSデータの確率的レジストレーションの私たちの即興方法に関わる変動性を調べるために,私たちはランダム効果モデルに基づく分散の単一要因一方向分類分析と同様の分析を適用する.17の基準MRIデータセットに12人の被験者の頭表面のデータを登録することでこの方法を試験し,そういうふうに頭表面点に対して行われる確率的レジストレーションにおける標準偏差は4.7~7.0mm程度の範囲であることがわかった.これは空間登録のエラーが許容範囲内であれば,被験者のMRIデータが利用不可の時もまた,集団レベルで推論するための複数被験者のfNIRS解析と集団の位置の変動性情報の供給を可能にすることを意味する.本質的には,今回の方法は複数被験者のfNIRSデータを関連付けられた位置変動性の明確な説明と共にMNI空間に表すことが可能になる.共通のプラットフォーム上のこのようなデータの提示は,fNIRS研究の集団解析の妥当性を強化するだけでなく,神経画像コミュニティの中で両方のイントラとインターモーダルデータ共有が容易になる.

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内向的な人と外向的な人に対する認知課題中の背景音楽および雑音の影響

The Effect of Background Music and Noise on the Cognitive Test Performance of Introverts and Extraverts

これまでの研究で,複雑な認知課題において,背景音楽や背景雑音などの障害物により内向的な人の作業成績は外向的な人と比べて悪い影響を受けることが分かっている.この研究では,背景雑音が音楽と同じくらい影響するかどうか調べることにより,従来の研究を拡張する.静音,英国ガレージ音楽および雑音を提示した状態で,118人の女子中学生が3つの認識力テストを行なった.内向的な人は,音楽と雑音が存在する状態において,外向的な人より全ての課題で悪い成績を示すが,静音では同程度の成績を示すと想定した.全ての課題について,有意な関係性が見られた.さらに,主に背景音による影響があることが予想された.それは,音楽や雑音を提示すると成績は悪くなるというものである.結果は1つの例外を除いて,この予測通りとなった.この研究で,外向性と知能の間の正の相関が明らかになった.この発見は,内向的な人と外向的な人の中で皮質の覚醒に差があるというEysenckian仮説を立証する.

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機能性近赤外分光法におけるヘモグロビン信号の差分時間情報を最適化するための適応型血行動態応答関数

Adaptive Hemodynamic Response Function to Optimize Differential Temporal Information of Hemoglobin Signals in Functional Near-infrared Spectroscopy

機能的近赤外分光法(fNIRS)は最初の人間の脳機能を評価に適用されてからほぼ20年が経った。それが今では広く毎年fNIRS関連の科学文献の100以上の出版物と共通の機能的画像診断法として受け入れられている。しかしながら、fNIRSデータのための普遍的な分析方法が確立されていない。頻繁に言及していないが、fNIRSデータの時間的解析はまた、技術的な課題を提起する:酸素化および脱酸素化ヘモグロビン(ヘモグロビン)の信号がどのように扱われるべきか。fMRIにおいて標準的な血行動態応答関数(HRF)への回帰と一般線形モデル(GLM)への類推で頻繁に使用されてきた。しかし、ヘモグロビンパラメータは必ずしもBOLD信号と同じ挙動に従わない:むしろ、しばしば2つのHb信号のための別の時間プロファイルに遭遇する。ここでは、fNIRSデータの時間的解析のための最適なHRFを見つけるために、適応型の方法を紹介します。タスク中に機能的な活性化データに時間的に最適化されたHRFへの回帰でGLMの応用は、オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビン信号の異なる時間的構造があり、後者がかなり遅れていることを明らかにした。しかしながら、時間的に最適化されたHRFを用いた場合、2つのパラメータは左半球の古典的な言語関連分野の活性化を含む合理的に互換性のある活性化パターンが得られた。これらの結果は、完全に両方のヘモグロビンパラメータの時間情報を利用する適応型HRFへの回帰でGLMの使用の可能性を示唆している。

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The imaging Maastricht Acute Stress Test (iMAST):神経イメージングに適用できる心理的ストレッサー

The imaging Maastricht Acute Stress Test (iMAST):A neuroimaging compatible psychophysiological stressor

いくつかのプロトコルが実験室で急性ストレスを誘導するために開発されている.しかし,ニューロイメージングの環境下で効果的にストレスを誘発させることは困難である.ここで,物理的と心理的ストレスを組み合わせたストレスプロトコルを紹介する(n=42).iMAST:TheimagingMaastrichtAcuteStressTestは高度な熱刺激装置と暗算課題を介して生成される寒冷圧力ストレスの交互トライアルである,5分間の準備期と10分間の急性ストレス期によって構成される.結果として,被験者は主観的に優位なストレス応答だけではなく,唾液中のα‐アミラーゼとコルチゾールの優位な上昇が見られた.我々のデータはiMASTがストレス後神経応答と脳のふるまいを調査するために,既存のイメージングストレスパラダイムに代替する強力な手段である可能性を示した.

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NIRS を用いた大脳皮質における痛みと痒みの特徴的活性パターンのための解析

Analysis for Distinctive Activation Patterns of Pain and Itchy in the Human Brain Cortex Measured Using Near Infrared Spectroscopy (NIRS)

痛みと痒みはとても関連のある感覚であるが,質的にははっきりと異なる.脳イメージング技術における近年の進歩に関わらず,信号の連続的な時間的および空間的変化のため大脳皮質における痛みと痒みの違いを区別することは難しい.PETとfMRIの高い空間分解能は痛みと痒みの研究を実質的に前進させたが,高価であり持ち運びができずシールドルームでの限られた操作のためこれらの装置は適さない.そこで私たちはより使いやすいNIRSを使用した.NIRSはfMRIと同様に,リアルタイムで活性した神経回路近くの毛細血管ネットワークにおける酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの濃度の動的な変化を可視化するために使用されうる.私たちは,鋭い痛みとヒスタミンの誘発による痒みに関する前頭皮質におけるはっきりとした活動パターンを発見した.前頭前皮質は,それぞれの被験者において痛みと痒みに関連する脳血流の活動パターンを示した.痛みと痒みに関する活動パターンは被験者によって異なるように見えたが,更に各チャンネル間のNIRS信号の相互相関解析は前頭前皮質領域に関して全体的な一致を示した.その結果,痛み関連応答と痒み関連応答(前頭前領域において応答遅れあり)は,痛み刺激(τ=+18.7秒)と痒み刺激(τ=+0.63秒)の間ではっきりと違いが見られた.これは,情報処理中の人間の皮質における痛み誘発脳血流および痒み誘発脳血流の時間的・空間的分離を示す最初のパイロット研究である.

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生体信号のためのアーチファクト除去技術を検証するための方法論

A Methodology for Validating Artifact Removal Techniques for Physiological Signals

生理学的信号からアーチファクトを除去することは生体信号処理の必須成分である.医療技術の導入はウェアラブルとユビキタスモニタリング環境に向けて,現在の病院を中心とした設定から遷移しており,このプロセスのための強力で堅牢な方法の必要性が特に深刻になっている.現在,実世界のデータ上で利用可能な複数のアーチファクト除去技術の相対的な有効性と性能を決定することは,求めたい破損していない信号に関する不完全な情報が問題となる可能性がある.手法の大部分は現在,シミュレートされたデータを用いて評価している.したがって,結論の質は使用されるモデルの適合度にかかっている.その結果,生体信号処理のコミュニティでは,アーチファクトの抑制に使用するための適切な信号モデルの生成と検証にかなりの焦点があてられている.ほとんどの手法は信号動態や基礎生理学の適切な近似値をとらえ,アルゴリズム実行後の予測にある不確実性を導入する数学的モデルに依存する.本稿では,アーチファクトが混入している真の求めたい信号と高い相関を示す「グランドトゥルース」の獲得を考慮し,脳機能をモニタリングするタスクのために実証し,求めたい信号のモデル化により多くの経験的な手法について説明する.この「グランドトゥルース」の有効性は悪い信号と一緒に,選択されたアーチファクト除去技術の有効性の決定を助けることができる.一般的に実装されたアーチファクト除去技術について,提案された新たなテストプラットフォームを検証するために記載された方法論を用いて評価した.

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ワーキングメモリトレーニング:流動性知能- 脳活動の変化から

Working memory training: Improving intelligence -Changing brain activity

研究の主な目的は,ワーキングメモリ(WM)に関するトレーニングが流動性知能の改善に影響を与えるのかを検討し,また,WMトレーニングの効果を脳活動の神経電位(electroencephalography-EEG)と血流動態(nearinfraredspectroscopy-NIRS)パターンから調査することである.並行群実験計画では,訓練の30時間後にワーキングメモリ群の回答者は流動性知能の全てのテストでパフォーマンスを顕著に向上させた.対照的に,能動的制御グループ(30時間のコミュニケーション・トレーニング・コースに参加)の回答者は,パフォーマンスの向上は見られなかった.神経電位脳活動のパターンにおけるWMトレーニングの影響は,シータとアルファ帯域の中で最も明確に現れた.及びlower-1 帯域の同期はlower-2及びupper 非同期と同時に起こる.トレーニング後の脳活動の血流動態パターンは,右半球の活性から両前頭部のバランスのとれた活動に変化した.脳活動の血流動態パターンだけでなく神経電位もトレーニングがWMの中央実行系における監督プロセスだけでなく保守機能にも影響を及ぼしたことを示唆している.upper 帯域の非同期変化は,さらに長期記憶に関連するプロセスも影響を受けることを示している可能性がある.

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高照度の照明は執務時間中の覚醒を誘発する:作業成績および心拍数の主観的調査結果

A higher illuminance induces alertness even during office hours: Findings on subjective measures, task performance and heart rate measures

夜間の白色光の露光が,覚醒,活気および気分の主観的および客観的指標の顕著な結果を示しているのに対し,昼間や執務条件下での白色光の効果はまだ十分に調査されていない.本研究では,32名の被験者を4000Kの色温度環境下で200luxと1000luxの2つの照度レベルのグループに分け,朝と昼間にそれぞれ1時間露光した.4ブロックにおいて主観的レポートおよび客観的パフォーマンスおよび生理的覚醒を調査した.結果として,主観的覚醒度および活気,課題に対する持続的注意,心拍数および心拍変動において照度の影響が見られた.参加者は低照度に対し,高照度の照明の露光時により眠気を感じず,より活動的に感じ,PVT(psychomotorvigilancetask)の反応時間が短くなり,生理的覚醒度が向上した.成績に関しては,朝の露光および1時間の露光の後半において顕著な影響が表れた.また,心拍変動への影響は1時間の露光後に顕著であった.睡眠などの露光条件下でない場合を除く通常の場合は,より強い光が覚醒度や活気の向上のみならず,作業成績および生理的覚醒の向上をもたらすことが結論付けられた.

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蛍光補償光学画像における網膜色素上皮細胞の自動セグメンテーション

補償光学(AO)イメージング法は,光受容体及び網膜色素上皮(RPE)細胞といった網膜細胞モザイクの組織学的特徴を生体内で研究することを可能にする.眼科AO撮像素子で得られた高解像度の画像は,情報量が多く,手動で定量化することが困難で面倒である.ゆえに,検査中の細胞モザイクに関する再現性のある定量的情報を提供できるロバストで自動化された解析ツールが必要となる.自動アルゴリズムは,個別の光受容体細胞の位置を検出するために開発されている.しかしながら,これらの方法のほとんどはRPEモザイクを特徴づけるにはあまり適していない.我々は,RPE細胞分割のためのアルゴリズムを開発し,RPEモザイクのシミュレーションと実際の蛍光AO画像で性能を示す.アルゴリズムの性能は,手動による細胞の同定と比較して91%以上の精度を得ることが出来た.この手法は,RPEモザイクの形態計測分析のためにRPE細胞を分割すること用いられ,健康・病気両方のRPEモザイクの分析を高速化することができる.

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