成人の ADHD 患者におけるワーキングメモリ課題中の前頭前野の活性減少:fNIRS の研究

Reduced lateral prefrontal activation in adult patients with attention-deficit/hyperactivity disorder (ADHD) during a working memory task: A functional near-infrared spectroscopy (fNIRS) study
Journal of Psychiatric Research,Vol.42,pp.1060-1067,2008

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近赤外分光法 (NIRS)は生体内の皮質組織における酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの濃度の変化を 測定する光学的撮像法である.本研究では,私たちはワーキングメモリ(N-back)の遂行中の多チャンネル NIRS を用いることにより,13 人の成人の ADHD 患者に対して,年齢と性別を適応させた 13 人の健常者対照群との 比較実験を行った.健常者対照群と比較すると ADHD 患者は,VLPFC 上に位置する NIRS チャンネルにおける N-back 課題の遂行時の活性の減少を示し,タスクに関連した酸素化ヘモグロビンの濃度の増加の減少が見られた. この発見は,高い作業負荷(2back)で特に顕著にみられた.そして患者群におけるオミッション・エラーの増加 に対して,統計的な傾向があった.以上のデータから,これまでの ADHD 患者におけるワーキングメモリ障害や 前頭前野の機能不全の所見の裏付け,及び,撮像結果とワーキングメモリの機能モデルの観点から議論する.

Working Memory,N-back task,VLPFC,ADHD,fNIRS

注意欠陥/多動性障害における機能およびコネクトームのイメージング

Imaging Functional and Structural Brain Connectomics
in Attention-De cit/Hyperactivity Disorder

Cao, Miao and Shu, Ni and Cao, Qingjiu and Wang, Yufeng and He, Yong

Molecular neurobiology, 2014, vol.50, no.3, p.1111-1123.

注意欠陥/多動性障害(ADHD)は,小児期の最も一般的な神経発達障害の一つである.臨床的に,この障害の
中核症状は不注意,多動,衝動性が含まれる.以前の研究では,ADHD の子供において,これらの障害は脳の領
域の異常だけでなく,領域間で機能的および構造的つながりの変更にも関連されるということが報告されている.
過去数年間では,グラフ理論的なアプローチと結合して非侵襲性の神経生理学的および神経画像処理技術(例え
ば、脳波計、機能的なMRI と拡散MRI)を用いた大規模な脳のネットワーク(コネクトーム)の位相的な変更
をマッピングすることによって,ADHD がどのように脳の連結性に影響を及ぼすかという研究がおおいに進めら
れた. 本報告では、我々は大規模な脳のシステムのグラフィック分析に焦点を当て、ADHD における機能的およ
び構造的なコネクトームの最近の進歩をまとめる.収束の証拠は,ADHD の子どもたちが規則的な構成に向けて,
ネットワークトポロジーの障害関連のシフトを示唆して,より高いクラスタ形成と低いグローバル整合性によっ
て特徴づけ,機能的および構造的脳ネットワークの両方で異常なスモールワールド特性を有していたことが示唆
された.さらに、ADHD の子供たちは,デフォルト・モード,注意と感覚運動システムを含んでいる領域のノー
ドと連結性の再分配を示した.重要なことに,これらのADHD 関連の変化は,かなり行動障害(例えば、不注意
と多動/衝動性の徴候)と相関して,臨床サブタイプの間で他と異なるパターンを示した.これらのコネクトーム
ベースの研究は,ADHD で脳のネットワーク機能障害を強調する.したがって,我々がこの障害の病態生理学的
機序を理解することに新しいウインドウを開ける.これらの研究には,ADHD で臨床診断と処置評価のためにも
イメージング・ベースのバイオマーカーの発展に関して,重要な部分があるかもしれないと考えられる.