IAPS の快・不快画像への脳領域の反応:異なるネットワーク

Regional brain responses to pleasant and unpleasant IAPS pictures: Different networks
Aldhafeeri, Faten M and Mackenzie, Ian and Kay, Tony and Alghamdi, Jamaan and Sluming, Vanessa Neuroscience letters, Vol.512, pp.94-98, 2012

本研究の目的は,健常者における快情動と不快情動の処理に伴う脳回路を調べることである.本実験では 15 名 の健康なボランティア(男性 9 人,女性 6 人,年齢 30~60 歳)を対象とした.このブロックデザインの fMRI 実 験では,BOLD 信号変化を IAPS の快・不快画像に対する応答として,それぞれ中性条件と比較した.中性条件 に対する快条件では,両側前前頭皮質(PFC),前部および後部帯状回および側頭葉において有意な活性が確認さ れた(pFDRcorrected < 0.05).中性条件に対する不快条件では,扁桃体,海馬,海馬傍回,側頭葉,視覚皮質, 紡錘形回,PFC および前帯状回おいて有意な活性が確認された(pFDRcorrected < 0.05).扁桃体は主に負の感 情の処理に関与している.また,IAPS の快・不快画像の処理に関与する領域は重複している領域も存在するがそ れぞれのニューラルネットワークは特有である.

無意識の情動刺激に対する扁桃体の反応

Amygdala Response to Emotional Stimuli without Awareness: Facts and Interpretations
Matteo Diano, Alessia Celeghin, Alessia Celeghin, Marco Tamietto
Frontiers in psychology 7, 2029, 2017
20180412 rshimizu

過去20年にわたり、観察者が誘発情動刺激の内容、または存在さえ認識していないときにも、ヒト扁桃体がその機能のいくつかを発揮するという証拠が報告されている.それにもかかわらず、焦点を当てた注意や認識なしに扁桃体の反応に影響を及ぼす限界と条件については、まだ判明していない.ここでは、被験者に関する過去や最近の研究を考慮し、健常者および脳損傷患者に関するニューロイメージングの文献を調べ、その刺激の強さと限界について考える。
我々は視覚認識できる刺激とできない刺激では扁桃体の機能に違いが出ることは、高い時間分解能を有する扁桃体応答をサンプリングするデータと共に、扁桃体を中心とする機能的および解剖学的機構の多様性を理解すると,非意識的感情処理におけるその役割を支持するのに役立つことが主張できる.
また相互作用するネットワークは皮質および皮質経路の異なる計算特性を利用して扁桃体へ視覚情報を仲介しそれによって感情処理の異なる段階で扁桃体機能をサポートする.この見解は明らかに対照的な提案と同様に、文献の明らかな矛盾を和らげる.我々は、この応答は異なる機能的メカニズムに由来するものであり、一般的に想定されているよりも複雑なニューラルネットワークによって引き起こされているにもかかわらず、認識なしで扁桃体応答を支持する証拠としている.このようなメカニズムの複雑さを認識することで、扁桃体の機能の多様性を認識しなくても、人間の行動に影響を与えることなく、新しい洞察を得ることができる.

fMRI 研究において,マインドフルネスの個人差は,感情想像中の背内前頭前部および扁桃体の反応を予測する.

Individual differences in trait mindfulness predict
dorsomedial prefrontal and amygdala response during
emotional imagery: An fMRI study
Personality and Individual Differences, vol.49, pp.479-484, 2010
2017_0717taimoto

東洋の「マインドフルネス」の概念は,物事への気づきと特定の物事への注意処理を意図している.本研究で
は、健常女性19 人において、マインドフルネス特性の「Observing」の個人差が,感情想像中の背内前頭前皮質
(DMPFC)および左扁桃内のfMRI-BOLD の反応を積極的に予測することを実証した.マインドフルネス特性の
「気づきを伴う行動」は,リラクゼーションイメージの間だけDMPFC の応答を積極的に予測した.

大うつ病を患っている若者の表情に対する扁桃体の活動亢進

Amygdala and dorsomedial hyperactivity to emotional
faces in youth with remitted Major Depression
Social cognitive and affective neuroscience vol.11(5), pp.736-745, 2016
170621 ykohri

我々はfMRI を用いて表情認知に対する大うつ病障害のニューロイメージングマーカーを提示する.大うつ病障
害と診断された47 人と健常者37 人に対して表情認知テスト(FEPT)を行った.
FEPT の行動パフォーマンスは,群間で有意に異ならなかった.しかし両方のグループにおいて,表情を基に
感情分類を行った時とただ動物を分類した時とを比較したところ,両側下前頭回に有意な活性を示した.加えて,
大うつ病障害群では両側傍帯状回,中側頭回,右扁桃体を含む多数の領域において活性を示した.また,大うつ
病障害群は両側中側頭回および左上前頭回を含む領域において,健常者群よりも有意に高い活性を示した.
大うつ病障害群は,表情認知タスクでの行動パフォーマンスの低下は示さなかったが,複数の脳領域において
健常者群と比較してより活性が見られた.よって,大うつ病障害群と健常者群の区別が可能であることを示唆し
ている.

各感情経験による記憶に関わる扁桃体の活性

Event-related activation in the human amygdala associates with later memory for individual emotional experience
The Journal of Neuroscience vol.20(19), pp. RC99-1, 2000
161012 ykohri

感情経験による記憶強化に関わる扁桃体の役割は多くの動物や患者,脳イメージングの研究で調査されている. 特に脳イメージング研究では,エンコーディング中の扁桃体の活性と記憶の間に相関関係があることが発見され た.しかし,これらの研究では個々の刺激に関連した扁桃体の活性と記憶の相互関係が個人によって違いがあるか 知られていない.そこで,本研究では被験者に中性と不快のシーンを見せ,各シーンでどの程度感情を見せるか を調査した.各シーンごとの扁桃体の反応は,被験者の経験や 3 週間後に行った記憶テストの成績と関連があり, 最も強い感情をみせたシーンに最も大きい反応を見せた.また,エンコーディング中の左扁桃体の活性の大きさ は最も強い感情をみせたシーンに反応を見せた.これらの発見は,扁桃体の活性は主観的な感情経験を反映して おり,感情の強さが記憶の強化に関連しているという考えを後押ししている.

快と不快の IAPS 画像への局部的な脳反応:異なるネットワーク

Regional brain responses to pleasant and unpleasant IAPS pictures: Different networks
Neuroscience Letters, Vol.512, No.2, 94–98, 2012
20160517 rhagiwara

目的:この研究の目的は,健常な被験者において快不快両感情の過程を含む脳回路を調べることであった.方 法:15 名(男性 9 名と女性 6 名,平均年齢 30-60)の健常な参加者を募った.このブロックデザインの fMRI 実験 で,快不快の IAPS 画像への反応として BOLD 信号変化を比較し,それぞれの神経状態を比較した.結果:中性 状態に対する快画像のコントラストは両前頭前野(PFC)、前部帯状回、後部帯状回、側頭葉において有意な活性 が示された(pFDRcorrected < 0.05).中性状態に対する不快画像は扁桃体,海馬,海馬傍回,側頭葉,視覚野,紡 錘状回,PFC,前部帯状回において有意な活性が示された(pFDRcorrected < 0.05).結論:扁桃体は不快感情の 過程で主に含まれる.快不快の IAPS 画像の過程において領域の重なりが存在したが,それぞれの神経ネットワー クは特徴的である.