脳の接続性:性別は違いを生む

Brain connectivity: genter makes a difference
Gaolang Gong,Yong He,Alan C. Evans
The Neuroscientist, Vol.17, No.5, 575-591, 2011.

性別は人間の脳の解剖学および機能ならびに人間の行動に重要な役割を果たすことがよく知られている. 最近の
脳神経イメージング研究では脳の局所領域だけでなく領域間のつながりにも性別の影響が示されている. 具体的な
例として構造的MRI および拡散MRI データは白質に基づく解剖学的接続性における実質的な性差を示している.
構造的MRI データは脳領域間の形態学的相関によって明らかにされた結合性における性差を示した. 機能的な神
経イメージング(例えば機能的MRI およびPET)データから得られる機能的連結性も性別によって左右される.
さらに男性の脳と女性の脳はネットワークトポロジーの違いを示し,それぞれ異なった脳全体の脳の接続性の組
織パターンを表しています. 本稿では現代の神経画像技術から得られた大規模なデータセットに焦点を当て性別と
のマルチモーダルな脳の接続性/ネットワーク研究における最近の知見を要約している. 文献はおそらく性別に関
連した認知能力の差異の根底にある人間の脳内の脳の接続における実質的な性差についての証拠を提供する. した
がって実験を設計したり健康や病気における脳の接続性/ネットワークの結果を解釈する際には性別による差異を
考慮する必要がある. 性別に関連した脳の接続性/ネットワークと脳疾患の性別特有の性質との相互依存性を探る
とともに,正常な脳におけるマルチモーダルな脳の接続性/ネットワークの性別関連の特性を調べるための今後の
研究が行われることが予想される.

脳の接続性を研究するために構造的および機能的神経画像データの合成

Combining structural and functional neuroimaging data for studying brain connectivity: A review
Psychophysiology, vol.45, no.2, p.173-187, 2008.
20151123 sohtani

異なる脳領域は認知機能をサポートするために,大規模なネットワークに統合されると考えられている.これらのネットワーク内の構造と機能の連携を調査するための最近のアプローチは脳領域間の計測である.私たちは,構造的および機能的な脳の接続データを合成する.構造的接続の分析として,主に拡散テンソル画像に基づいて,機能的神経画像データのボクセル毎の分析と対になっている.共分散に基づいた機能的接続の計測は,構造的接続データによって補助されている.これらの研究は,脳の構造と機能との関係についての洞察を提供する.有望な傾向は,機能的および解剖学的接続性データを高解像度の神経画像法を使用して収集することと高度な定量的モデルの開発である.

拡散テンソルトラクトグラフィーを用いた大脳皮質の構造的結合パターンのマッピング

Mapping Anatomical Connectivity Patterns of Human Cerebral Cortex Using In Vivo Diffusion Tensor Imaging Tractography
Cerebral Cortex, vol.19, no.3, pp.524-536, June 2008

脳の構造的・機能的組織の基礎となる,複雑ネットワークのトポロジカルな構造の特徴はニューロサイエンスにおいて重要な問題である.しかしながら,ヒトの脳の構造的結合のネットワークに関する証拠はまだ十分にない.本論文では,多くの被験者(80被験者)における,ヒトの皮質の一般的な結合パターンの基礎となる,マクロスケールの構造ネットワークを形成するため,我々は拡散テンソル画像法による決定論的トラクトグラフィーをもちいた.そして,さらなる量的解析はグラフ理論を用いて行った.大脳皮質は78の皮質領域にわけられ,それぞれをネットワークのノードとし,神経結合の可能性が統計的基準を満たしていた場合,2つの皮質領域はつながっていると考えた.確立された皮質ネットワークのトポロジカルパラメータは,べき乗分布指数的に特徴付けられたスモールワールドと類似している.これらの特徴は集中したダメージに対する高い回復を意味する.さらに,この皮質ネットワークは白質路の結合による,関連皮質における主要なハブ領域によって特徴づけられる.我々の結果は構造的・機能的脳内ネットワークの先行研究と互換性があり,機能的状態の基礎となるヒトの脳の構造的ネットワークの組織の原理に関する見識を与える.

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脳ネットワークの調査:レスティングステイトfMRI の機能的結合に関する総説

Exploring the brain network: A review on resting-state fMRI functional connectivity

我々の脳はネットワークである.脳は空間的に区分された構造で成り立っているが,お互いに連続的に情報の共有をする領域間で機能的に結合している.興味深いことに,近年の脳機能イメージングデータ解析の発展によって,脳の機能的結合の調査が促進している.機能的結合は構造的に解離している領域の神経活動パターンの時間的依存と定義され,脳領域間のレスティングステイトfMRIにおける協調した活動のレベルを計測することによって機能的結合の研究が増加してきた.これらの先行研究によって,特定領域と局所ネットワークの機能的結合についてや脳ネットワークにおける機能的連絡の全体的な構成についての新たな知見が発見された.本稿では,新たな解析手法の紹介とこれらのイメージング技術の概要を提示しながら,人間の脳のコアとなる新たな見識がどのように導かれたのかを議論する.どのように脳ネットワークの機能的結合と構造的結合が関係するのか,どのように機能的連絡が認知パフォーマンスのキーを形成するのかについて決定する,無意識的なレスティングステイトfMRIの方法についてに記す.また,機能的脳ネットワークの全体的な構成に焦点をあてたグラフ理論を用いた機能的結合パターンの解析について論じる.特に,アルツハイマー病や認知症,統合失調症,多発性硬化症のような機能結合による新たな指標について記す.

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