マインドフルネス瞑想は社会的苦痛の共感時に前部島の活動を調節する

Mindfulness meditation regulates anterior insula activity during empathy for social pain
D. Laneri, S. Krach, F.M. Paulus, P. Kanske, V. Schuster, J. Sommer and L. Muller-Pinzler
Human brain mapping, vol. 38, no. 8, pp. 4034-4046, 2017.

マインドフルネスはストレスを低減し,健康と幸福を促進することはもちろん他者に対する思いやりのある行動を増やすことが示されている.自己調節プロセスを強化し,感情反応性を低下させることで,変化した神経応答に合わせて,自分自身の痛みを伴う経験に対する苦痛を軽減する.マインドフルネスが他者の社会的苦痛の経験に対する共感に関連する苦痛および神経活性化を同様に減少させるかどうかを調べるために,本研究では,長期的なマインドフルネス瞑想(LTM)の実践の特性と状態効果を比較した.これを行うために,我々は,対照群と一致した2群のLTM実施者群の間の瞑想状態を操作しながら,社会的苦痛課題の共感時にfMRIを用いて行動データと神経活動データを取得した.結果は,他者の社会的苦痛を分かち合う際に,前部島(anterior insula:AI)および前部帯状皮質(anterior cingulate cortex:ACC)ならびに内側前頭前皮質(medial prefrontal cortex)と側頭葉(temporal pole)の活性化がLTM実践者群および対照群において増加したことを示した.しかし,他者の社会的苦痛を観察する前にマインドフルネス瞑想を実践したLTM実践者群では,左のAIの活性化は低く,マインドフルネス瞑想後のAIの活性化の強さは,LTM実践者の思いやりの性質と負の相関があった.現在のマインドフルネス瞑想は他者の苦痛を分かち合うことによって苦痛に対処するために適応メカニズムを提供し,それによって思いやりのある行動を可能にすることが示唆された.

異なる痛みに対する異なる回路:機能的コネクティビティのパターンは自身及び他人の痛みを処理するネット ワークを明らかにする

Different circuits for different pain: Patterns of functional connectivity reveal distinct networks for processing pain in self and others
Social neuroscience vol.2(3-4), pp.276-291, 2007
170726 ykohri

他者の苦しみに共感する能力は,他人との関係性を維持し,社会的行動に従事するためには重要である.近年 の研究では他人が痛みを経験するところを見た際(他の痛み),痛みの直接的な経験(自己痛)に関与する前島皮 質(AI)および前帯状皮質(ACC)などの脳領域が関与することを実証した. 本稿では,前帯状皮質や前島皮質の一般的な活動が,自己または他人の痛みを認知する際に重複する部分を持 ちながら異なるネットワークを形成するという仮説を検証する.この仮説を検証するために,我々は被験者に有害 な熱刺激(自己痛)を与えた場合と他人が痛みを伴う傷害を受けている(他の痛み)ビデオを見せた場合の両方 をfMRI を用いて計測した.我々は,自己の痛み認知と他人の痛み認知の両方で共通する領域を機能的コネクティ ビティ分析のためのシード領域として使用した.分析の結果,自己の痛みまたは他人の痛みの認知の際,前帯状 皮質および前島皮質と共に活性する領域を同定した.他人の痛みの認知時よりも自己の痛みの認知時に前島皮質 と他の領域との接続性が向上した.反対に,自己の痛みの認知よりも他人の痛みの認知時に前頭前野背内側部と 前帯状皮質および前島皮質の間により大きな接続性が示された.個人内のコネクティビティ分析では,上側頭溝, 後帯状皮質および楔前部の領域が自己の痛みの認知と比較して他人の痛みの認知時に前帯状皮質と関連している ことが明らかになった.これらのデータは自己の痛みおよび他人の痛みの認知時に同様の活動を示す領域がある が,異なる機能的ネットワークを形成している可能性を示した.