反応性と機能的結合性に関連するSant Mat瞑想の異常な不安

Atypical Anxiety-Related Amygdala Reactivity and Functional Connectivity in Sant Mat Meditation 扁桃体の
C. Chen, Y.-C. Chen, K.-L. Chen and Y. Cheng
Frontiers in behavioral neuroscience, vol. 12, p. 298, 2018.

瞑想は認知神経科学で多くの注目を集めているが,その感情的な処理の根底にある神経メカニズムは解明されていない.菜食主義の食事とアルコール制限された生活を送るSant Mat瞑想者と瞑想初心者が募集され,慈悲の瞑想を行った.我々は,恐ろしい顔と幸せそうな顔の明示的および暗示的な認識に応答するState-Trait Anxiety Inventory (STAI)の評価と,扁桃体反応性の計測を行った.初心者とは対照的に,瞑想者は低いSTAIスコアを報告した.瞑想者は恐怖よりも明示的な幸福に対して強い扁桃体反応性を示したのに対し,初心者は反対のパターンを示した.暗黙の恐れや幸福に関わらず,瞑想者の扁桃体反応性は低下した.生涯にわたって瞑想訓練をした人は,STAIが低いと報告し,恐怖に対する扁桃体の反応が弱いことを示した.さらに,初心者と比較して,瞑想者の扁桃体は明示的な幸福に対して腹側外側前頭前野との強い正の機能的結合性を示し,明示的な恐怖に対しては島および内側眼窩前頭皮質との強い負の結合性を示した.媒介分析では,瞑想経験と不安特性との間の媒介として扁桃体反応性を示した.結果は,Sant Mat瞑想の有益な効果を支える神経相関を示す.長期的な瞑想は,明示的および暗示的な感情処理に対する扁桃体の反応性と機能的に関連している可能性がある.

ネガティブな感情処理中の扁桃体活動における瞑想が誘発する神経可塑性の変化

Meditation-induced neuroplastic changes in amygdala activity during negative affective processing
M.-K. Leung, W.K. Lau, C.C. Chan, S.S. Wong, A.L. Fung and T.M. Lee
Social neuroscience, vol. 13, no. 3, pp. 277-288, 2018.

近年の研究では,瞑想訓練が感情の処理と回復力に及ぼす影響は,扁桃体の神経可塑性の変化を誘発する可能性があることを示唆している.注目すべきことに,文献は,瞑想訓練がネガティブな感情処理中の扁桃体活性を減少させることがあると推測している.それにも関わらず,これまでにこの推測を検証した研究はない.本縦断的研究では,参加者21名(男性9名)がawareness-based compassion meditation(ABCM)またはmatched relaxation trainingを訓練した.非瞑想状態の感情と中性刺激の受動的観察中に瞑想訓練が扁桃体活動に及ぼす影響を調べた.我々は,ABCM群が,ネガティブな感情処理中,リラクゼーション群よりも有意に減少した不安と右扁桃体活性を示すことを見出した.さらに,より大きの瞑想訓練を行ったABCM参加者は,ネガティブな感情処理中に強い扁桃体活動の低下を示した.ABCM訓練後の右下扁桃体活動は,反応性と苦痛の一般的な低下と関連している可能性がある.すべての参加者が非瞑想状態で感情処理タスクを実行したため,右扁桃体活動の変化が瞑想訓練から非瞑想状態に引き継がれるようである.これらの知見は,感情処理に対する瞑想訓練の苦痛軽減効果が,ストレス管理に重要な意味を持つ通常の状態にいこうする可能性があることを示唆する.

急性ストレスによる健常者の循環Anandamide と他のN-Acylethanolamines の増加

Acute Stress Increases Circulating Anandamide and Other N-Acylethanolamines in Healthy Humans
Neuropsychopharmacology, vol. 37, no. 11, pp. 2416-2427, 2012.
2015.1125.okamura

ストレスは精神障害において重要な役割を担っている.そして,中央エンドカンナビノイドシステムがストレスへの神経反応と内分泌を調整していることが,臨床前研究から示されている.本研究は,健常者におけるエンドカンナビノイド(eCB)の循環濃度に対する急性ストレスの影響の調査を目的としたものである.合計71人の被験者に対して,標準的な社会心理ストレスとしてTrierSocialStressTestとコントロール実験の2種類を行った.eCBやコルチゾール分析,心血管の血液サンプルや主観的調査は実験開始前と,実験開始後から一定時間ごとに採取した.N-acylethanolamides(NAEs),N-palmitoylethanolamine(PEA),N-oleoylethanolamine(OEA),eCBs,N-arachidonylethanolamine(anandamide,AEA),2-arachidonoylglycerol(2-AG),そして,O-アシルグリセロール(2-oleoylglycerol(2-OG))の血清中濃度が測定された.コントロール実験と比較して,ストレスはAEAと他のNAEの血清中濃度をストレス期間の直後に急激に上昇させた.PEAの増加はストレス後の血清中コルチゾール増加と明らかな相関を示した.さらに,不安のベーズライン評価とAEAの血清内ベースライン濃度は負の相関関係にあった.被験者の生理周期はストレスに対するNAEの反応に影響した.興味深いことに,アジア人とアフリカ系アメリカ人は白人と比較して,異なるストレス反応パターンを示した.これらの結果はストレスが健康な被験者の循環NEAを増加させることを示した.この発見は不安時にeCBを保護する機構を示唆した.脂質調整の機能の説明や,循環の中でのそれらの制御メカニズムの定義等が,今後の研究で必要とされる.

fMRI 撮像時における成年男性のコルチゾールとBOLD 反応の関係性について

The association between cortisol and the BOLD response in male adolescents undergoing fMRI
Brain research, 2015, vol. 1598, p. 1-11.
MRI の被験者は主観的ストレスと神経内分泌系ストレスを誘発することが示された.近年の研究では,fMRI 撮像時のコルチゾール濃度は認知的パフォーマンスと脳機能に年齢依存的に影響を与えることを示している.この研究では,この年齢依存的影響が青春期にも当てはまるのかについて調査した.唾液内コルチゾールならびに被験者の経験した不安は,セッション中や自宅,fMRI のセッションの前後において,成年男性と成人男性を対比して評価された.両方の年代において,コルチゾール濃度はセッション中と撮像後に比べて,撮像前が大きくなっており,ストレスへの期待と不安が推測される.全体として,ギャンブルタスクのfMRI 撮像中のコルチゾール生成と脳活動の強さの間に負の相関がみられた.成人男性ではなく若い男性において,高いコルチゾール生成は前部帯状回と後部帯状回における強い負活性と関係していた.若い男性ではなく成人男性において,コルチゾールと下頭頂小葉と上前頭回における活性との間に負の相関がみられた.よって,コルチゾールはいくつかの脳領域を不活性にするが,その領域は年齢によって異なった.この調査結果はfMRI 撮像時のコルチゾール生成は困惑させられるものとして認識すべきであり,青年期の発達に伴う脳活動の変化についての分析を進める必要性を示唆した.

2015.0610.okamura