SimiNet:脳ネットワークの類似性を定量化するための新しい 方法

SimiNet: a Novel Method for Quantifying Brain Network Similarity
IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence vol.PP, pp.1-1, 2017
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2 つのネットワーク間の類似性を定量化することは,多くのアプリケーションで重要である.主にノードおよびエッジの特性に基づいて,グラフの類似性を計算するための多くのアルゴリズムが提案されている.興味深いことに,これらのアルゴリズムのほとんどは,空間的に定義された機能領域を含む脳ネットワークのコンテキストにおける重要な要素であるノードの物理的な位置を無視している.本論文では,3 次元座標系内のノードを先験的に定義した2 つのグラフ間の類似度を測定するためのSimiNet と呼ばれる新しいアルゴリズムを提案する.SimiNetは,ノード,エッジ,および空間の機能を考慮した定量化インデックス(0-1 の範囲)を提供する.複雑なグラフをSimiNet のパフォーマンスを評価するためにシミュレートし,これを8 つの最先端の方法と比較した.結果は,SimiNet がノードとエッジの両方を使用して類似度を計算することに加えて,比較グラフの弱い空間変動を検出できることを示していた.SimiNet は,視覚認識タスクの間に得られた実際の脳ネットワークにも適用される.このアルゴリズムは,2 つのカテゴリーの視覚刺激,すなわち動物および道具の命名作業中に得られた脳ネットワークの空間的変動を検出する時に高性能を示す.この研究の観点は,人間の脳における物体分類のより良い理解である.

Default mode network における視床のネットワーク特性はマインドフルネス習性と相関する

The network property of the thalamus in the default mode network is correlated with trait mindfulness
Neuroscience, vol. 278, pp. 291-301, 2014
20170926tmiyoshi

マインドフルネスは,現時点の経験への価値判断を伴わない気づきとして定義され,精神的および身体的な幸 福に有益である.先行研究では,マインドフルネスに関するDefault mode network(DMN)の複数の領域が特定 されているが,これらの領域がネットワークとしてどのように連携して機能するかについてはほとんど知られて いない.本稿では,安静時の機能的磁気共鳴画像法を用いて,若い成人集団のDMN のノード間の自発的な機能 的接続と自己報告されたマインドフルネス習性を相関させることによって,マインドフルネス習性におけるDMN の役割を調べる.DMN のノードのすべての組み合わせの中で,視床と後部帯状皮質(PCC)との間の機能的接 続が弱い被験者で,よりマインドフルであることがわかった.これらの2 つのノードの事後分析はさらに,PCC ではなく,視床のノード特性がマインドフルネス習性と負の相関があり,視床のDMN への関与が低いことが高い マインドフルネス習性に関連することが示唆された.私たちの発見は,視床をマインドワンダリングとマインド フルネスの切り替えとして働くことを示唆するだけでなく,視床の調節によってマインドフルネスに有益な効果 がもたらされるメカニズムについての今後の研究を招く.

脳機能ネットワークのグラフ解析とモジュール性:最適な閾値の探索

Graph analysis and modularity of brain functional connectivity networks: searching for the optimal threshold
arXiv preprint arXivarXiv:1705.06481, 2017
20170830tmiyoshi

ニューロイメージングデータは,脳の接続性の形態的な構成をとらえるノードとエッジのネットワークとして表 すことができる.グラフ理論はこれらのネットワークとその構造を様々なスケールで研究するための一般的かつ 強力なフレームワークを提供する.例えば,脳機能接続ネットワークを含む多くの自然ネットワークのモジュー ル構造を調査するために,コミュニティ検出方法が広く適用されている.実験的ノイズによって最も影響を受け る最も弱いエッジを除去し,グラフの密度を減少させるために,スパース化手順はしばしば適用される.よって, 理論的および計算的により扱いやすくなる.しかしながら,弱いリンクには重要な構造情報が含まれている可能 性があり,最適なトレードオフを特定する手順は活発な研究の対象である.ここでは,統計的物理学に基づいた 方法であるパーコレーション解析の使用を検討し,脳接続ネットワークにおけるコミュニティ検出のための最適 なスパース化閾値を特定する. グラウンドトゥルースモジュール構造とヒトの脳機能接続ネットワークらしい現実的な形態的特徴を備えた合成 ネットワークを使用することにより,パーコレーション解析を適用して,ネットワークのコミュニティ構造の情報 を最大化する最適なスパース化閾値を特定できることを示す.このアプローチは,Newman のモジュラリティー, InfoMap,Asymptotical Suprise という脳接続ネットワーク分析に広く用いられる3 つのコミュニティ検出方法を 使用して検証される.重要なことは,最適な閾値を決定する重要な要素であるノイズとデータの変動の影響をテ ストすることである.このデータ駆動方法は,異なる接続強度を特徴とする患者やコントロール群などの集団に おける脳ネットワークのコミュニティ分析に特に有用であることが示されるはずである.

自閉症患者における機能的・構造的脳内ネットワーク組織の変化

Altered functional and structural brain network organization in autism
NeuroImage: Clinical, Vol. 2, pp.79–94, 2013
20151006sobuchi

構造的と機能的のアンダーコネクティビティは自閉症患者の多数の脳領域,機能的システム,そして白質路において報告されてきた.近年の複雑ネットワーク解析の発展は脳がスモールワールド性を示すモジュラーネットワークであることを明らかにしたにもかかわらず,自閉症患者のネットワークレベルの組織は詳細に調査されてはいない.本稿では,児童と青年の自閉症患者が,機能的システムにおける短く幅広いコネクティビティの減少とディフォルトと高次視覚領域における機能的システム間の強いコネクティビティを示すため,レスティングステイトfMRIを用いた(n=42自閉症児,n=37健常児).グラフ理論を用いて,機能的コネクティビティにおけるグループの違いが,モジュラリティとクラスタリングにおいて,ネットワークレベルの減少として反映されていたが,キャラスタリスティックパスレングスにはそれがみられないことを示した.拡散テンソルMRIによって得られた線維束の構造的ネットワークは,白質形態の統合性は低いが,線維本数が多いことを示した(n=51自閉症児,n=43健常児).健常児と自閉症児の各人は構造的・機能的コネクティビティの関係において類似性がみられた(n=35自閉症児,n=35健常児).しかしながら,構造的と機能的ネットワークを統合する主成分分析では,構造的と機能的ネットワーク間のロカール・グローバルエフィシエンシーのバランスは自閉症児にのみ低下していることが明らかにされた.それらは年齢に正の相関があり,自閉症の症状に負の相関があった.まとめると,我々の発見は複雑ネットワークとした脳モデルは自閉症と他の神経精神学の障害の解明されていない生物学的基礎において非常に有益なものとなることが示唆された.