ドーパミン,ワーキングメモリ,柔軟性を促すトレーニング:進展した研究に向けた推論

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Dopamine, Working Memory, and Training Induced
Plasticity:Implications for Developmental Research

Developmental Psychology, Vol 48(3), May 2012, 836-843

認知の欠損,特にワーキングメモリ容量の欠損は現在,神経科学の障害において注目されている.ワーキング
メモリ容量のの改善の根底のメカニズムを理解することはとても重要である.多くの研究で,ドーパミンはワー
キングメモリ機能だけでなく,ワーキングメモリ容量の改善においても重要な役割をしているとされている.例
えば薬理学では,ワーキングメモリ容量改善において,メチルフェニデートなどがドーパミン作動性に作用する.
さらに,行動学では,ワーキングメモリのパフォーマンスの改善のための,集中的な機械的トレーニングは,ドー
パミン受容体の密度と関連しているとされる.これらの薬理学的,行動学的なワーキングメモリパフォーマンス
の改善方法は,ドーパミン作動性システムを含む,脳の生物学的メカニズムと関係している.本稿では,ワーキ
ングメモリ機能におけるドーパミンの役割を,特にワーキングメモリ進展と認知柔軟性に関連させながら述べる.
新しいデータは,認知トレーニングをしている幼稚園児のワーキングメモリの改善を表す.我々の結果は,認知の
柔軟性において,、ドーパミンが重要な役割をしていることを支持している.

ワーキングメモリの訓練による流動的知性の向上

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Improving fluid intelligence with training on working memory

Proc Natl Acad Sci U S A., vol.105, no.19, pp.6829-6833, 2008

流動的知性は既知の知識に依存せず,新たな問題を解決したり推論したりする能力である.流動的知性は様々な
種類の認知課題において必要不可欠であり,学習においても最も重要な要因のひとつである.さらに,流動的知
性は特に複雑で過酷な環境において,専門的で教育的な成功に密接に関係する.流動的知性のテストにおける直
接的な練習によって,流動的知性のテスト成績は向上する可能性があるが,成人において他の訓練方法による流
動的知性の向上となる証拠は得られていない.また,認知訓練における長年の研究結果は訓練した課題の成績は
劇的に向上するが,他の課題への学習の転移は乏しいことを示している.本稿では,厳しいワーキングメモリ課
題の訓練から流動的知性への転移の証拠を提示する.訓練課題が知能テストと全く異なるのにもかかわらず,こ
の転移は生じた.さらに,我々は訓練をすればするほど,流動的知性が向上するということを示した.つまり,訓
練の影響は訓練量依存性である.したがって,多くの先行研究に反して,我々はテストする課題を練習すること
なく流動的知性向上の可能性があることを結論づける.