急性ストレスによる健常者の循環Anandamide と他のN-Acylethanolamines の増加

Acute Stress Increases Circulating Anandamide and Other N-Acylethanolamines in Healthy Humans
Neuropsychopharmacology, vol. 37, no. 11, pp. 2416-2427, 2012.
2015.1125.okamura

ストレスは精神障害において重要な役割を担っている.そして,中央エンドカンナビノイドシステムがストレスへの神経反応と内分泌を調整していることが,臨床前研究から示されている.本研究は,健常者におけるエンドカンナビノイド(eCB)の循環濃度に対する急性ストレスの影響の調査を目的としたものである.合計71人の被験者に対して,標準的な社会心理ストレスとしてTrierSocialStressTestとコントロール実験の2種類を行った.eCBやコルチゾール分析,心血管の血液サンプルや主観的調査は実験開始前と,実験開始後から一定時間ごとに採取した.N-acylethanolamides(NAEs),N-palmitoylethanolamine(PEA),N-oleoylethanolamine(OEA),eCBs,N-arachidonylethanolamine(anandamide,AEA),2-arachidonoylglycerol(2-AG),そして,O-アシルグリセロール(2-oleoylglycerol(2-OG))の血清中濃度が測定された.コントロール実験と比較して,ストレスはAEAと他のNAEの血清中濃度をストレス期間の直後に急激に上昇させた.PEAの増加はストレス後の血清中コルチゾール増加と明らかな相関を示した.さらに,不安のベーズライン評価とAEAの血清内ベースライン濃度は負の相関関係にあった.被験者の生理周期はストレスに対するNAEの反応に影響した.興味深いことに,アジア人とアフリカ系アメリカ人は白人と比較して,異なるストレス反応パターンを示した.これらの結果はストレスが健康な被験者の循環NEAを増加させることを示した.この発見は不安時にeCBを保護する機構を示唆した.脂質調整の機能の説明や,循環の中でのそれらの制御メカニズムの定義等が,今後の研究で必要とされる.

急性社会心理的ストレス状態における大脳辺縁系の不活性:PET とFMRI からの証拠

DeactivationoftheLimbicSystemDuringAcutePsychosocialStress:EvidencefromPositronEmissionTomographyandFunctionalMagneticResonanceImagingStudies

Biological psychiatry. 2008, vol. 63, no. 2, p. 234-240.

2015.0908.okamura

背景
ストレスによって誘発される代謝変化は有害な健康被害をもたらすことがある.近年発展を続けるニューロイメージング環境下でのストレスを調査できるパラダイムは,ストレスへの認識と代謝反応に関連した脳活動変化の評価を可能にした.
方法
本研究では社会心理的ストレスをPET撮像環境下(n=10)とFMRI撮像環境下(n=40)において実験を行った.
結果
内分泌ストレスマーカーであるコルチゾールの有意な上昇としてストレッサーに反応した被験者において,海馬と視床下部,眼窩前頭皮質,前帯状皮質を含む辺縁系システムの要素の大きな負の活性を観測した.さらに,FMRI実験において,海馬の負の活性の度合いはストレス課題に対するコルチゾールの反応量と相関を示した.
結論
辺縁系の構造はレストやストレスフルでない状況下で活性している可能性が示唆された.辺縁系での活動の縮小はストレスに対する反応の開始のために不可欠なものであるというモデルが提案される.

唾液内コルチゾールとアルファアミラーゼの日中の特徴は成人期の年齢によって異なる:繰り返された日常生 活評価からの証拠

Psychoneuroendocrinology. 2013, vol. 38, no. 12, p. 3167-3171.
Diurnalpro lesofsalivarycortisolandalpha-amylasechangeacrosstheadultlifespan:Evidencefromrepeateddailylifeassessments

唾液内コルチゾールとアルファアミラーゼには日中特徴的な変化をすることが知られている.しかし,これらのバイオマーカの成人期の年齢によるシステムの変化についてはほとんど解明されていない.185人の被験者(20-81歳)の研究において,唾液内コルチゾールとアルファアミラーゼの採取を10日間にかけて1日7回行った.採取は起床直後,その30分後,午前9時から午後9時まで3時間おきに行われた.多平面モデルは,より大きなAreaundercurveから,高齢であることは日中のコルチゾール分泌の増加や起床から夕方のスロープの減少,コルチゾールの起床時の反応と関係することを示した.さらに,高齢であることはより大きなアルファアミラーゼの日中の分泌量と,起床から夕方までのスロープの減少に関連があった.アルファアミラーゼの起床後の反応については,年齢差はみられなかった.我々の調査結果は,ストレスに関連するシステムの機能の年齢による違いのよりよい理解のために貢献するだろう.

2015.0714.okamura

ストレッサーとしてのスキャナー:fMRI のセッションの時間経過における主観的,神経内分泌的ストレスパラ メータからの証拠

The scanner as a stressor: evidence from subjective;
neuroendocrine stress parameters in the time course of a
functional magnetic resonance imaging session

International Journal of Psychophysiology. 2011, vol. 79, no. 2, p. 118-126.

定期的にMRI の実験に参加している被験者は不安とストレスに関連する反応を示す.これは適切でないデータの品質や,スキャンの終了が早過ぎるといった結果を生じさせるかもしれない.さらに,認知機能や神経基盤はストレスによって変化しうる.先行研究ではスキャン前後のストレス反応の違いのみを調査していることに対して,本研究では典型的なfMRI のセッションの時間経過における心理状態とホルモンの変化を徹底的に調査する.39 人の被験者がこの研究に参加した.被験者の心理状態と唾液内アミラーゼ(sAA),コルチゾールは研究室訪問中に6 回計測された.視覚探索課題における神経相関物質とホルモンデータの間の関係は視床に適応されたROI によって観測された.心理状態のホルモンレベルの変化は実験中有意に変化した.被験者はスキャナに入った直後が最も神経質だった.SAA はMRI の準備のあとに有意に上昇した.subgroup(n=5)の被験者において,2:5[nmol=L] を超えるコルチゾールの反応がみられた.fMRI データは,前半の実験におけるsAA レベルと左視床の活動の間の関係を明らかにした.コルチゾールと視床の活動の間に有意な相関関係は観測されなかった.今回の結果は,fMRI 実験は機能的活動パターンに影響を及ぼしうる,主観的または神経内分泌的ストレス反応を引き起こす可能性があることを示した.

2015.0707.okamura

健常な被験者における日中のコルチゾール活性はどの程度安定なのか?3 つのmulti-wave 研究による証拠

2015.0407.okamura

How stable are diurnal cortisol activity indices in healthy
individuals? Evidence from three multi-wave studies
Ross, Kharah M; Murphy, Michael LM; Adam, Emma K; Chen, Edith; Miller, Gregory E.
Psychoneuroendocrinology. 2014, vol. 39, p. 184-193.

【背景】
コルチゾールの起床後の増加カーブ(CAR)や日中の変動,1 日全体での総生産高などは,健康とストレスに関
連している機械的な指標として研究されている.
しかし,被験者の一時的な特徴,特に時間帯の持つ特徴についての調査は不足している.【方法】
この問題に対処するために,CAR と日中の変動と,1 日全体の総生産高について,異なる年齢の被験者に対して異
なる時間スパンで安定性を調査した.130 人の健常な子どもと青年に対して,1 日に4 回(起床後,1,4,9,11h)
唾液を採取した.それぞれの採取は6 カ月以上のスパンをおき,合計2 日間採取を行った(Study 1).147 人の
成人女性に対して隔年で2 日間訪問し,1 日5 回(起床時,1,4,9,11h)採取した(Study 2).健常な47 人の
中年の被験者から2,3 カ月のスパンをおき,1 日5 回(起床時,1,4,9,14h 後)3 日間採取した(Study 3).
安定性は多平面モデルから派生したクラスタ内相関係数(ICC s)によって推定を行った.
【結果】
各実験において,測定時の状態や時間帯に起因すると考えられるコルチゾールの変動が,およそ50[%] で見られ
た.それぞれの検討項目のうち,日中の変動とCAR よりも,1 日全体の生産高が最も安定していた.しかし,安
定性は各実験を通して控え目だった.
【結論】
CAR,日中の変動,1 日全体の総生産高の大部分は日々の影響により変動した.最も安定した特徴は見られなかっ
た.今後の研究では短期間に集中したコルチゾールの変動において,健康との関係を検討しなければならないこ
とが示唆された.

急性社会心理的ストレス時における辺縁系のディアクティベーション:PET とfMRI に基づく研究

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Deactivation of the Limbic System During Acute
Psychosocial Stress: Evidence from Positron Emission
Tomography and Functional Magnetic Resonance
Imaging Studies

Biological psychiatry. 2008, vol. 63, no. 2, p. 234-240.

【背景】
ストレスによって誘発された代謝変化は有害な健康被害を与える.ニューロイメージング環境においてストレス
を調査できる新しく開発されたパラダイムは,ストレスに対する代謝的反応と認識に関連した脳活動変化を評価
することが出来る.
【方法】
我々は被験者に対して,PET 環境下(n=10)とfMRI 環境下(n=40)において心理社会的ストレスを曝露し実
験を行った.
【結果】
ストレッサーに対して,ストレスマーカーであるコルチゾールの分泌の増加として反応した被験者において,海
馬や視床下部,眼窩前頭皮質,前部帯状皮質を含む大脳辺縁系の各部位の大きな不活性が見られた.さらに,ス
トレスのタスクに関して,海馬における不活性化の程度とコルチゾールの放出量に相関関係が見られた.
【結論】
観測された大脳辺縁系構造の不活性化はRest やnonstressful 状況間に活性化していた可能性を示唆している.こ
れはストレス応答の開始のためには,大脳辺縁系の不活性化が不可欠であるというモデルを提案した.

異なるストレスタスクに対する唾液内α-アミラーゼとコルチゾール応答と性差について

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Salivary alpha amylase and cortisol responses to
different stress tasks:Impact of sex

International Journal of Psychophysiology. 2008, vol. 69, no. 1, p. 33-40.

α-アミラーゼ(sAA)やコルチゾール(CORT)のような神経分泌マーカーは,ストレス状況へのヒトの反応を
立証することにおいて,重要な役割を果たす.sAA レベルは交感神経系の活動を反映するが,唾液内コルチゾール
はHPA 軸の活動を計測することにおいて,重要であるように思われる.多くの研究では,ストレス反応時のsAA
やCORT の応答を検討するが,これらのシステムの相互作用,特にこの両方のシステムが活性化される場合の検
討は行われていない.さらに,CORT 応答の性差は比較的よく調査されている.しかし,sAA レベルの反応や性
差について,また両システムの相互的なシステムについては一義的な結論に至る研究は行われていない.本研究
では,健康な80 人の被験者に対して,回避的な絵付けタスクと寒冷昇圧タスクの2 つのタスクを与えた.2 つ目
のタスクはコントロールタスクと比較した.1 つ目のタスクのsAA レベルの上昇反応が2 つ目のタスクのCORT
反応と同様の反応になると期待し,2 つの反応の間の相互作用を調査した.結果,コルチゾールの反応は寒冷昇圧
タスクのときのみに観測されたが,sAA レベルは心理的,肉体的な両タスクに対して敏感なマーカであることが
示唆された.本研究において全ての実験を通して,男性のsAA レベルは女性に比べて高いレベルだった.しかし,
これらのタスクへの反応は男女で比較可能であった.sAA とCORT の反応の間に強い相関はみられなかった.

健康な若年成人における心理的ストレスが唾液内コルチゾール,アミラーゼに及ぼす影響

Effect of psychological stress on the salivary cortisol and amylase levels in healthy young adults
Clinica Chimica Acta 427 (2014) 79-85 Archives of Oral Biology, Volume 49, Issue 12, December 2004, Pages 963-968

目的唾液採取は,複数のサンプリングが容易でストレスがないこと,非侵襲性であるという利点を有する.私たちは若年成人における,心理的ストレスと緩和が唾液内コルチゾールとアミラーゼに及ぼす影響を検討し,これらのパラメータの特徴を比較した.デザイン被験者は個人的な不安の要素を評価するためにState-TraitAnxietyInventory(STAI)を行った.ストレッサーとして15分間,角膜移植手術ビデオを見せた.緩和として風光明媚な美しさのビデオを見せた.未刺激全唾液をセッション全体を通して3分毎に採取した.結果アミラーゼレベルはストレスフルなビデオの視聴開始後すぐに有意に上昇し,視聴終了後すぐにストレス前のレベルに戻った.コルチゾールレベルも増加したが,アミラーゼと比較すると少なかった.コルチゾールのピークレベルに達するまでの時間はアミラーゼより長かった.キャリーオーバー効果はアミラーゼ応答では観察されたが,コルチゾールではされなかった.アミラーゼの値とSTAIの得点には非常に優位な相関がみられたが,コルチゾールにはみられなかった.さらに,緩和ビデオの視聴はアミラーゼレベルを有意に減少させたが,コルチゾールレベルには影響を及ぼさなかった.結論唾液内アミラーゼレベルはコルチゾールに比べて,心理的ストレスに対してより大幅に増加し,迅速に反応した.唾液内アミラーゼレベルの方がよりよいストレス指標であることが示唆された.さらに,酵素が緩和やリラックスの指標であることが示唆された.

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The imaging Maastricht Acute Stress Test (iMAST):神経イメージングに適用できる心理的ストレッサー

The imaging Maastricht Acute Stress Test (iMAST):A neuroimaging compatible psychophysiological stressor

いくつかのプロトコルが実験室で急性ストレスを誘導するために開発されている.しかし,ニューロイメージングの環境下で効果的にストレスを誘発させることは困難である.ここで,物理的と心理的ストレスを組み合わせたストレスプロトコルを紹介する(n=42).iMAST:TheimagingMaastrichtAcuteStressTestは高度な熱刺激装置と暗算課題を介して生成される寒冷圧力ストレスの交互トライアルである,5分間の準備期と10分間の急性ストレス期によって構成される.結果として,被験者は主観的に優位なストレス応答だけではなく,唾液中のα‐アミラーゼとコルチゾールの優位な上昇が見られた.我々のデータはiMASTがストレス後神経応答と脳のふるまいを調査するために,既存のイメージングストレスパラダイムに代替する強力な手段である可能性を示した.

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