内的および外的注意とデフォルトモードネットワーク

Internal and external attention and the default mode network
Scheibner, Hannah J and Bogler, Carsten and Gleich, Tobias and Haynes, John-Dylan and Bermpohl, Felix Neuroimage, vol.148, pp.381-389, 2017

最近では多くの精神療法に不可欠となっている精神的健康やwell-beingは集中瞑想により改善することが明らかにされている.集中瞑想の神経相関における研究は増えてきているが,瞑想がデフォルトモードネットワーク(DMN)において高い活動か,低い活動のどちらに関連するのかによって結果が変わる.集中瞑想とDMN領域における活動の関係を調べるために,1つの瞑想内で内的注意と外的注意,及び様々な段階を区別することが役立つかもしれない.例えば集中瞑想の間,実践者はmindful attention, mind-wandering,及びrefocusingを切り替える.ここでは,これらの段階の異なる神経相関を研究するために思考プローブ法を用いた.瞑想経験のない健常成人20人の被験者が,外部(音のマインドフルネス)及び内部(呼吸のマインドフルネス)の注意瞑想を紹介され,その後4日間連続で自宅にて瞑想を実践した.その後,fMRIスキャンの間,内部と外部の注意を交互に4回繰り返し,同じ集中瞑想を行った.疑似ランダムな間隔で被験者はタスクに集中していたか(mindful attention),気がそれていたのか(mind-wandering)を尋ねられた.mindful attentionの間,内側前頭前皮質,後部帯状皮質,及び左側頭頂接合部などの通常DMNに関連する脳領域は,mind-wanderingの間と比較して活性化は有意に少なかった.また,外部注意と比較して内部注意中の後部帯状皮質におけるより強い不活性化と共に,外部及び内部注意の両方の間にDMNの活性の低下が見られた.さらに,mind-wandering後のrefocusingは左下前頭回の活動と関連していた.本研究者らの結果は,実践者の注意焦点(すなわち,内的対外的)とは無関係に,mindful attentionはmind-wanderingと比較してDMN活性の低下に関連するという理論を支持する.

長期瞑想者において明らかにされた視覚およびDMN領域における課題誘発活動および安静時状態変動の変化

Alterations in task-induced activity and resting-state fluctuations in visual and DMN areas revealed in long-term meditators
Berkovich-Ohana, Aviva and Harel, Michal and Hahamy, Avital and Arieli, Amos and Malach, Rafael
Neuroimage, vol. 135, pp. 125-134, 2016

最近我々は,自発的に出現している(安静状態)変動に含まれる情報が個々にユニークな神経認知特性を反映しているかもしれないことを提案した.「自発的形質再活性化」(STR)仮説と呼ばれるこの推測の1つの予測は,安静状態活動パターンが個人の独特の性格,才能および生活様式の診断になり得るということである.長期瞑想者はこの仮説を検証するための独自の実験グループを提供することが可能である.fMRIを使用して,我々は安静時の長期マインドフルネス瞑想(MM)開業医の自発的変動の振幅を抑制し,素朴なコントロールと比較して視覚野で強化され,DMNが劇的に減少することを理解した.重要なことに,視覚認識記憶課題の間,MM群は,デフォルトモードネットワーク(DMN)領域におけるより弱い負の反応と同時に増強された視覚皮質反応性を示した.この効果はまた,MMの演技者が対照群よりも有意に早く行動したという行動成績にも反映されていた.このように,我々の結果は,安静と課題の両方の間に明らかにされた長期瞑想者のビジョンとデフォルトモードシステムにおける反対の変化を明らかにしいる.結果はSTR仮説を支持し,それを自発的変動の大きさの局所変動の領域に拡張した.

人間の脳の構造と機能のコネクトームとデフォルトモードネットワーク

The structural-functional connectome and the default mode network of the human brain
Andreas Horn, Dirk Ostwald, Marco Reisert, Felix Blankenburg NeuroImage ,Vol.102, November 2014 ,142-151

“人間の脳のイメージングの新たな分野は、人間の脳内の構造的および機能的な接続性の包括的かつグローバルなコネクトームの特性評価を扱う。しかし、機能的および構造的接続性がどのように関連しているかという問題は、まだ完全には明かされてはいない。ここでは、観測者に依存しない機能的-構造的コネクトームの解析のために,機能的磁気共鳴イメージングと拡散テンソルイメージングに基づく大脳皮質の各ボクセル間の接続性を推定するための異なる方法を使用した。確率的ファイバートラッキングと新規のグローバルファイバートラッキング技術を用いて構造的連結性を測定し、機能的連結性については、各ボクセル対のfMRI の時間経過間の全体および部分的な相関を計算した。すべてのボクセルについて、皮質内の他のすべてのボクセルに対する機能的および構造的連結性推定からなる2 つのベクトルが互いに相関していた。このようにして、脳の残りの部分内の類似の領域に構造的および機能的に接続されたボクセルを識別することができた。「デフォルトモードネットワーク」(DMN)の一部を形成する領域は、構造と機能の接続性について最も高い一致を示した。グローバルな追跡アルゴリズムは両側内側前頭前野と視覚領域を明らかにしたのに対し、両側の前頭前野と下頭頂領域はすべての適用された技術を使用して発見された。全体の相関と部分的な相関から得られた結果の間に有意差はなかった。我々のデータは、DMN が最も直接的な構造的接続を使用する機能的な脳内ネットワークであることを示唆している。したがって、脳の解剖学的情報はその機能的構造を形成するように思われ、全脳の機能的、構造的コネクトームの解析は集団内および集団間の全体的な脳の連結性を特徴評価において価値ある方法であるように思われる。”

ワーキングメモリの負荷量による角回デフォルトモードネットワークの接続性

Angular default mode network connectivity across working memory load
D. Vatansever, A.E. Manktelow, B.J. Sahakian, D.K. Menon, and E.A. Stamatakis
Human Brain Mapping, Vol. 38, No.1, pp.41-52, 2017

“初めはタスク無しの間やベースラインコンディションで特定されていたが,現在はデフォルトモードネットワーク(DMN)は他の大規模な脳ネットワークと柔軟な相互作用により様々なワーキングメモリパラダイムで関与することが示唆された.それにも関わらず,ワーキングメモリ負荷の増加に伴う全脳の動的接続性への寄与ははっきりと評価されていない.我々の研究の目的はパラメトリックな難易度の増加を伴うfMRI でのn-back パラダイムのワーキングメモリタスクパフォーマンスに関連するDMN ハブを見つけることである.固有接続性コントラスト(ICC)と呼ばれるボクセルごとのメトリックを使って,私たちは角回(DMN のハブの中核)は3 種類のn-backタスクの負荷のレベルによって全体的な接続性が大きく変化することを見つけた.それに続くシードベースの機能的機接続性解析がDMN 領域の角回が他の大規模脳ネットワークと頑丈に影響していることを明らかにし,全体的な情報の統合における潜在的な関与を示唆する.更にこの仮説の裏付けは私たちが角回の接続性と正確な反応のリアクションタイムの間に見つけた有意な相関から来ている.我々の研究が示唆するのはDMN はn-abck タスク時に活発に関与することであり,環境的な要求の増加に反応して全脳の接続性の変化に寄与する中核の角回領域が結果としてワーキングメモリに重要な役割を果たすということである.”

安静時における感情認識相関の機能的接続

Resting state functional connectivity correlates of emotional awareness
Smith, Ryan and Alkozei, Anna and Bao, Jennifer and Smith, Courtney and Lane, Richard D and Killgore, William DS
NeuroImage, vol.159, pp.99-106, 2017

感情認識尺度(LEAS)によって測定される感情認識(EA)に関連付けられている複数の神経イメージングの研究は多く存在している.LEASは,DMN領域のような概念化とSN領域のような相互作用に関連するニューラルネットワークの領域の活動と関わり,差別化された方法で,自己や他者の感情を適切に認識し,明確にする能力としてのEAの定義と一致している.しかしこれらのネットワーク内でより大きなLEASスコアがより安静状態の機能的接続性(FC)に関連するという仮説はまだ研究されていない.26人の成人(13人の女性)の安静状態におけるfMRIを撮像し,LEASをとった.DMNおよびSNから定義された機能的ROIを使用して,LEASスコアは,汎用インテリジェンス(IQ)の違いを制御していても,これらのネットワークの両方の領域間でFCと有意に正の相関があることがわかった.これらの結果から,より高いEAは,身体的感情およびそれらの感情のより細かい概念化に貢献することができる,相互受容および概念化に基づく処理に関与する脳領域間のより効率的な情報交換に関連し得ることを示唆する.

自発的なデフォルトのネットワーク活動は,心のさまよいとは無関係に行動の変動性を反映する

Spontaneous default network activity refects behavioral variability independent of mind-wandering
K. Yao, G. Anagnostopoulos and K. Ragunath
Proceedings of the National Academy of Sciences
20180122_mnishizawa

“脳のデフォルトモードネットワーク(DMN) は,感覚刺激または外部指向のタスクに過度に関与していないとき,つまり起きている安静中に非常に活動的である.複数の状況において,自発的なDMN 活性の増加は,現在の感覚環境とは無関係な心のさまよいや考えごとと関連している.心をさまようことは,日常生活の多くを特徴づけ,しばしばエラーを起こしやすい可変的な行動に関連している.しかしながら,自発的なDMN 活性の増加は,可変的ではなく安定的な挙動と確実に関連している.私たちは,このような見かけの矛盾に対処し,自己報告や行動に基づく注意状態の単一の尺度だけでは,DMN 活動の変動を説明するには不十分であるという仮説を検証することを目指した.私たちは,注意揺らぎを検出するためにfMRI を用いて,最適化された連続的なタスク中に,自己報告した心のさまよい,行動変動,および脳活動の様々なレベルを同時に測定した.心のさまよいが行動変動の増加と同時に発生したにもかかわらず,最も高いDMN 信号レベルは,単独の因子のみを考慮した場合と比較して,安定した行動と同時に強烈な心のさまよいによって最もよく説明された.これらの脳の行動-経験の関係は,既知のDMN サブシステム内およびDMN サブ領域内で非常に一貫していた.対照的に,このような関係は,他の注意関連ネットワーク(salience,背側注意,および前頭頭頂ネットワーク) については,欠如しているか,または反対方向にあった.我々の結果は,自発的なDMN 活動が特に反映する認知プロセスは,心のさまよいに部分的にしか関連せず,自己報告によって捕捉されない注意状態の変動も含むことを示唆している.”

fMRI を用いて測定したresting-state の脳の結合の時間-周波数ダイナミクス

Time-frequency dynamics of resting-state brain connectivity measured with fMRI
C. Chang and G.H. Glover
Neuroimage, vol. 50, no. 1, pp. 81-98, 2010
20180116 mmizuno

fMRI を用いた静止状態の機能的接続性に関する多くの研究は,スキャンの期間にわたって計算された相関およびデータ変動の分解などの一時的な定常性を仮定する方法を採用している.しかし,タスクベースのfMRI 研究および動物の電気生理学の両方の知見から,機能的な接続性は数秒から数分の時間スケールで動的な変化を示すことが示唆されている.本研究では,ウェーブレット変換に基づいた時間-周波数コヒーレンス解析を実行し,1スキャンの間のresting-state の接続性の動的挙動を検討した.我々は,デフォルトモデルのネットワークの主要なノードである後部帯状皮質(posterior cingulate cortex:PCC)の接続性に焦点を当て,反相関(「タスクポジティブ」)ネットワークおよび他のデフォルトモードネットワークのノードとの関係を調査した.PCC と反相関ネットワークとの間のコヒーレンスおよび位相は,時間および周波数によって変化し,モンテカルロシミュレーションに基づく統計的検定によって,有意なスケール依存性の時間的変動の存在を明らかにした.さらに,スライディングウインドウ相関処理によって,スキャン中にPCC と可変性の接続を示す脳の他の領域を同定した.それらの領域には,注意および顕著な処理に関与してるとこれまでに報告されている領域が含まれていた.観測したコヒーレンスおよび位相変動が残存ノイズまたは認知状態の調節に起因する可能性があるかどうかは不明である.しかし,現在の結果は,resting-state の機能的接続性が静的ではないことを示している.したがって,resting-stateネットワークを特徴づける際に,平均的な量に加えて変動性の尺度を考慮する必要があることが示唆された.

鬱病患者における感情処理中のデフォルトモードネットワークの負のBOLD応答変化

Altered Negative BOLD Responses in the Default-Mode Network during Emotion Processing in Depressed Subjects
鬱病患者における感情処理中のデフォルトモードネットワークの負のBOLD応答変化
Simone Grimm, Peter Boesiger, Johannes Beck, Daniel Schuepbach, Felix Bermpohl, Martin Walter, Jutta Ernst, Daniel Hell, Heinz Boeker and Georg Northoff
Neuropsychopharmacology, vol.34(4), pp.843-932, 2009
171221_ykohri

fMRIを用いた研究で,前帯状皮質,腹側前頭前野,後部帯状皮質などのデフォルトモードネットワークの領域において負のBOLD応答(NBR)が示されている.また,うつ病を有する患者は感情認知障害を示しており,これはデフォルトモードネットワーク内の変化に関連している.しかし,このデフォルトモードネットワークの変化がNBRの異常に関係しているかどうかは不明である.よって,我々はうつ病患者に対する感情的なタスク間のデフォルトモードネットワークの活動を調査した.うつ病患者は,デフォルトモードネットワークのいくつかの領域でNBRを有意に減少させた.このうつ病患者におけるNBRの減少は,うつ病の重症度などと相関していた.よって我々の研究は,うつ病患者においてデフォルトモードネットワークのNBRが減少していることから,うつ病患者の異常な負の感情調節にデフォルトモードネットワークのNBRが関係していることを示す.

デフォルトモードネットワーク内の効果的な接続とマインドワンダリングの促進・抑制との因果関係

Causal relationship between effective connectivity within the default mode network and mind-wandering regulation and facilitation
S. Kajimura, T. Kochiyama, R. Nakai, N. Abe and M. Nomura
Neuroimage, vol. 133, pp. 21-30, 2016.
20171114_tmiyoshi

経頭蓋直流刺激(tDCS)は,思考が進行中の課題や外部環境内の事象から自己生成の思考や感情へとシフトする,マインドワンダリングを調節することができる.マインドワンダリング頻度の調節は外側前頭前野(the lateral prefrontal cortex:LPFC)やDefault mode network(DMN)における領域の神経変性に関連すると考えられるが,正確な神経メカニズムは未知のままである.機能的核磁気共鳴イメージング(functional magnetic resonance imaging:fMRI)を用いて,我々はtCDS(DMNのコア領域である右IPL上に配置された1つの電極と,左LPFC上に配置された別の電極),DMN内の刺激によって誘発された指向性接続変化,およびマインドワンダリング頻度の調節との間の因果関係を調べた.行動レベルでは,右IPLにおけるアノードtDCS(左IPLにおけるカソードtDCSを有する)が,逆の刺激と比較してマインドワンダリングを減少させた.神経レベルでは,右IPLにおけるアノードtDCSは,後部帯状皮質(PCC)の求心性接続を右IPLおよび前頭前野(mPFC)から減少させた.さらに,媒介分析では,右IPLおよびmPFCからの接続の変化が,マインドワンダリングの促進および抑制とそれぞれ相関することが示された.これらの効果は,効果的な接続の不均質な機能の結果である.すなわち,右IPLからPCCへの接続はマインドワンダリングを妨げるが,mPFCからPCCへの接続はマインドワンダリングを促す.現在の研究は,マインドワンダリング頻度のtDCS調節の基礎をなす神経メカニズムを実証するものである.

fNIRS を用いたマインドワンダリングの特徴の検討

Characterization of mind wandering using fNIRS
Frontiers in systems neuroscience, vol. 9, pp. 1-7, MARCH 2015
20170914_yfjujiwara

誰が課題に参加しているかどうかを評価することは教育的に重要となった.このような注意のさまよいを通常, マインドワンダリングと表す.現在の研究の目的は,最近の神経イメージングモダリティがマインドワンダリング 状態を検出するために使用することが可能である.fNIRS は,マインドワンダリングを測定するためにこれまで 使用されたことのない非侵襲的な神経イメージング技術である.私たちは,対象への注意を必要とする課題であ るSustained Attention to Response Task(SART) を用い,16 チャンネルのfNIRS は前頭部のデータを測定した. 私たちは,default mode network(DMN)に関連する脳領域が有意に活動するマインドワンダリング状態で, the medial prefrontal cortex(mPFC)に対して有意な活性を観察した.fNIRS データはマインドワンダリング状 態の分類のために使用した,脳機能の先行研究において,私たちの結果はfNIRS がdefault network の活動を検出 する性能があることを裏付けた.