正規産児や早産児、ダウン症の乳児の大脳皮質における機能的コネクティビティ

Functional connectivity of the cortex of term and
preterm infants and infants with Down’s syndrome
Attention, NeuroImage, Vol.85, pp.272-278, 2014
20160523 htanaka

NIRS研究は,乳児期早期における脳の機能的発達を明らかにしてきた.NIRSを用いて脳血流における酸素化ヘモグロビン濃度の自発的な変化を計測することで,我々は大脳皮質における機能的コネクティビティの発達段階を検証することができる.しかし,早産や染色体の異常が大脳皮質における機能的コネクティビティの発達に影響するかどうかは明らかにされていない.本研究では,我々は正規出産の際に新生児集中治療室に入院した,眠っている乳児の自発的な脳活動を調査した.我々は乳児を(I)正規産児もしくは後期早産児,(II)早産児,(III)ダウン症候群(DS)の三つの群に分類した.我々は前頭部,側頭部および後頭部をカバーする10チャンネルでoxy-Hbとdeoxy-Hbの自発的な変化を計測するために,多チャンネルのNIRSを使用した.大脳皮質における機能的コネクティビティを解明するために,我々は全チャンネル間における時系列信号の相関係数を算出した.機能的コネクティビティは,(I)短距離型,(II)左右型,(III)同側型,(IV)制御型の四種類に分類された.血行動態の局所的な性質が病理学的状態に反映するかどうかを検証するために,我々は三つの群でoxy-Hbとdeoxy-Hbの時系列信号間の位相差を算出した.機能的コネクティビティにおける統計解析は,三つに分類した乳児の群および四種類のコネクティビティの種類における主要な影響を示した.群における影響に関しては,正規産児もしくは後期早産児の群における機能的コネクティビティの平均は早産児の群と違わず,ダウン症候群における機能的コネクティビティの平均は他の二グループよりも低かった.コネクティビティの種類における影響に関しては,短距離型のコネクティビティは他の種類のコネクティビティよりも最も強く,二番目に強いコネクティビティは左右型であった.oxy-Hbとdeoxy-Hb変化の位相差においては,ダウン症候群と他の二群との間に有意差があることを示した.本研究では,大脳皮質における機能的コネクティビティの発達は,乳児相当の年齢では正規産児もしくは後期早産児と早産児との間で違いが見られなかったが,ダウン症候群との間では機能的コネクティビティや局所的な血行動態に違いがあることが示された.最も強く見られた短距離型コネクティビティや二番目に強い左右型コネクティビティは,大脳皮質における機能的コネクティビティの基盤が乳児の年齢で存在することを示した.