傾斜錯視の知覚の根底に存在する半球内の統合

Intra-hemispheric integration underlies perception of tilt illusion
C. Song and G. Rees
NeuroImage, vol. 175, pp. 80-90, 2018.

視野全体にわたる入力を単一の意識的な経験に統合することは,人間の視覚の基本である.この視覚経験の統合された性質は,中心格子の知覚された向きが,その向きが異なる周囲の格子による変調のために,その物理的な向きから傾いて見えるような傾斜錯視のような錯覚によって示される.ここでは,局所的,半球内,大域的,半球間の統合機構が傾斜錯視の知覚に及ぼす相対的な寄与を調べた.私たちは,fMRI信号の動的因果モデルを用いて,傾斜錯視刺激の両側提示中のヒトの早期視覚野(V1,V2,V3)における有効な結合性を推定した.我々の分析では,傾斜錯視に関連する神経応答は,半球間ではなく内部での接続によって調節されることが明らかになった.重要なのは,被験者間では,V1の半球内の結合性は,錯視の大きさと相関していたが,V1の半球間の結合性,またはV2,V3の結合性についてはそのような相関は観察されなかった.さらに,錯視刺激が左右ではなく一方に提示された場合,錯視の大きさは変化しなかった.同時に我々の発見は,傾斜錯視の知覚が半球内の統合メカニズムを反映していることを示唆している.これは,既存の文献とは対照的であり,V1のような早い段階に神経活動の半球間の調節を示唆している.この発見との矛盾は,視覚処理と視覚に関わる統合メカニズムの多様性と複雑さを反映している可能性があります.

fNIRS のための Dynamic causal modelling

Dynamic causal modelling for functional near-infrared spectroscopy
Tak, Sungho and Kempny, AMb and Friston, Karl J and Leff, Alexander P and Penny, William D
Neuroimage, Vol.111, pp.338-349, 2015

機能的近赤外分光法(fNIRS)は,光吸収変化を介してヘモグロビン濃度変化を測定する新しい技術である.脳内コネクティビティを研究するためにfNIRSを使用することに大きな関心が寄せられているが,現在の方法では神経接続の方向性を推測することが困難である.そこで本稿では,fNIRS データにDynamic Causal Modeling(DCM)を適用する.具体的には,隠れたニューロン状態間の相互作用によって観察されるfNIRS データの生成モデルを提示する.確立されたベイジアンフレームワーク(変分ラプラス)を使用してこの生成モデルを逆転させることでニューロンレベルでの有向結合の変化についての推論を可能にした.運動想起および運動実行課題における実験データを使用し,運動想起課題により補足運動野から一次運動野への有向性(有効な)接続性が負に調節され,この抑制的影響が運動想起課題時の一次運動野の活動を低下させることを示す.これらの結果は以前のfMRI研究の所見と一致し,提案された方法がニューロンのダイナミクスによって媒介される脳内の有向性相互作用を光学濃度変化の測定から推論することが可能であることを示唆している.

fMRI resting state におけるDCM

A DCM for resting state fMRI
Karl J.Friston, Joshua Kahan, Bharat Biswal, Adeel Razi
NeuroImage,Vol.94,396-407,2014
20171113 sishida

このテクニカルノートでは異なる脳領域間のクロススペクトルによって測定された機能的結合に基づくresting state fMRI 時系列の動的因果モデル(DCM)を紹介します.このDCM は分散したニューラルネットワークもしくはグラフにおける結合ニューロンの変動の生物物理学的に妥当なモデルから予測クロススペクトルを生成する決定論的モデルに基づいている.有効に得られた結果の図は観測された血行力学的反応間の機能的結合を説明する隠れたニューロン状態間のベストな実効的結合を見つける.これはクロススペクトルは領域変動の(二次)統計的依存性に関するの全情報を含むためである.このノートではモデルの描画,有向および無向の機能的結合の既存の計測との関係,そしてシミュレーションを用いた表面的妥当性を確立することに注目する.その後の論文で確率的DCM とパーキンソン病とハンチントン病における予後の妥当性に関して構築の妥当性を評価する.