fMRI を用いて測定したresting-state の脳の結合の時間-周波数ダイナミクス

Time-frequency dynamics of resting-state brain connectivity measured with fMRI
C. Chang and G.H. Glover
Neuroimage, vol. 50, no. 1, pp. 81-98, 2010
20180116 mmizuno

fMRI を用いた静止状態の機能的接続性に関する多くの研究は,スキャンの期間にわたって計算された相関およびデータ変動の分解などの一時的な定常性を仮定する方法を採用している.しかし,タスクベースのfMRI 研究および動物の電気生理学の両方の知見から,機能的な接続性は数秒から数分の時間スケールで動的な変化を示すことが示唆されている.本研究では,ウェーブレット変換に基づいた時間-周波数コヒーレンス解析を実行し,1スキャンの間のresting-state の接続性の動的挙動を検討した.我々は,デフォルトモデルのネットワークの主要なノードである後部帯状皮質(posterior cingulate cortex:PCC)の接続性に焦点を当て,反相関(「タスクポジティブ」)ネットワークおよび他のデフォルトモードネットワークのノードとの関係を調査した.PCC と反相関ネットワークとの間のコヒーレンスおよび位相は,時間および周波数によって変化し,モンテカルロシミュレーションに基づく統計的検定によって,有意なスケール依存性の時間的変動の存在を明らかにした.さらに,スライディングウインドウ相関処理によって,スキャン中にPCC と可変性の接続を示す脳の他の領域を同定した.それらの領域には,注意および顕著な処理に関与してるとこれまでに報告されている領域が含まれていた.観測したコヒーレンスおよび位相変動が残存ノイズまたは認知状態の調節に起因する可能性があるかどうかは不明である.しかし,現在の結果は,resting-state の機能的接続性が静的ではないことを示している.したがって,resting-stateネットワークを特徴づける際に,平均的な量に加えて変動性の尺度を考慮する必要があることが示唆された.

リスペリドンによる脳の動的な接続性への影響- 統合失調症におけるResting-state fMRI の研究

Risperidone Effects on Brain Dynamic Connectivity?A
Prospective Resting-State fMRI Study in Schizophrenia
Frontiers in Psychiatry, vol.8, 2017
20170519tmiyoshi

統合失調症におけるResting-state の機能的コネクティビティ研究では,実験全体の平均的な接続性を評価すると異常なネットワークの統合が報告されているが,結果は変わりやすい.動的な機能的コネクティビティを調べることは,いくつかの矛盾を説明するのに役立つかもしれない.我々は,統合失調症の患者に対して,リスペリドンの未投与時(n=34),リスペリドン治療開始1 週間後(n=29),6 週間後(n=24),また,コントロールとしてベースライン時(n=35),および6 週間後(n=19)のResting-state fMRI を用いて動的なネットワークを評価した.Resting-state fMRI のネットワークを含む41 個の独立成分(IC)を特定した後,線形SVM で求められた最適なウィンドウサイズを使用して,IC 時系変化でスライディングウィンドウ解析を行った.次に,ウィンドウ化された相関行列は,比較的まばらに接続した状態,比較的多く接続した状態,およびその中間状態の3 つの接続状態に分類した.リスペリドン未投与の患者では,コントロール群と比較して5 組のIC 間で静的な接続性が増加し,2 組のIC 間で減少し,動的な接続性は3 つの状態のうち1つにおいて視床と運動野の接続性を増加させた.統計の結果によれば,未投与の患者はコントロール群と比較して,まばらな接続状態での結合時間及び費やされた時間の割合が短く,中間連結状態での結合時間及び費やされた時間の割合が長いことが示された.リスペリドンは6 週間後の平均的な結合時間を正常化したが,費やされた時間の割合では正常化はなかった.統合失調症における静的な接合性の異常は,機能的ネットワーク内及び機能的ネットワーク間の一貫性の欠如よりもネットワークの時間的変化に部分的に関連し,相補的なデータ解析の実施の重要性を示した.

動的な機能的コネクティビティ:規則,課題,および解釈

Dynamic functional connectivity: Promise, issues, and interpretations
Neuroimage, Vol.80, pp.360-378, 2013
20160613harada

脳は,複数の時間尺度に対して内部的および外部的な刺激を動的に統合,協調,そして応答しなければならな い.MRI を用いた脳活動の非侵襲的計測は,脳機能の基本的な機能を支えている大規模な機能的組織に対する私 たちの理解を大いに進めてきた.以前の休止状態中の fMRI の検討による結論は,静的な機能的結合に基づいてい る.そして,ごく最近の研究のみが自発的な BOLD FC の時間的特徴を含む豊富な情報を活用し始めている.現 れた証拠は,Dynamic FC計測が分析および解釈に関して制限が残るものの,認知と行動の重要な側面として基礎 となっている巨視的な神経活動パターンにおける指標の変化を示唆している.ここでは,私たちは Dynamic FC の検討分野における近年の知見,方法論的考慮,神経や行動の相関,および今後の方向性を確認する.