Ventromedial Prefrontal Cortex の非侵襲的刺激により心地よい場面の処理が促進される

Noninvasive Stimulation of the Ventromedial Prefrontal
Cortex Enhances Pleasant Scene Processing
cerebral CORTEX, Vol.27, No.1, 3449-3456, 2017
20170620 sishida

典型的にうつ病患者は不快な感情的要素に向かっていき,快な感情的要素から遠ざかるような偏った注意を示す.イメージング研究はventromedial prefrontal cortex (vmPFC) を含む分散ニューラルネットワークにおける機能不全はこの偏った処理に関連していることを示唆する.したがって,vmPFC の活動の変化は感情刺激の処理における変化を取り持つはずである.ここでは,私たちは機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)と脳磁図法(MEG)を用いて2 つの被験者内実験における感情的な場面の処理のvmPFC の抑制性および興奮性の経頭蓋直流電気刺激法の影響を調べた.両方の研究は抑制性tDCS に関連した興奮性が健康な被験者の不快な場面に比べて快の処理を増幅することが示唆された.この調節効果は感覚および前頭前野の皮質領域を含む分散ネットワークにおいて起こり,また非常に初期から後期の処理段階で見られた.所見は感情処理の神経生理学的モデルに関して議論された.独立した健康な被験者のグループと互いに不足を補うニューロイメージング法(fMRI,MEG)にわたる刺激効果の収束はうつ病または情動障害の患者におけるこの新たな刺激アプローチの潜在的な治療的用途のさらなる調査のための基礎を提供する.

brain stimulation, emotion, fMRI, MEG, tDCS

共感できない:他の感情に対する共有や理解を混乱させる脳病変

Inability to empathize: brain lesions that disrupt
sharing and understanding another’s emotions
Brain vol.137(4), pp.981-997, 2014
170529 ykohri

他の人の感情状態を認識,共有,推論する能力である感情的共感は,すべての社会的相互作用にとって非常に
重要である.この感情的共感の根底にある神経メカニズムは,機能イメージングを用いて健康な被験者に対して
広く研究されてきた.しかし,機能イメージング研究では領域間のタスクに対する活性とパフォーマンスの相関
を明らかにするため,タスクにとって重要な脳の領域ではなく,タスクに関与する領域のみを明らかにしてきた.
病変研究では,機能イメージングを補完し,タスクに重要な領域を特定する.感情的共感に対する障害は,外傷
性脳傷害,自閉症および認知症などの傷害を伴う神経学的疾患において主に研究されてきた.古典的な病巣は脳
卒中である.脳卒中やその他の重傷を負った後,共感を失った患者の研究が散見されているが,これらの研究は
患者数が少ない.本稿では,機能イメージングの証拠を補完するため,これらの研究のデータをまとめ,対象の
病変が感情的共感にどのように影響するかを概観する.また,病変の研究がどのように感情的共感の根底にある
認知的,神経的メカニズムの理解に寄与し,どのように感情的共感を損なう患者への対応に貢献するかを示す.

前頭脳電気活動(EEG)を用いた,音楽感情とその度合いの識別

Frontal brain electrical activity (EEG) distinguishes valence and intensity of musical emotions
Cognition & Emotion, Vol.15, No.4, pp.487-500, 2001
20170419_hwada

近年,理論的枠組みとした感情モデルに局部的な脳活動が用いられている.我々は局部的な脳波活動のパターンが一部の音楽によって誘発させる学生グループの感情と度合いを区別しているかを調査した.我々は非対称な正面脳波活動パターンが,音楽の感情を区別していることを発見した.被験者において,喜びと幸せを感じる音楽には,相対的な左前頭部脳波活動と恐怖と悲しみを感じる音楽には,右正面脳波活動を大きく示した.また,正面脳波の非対称性のパターンでは感情の強さは識別が困難だったが,正面脳波活動の全体のパターンは,恐怖から喜びへ,幸せから悲しみへと移ると減少した.これらのデータは正面の電気皮質測定の音楽による感情と強度を最初に識別したものである.

テレビコマーシャルを用いた経験的快感とEEG スペクトルの非対称性の相関

Spectral EEG frontal asymmetries correlate with the experienced pleasantness of TV commercial advertisements
Medical & biological engineering & computing, Vol.49, No.5, pp.579-583, 2011
20170131_hwada

この研究の目的は,テレビコマーシャル観察中の脳波の前頭における変化を分析することである.特に,調査
された11 人の実験被験者によって明示的に評価された,ビデオの経験的快感に関連するEEG の前頭におけるパ
ワースペクトルの分布の非対称性の存在を調べることを目的とした.分析した集団では,パワースペクトル密度
(PSD)のマップは,左(右)半球における快適な(不快な)広告の観察に関連して,シータおよびアルファ周波
数帯の非対称的増加を示した.相関分析より,左前頭部におけるPSD の増加は知覚される快感の程度と負の相関
があることが明らかになった.逆に,左前頭部のアルファ波の非同期化は,高い快感の判断と正の相関がある.さ
らに,我々のデータは不快なコマーシャルの観察に関連して,PSD の増加を示し,これは快いコマーシャルによっ
て誘発されたものより高くなった.

音楽と感情:快・不快音楽の処理による電気生理学的相関

Music and emotion: Electrophysiological correlates of the processing of pleasant and unpleasant music
Psychophysiology, Vol.44, No.2, pp.293-304, 2007
20161123 hwada

人間の感情とその電気生理学的相関は依然として多くは理解されていない.
本研究では,知覚される感情が脳波パワースペクトルと心拍数に差異的に影響するかどうかの調査を行った.
子音と不協和音によって快と不快の感情が誘発された.
不快な(快と比較して)音楽は,感情的な絵,音,映画の処理についての先行研究に記述された心拍反応のパターンを再現し,心拍の大幅な減少を誘発した.
脳波では,快な(不快なものと対照的に)音楽は正面正中線(Fm)のシータパワーが増加していた.
これは,注意機能との緊密な相互作用における感情的な処理を反映されたからであると考えられる.
よって,Fmのシータパワーは強く感情によって調節されることが示唆された.

各感情経験による記憶に関わる扁桃体の活性

Event-related activation in the human amygdala associates with later memory for individual emotional experience
The Journal of Neuroscience vol.20(19), pp. RC99-1, 2000
161012 ykohri

感情経験による記憶強化に関わる扁桃体の役割は多くの動物や患者,脳イメージングの研究で調査されている. 特に脳イメージング研究では,エンコーディング中の扁桃体の活性と記憶の間に相関関係があることが発見され た.しかし,これらの研究では個々の刺激に関連した扁桃体の活性と記憶の相互関係が個人によって違いがあるか 知られていない.そこで,本研究では被験者に中性と不快のシーンを見せ,各シーンでどの程度感情を見せるか を調査した.各シーンごとの扁桃体の反応は,被験者の経験や 3 週間後に行った記憶テストの成績と関連があり, 最も強い感情をみせたシーンに最も大きい反応を見せた.また,エンコーディング中の左扁桃体の活性の大きさ は最も強い感情をみせたシーンに反応を見せた.これらの発見は,扁桃体の活性は主観的な感情経験を反映して おり,感情の強さが記憶の強化に関連しているという考えを後押ししている.

感情的写真による選択的注意捕捉の眼球運動評価

Eye Movement Assessment of Selective Attentional Capture by Emotional Pictures
Emotion, Vol.6, No.2, pp.257-268, 2006
20160626 wada

アイトラッキングを感情的かつ視覚的な場面での注意の配向と関与を評価するために用いた.実験 1 で不快,中 性,または快適なターゲットの画像を画像の快の度合いを比較するための周辺視野における中性制御画像と同時 に提示した.感情画像における最初の凝視とその後の凝視の周波数の確率は中性の画像よりも大きかった.実験 2 では,被験者に感情画像を見ることを避けるように指示したが,中性写真よりも初めに凝視する割合が大きくな り,最初の凝視時の見る時間が長くなった.低いレベルの視覚的な特徴では結果を説明することができない.明白 な視覚的な特徴は快・不快の感情的なコンテンツによって表わされることが結論づけれた

聴覚皮質の活性化は情動によって調節される:機能的近赤外分光法(fNIRS)研究

Auditory cortex activation is modulated by emotion: A
functional near-infrared spectroscopy (fNIRS) study
NeuroImage, vol.55, no.3, pp.1200-1207, 2011
20160523 katayama

視覚的情動的刺激は,生物がすばやく生物学的に顕著な手がかりを検知することと適切なアプローチもしくは回避行動を開始することを助ける,初期の聴覚皮質領域において高める賦活を誘起する.情動による他の感覚モダリティの調節のための脳機能イメージングの証拠は,欠乏している.それゆえに,本研究の目的は情動的合図によって感覚促進が聴覚領域において見つけることができるかどうか試験することである.被験者がInternationalAffectiveDigitizedSoundSystem(IADS)から選択された,標準化された快,不快そして中性的な音を聞いている間,我々は非侵襲的で静かな神経画像処理技術である機能的近赤外分光法(fNIRS)を用いて聴覚性領域を記録した.快と不快な音は,中性的な音と比較して聴覚皮質の活性化の増加を導いた.複雑な情動的刺激が反応した感覚野の増加した活性は,明らかに視覚領域に限定されるのではなく聴覚領域でもあきらかであることを示唆した最初の研究である.