受容者の感情に対する共感的社会的反応の影響

Effects of empathic social responses on the emotions of the recipient
Seehausen, Maria and Kazzer, Philipp and Bajbouj, Malek and Heekeren, Hauke R and Jacobs, Arthur M and Klann-Delius, Gisela and Menninghaus, Winfried and Prehn, Kristin
Brain and cognition, vol.103, pp.50‾61, 2016

共感は社会的行動に非常に関連性があり,発声する共感と関心(感情的な共感)によって,また他人の思考と感情を精神的に再構築して言い換えたり述べたりすることで言葉で表現できる.この研究では,否定的なパフォーマンスフィードバック後の共感的社会的反応を受け取ることの感情的影響と神経相関を調査し,感情的対認知的共感的コメントの効果を比較した.20人の参加者(10人の男性)は,認知課題に対してパフォーマンスの否定的なフィードバックを受けながら,機能的磁気共鳴画像診断を受けた.パフォーマンスフィードバックの後に,認知的および感情的な共感を表現するか,共感の欠如を示す口頭のコメントが続いた.共感的なコメントは,一般的に否定的な自己報告感情とより穏やかな呼吸につながった.神経レベルでは,共感的コメントは,社会的認知および感情処理に関連する領域,特に右中枢後脳回および左小脳,右中枢前脳回,左下前頭回の手術部,および左中側頭葉の活動を誘発した.この研究は,認知的および感情的に共感的なコメントが部分的に分離可能な神経系で処理されるように見えることを示している.さらに,同じ主題に関する別の研究を確認および拡大し,現在の結果は,認知的共感の社会的表示が,感情的共感的反応と同様に,苦痛の状態での受容者の感情にほぼプラスの効果を発揮することを示している.これは,専門的公平性を維持しながら強い否定的な感情をエスカレートする必要がある.専門的の設定に関連する可能性があり,感情的な共感ではなく認知の表示を可能にする場合がある.

社会的認知領域における瞑想とマインドフルネス傾向の役割の調査:対照研究

Exploring the Role of Meditation and Dispositional Mindfulness on Social Cognition Domains: A Controlled Study
Campos, Daniel and Modrego-Alarcon, Marta and Lopez-del-Hoyo, Yolanda and Gonzalez Panzano, Manuel and Van Gordon, William and Shonin, Edo and Navarro-Gil, Mayte and Garcia-Campayo, Javier Frontiers in Psychology, vol.10, pp.1-13, 2019

マインドフルネスは,他者との感情的なつながり,社会的行動,共感など,社会的領域の変化を引き起こす可能性があることが研究によって示唆されている.しかし,社会心理学におけるマインドフルネスへの関心が高まっているにも関わらず,社会的認知に対するマインドフルネスの影響についてはほとんど知られていない.したがって本研究の目的は,瞑想者と非瞑想者をいくつかの社会的認知基準について比較することによって,マインドフルネスと社会的認知の関係を探究することである.合計60人の参加者(瞑想者,n = 30,非瞑想者,n = 30)は性別,年齢,および民族グループで照合され,以下の評価基準を完了するように依頼された:Mindful Awareness Attention Scale (MAAS), Five Facet Mindfulness Questionnaire Short Form (FFMQ-SF), Interpersonal Reactivity Index (IRI), Revised Eyes Test, Hinting Task, Ambiguous Intentions and Hostility Questionnaire (AIHQ), Hospital Anxiety and Depression Scale (HADS),及び Screening for Cognitive Impairment in Psychiatry (SCIP).結果は,瞑想者がより高い共感(個人的苦痛を除く),感情的な認識,精神理論(ToM),及びより低い敵意帰属スタイル/バイアスを報告したことを示した.この発見はまた,マインドフルネス傾向 (MAASで評価された総合スコアとFFMQを使用したマインドフルネスの両方)が社会的認知と関連していることを示したが,それはすべての社会的認知結果と等しく相関しているわけではなく,瞑想者と非瞑想者に対して別々に分析が行われた場合には相関パターンは異なる.さらに結果は各社会的認知変数についての潜在的な予測因子を示し,社会的認知パフォーマンスを説明するためにマインドフルネスの重要な要素として内的経験に対する非反応性を強調した.要約すると調査結果は,非瞑想者と比較して瞑想者は特定の資質(すなわち,共感,感情的な認識,ToM,敵意帰属スタイル/バイアス)においてより優れており,さらにマインドフルネスは社会的認知に関連しているという概念を支持し,それは臨床的,及び非臨床的状況で使用するためのマインドフルネスに基づくアプローチの設計に影響を与える可能性がある.

社会的な脳の解明: EmpaToMによって引き起こされる共感と心の理論に対する異なる神経ネットワークと行動の関係を明らかにする

Dissecting the social brain: Introducing the EmpaToM to reveal distinct neural networks and brain behavior relations for empathy and Theory of Mind
P. Kanske, A. Bockler, F.-M. Trautwein and T. Singer
NeuroImage, vol. 122, pp. 6-19, 2015

社会的相互作用の成功には,共感(empathy)と他人の精神状態の理解(Theory of Mind, ToM)の両方が必要である.これらの2つの機能は主に個々に調査されており,基礎となる神経ネットワークの特異性やこれらのネットワークとそれぞれの行動指数との関係は明らかにされていない.本研究では,共感とToMを独立して操作する新しいfMRIパラダイム(EmpaToM)を提案する.実験1 a/b(N=90)は,行動および神経レベルで確立された共感およびToMパラダイムを用いて検証した.実験2(N=178)では,EmpaToMを行い,ToMではventral temporoparietal junctionまた共感ではanterior insulaを含む明確に分離された神経ネットワークを明らかにした.これらの個々のネットワークは,タスクのないresting stateの機能的接続性において確認することができる.重要なことは,これらの2つのネットワークにおける脳活動は,それぞれの行動指数を予測したことである.すなわち,ToM関連の脳活動における個人間の差異は,ToMのパフォーマンスにおける個人間の差異を予測した.しかし,共感は予測されなかった.以上のことから,検証したたEmpaToMは,他人を理解する感情的経路と認知的経路を分離した.したがって社会的認知特有の構成要素の選択的な障害や改善の特定において,将来の臨床的,発達的および介在研究に利益をもたらす可能性がある.

マインドフルネス瞑想は社会的苦痛の共感時に前部島の活動を調節する

Mindfulness meditation regulates anterior insula activity during empathy for social pain
D. Laneri, S. Krach, F.M. Paulus, P. Kanske, V. Schuster, J. Sommer and L. Muller-Pinzler
Human brain mapping, vol. 38, no. 8, pp. 4034-4046, 2017.

マインドフルネスはストレスを低減し,健康と幸福を促進することはもちろん他者に対する思いやりのある行動を増やすことが示されている.自己調節プロセスを強化し,感情反応性を低下させることで,変化した神経応答に合わせて,自分自身の痛みを伴う経験に対する苦痛を軽減する.マインドフルネスが他者の社会的苦痛の経験に対する共感に関連する苦痛および神経活性化を同様に減少させるかどうかを調べるために,本研究では,長期的なマインドフルネス瞑想(LTM)の実践の特性と状態効果を比較した.これを行うために,我々は,対照群と一致した2群のLTM実施者群の間の瞑想状態を操作しながら,社会的苦痛課題の共感時にfMRIを用いて行動データと神経活動データを取得した.結果は,他者の社会的苦痛を分かち合う際に,前部島(anterior insula:AI)および前部帯状皮質(anterior cingulate cortex:ACC)ならびに内側前頭前皮質(medial prefrontal cortex)と側頭葉(temporal pole)の活性化がLTM実践者群および対照群において増加したことを示した.しかし,他者の社会的苦痛を観察する前にマインドフルネス瞑想を実践したLTM実践者群では,左のAIの活性化は低く,マインドフルネス瞑想後のAIの活性化の強さは,LTM実践者の思いやりの性質と負の相関があった.現在のマインドフルネス瞑想は他者の苦痛を分かち合うことによって苦痛に対処するために適応メカニズムを提供し,それによって思いやりのある行動を可能にすることが示唆された.

異なる痛みに対する異なる回路:機能的コネクティビティのパターンは自身及び他人の痛みを処理するネット ワークを明らかにする

Different circuits for different pain: Patterns of functional connectivity reveal distinct networks for processing pain in self and others
Social neuroscience vol.2(3-4), pp.276-291, 2007
170726 ykohri

他者の苦しみに共感する能力は,他人との関係性を維持し,社会的行動に従事するためには重要である.近年 の研究では他人が痛みを経験するところを見た際(他の痛み),痛みの直接的な経験(自己痛)に関与する前島皮 質(AI)および前帯状皮質(ACC)などの脳領域が関与することを実証した. 本稿では,前帯状皮質や前島皮質の一般的な活動が,自己または他人の痛みを認知する際に重複する部分を持 ちながら異なるネットワークを形成するという仮説を検証する.この仮説を検証するために,我々は被験者に有害 な熱刺激(自己痛)を与えた場合と他人が痛みを伴う傷害を受けている(他の痛み)ビデオを見せた場合の両方 をfMRI を用いて計測した.我々は,自己の痛み認知と他人の痛み認知の両方で共通する領域を機能的コネクティ ビティ分析のためのシード領域として使用した.分析の結果,自己の痛みまたは他人の痛みの認知の際,前帯状 皮質および前島皮質と共に活性する領域を同定した.他人の痛みの認知時よりも自己の痛みの認知時に前島皮質 と他の領域との接続性が向上した.反対に,自己の痛みの認知よりも他人の痛みの認知時に前頭前野背内側部と 前帯状皮質および前島皮質の間により大きな接続性が示された.個人内のコネクティビティ分析では,上側頭溝, 後帯状皮質および楔前部の領域が自己の痛みの認知と比較して他人の痛みの認知時に前帯状皮質と関連している ことが明らかになった.これらのデータは自己の痛みおよび他人の痛みの認知時に同様の活動を示す領域がある が,異なる機能的ネットワークを形成している可能性を示した.

共感できない:他の感情に対する共有や理解を混乱させる脳病変

Inability to empathize: brain lesions that disrupt
sharing and understanding another’s emotions
Brain vol.137(4), pp.981-997, 2014
170529 ykohri

他の人の感情状態を認識,共有,推論する能力である感情的共感は,すべての社会的相互作用にとって非常に
重要である.この感情的共感の根底にある神経メカニズムは,機能イメージングを用いて健康な被験者に対して
広く研究されてきた.しかし,機能イメージング研究では領域間のタスクに対する活性とパフォーマンスの相関
を明らかにするため,タスクにとって重要な脳の領域ではなく,タスクに関与する領域のみを明らかにしてきた.
病変研究では,機能イメージングを補完し,タスクに重要な領域を特定する.感情的共感に対する障害は,外傷
性脳傷害,自閉症および認知症などの傷害を伴う神経学的疾患において主に研究されてきた.古典的な病巣は脳
卒中である.脳卒中やその他の重傷を負った後,共感を失った患者の研究が散見されているが,これらの研究は
患者数が少ない.本稿では,機能イメージングの証拠を補完するため,これらの研究のデータをまとめ,対象の
病変が感情的共感にどのように影響するかを概観する.また,病変の研究がどのように感情的共感の根底にある
認知的,神経的メカニズムの理解に寄与し,どのように感情的共感を損なう患者への対応に貢献するかを示す.

扁桃体の協調的相互作用,心の理論と拡張された痛みマトリックスの脳領域による共感的制御

Empathic control through coordinated interaction of amygdala, theory of mind and extended pain matrix brain regions
NeuroImage,Vol.114,pp.105-119, 2015
20170425 sikeda

「痛みマトリックス」の脳領域は,
物理的な痛みで他の人を観察または読むことによって活性する.
これまでの研究では,他の人の感情的苦痛に関する記事を読むことは,
対照的に他の人の心について主に考える脳領域の異なるグループを作ることを発見している.
現在の研究では,他者の痛みや苦しみに対する感情的反応を意図的に調節する役割を果たす神経回路を調べた.
研究1では,大学生の参加者のサンプル(n = 18)が,
機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)の中で
身体的苦痛および情緒的悲惨な出来事に関する記事を読み,
主人公と積極的に共感したり,客観的なままにしようとしたりしてもらう.
研究2では,慢性的に人間の苦しみにさらされている
専門のソーシャルワーカー(n = 21)を対象に同じ実験を行った.
両方の研究において,扁桃体の活動は,
他人の感情的な痛みに対する感情的な調節に関連していたが,身体的な痛みには関連していないことがわかった.
さらに,心理生理学的相互作用(PPI)分析およびGranger因果モデリング(GCM)は,
扁桃体の活動は他の人の感情的な痛みを読んでいる間に,頭脳の脳領域の理論に先立って積極的に活動したり,
身体的痛みおよび身体感覚に関連する領域における活動に続いて負の作用があることを示した.
以前の研究は,扁桃体が自己焦点苦痛の意図的な制御に決定的に関与していることを示しているが,
現在の結果では,他の人の感情的痛みを考慮する場合に限り
扁桃体活動の中心的な重要性を他の焦点にある共感の制御にまで拡張する.

fMRI,Empathy,Physical pain,Emotional suffering,Cognitive control,Social distancing,Psychophysiological interaction,PPI,Granger causality modeling,GCM