複数のデータセットと取得システムに適用可能なfNIRS の乳児データの動き補正の推奨

Recommendations for motion correction of infant fNIRS data applicable to multiple data sets and acquisition systems
R.D. Lorenzo, L. Pirazzoli, A. Blasi, C. Bulgarelli, Y. Hakuno, Y. Minagawa and S. Brigadoi NeuroImage, vol. 200, pp. 511-527, 2019

“モーションアーチファクトはfNIRS の乳児データにおける主要なノイズ源であるにもかかわらず, この母集団におけるモーション補正の取り組み方はつい最近調査され始めたばかりである. Homer2 は, 広範囲の動き補正方法を提供しており, シミュレーションデータおよび成人データに関するこれまでの研究は, 動きの影響を受けた試行の回復のための最適な方法としてスプライン補間およびウェーブレットフィルタリングの使用を提案した. ただし, 幼児のデータのモーションアーチファクトは, 振幅と周波数の両方で成人のモーションアーチファクトとは異なる. したがって, 成人のデータから導き出されたアーティファクト補正の推奨は, 乳児のデータには最適ではない可能性がある. スプラインとウェーブレットを組み合わせて使用すると, モーションアーチファクトの複雑な外形を持つデータに対して個々の使用よりも優れたパフォーマンスが得られると仮定した.これを実証するために,我々は最初に幼児の半模擬データについて,それ自身でのいくつかの動き補正技術と新規の組み合わせアプローチの性能を比較した. 次に, 異なる年齢(5,7, 10ヶ月) の乳児, 異なるタスク(聴覚, 視覚, 触覚), 異なるNIRS 装置で計測された3 つのデータセットから本物の認知データに, スプラインとウェーブレットそれぞれと組み合わせた性能を調査した. これらの技術の有効性を定量的に推定し比較するために, 我々は血行動態応答回復誤差, 被験者,内標準偏差, 被験者間標準偏差, 各補正方法で残った試行数の4つの測定基準を採用した. 我々の結果は次のことを証明した.(1) 破損した試行を棄却するより, モーションアーチファクトを補正するほうが常によい. (2) ウェーブレットフィルタリング単独とスプライン補間を組み合わせて行うことは, 被験者間および被験者内標準偏差を減らす上で最も効果的な手法のようである. 重要なのは, スプラインとウェーブレットの組み合わせは, 半疑似の低レベルと高レベルの両方で最高の性能を提供する手法であり, すべてのデータセットにわたりモーションアーチファクトにより影響した試行の多くを回復することである. これは, 乳児データを扱うときに非常に重要な結果である.”

オンライン二者コミュニケーション時における構文の共有された神経表現

Shared neural representations of syntax during online dyadic communication
W. Liu, H.P. Branigan, L. Zheng, Y. Long, X. Bai, K. Li, H. Zhao, S. Zhou, M.J. Pickering and C. Lu NeuroImage, vol. 198, pp. 63-72, 2019

人々がコミュニケーションをとるとき,彼らは構文のようなレベルで精神的な表現を合わせることによりお互いに似たような方法で世界を見るようになる. 構文は人間を他の人間以外の動物と区別する,人間の言語の本質的な特徴である. しかし,コミュニケーションをとる人が構文規則の神経表現を共有するかどうか,またその方法はまだよく分からない. ここで,我々は機能的近赤外分光法(fNIRS)に基づいたハイパースキャニングを使用し,一連の二者コミュニケーションの文脈でコミュニケーションをとる両者の脳活動を測定することでこの問題に対処した. コミュニケーションをとる二者は,同じあるいは異なる構文構造を使用して交互に話をした. コミュニケーションをとる人が異なる構文構造を生成した場合と比較して,お互いに同じ構文構造を生成した場合は,右上側頭回後部における対人神経同期(INS)の有意により高いレベルでの増加を結果は示した. これらのINSの増加はコミュニケーションの質と有意に相関した. 我々の発見は,コミュニケーションをとる人の間で構文の共有神経表現の最初の証拠を提供する.

精神疲労と機能的近赤外分光法(fNIRS)に基づいた軽度の外傷性脳損傷後の認知能力の評価

Mental Fatigue and Functional Near Infrared Spectroscopy (fNIRS) Based Assessment of Cognitive Performance After Mild Traumatic Brain Injury
Simon Skau Lina Bunketorp Kall Hans Georg Kuhn Birgitta Johansson
Frontiers in Human Neuroscience,vol.13,pp.145,2019

軽度の外傷性脳損傷(TBI-MF)後の病理学的な精神疲労は認知活動後の精神的疲労感によって特徴づけられる.神経学的仕組みは不明の為,本研究では各TBI-MF 患者において長期の精神活動が認知能力と神経相関への影響の仕方に焦点をあて調査した.外傷から少なくとも5 か月以上のTBI-MF 患者(20 人)と,同世代の健康な対照群(20 人)を募集した.本研究では,fNIRS を用いて前頭葉のHb 変化を評価した.精神的エネルギーレベルの主観的評価はVAS を用いて実験の前後に測定された.6 個の一連の神経科学的なテストにはStroop-Simon,Symbol Search,digit span,PaSMO,sustain attention and working memory test,DSC が使用された. 一連のテストは8 分間の注意維持テストのあとに行われた.テストは2.5 時間続いた.実験の結果,対照群と比較してTBI-MF 患者において精神的エネルギーが減少した(p<0.01).TBI-MF 患者は2 回のDSC テストを同レベルで行ったが,対照群では2 回目のテストでパフォーマンスが改善された(p<0.01).Stroop-Simon のテストの間,fNIRS の事象関連応答は時間効果を示さなかった.しかしながら,テストの開始時点からTBI-MF 患者は前頭極領域,腹外側運動皮質,背外側前頭前野領域においてOxy-Hb 濃度の低下を示した.Stroop における集団相互作用は,TBI-MF 患者は一致と不一致の両方の試行で同じoxy-Hb 濃度を示したが,対照群は不一致の試行においてより多くのoxy-Hb を示した.これらの結果は個々のTBI-MF 患者は前頭葉に動員する機能の減少が,主観的な精神疲労と相関関係にあることを示した.長期にわたる精神活動は,認知機能の低下と精神疲労の経験の両方をもたらす可能性がある.

我々はいつ他者と神経同期に陥るのか

When do we fall in neural synchrony with others?
K. Lu and N. Hao
Social cognitive and affective neuroscience, vol. 14, no. 3, pp. 253-261, 2019.

この研究は,対人間の脳の同期(IBS)が共同作業中に発生する状況を調査することを目的とし,新規の機能的近赤外分光法(fNIRS)ベースのハイパースキャニングパラダイムを開発することによりその軌跡を経時的に検証した.参加者は,メンバーの2人が実際の参加者で,1人は共謀者である3人のグループで共同作業をするように指示された.実際の参加者と共謀者の2者間と比較して,実際の参加者の組み合わせでは,より良い協力行動と両側の背外側前頭前野間のIBSが示された.また,IBSと協力は,実際の参加者の組み合わせでは時間の経過とともに増加した一方で,共謀者との2者間では低く一定のままであった.これらの知見は,IBSが共同作業中に対人相互作用に従事している個人間で発生し,その間にIBSと協調的な対人相互作用が時間とともに増加する傾向があることを示している.

機能的近赤外分光法(fNIRS)における信号処理: 方法論的差異は異なる統計的結果をもたらす

Imaging Brain Function with Functional Near-Infrared Spectroscopy in Unconstrained Environments
J.B.Balardin, G.A.Zimeo Morais, R.A.Furucho, L.Trambaiolli, P.Vanzella, C.Biazoli Jr and J.R.Sato Frontiers in human neuroscience, vol.11, p.258, 2017

自然な実験下で運動と認知プロセスの神経相関を評価することは, 伝統的な脳イメージング技術の動きに制約があるため挑戦的である. 機能的近赤外分光法(fNIRS)のようなモーションアーチファクトにあまり敏感ではない携帯技術の最近の出現は, 自由に動く被験者の脳機能の研究を可能にした. 本稿では, 制約のない環境における認知および運動プロセスの神経相関の評価におけるfNIRSの可能性を調べる一連の概念実証実験について説明する. 私たちは, スポーツ(卓球)を練習すること, 楽器(ピアノやバイオリン)を一人または二人で演奏すること, および毎日の活動を何時間も行うこと(すなわち連続的な監視)の実例となる応用を示す. 私たちの結果は異なる実生活設定における脳血行動態変化を監視するためのfNIRSの実現可能性や頑強性に関する以前の研究を拡張する. fNIRS測定の柔軟性と頑強性を示すこれらの予備的な結果は, 応用神経科学の分野における将来の研究に影響を与え貢献すると信じられる.

高速道路での実際の運転を行った際の近赤外線分光法を用いた機能的脳イメージング

Functional brain imaging using near-infrared spectroscopy during actual driving on an expressway Kayoko Yoshino, Noriyuki Oka, Kouji Yamamoto, Hideki Takahashi and Toshinori Kato
Frontiers in Human Neuroscience Vol.24 December 2013

“前頭前野は運転行動に大きな影響を与えると考えられているが,実際の道路走行における前頭前野機能についてはほとんど知られていない.運転シミュレーション実験によって得られた脳活動に関する結果は実際の運転時の脳活動と同じではない.なぜならシミュレーションによる実験時には,被験者は静止状態にあり,結果が異なる可能性があるためである.機能的近赤外分光法(functional near-infrared spectroscopy:fNIRS)は,実際の車両を運転している人の脳血行動態反応を測定できるという点で有利な測定法である.実際に運転したときに得られるさまざまな運転操作に関連する脳機能を評価するために,車両にfNIRS 機器を搭載し,被験者はまだ一般に開通されていない高速道路の一部を走行した.駐車中,加速中,等速運転中,減速中,およびUターン中の脳活動の測定は,日中および夜間に記録された.cerebral oxygen exchange(Δ COE) および脳血液量の変化を計算し,課題の各部分について可視化した.前頭前皮質および頭頂葉皮質からの反応は,日中および夜間の実験において高い再現性があった.前眼部視野(frontal eye eld:FEF)ではΔ COE について有意な増加が観察されたが,これは先行研究であるシミュレーション実験ではあまり言及されていない増加である.特に,右側のFEF の加速中および左側のFEF の減速中に有意な活性化が検出された.等速運転中の反応が弱いことは,FEF 機能が車速の変化中に増加することを示唆している.FEF は三次元空間における眼球運動の制御に関与するので、FEF 活性化は実際の道路運転において重要である可能性がある.以上のことから,fNIRS は,脳の活性化を屋外で調べるための強力な手法であることが示唆され,また高度道路交通システム(intelligent transport systems:ITS)分野における高速道路走行実験で使用するのに,十分堅牢な測定法であることが証明された.”

ドライビングシミュレータを用いた研究の現状:fNIRS を用いた運転者の作業負荷レベルの評価

Assessing the Driver’s Current Level of Working Memory Load with High Density Functional Near-infrared Spectroscopy: A Realistic Driving Simulator Study
Anirudh Unni, Klas Ihme, Meike Jipp
Frontiers in human neuroscience, vol. 11, APRIL 2017

認知的な過負荷は,人間の能力の低下をもたらす.私たちは,それらの機能性を運転者の認知状態に適合させる運転補助システムは,人的ミスによる道路事故の軽減するためのアプローチとして有効であると見越している.この研究は,運転シナリオにおける認知作業記憶負荷レベルの変動を予測可能な脳領域を明らかにするために使用される.私たちは,運転シミュレータを用いて高速道路を60 分運転してる間に5 つの異なるワーキングメモリ負荷レベルを調査するために,n-back タスク(0-back から4-back)を使用した.fNIRS を用いて脳の活性化を計測し,多変量lasso 回帰とクロスバリデーションを組み合わせることにより,fNIRS データからワーキングメモリ負荷レベルを計算する.これにより,重要なことは,fNIRS により脳活性化の増加が明らかになり,両側下前頭および両側頭側-後頭脳領域において,これらの領域が特にワーキングメモリ負荷レベルワークロード関連処理に関与していることを示唆する.この研究の目的は,機能的近赤外分光法から得られた測定信号を分析する方法を提案することである.注意散漫運転は多くの悲惨な結果につながる可能性がある.ドライバーの行動を追跡するための対策を開発するには,デュアルタスク条件での注目の焦点(FOA)と運転者の集中度合いが不可欠である.健康なボランティア10 名は車線維持運転タスクと数学的タスク(問題解決タスク)の2 つのタスクを含むデュアルタスク実験に参加した.脳波(EEG)および行動は同時に記録される.記録されたEEG データから独立した成分を分離するための空間フィルタとして独立成分分析(ICA)を採用した.FOA 評価システムを構築するために,6 つの成分から算出したパワースペクトル(正面,中央,頭頂葉,後頭部,左モータ,および右モータ)をラジアル基底関数に基づいたRBF カーネルを使ってサポートベクターマシン(SVM)に変換する.このFOA 評価システムは,デュアルタスクの間に達成度と分類精度を検出し,参加者のFOA を評価する.検出されたFOA は,注意が限定されたため,参加者の認知的注意はタスク間で動的に変化し,全体的なパフォーマンスが低下した.この研究を実証した結果,EEG スペクトルを使って,認知的注意を継続的に評価するための実践的システムとしての可能性を証明した.

ドラミングによる感情の伝達:機能的近赤外光法を用いた二者の脳イメージング

Communication of emotion via drumming: dual-brain imaging with functional near-infrared spectroscopy
R. Rojiani, X. Zhang, A. Noah and J. Hirsch
Social cognitive and affective neuroscience, Vol.13, No.10, pp.1047-1057, 2018

感情の非言語コミュニケーションは,人間の相互作用に不可欠であり,多くの臨床応用に関連している.しかし,社会神経科学の分野においてそれはまだ十分に研究されていないテーマである.ドラミングは感情を表現する昔の非言語コミュニケーション様式であり,これまでこの文脈の中では研究がされていなかった.我々は,新しい二者の脳のニューロイメージングパラダイムを用いて,ドラミングによる感情の生で,自然なコミュニケーションに対する神経反応を調査した.血行動態信号は,全頭に対して機能的近赤外分光法を用いて取得した.36人の被験者ペアが,国際感情画像システムから感情的に際立つ画像に反応して,「送信」(ドラミングまたは相手に話すこと)と「受信」(相手の話を聞くこと)を交互に繰り返す2つの条件,ドラミングとトーキングに参加した.ドラム音の増加した周波数と振幅は,より高い覚醒度そしてより低い感情価の尺度と行動的に相関し,聞き手の側頭頭頂接合部(TPJ)の活性と神経的に相関した.会話よりドラミングが大きいコントラストの比較もまた右TPJの神経活性を明らかにした.まとめると,ドラミングにより伝達される感情的な内容は,感情的にも行動的にも敏感な方法で右TPJメカニズムに関わることを示唆している.ドラミングは,社会および情動に関わる精神病理学の治療に新規的で効果的な臨床アプローチを提供するかもしれない

人対人の言語コミュニケーションに対する交差脳神経メカニズム

A cross-brain neural mechanism for human-to-human verbal communication
J. Hirsch, J. Adam Noah, X. Zhang S. Dravida and Y. Ono
Social cognitive and affective neuroscience, vol. 13, no. 9, pp.907-920, 2018.

動的な社会的相互作用を仲介する神経メカニズムは,その進化の重要性にも関わらず,依然として研究が進んでいない.インタラクティブブレイン仮説は,相互的な社会的合図が専用の脳基盤によって処理されるということを提案しており,社会的相互作用の根底にある神経メカニズムを調査するための一般的な理論的枠組みを提供する.我々は,会話と聞き取りに基づいた社会的相互作用時に標準的な言語領域が脳間で増加し,動的に結合されるというこの仮説の具体的な事例を実験する.自然な環境で相互作用がある場合とない場合でObject NamingタスクとDescriptionタスクを実行し,交互に会話と聞き取りを行なう相手の脳のデオキシヘモグロビン信号を機能的近赤外分光法を用いて同時に取得した.相互的と非相互的条件の比較により,相互作用時に上側頭回を含むウェルニッケ野に関連する神経活動の増加が確認された(P=0.04).ところが,仮説はブローカ野に対しては支持されなかった.上側頭回や中心下領域に由来する信号のウェーブレット分析により定められるクロスブレインコヒーレンスは非相互作用時より相互作用時の方がより大きかった(P<0.01).インタラクティブブレイン仮説の裏付けとして,これらの知見は対人情報を共有する経路に特化した,動的に結合されたクロスブレインの神経メカニズムを示唆する.

FC-NIRS:NIRS のための機能的結合解析のツール

FC-NIRS:A Functional Connectivity Analysis Tool for Near-Infrared Spectroscopy Data
J. Xu, X. Liu, J. Zhang, Z. Li, X.Wang, F. Fang and H. Niu
BioMed research international, 2017

“有望な非侵襲イメージング装置である近赤外光分光法(fNIRS)は,近年,安静状態の脳の機能的結合(FC)研究においてますます普及している.しかし,機能的結合分析のためのソフトウェアパッケージはまだかけている.fNIRS に基づくヒト機能的結合解析を促進するために,我々は,「近赤外光データの為の機能的結合分析ツール(FC-NIRS)」と呼ばれるソフトウェアパッケージを開発した.このパッケージには,fNIRS データの前処理,品質管理,機能的結合の算出,ネットワーク解析の主な機能が含まれている.このソフトウェアはグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を備えているため,研究者はFC-NIRS を使用して,データ分析を簡単かつ迅速に実行可能である.さらに,FC-NIRS は,データ処理および分析中にバッチ処理を実行できるため,多数のデータセットに対処する時間コストを大幅に削減可能である.実際に人間の脳画像を用いた実験結果で,ツールボックスの実行可能性を確認する.この新しいツールボックスは,fNIRS データに基づいたヒト機能的結合研究を実質的に促進すると期待されている.