疲労の主観的な感覚が,腹外側前頭前皮質での反応の低下に関係している

Subjective feeling of psychological fatigue is related to decreased reactivity in ventrolateral prefrontal cortex
Brain Research, Vol.1252, pp.152-160, 2009

本研究の目的は,疲労感と脳機能との関係を検討することである.23 名の健康な若いボランティアがこの研究 に参加した.visual-analogue scale (VAS) の得点と睡眠時間を用いて評価される疲労感と,近赤外分光法(NIRS)の52 チャンネルにより測定される言語流暢課題時の大脳皮質の反応性との間で,その関係は調査された.VAS の 得点は,前頭部の腹外側部から側頭部の上部にかけての左右領域のチャンネルにおける,言語流暢課題時の酸素化ヘモグロビン濃度(oxy-Hb) 増加量と負の相関をもった.前夜の睡眠時間は,前頭前野背外側部の左右領域のチャ ンネルにおける,言語流暢課題時のoxy-Hb 増加量と正の相関をもった.VAS の得点や前夜の睡眠時間において,コントロール課題である左指タッピング課題時のoxy-Hb 増加量とは有意な相関関係が存在しないことがわかった. 疲労の主観的な感覚は,前頭部の腹外側部や側頭部の上部での反応の低下に関係していて,前頭前野背外側部の反応と相関のある前夜の睡眠時間には関係していない.これらの結果は,前頭部の腹外側部や側頭部の上部での 一過性の機能低下や持続的な機能不全が疲労における脳の基質の一つであることを示唆している.また,NIRS は自然に近い環境での検討を可能にするので,これらは疲労のような主観的現象時の脳機能を調査するためにNIRS の利点をも実証する.