脳機能ネットワークのグラフ解析とモジュール性:最適な閾値の探索

Graph analysis and modularity of brain functional connectivity networks: searching for the optimal threshold
arXiv preprint arXivarXiv:1705.06481, 2017
20170830tmiyoshi

ニューロイメージングデータは,脳の接続性の形態的な構成をとらえるノードとエッジのネットワークとして表 すことができる.グラフ理論はこれらのネットワークとその構造を様々なスケールで研究するための一般的かつ 強力なフレームワークを提供する.例えば,脳機能接続ネットワークを含む多くの自然ネットワークのモジュー ル構造を調査するために,コミュニティ検出方法が広く適用されている.実験的ノイズによって最も影響を受け る最も弱いエッジを除去し,グラフの密度を減少させるために,スパース化手順はしばしば適用される.よって, 理論的および計算的により扱いやすくなる.しかしながら,弱いリンクには重要な構造情報が含まれている可能 性があり,最適なトレードオフを特定する手順は活発な研究の対象である.ここでは,統計的物理学に基づいた 方法であるパーコレーション解析の使用を検討し,脳接続ネットワークにおけるコミュニティ検出のための最適 なスパース化閾値を特定する. グラウンドトゥルースモジュール構造とヒトの脳機能接続ネットワークらしい現実的な形態的特徴を備えた合成 ネットワークを使用することにより,パーコレーション解析を適用して,ネットワークのコミュニティ構造の情報 を最大化する最適なスパース化閾値を特定できることを示す.このアプローチは,Newman のモジュラリティー, InfoMap,Asymptotical Suprise という脳接続ネットワーク分析に広く用いられる3 つのコミュニティ検出方法を 使用して検証される.重要なことは,最適な閾値を決定する重要な要素であるノイズとデータの変動の影響をテ ストすることである.このデータ駆動方法は,異なる接続強度を特徴とする患者やコントロール群などの集団に おける脳ネットワークのコミュニティ分析に特に有用であることが示されるはずである.

タスク状態を超えた脳ネットワーク適応性

Brain Network Adaptability across Task States
PLoS computational biology, vol.11, pp.1004029, 2015
20170803_mnishizawa

人間の脳内の活動は,多様な機能状態の間を移動し,動的な環境の要求を満たすが,これらの遷移を導く基本
原理はあまり理解されていない.ここでは,脳領域間の機能的相互作用のパターンを分析するためのネットワー
ク科学の最近の進歩を活用する.我々は,4 つの認知状態(タスクフリーの安静状態,注意を要する状態,および
2 つの記憶を要求する状態)の中および間の両方において,タスクのパフォーマンスに伴う脳再構成の状況を動的
ネットワーク表現を用いて調べる.ハイパーグラフの形式を用いて,我々は,(タスク特有の)脳の状態と(タス
クの一般的な)脳の状態の両方において,時間の経過と共に強度にコヒーレントに変動する機能的相互作用のグ
ループの存在を特定する.これらの結果は,多くのダイアディック(地域間)関係の複雑さに関する先の強調とは
対照的に,脳適応能力は,認知システムの動的統合を推進する共通のプロセスによって記述できることを示して
いる.さらに,本発明者らの結果は,機能強化された脳力学を理解するための効果的な尺度としてハイパーグラ
フを確立し,クロスタスク,クロスエイジングおよびクロスコホートの機能変化を調べる際に有用である.

異なる痛みに対する異なる回路:機能的コネクティビティのパターンは自身及び他人の痛みを処理するネット ワークを明らかにする

Different circuits for different pain: Patterns of functional connectivity reveal distinct networks for processing pain in self and others
Social neuroscience vol.2(3-4), pp.276-291, 2007
170726 ykohri

他者の苦しみに共感する能力は,他人との関係性を維持し,社会的行動に従事するためには重要である.近年 の研究では他人が痛みを経験するところを見た際(他の痛み),痛みの直接的な経験(自己痛)に関与する前島皮 質(AI)および前帯状皮質(ACC)などの脳領域が関与することを実証した. 本稿では,前帯状皮質や前島皮質の一般的な活動が,自己または他人の痛みを認知する際に重複する部分を持 ちながら異なるネットワークを形成するという仮説を検証する.この仮説を検証するために,我々は被験者に有害 な熱刺激(自己痛)を与えた場合と他人が痛みを伴う傷害を受けている(他の痛み)ビデオを見せた場合の両方 をfMRI を用いて計測した.我々は,自己の痛み認知と他人の痛み認知の両方で共通する領域を機能的コネクティ ビティ分析のためのシード領域として使用した.分析の結果,自己の痛みまたは他人の痛みの認知の際,前帯状 皮質および前島皮質と共に活性する領域を同定した.他人の痛みの認知時よりも自己の痛みの認知時に前島皮質 と他の領域との接続性が向上した.反対に,自己の痛みの認知よりも他人の痛みの認知時に前頭前野背内側部と 前帯状皮質および前島皮質の間により大きな接続性が示された.個人内のコネクティビティ分析では,上側頭溝, 後帯状皮質および楔前部の領域が自己の痛みの認知と比較して他人の痛みの認知時に前帯状皮質と関連している ことが明らかになった.これらのデータは自己の痛みおよび他人の痛みの認知時に同様の活動を示す領域がある が,異なる機能的ネットワークを形成している可能性を示した.

大規模な機能的脳ネットワークの相関の短時間窓は,個人内および個人間で予測される

Short-Time Windows of Correlation BetweenLarge-Scale
Functional Brain Networks PredictVigilance
Intraindividually and Interindividually
Human brain mapping, vol.34, pp.3280-3298, 2013
20170710_mnishizawa

相互作用する脳からどのように行動のパフォーマンスが出現するかをよりよく理解するためには,機能的核磁
気共鳴イメージング(fMRI) を用いた機能的ネットワークの分析が挙げられる.このようなネットワークを人間の
行動と比較している最近の研究では,これらの関係を特定することが始まっているが,単一の個人の行動内の変
化にその発見を関連づけるのに十分な時間の幅を使用する研究はほとんどない.本実験ではPVT と相互作用する
デフォルトモードネットワークとタスクポジティブネットワークとの関係を検討した.各刺激の周りのいくつか
の地点(周囲刺激の時間) における2 つのネットワーク信号と,各刺激時間を中心とする12.3-秒のウインドウ内の
相関との間の2 つの時間局在を比較した.これらの測定基準は,個人内および個人間の両方で応答速度と比較さ
れた.ほとんどの場合,ネットワーク間の相違またはより大きな相互相関は,より高速なパフォーマンスと大き
く関連していた.個体間分析はこの結果を一般的に示したが,個人内分析では,刺激が現れる4-8 秒前から刺激
時間まで単離していた.その時間内では,より早い応答時間を有する傾向があった被験者にとってより傾向が高
かった.これらの結果は,機能的ネットワークと行動との関係が,より短い時間幅を使用すること,および個体
内,個体間の両方の変動性を考慮することによってよりよく理解可能であることを示唆している.

機能的脳内ネットワークを識別する統計的方法

A Statistical Method to Distinguish Functional Brain
Networks
Frontiers in Neuroscience, Vol.11, Article.66, 201720170620 rhagiwara

神経科学における1 つの主要な問題は,異なる集団の機能的な脳ネットワークの比較,例えば対象および患者のネットワークを区別することである.従来のアルゴリズムは,決定的であると仮定して,ネットワーク間の同型性の探索に基づいている.しかし,生物学的ネットワークは,それらのアルゴリズムによって上手くモデル化できないランダム性を提示する.例えば,同じ母集団の異なる被験者の機能的な脳内ネットワークは,個々の特性のために異なる可能性がある.さらに,異なる集団からの被験者のネットワークは,同じ確率過程を通して生成することができる.したがって,より良い仮説は,ネットワークがランダムプロセスによって生成されることである.この場合,同じグループの被験者は,同じランダムプロセスのサンプルであるのに対して,異なるグループの被験者は,別個のプロセスによって生成される.このアイデアを使用して,2 つ以上のグラフの集団が同じランダムグラフモデルによって生成されるかどうかをテストするANOGVA という統計的検定を作成した.私たちのシミュレーションの結果は,誤検出率を正確に制御できること,および異なるモデルとパラメータによって生成されたランダムグラフを識別するための検定が強力であることを示す.この方法は,また不平衡データに対してロバストであることを示した.一例として,コントロールと自閉症またはアスペルガーと診断された患者からなるfMRI データセットにANOGVA を適用した.ANOGVA は小脳の機能的サブネットワークが対照と自閉症の間で統計的に異なると同定した(p < 0.001).

長期シミュレート運転中の健常者におけるfNIRS を用いた機能的接続解析

Functional connectivity analysis using fNIRS in healthy
subjects during prolonged simulated driving
Neuroscience Letters, vol.640, pp.21-28, 2017
20170531_yfujiwara

長時間運転時の脳活動と関連した運転疲労を非侵襲的に正確に評価することは,交通安全と事故防止に貢献す
ることができる.この研究では,機能的な接続性であるfunctional connectivity を用いて評価した.半没入型バー
チャルリアリティ技術とfNIRS を組み合わせた新しいシミュレータにより,異なる脳領域における相乗的メカニ
ズムを発見した.各被験者は精神的計算と関連した運転課題を完了するよう指示された.ウェーブレットコヒー
レンス(WCO)およびウェーブレット位相コヒーレンス(WPCO)を計算し,(I)0.6~2 および(II)0.145~
0.6Hz,(III)0.052~0.145,(IV)0.021~0.052,(V)0.0095~0.021 および(VI)0.005~0.0095Hz の周波数間隔で
測定される.WCO とWPCO は脳の接続性の強さと同期化を明らかにした.運転タスク終了時に,WCO レベル
がprefrontal cortex においてインターバルI およびIII,およびmotor cortex におけるIV で有意に低い結果が得
られた.さらに,prefrontal cortex ではインターバルI およびIII で,motor cortex ではインターバルIV で有意
に低いWPCO が見出された.prefrontal cortex とmotor cortex との協調メカニズムにより,精神疲労が認知機
能に悪影響を及ぼすことが示唆された.

リスペリドンによる脳の動的な接続性への影響- 統合失調症におけるResting-state fMRI の研究

Risperidone Effects on Brain Dynamic Connectivity?A
Prospective Resting-State fMRI Study in Schizophrenia
Frontiers in Psychiatry, vol.8, 2017
20170519tmiyoshi

統合失調症におけるResting-state の機能的コネクティビティ研究では,実験全体の平均的な接続性を評価すると異常なネットワークの統合が報告されているが,結果は変わりやすい.動的な機能的コネクティビティを調べることは,いくつかの矛盾を説明するのに役立つかもしれない.我々は,統合失調症の患者に対して,リスペリドンの未投与時(n=34),リスペリドン治療開始1 週間後(n=29),6 週間後(n=24),また,コントロールとしてベースライン時(n=35),および6 週間後(n=19)のResting-state fMRI を用いて動的なネットワークを評価した.Resting-state fMRI のネットワークを含む41 個の独立成分(IC)を特定した後,線形SVM で求められた最適なウィンドウサイズを使用して,IC 時系変化でスライディングウィンドウ解析を行った.次に,ウィンドウ化された相関行列は,比較的まばらに接続した状態,比較的多く接続した状態,およびその中間状態の3 つの接続状態に分類した.リスペリドン未投与の患者では,コントロール群と比較して5 組のIC 間で静的な接続性が増加し,2 組のIC 間で減少し,動的な接続性は3 つの状態のうち1つにおいて視床と運動野の接続性を増加させた.統計の結果によれば,未投与の患者はコントロール群と比較して,まばらな接続状態での結合時間及び費やされた時間の割合が短く,中間連結状態での結合時間及び費やされた時間の割合が長いことが示された.リスペリドンは6 週間後の平均的な結合時間を正常化したが,費やされた時間の割合では正常化はなかった.統合失調症における静的な接合性の異常は,機能的ネットワーク内及び機能的ネットワーク間の一貫性の欠如よりもネットワークの時間的変化に部分的に関連し,相補的なデータ解析の実施の重要性を示した.

近赤外分光法により明らかにされた安静時の動的機能的コネクティビティ

Dynamic functional connectivity revealed by
resting-state functional near-infrared spectroscopy
Biomedical optics express, vol.6, no. 7, pp.2337-2352, 2015.
20170513 mmizuno

脳は,時間変化する機能的コネクティビティ(functional connectivity:FC)およびネットワーク構造を有する
複雑なネットワークである.しかしながら,安静時のfNIRS 計測によって脳組織の内発的な動的特性を特徴づけ
ることができるかどうかは明らかになっていない.本研究では初めて,全脳fNIRS の時系列とスライディングウィ
ンドウ相関法を使用し,fNIRS 計測が安静時の脳の動的接続性の特性を定量化するために有用であることを実証
した.我々の結果は,fNIRS 由来のFC が時変であり,変動性強度(Q)が時間平均した静的FC と負の相関を有
することを示唆している.さらに,Q 値は異なる空間的位置(例えば,半球内および同位体間の接続)間の連結
性に有意差を示している.この結果は,異なるスライディングウィンドウの長さと異なる脳スキャンセッションの
どちらでも再現性があり,fNIRS に由来する相関の動的特性が確かに脳の揺らぎによるものであることを示唆し
ている.

長期シミュレート運転中の健常者におけるfNIRS を用いた機能的接続性解析

Functional connectivity analysis using fNIRS in healthy
subjects during prolonged simulated driving
Neuroscience Letters, Vol. 640, pp.21-28, 2017170510_snakamura

長時間運転中の脳活動と関連した運転疲労の非侵襲的かつ正確な評価は,交通安全および事故防止に寄与する
ことができる.この研究では,関連する脳領域における機能的結合性を評価した.セミ没入型バーチャルリアリ
ティ技術と機能的近赤外分光法を組み合わせた新しいシミュレータにより,異なる脳領域における相乗的メカニズ
ムが検出された.各被験者は,精神計算タスクと相まって運転課題を完了するよう指示された. (I)0.6-2 Hz お
よび(II)0.145-0.6 Hz で、ウェーブレットコヒーレンスおよびウェーブレット位相コヒーレンスを計算し,評価
した. (III)0.052~0.145 Hz、(IV)0.021~0.052 Hz、(V)0.0095~0.021 Hz および(VI)0.005~0.0095 Hz
では機能的結合性を評価した. ウェーブレットコヒーレンスとウェーブレット位相コヒーレンスは,それぞれ脳
の接続性の強さと同期を明らかにした.運転前の最後に,前頭前皮質(PFC)および運動皮質(MC)のIV にお
いて有意に低いウェーブレットコヒーレンスレベルが区間I およびIII で見出された.さらに,前頭前皮質では区
間I およびIII で,運動皮質では区間IV で有意に低いウェーブレット位相コヒーレンスが見出された.実験的知
見は,進行性の精神疲労が前頭前皮質における認知機能および前頭前皮質と運動皮質との間の協調メカニズムに
悪影響を与えることを示唆した。

休止状態のfMRIデータを用いた集団の全脳のスーパーボクセルに基づく分割方法

A Supervoxel-Based Method for Groupwise Whole Brain Parcellation with Resting-State fMRI Data
Frontiers in Human Neuroscience 10 (2016)
20170424knakamura

ノードの定義は,人間の脳のネットワーク解析および機能的接続研究において非常に重要な問題である.通常,meta-analysis,ランダムな基準,および構造的な基準から生成されたアトラスは,ネットワーク解析に関連するアプリケーションのノードとして利用されます.しかし,これらのアトラスはもともとそのような目的のために設計されておらず,ネットワーク解析のような目的に対して適切ではないことがある.この研究では,適切な脳アトラスを生成するために全脳静止状態のfMRIデータを分割するために、Normalized Cut(Ncut)およびSimple Linear Iterative Clustring(SLIC)と呼ばれるスーパーボクセル法を組み合わせた.具体的には,接続行列から特徴を抽出するためにNcutを用い,抽出された特徴にSLICを適用して分割を生成した.グループレベルの分割を得るために,平均SLICと2レベルSLICという2つのアプローチを提案する.複数のサイズのスーパーボクセルを生成するために広い範囲でクラスタ数を設定した.2つのSLICアプローチを,空間的連続性,機能的均質性および再現性を含む異なる評価基準の下で3つの最先端アプローチと比較した.我々の研究では,群間再現性および群間再現性の両方を評価した.実験結果では,提案されたアプローチが,異なる重み付け関数,異なるスパース化スキーム,およびいくつかの要因を含む異なる条件において比較的良好なクラスタリング性能を得たことが示された.従って,生成されたアトラスは,ネットワーク解析のためのノードとして利用するのに適している.この研究の生成されたアトラスと主要なソースコードはhttp://www.nitrc.org/projects/slic/で公開されています.