視覚探索トレーニングにおける後頭頂皮質活性の低減

Reduced posterior parietal cortex activation after training on a visual search task
NeuroImage, vol.135, pp.204-213, 2016
20170213 htanaka

認知課題により経験を得ることは, 行動パフォーマンスを向上させ, 脳活動の効率を高めると考えられている. 脳の活性におけるトレーニング効果に関する文献はすでに発表されているが, 十分に統制された条件下での視覚検索時の注意プロセスに関する研究はほとんど行われていない. トレーニング群と統制群に分けられた36 人の健常な成人は, 文字ベースの視覚探索課題を用いたfMRI 研究を一日で完了した.12 文字を目標刺激として,10 文字を妨害刺激として用いた. トレーニング群はスキャンの間に, 目標刺激の半分を用いたトレーニングセッション(840回の試行) を完了した. トレーニング群と統制群の群間比較や被験者内のトレーニングした場合としていない場合の比較を両方行い, 反復効果を制御することによって, トレーニング効果を行動および脳活動レベルで研究した. トレーニング群の参加者は, トレーニングを行った結果として精度スコアを維持したまま反応時間が31 % 速くなったが, 統制群は変化がほとんど見られなかった. 脳活動結果は, 視覚探索トレーニングに関連する脳活動変化が目標刺激を探索するときに後頭頂皮質(PPC) 活性の低減に限定され, それらは後頭領域下部を含んでいることを明らかにした. 得られた行動および脳活動変化は, 自動的な行動パフォーマンス向上に関連づけて議論されている. また, 得られたトレーニング関連領域における活動の減少は, タスクパフォーマンスに関与する主要な部位の神経活動効率の増加に関連する可能性がある.

fMRI と作業記憶タスクによる画像ベースの fNIRS アプローチの検証

Validating an image-based fNIRS approach with fMRI and a working memory task
20170117_sikeda
NeuroImage, Vol.147, pp.204-218, 2016

現在の研究では,脳のボリューム内のボクセル空間に頭表面上のチャネル空間から機能的近赤外(fNIRS)信 号を移動させるための新規な画像再構成アプローチを追加することによって,以前の方法論的パイプラインを拡 張している.2 つのアプローチを用いて視覚ワーキングメモリタスク(VWM)時の機能的磁気共鳴イメージング (fMRI)結果と fNIRS の結果を比較することによって,この方法論を立証する.第 1 のアプローチでは,前頭-頭 頂-側頭皮質の脳領域にわたるすべての実験条件について,fNIRS と fMRI の結果との間に有意なボクセルサイズ の相関が観察された.第 2 のアプローチでは,fNIRS および fMRI 測定で別々の多因子 ANOVA を実施し,共通 関心領域内の主効果と相互作用効果との対応関係について検討した.fMRI と fNIRS 両方に共通して,作業記憶 に保持されている項目の数が増加すると,VWM ネットワーク内での活性化において同様の傾向を示した.これ らの結果は,画像ベースの fNIRS アプローチを確証する.

急性社会心理的ストレス状態における大脳辺縁系の不活性:PET とFMRI からの証拠

DeactivationoftheLimbicSystemDuringAcutePsychosocialStress:EvidencefromPositronEmissionTomographyandFunctionalMagneticResonanceImagingStudies

Biological psychiatry. 2008, vol. 63, no. 2, p. 234-240.

2015.0908.okamura

背景
ストレスによって誘発される代謝変化は有害な健康被害をもたらすことがある.近年発展を続けるニューロイメージング環境下でのストレスを調査できるパラダイムは,ストレスへの認識と代謝反応に関連した脳活動変化の評価を可能にした.
方法
本研究では社会心理的ストレスをPET撮像環境下(n=10)とFMRI撮像環境下(n=40)において実験を行った.
結果
内分泌ストレスマーカーであるコルチゾールの有意な上昇としてストレッサーに反応した被験者において,海馬と視床下部,眼窩前頭皮質,前帯状皮質を含む辺縁系システムの要素の大きな負の活性を観測した.さらに,FMRI実験において,海馬の負の活性の度合いはストレス課題に対するコルチゾールの反応量と相関を示した.
結論
辺縁系の構造はレストやストレスフルでない状況下で活性している可能性が示唆された.辺縁系での活動の縮小はストレスに対する反応の開始のために不可欠なものであるというモデルが提案される.

fMRI 撮像時における成年男性のコルチゾールとBOLD 反応の関係性について

The association between cortisol and the BOLD response in male adolescents undergoing fMRI
Brain research, 2015, vol. 1598, p. 1-11.
MRI の被験者は主観的ストレスと神経内分泌系ストレスを誘発することが示された.近年の研究では,fMRI 撮像時のコルチゾール濃度は認知的パフォーマンスと脳機能に年齢依存的に影響を与えることを示している.この研究では,この年齢依存的影響が青春期にも当てはまるのかについて調査した.唾液内コルチゾールならびに被験者の経験した不安は,セッション中や自宅,fMRI のセッションの前後において,成年男性と成人男性を対比して評価された.両方の年代において,コルチゾール濃度はセッション中と撮像後に比べて,撮像前が大きくなっており,ストレスへの期待と不安が推測される.全体として,ギャンブルタスクのfMRI 撮像中のコルチゾール生成と脳活動の強さの間に負の相関がみられた.成人男性ではなく若い男性において,高いコルチゾール生成は前部帯状回と後部帯状回における強い負活性と関係していた.若い男性ではなく成人男性において,コルチゾールと下頭頂小葉と上前頭回における活性との間に負の相関がみられた.よって,コルチゾールはいくつかの脳領域を不活性にするが,その領域は年齢によって異なった.この調査結果はfMRI 撮像時のコルチゾール生成は困惑させられるものとして認識すべきであり,青年期の発達に伴う脳活動の変化についての分析を進める必要性を示唆した.

2015.0610.okamura

女性か男性かによって, メンタルローテーション課題中における皮質の活性は異なるパターンを示す

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Kirsten Jordana, Torsten Wustenberga, Hans-Jochen Heinzeb, Michael Petersc, Lutz Jancke
Neuropsychologia, Volume 40, Issue 13, 2002, Pages 2397-2408

どの認識課題においても, 男性のような性別の違いが最も強い影響を与えることが, 三次元物体のメンタルロー
テーション課題によって分かった. 多くの研究は, メンタルローテーション課題中の機能的な脳の活性を調査して
いて, 性別の違いがそれらに関与すると述べられている. しかしながら, それらの研究において, 男性と女性とでは
全般的な能力のレベルに違いがあるため, 現実を混乱させる要因となった. 対照的に, 脳の機能的な活性について
の私たちの研究は, 三つのメンタルローテーション課題における全般的な能力に差がなかった男女の皮質の活性パ
ターンについて調査した. これらは, 混乱を与えている全般的な能力のレベルの影響を取り除くこととなった. 女
性は, 頭頂間溝(IPS) と上頭, 下頭頂小葉(SPL,IPL) の両方の活性が, 下側頭回(ITG) と運動前野と同じくらい重
要であると示した. 男性は, 右頭頂後頭溝(POS), 左頭頂間溝(IPS), 左上頭頂小葉(SPL) の活性が重要だと示した.
男性女性の両方において, 運動前野が活性を示したが, 男性はさらに左運動皮質の活性が重要であると示した. 活
性が重要でないのは, 下側頭回であると分かった. 私たちの結果は, 能力が同じときのメンタルローテーション活性
時の, 本当の男女差の脳活性化のパターンの違いを示した. そのような違いは, メンタルローテーション課題の解
決において, 性別によって異なる方法を用いることが示唆される.

急性社会心理的ストレス時における辺縁系のディアクティベーション:PET とfMRI に基づく研究

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Deactivation of the Limbic System During Acute
Psychosocial Stress: Evidence from Positron Emission
Tomography and Functional Magnetic Resonance
Imaging Studies

Biological psychiatry. 2008, vol. 63, no. 2, p. 234-240.

【背景】
ストレスによって誘発された代謝変化は有害な健康被害を与える.ニューロイメージング環境においてストレス
を調査できる新しく開発されたパラダイムは,ストレスに対する代謝的反応と認識に関連した脳活動変化を評価
することが出来る.
【方法】
我々は被験者に対して,PET 環境下(n=10)とfMRI 環境下(n=40)において心理社会的ストレスを曝露し実
験を行った.
【結果】
ストレッサーに対して,ストレスマーカーであるコルチゾールの分泌の増加として反応した被験者において,海
馬や視床下部,眼窩前頭皮質,前部帯状皮質を含む大脳辺縁系の各部位の大きな不活性が見られた.さらに,ス
トレスのタスクに関して,海馬における不活性化の程度とコルチゾールの放出量に相関関係が見られた.
【結論】
観測された大脳辺縁系構造の不活性化はRest やnonstressful 状況間に活性化していた可能性を示唆している.こ
れはストレス応答の開始のためには,大脳辺縁系の不活性化が不可欠であるというモデルを提案した.

DTI とfMRI の統合解析による前頭–頭頂ネットワークにおける白質・灰白質の結合の解明

Combined analysis of DTI and fMRI data reveals a joint maturation of white and grey matter in a fronto-parietal network

本研究の目的は白質の成熟がみられる領野のネットワークがあるか,そして脳活動変化が幼少期における発達傾向と同様の類似性がみられるかの検討である.先行研究では,我々は幼少期に前頭ー頭頂領域における灰白質の脳活動が増加することを示した.我々はこれが白質の成熟によるものであると仮定した.8?18歳の23人の健常な子どもを対象に調査した.ワーキングメモリ課題を行っている間の脳活動をfMRIのBOLD効果を用いて計測した.神経線維はDTIを用いて計測された.DTIデータを基に,我々は髄鞘化と軸索の太さの指標であるFAを算出した.MRIスキャンの前に.ワーキングメモリのスコアを評価した.いくつかの領域において,ワーキングメモリスコアはFA値とBOLD信号のそれぞれに関連していた.FA値とBOLD信号は個々の被験者のそれらの領域のピークボクセルから抽出された.FA値はFA値とBOLD信号とが関連のある脳領域をみつけるために行う,BOLD信号解析に共変量として用いられた.逆に,BOLD信号値はFA値解析のための共変量として用いられた.いくつかの皮質や皮質下において,白質の成熟と脳活動の増加に正の相関があった.特に,我々の仮定を支持する,ワーキングメモリの機能を担うとされている,頭頂溝と下頭頂小葉の灰白質付近に位置するBOLD信号と前頭?頭頂間の白質におけるFA値には正の相関が発見された.

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