スライディングウィンドウ相関は,安静状態のfMRI における動的機能的接続性を明らかにすることが可能か?

Can sliding-window correlations reveal dynamic
functional connectivity in resting-state fMRI?
Neuroimage, vol.127, pp.242-256, 2016
20170619_mnishizawa

ここ数年の間に,安静状態の機能的核磁気共鳴イメージング(fMRI) に関する研究の焦点は,スキャンセッショ ンの期間にわたって平均化された機能的な接続性の分析から,セッション内の機能的な接続の変化の分析にシフト した.いくつかの研究では動的機能的接続性(dFC) の存在が報告されているが,結果の統計的評価は必ずしも健 全な方法で行われるとは限らず,一部の研究では省略さえもある.この研究では,dFC を検出するために適切な統 計的テストが必要な理由を説明し,それらがどのように実行され,dFC 測定のパフォーマンスを評価するかにつ いて説明し,全身麻酔をされたマカクザルと安静状態のヒトにおける血中酸素濃度依存的シグナル(BOLD)fMRI 記録を用いた方法論を説明する.スライディングウィンドウ相関は,dFC の評価で最も広く使用されているので, 主にスライディングウィンドウの相関に焦点を当てるが,最近提案された非線形測定も考慮される.しかし,シ ミュレーションおよび方法論は一般的であり,任意の尺度に適用することが可能である.まず初めに,シュミレー ションを通して,典型的な10 分間の安静状態のセッションでは,スライディングウィンドウ相関を使用してdFCを検出することは不可能であることを,我々は示す.この予測は,マカクザルとヒトの両方のデータによって検証される.個々のレコーディングセッションのいずれも,DFC が見つかった証拠はない. 第2 に,検出パワーは,測定値のセッション平均または主体平均によって大幅に増加させることが可能である.そうすることで,機能的な接続のほとんどが実際には動的であることがわかった.この研究では,適切な統計的方法を使用することによって,DFC の評価における統計的な落とし穴とその回避方法を認識していきたいと考えている.

本質的な機能的結合性MRIに対する頭部運動の影響

The influence of head motion on intrinsic functional connectivity MRI
ScienceDirect, Vol.59, No.1, 431–438, 2012
20170425 sishida

機能的結合性MRI(fcMRI)は集団や個人の違いを探索するために広く適応されている.混乱の要因の一つは頭部の動きである.子供は大人よりも,老人は若者より動きます.そして,患者は健常者よりも動く.頭部の動きは同じ母集団内の個人間でかなり異なる.ここでは頭部運動がfcMRIの推定に及ぼす影響について調査した.1000人の健康な若年成人被験者を3Tで2回の安静時状態をスキャンして頭部の変異の平均,最大値,微小な運動の回数($>$ 0.1mm)および頭部の回転を推定した.被験者間のfcMRIの変化の大部分は頭部の動きと関連はしていなかった.しかしながら,頭部の動きは意義深く,fcMRIネットワーク計測で系統的効果を示した.関連皮質の分布領域間の結合によって特徴づけられる2つのネットワークであるデフォルトと前頭側部制御ネットワークの機能的結合の低下に頭部の動きは関連していた.局所的な機能的結合や左右の運動領域(特異性を確立するための研究で対照として用いられることもある領域対)の結合の推定を含む他のネットワーク測定値は運動とともに増加した.微妙に異なる頭部運動のレベルでの個体の群間比較は他の状況におけるニューロン効果と誤解される可能性のある異なるマップが得られた.集団と個人間の差異を解釈するときに考慮するためにこれらの影響は重要である.

血流動態反応の特徴づけ:相対的なタイミングに基づくプレゼンテーション速度、サンプリング手順、および 指令脳活動の可能性の影響

Characterizing the Hemodynamic Response: Effects of Presentation Rate, Sampling Procedure, and the Possibility of Ordering Brain Activity Based on Relative Timing
NeuroImage,vol.11, no.6, pp.735–759, 2000
20160611 syoshitake
イベント関連の機能的 MRI(ER-fMRI)により血行動態に基づくニューロイメージング方法では,認知の設 定の典型的な行動のタスクのパラダイムを採用することができる.しかし,血行動態応答とその分散の低迷は, ER-fMRI を適用することができる方法を制限する.2 つの関連した研究では、一次視覚と運動野の近くの血行動 態応答の推定値が,ER-fMRI の手順の限界を決定するために,また,より一般的に血行動態の振る舞いを記述す るために,さまざまなパラダイムとサンプリング間で比較された.一般的な血行動態応答の時間的プロファイル は,重複イベントでの線形モデル内の線形方程式のセットを解くことにより,推定された.形状についての仮定で は方程式は解かれなかった.時間プロファイルの推定に続いて,振幅およびタイミングはγ関数を用いてモデル 化された.結果は,(1) 領域内での対象の被験者では,測定値の 1 つのシリーズと次のものでは,血行動態応答は 振幅 (r2 = 0.98) とピークまでの時間推定 (r2 = 0.95) で非常に安定し,ピークまでの時間推定 (r2 = 0.60) でや や低く安定した.(2) 試験の速度を(20 秒の間隔を置いたものから)変更すると,血行動態応答振幅が小さく,し かし優位に減少した.(平均) 間隔が 5 秒の間隔では,20 秒間隔をあけたものに比べて振幅の 17 から 25%までの 減少を示した.信号の強さの解析では,速い速度で試行数の増加が,統計的に信頼性のある応答検出が目的であ る場合,振幅の減少を上回ることが示された.(3)1 領域における血行動態応答の振幅とタイミングの知識はあっ ても,たとえ被験者内比較であっても,別の領域でそれらの特性を予測することはできなかった.(4) 被験者間で, 応答の振幅は,time-to-onset または time-to-peak の推定値といった応答のタイミングのどちらとも、有意な相関 を示さなかった.(5) 領域内での応答の安定性は,応答のタイミングでの相殺が領域間のタイミングの変更につい ての疑問に答える立場に事象関連 fMRI の方法を配置する,第二の方法であることを発見するのに十分であった。

神経活動カップリングにおける一般的な加齢の血流動態反応への影響

The Effect of Normal Aging on the Coupling of Neural
Activity to the Bold Hemodynamic Response
NeuroImage, vol.10, No.1, pp.6-14, 1999
20160518 syoshitake

認知過程の神経基盤における加齢変化に関する試験仮説に対する機能的神経画像の使用は,神経画像信号における神経活動のカップリングに関する仮定に依存している.若者と高齢者間の神経画像信号応答の差は,カップリングが年齢とともに変化していない場合にのみ,神経応答の差異に直接マップすることができる.本稿では、単一反応時間課題のパフォーマンス中に若者や高齢者における一次感覚運動皮質でのBOLDfMRIの血行動態応答の空間的および時間的特性を調べた.我々は若い被験者の100%(N=32)と比較して,高齢者の75%(N=20)は,この領域における行動パラダイムで検出可能なボクセルワイズ関係を示したことがわかった.若年者における閾値上のボクセルの中央値は高齢者の中央値の4倍以上だった.高齢者のボクセルあたりのより大きなノイズレベルに起因し,若者での信号やボクセル当りでのノイズは高齢者よりも大きかった.その証拠は,高齢者において観察されたより大きな頭の動きがこの大きいボクセルでのノイズの原因だったという考えをサポートしていなかった.血行動態応答の形状のいずれか又はそのグループ内での変動制に有意差はなかった,しかし,前者は近くに有意な傾向を証明した.結果により,神経活動とBOLDfMRI信号の間の血流動態カップリングの加齢による変化は,若者と高齢者の比較を行うイメージング研究の単純な解釈に反して起こることが分かった.

複雑なブレインネットワークの構造と機能

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Structure and function of complex brain networks
Dialogues in clinical neuroscience, vol.15, no.3, pp.247-262, 2013
増加している理論的で実験的な研究はネットワークの観点から脳の機能の解明に近づいている.ブレインネット
ワークの解析は新たなイメージング手法や,グラフ理論とダイナミックシステムからなる新たなツールの発展に
よって可能となった.本総説ではこれらの理論的進展のいくつかを概観し,構造的・機能的ブレインネットワーク
の構成に関する最近の知見を要約する.構造的コネクトームの研究はいくつかのモジュールあるいはモジュール
間の伝達処理を仲介するハブ領域によって連結されたネットワークコミュニティを明らかにする.近年のネット
ワーク解析はネットワークハブが収集し,分散するシグナル伝達のために中心的に位置されたリッチクラブとよ
ばれる密に結合された集合体を形成することを示している.レスティングとタスクによる神経活動の記録は,明
確な認知領域における機能に寄与するレスティングステイトのネットワークが明らかにされてきている.ネット
ワーク手法は臨床環境においてさらに適用され,脳と精神障害の神経基盤の解明について議論されている.

大脳皮質のネットワーク構造による多くの時間尺度による機能的結合への影響

Network structure of cerebral cortex shapes functional connectivity on multiple time scales
PNAS Volume 104, 2007, pp10240-10245

大脳皮質により展開されるニューロナルダイナミクスは外部入力がない場合においても,複雑な空間的・時間的パターンを示す.本稿では,我々は構造的結合の基礎となる自発的な皮質のダイナミクスのこれらの特徴を関連づけるための数学的手法を用いる.マカクの新皮質の領域間の結合をとらえるネットワークにおける,非線形ニューロナルダイナミクスの模擬実験や機能的結合を特定するための理論的に計測された情報を用いることによって,我々は多くの時間スケールにおいて構造的・機能的結合の関係を発見した.数分間の神経活動の大きな窓によって取り出される機能的ネットワークは基礎の構造的ネットワークと共通している.結果として,これらの長期にわたる機能的ネットワークのハブは構造的ハブに対応する.一方で,機能的トポロジーの重大な変動は連続した小さな窓によって取り出されるネットワークの順序によって観察される.個々のノードの機能的中心性は領域間の結合移動による時間により異なる.さらに,脳領域間の一時的な結合は二つの相関しないクラスターの存在を示す手法によって調整される.これらのクラスターは基本的な構造的ネットワークにおいてハブノードである,前頭前野と頭頂領域によって結合される.さらに速い時間スケールにおいて,我々は領域間のフェイズロッキングの個々のエピソードを検知し,これらの一時的なエピソードの統計量における遅い変動が機能的結合のトランスファーエントロピーと遅いタイムスケールによって観察されたBOLDの関連パターンを発見した.

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複雑脳ネットワーク:構造的・機能的システムのグラフ理論解析

Complex brain networks: graph theoretical analysis of structural and functional systems

グラフ理論を基盤とする定量的複雑ネットワーク解析の発展は脳内ネットワークに応用されている.脳の構造的・機能的システムは人間のニューロイメージングの全脳スケールや動物の細胞スケールにおいて,スモールワールド性(ハブとモジュラリティが高度に結合する)のような複雑なネットワークの特徴をもつ.本稿では,様々なモダリティ(sMRIやfMRI,DTI,そしてEEG)における複雑脳ネットワークの研究をレビューし,グラフ理論の基礎原理のイントロを紹介する.また,我々はいくつかの技術的挑戦と将来生じるであろう問題を取り上げる.

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