早期胃がんに対する青色レーザーイメージングを用いた拡大内視鏡の診断能力:前向き検討

Diagnostic ability of magnifying endoscopy with blue laser imaging for early gastric cancer: a prospective study
Dohi, O and Yagi, N and Majima, A and Hrii, Y and Kitaichi, T and Onozawa, Y and Suzuki, K and Tomie, A and Tsuchiya, R an others
Gastric Cancer Vol.20 pp.297-303 2017
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“背景 :
青色レーザーイメージング(BLI)は,狭帯域光観察のために開発されたレーザー光源を利用した画像強調内視鏡技術である.本研究の目的は,早期胃癌の診断におけるBLIの有用性を評価することであった.
手法:
この単一施設の前向き研究は530人の患者を分析した.患者は,2012年11月から2015年3月まで,京都府立医科大学の白色(C-WLI)とBLI(M-BLI)による拡大内視鏡検査の両方で検査された.M-BLIには,不規則な微小血管パターンおよび/または不規則な微細表面パターンが含まれ,VSclassificationによるDemarcation Lineが含まれる.病変の生検は,C-WLIおよびM-BLI観察後に行った.この研究の主な目的は,C-WLIとM-BLIの診断性能を比較することである.
結果 :
我々は127の検出された病変(32の癌および95の非癌)を分析した.
M-BLI診断の精度,感度および特異度は,それぞれ92.1,93.8および91.6\%であった.
一方,C-WLI診断の精度,感度,特異度はそれぞれ71.7%,46.9%,80.0\%であった.
結論:
M-BLIは,C-WLIと比較して,早期胃癌の診断能を改善した.これらの結果は,M-BLIの診断有効性は,狭帯域イメージング(M-NBI)を用いた拡大内視鏡検査のそれと同様であることを示唆した.

FICEを用いた拡大内視鏡下粘膜胃癌の定量的同定

Quantitative identification of mucosal gastric cancer under magnifying endoscopy with flexible spectral imaging color enhancement
Journal of gastroenterology and hepatology, Volume 28, Number 5, pp.841–847, 2013
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背景と目標:Flexible Spectral Imaging Color Enhancement(FICE)を用いた拡大内視鏡検査は,胃癌の診断 および臨床的な治療選択肢の決定に有用である.しかし,FICE を使うには学習が必要である.正確なFICE ベー スの診断には,トレーニングと経験が必要である.また客観性が必要である.したがって,胃癌を定量的に同定 することが可能なソフトウェアプログラムが開発された. 手法:高密度にサンプリングされたSIFT ディスクリプタを備えた46 症例の粘膜胃癌の拡大内視鏡画像に対し て,BoF フレームワークが適用された.コンピュータに基づいた所見を組織所見と比較した.ロジスティック回帰 によって胃癌の確率を計算し,システムの感度および特異度を算出した. 結果:平均確率は,癌の画像では0:78  0:25 であり,非癌画像では0:31  0:25 であり,2 つのグループ間で有 意差があった.受信機の動作特性曲線に基づいて最適カットオフ点0.59 を決定した.コンピュータ支援診断シス テムは,85.9%(79/92)の検出精度,84.8%(39/46)の癌診断感度,および87.0%(40=46)の特異性をもたら した. 結論:このシステムのさらなる開発により,FICE で得られた胃腸内視鏡画像を拡大する際の粘膜胃癌の定量的 評価が可能になると考えられる.

胃炎や胃癌を誘発するヘリコバクター・ピロリ菌

Helicobacter pylori-induced gastric inflammation and gastric cancer
Cancer letters, Volume 345, Nomber 2, pp.196–202, 2014
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ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)は,世界の人口の半分以上に感染している.ピロリ菌感染の有病率とピ ロリ菌の病原性因子の主要な遺伝子型は,異なる地理的地域によって大きく異なる. ピロリ菌は,過酷な胃環境に数十年留まり,胃粘膜および胃ホルモン放出パターンにダメージを与え,胃の生理 機能に影響を与える.様々な毒性因子を利用することで,ピロリ菌は宿主の炎症反応を調整し,胃粘膜を攻撃し 始めるために,異なる細胞タンパク質を標的にし,結果的に慢性胃炎や消化性腫瘍を起こす.長期間ピロリ菌に 感染することによって,胃の悪性腫瘍,特に胃がんや胃粘膜関連リンパ組織リンパ腫が生じる.このように,ピ ロリ菌は国際がん研究機関によって発がん物質のクラス 1 として認識されている. ピロリ菌感染と胃の悪性腫瘍の発症に密接な因果関係があるにも関わらず,このプロセスに関与する正確なメ カニズムは解明されていない.過去 20 年間の研究により,ピロリ菌が細胞因子,宿主因子および環境要因間の複 雑な相互作用を介して胃粘膜上において発がん作用を発揮することが明らかにされた.多数のシグナル伝達経路 は,ピロリ菌によって活性化される. 本稿では,ピロリ誘発性胃炎と胃癌の病態生理学的メカニズムにおける最近の動向について詳しく述べる.