画像強調観察は,臨床現場において胃炎の京都分類の診断を改善できるか

Can image-enhanced endoscopy improve the diagnosis of Kyoto classification of gastritis in the clinical setting?
Osamu Dohi, Atsushi Majima, Yuji Naito, Takuma Yoshida, Tsugitaka Ishida, Yuka Azuma, Hiroaki Kitae, Shinya Matsumura, Naoki Mizuno, Naohisa Yoshida, Kazuhiro Kamada and Yoshito Itoh
Digestive Endoscopy 2019, Available online 10 October

胃がんの最も一般的な原因であるヘリコバクターピロリ感染の内視鏡診断は,胃がんの罹患率と死亡率を減ら すために,胃がんになりやすい患者を明確化するので,非常に重要である.最近では,ピロリ菌感染の状態の明確 化や胃がんのリスク要因を評価するために,胃炎に関連したピロリ菌感染の内視鏡初見を元に,胃炎の京都分類が 開発された.最近では,狭帯域イメージング(NBI)を用いた拡大内視鏡は,ピロリ菌に関連した前癌状態の領域 の内視鏡診断の精度や再現性に利点があると報告されている.NBI に加えて,自家蛍光イメージング,blue lazer imaging,そして,linked color imaging などを含めた様々な画像強調観察が利用されている.この評価は,現在 利用可能な IEE の進歩した技術を使用して,京都分類に基づいた胃炎診断を向上させる為の臨床応用や,その対 応する証拠に焦点を当てている.

BLI-brightとLCIを用いたピロリ菌感染のAI診断:一施設が見込んだ研究

Artificial intelligence diagnosis of Helicobacter pylori infection using blue laser imaging-bright and linked color imaging: a single-center prospective study
Hirotaka Nakashimaa, Hiroshi Kawahirab, Hiroshi Kawachic, Nobuhiro Sakakia
Annals of gastroenterology, vol.31(4), pp462-468, 2018

Deep learningは脳のニューラルネットを真似た人工知能の一種である.我々は,BLI-brightとLCIを用いて,ピロリ菌感染を診断するためのAIを生み出した.この社会実験の目的は,内視鏡検査の正答率や生産性を向上させる内視鏡画像を用いて,ピロリ菌感染状態の予測をするAI診断システムの構築であった.計222の被験者(105 はピロリ菌陽性)が上部消化菅内視鏡検査およびピロリ菌IgG抗体の検査が施行された.上部消化菅内視鏡検査中に置いて,内視鏡医はWLI,BLI-bright,LCIを用いて胃の小彎部から3枚の画像を順番に撮影した.EG-L580NW内視鏡装置(富士フィルム)がこの研究では使用された.AIの仕様は次の通りである.OSはLinux,ニューラルネットワークはGoogLeNet,フレームワークはCaffe,GPUはGeforce GTX TITAN X (NVIDIA Co., USA) である.受信者操作特性解析における曲線下面積(AUC)はWLIでは0.66であった.一方で,BLI-brightとLCIのAUCはそれぞれ0.96,0.95であった.BLIとLCIから得られたAUCはかなりWLIより大きかった(P<0,01).結果は,構築したAIはBLI-brightとLCIを用いてピロリ菌感染診断において優秀な能力があることを立証した.画像増強内視鏡を用いたAI技術は有用な画像診断手段となる可能性が高い.

胃粘膜萎縮に関するLCIを用いた客観的内視鏡検査:パイロット研究

Objective Endoscopic Analysis with Linked Color Imaging regarding Gastric Mucosal Atrophy: A Pilot Study
Kazuhiro Mizukami, Ryo Ogawa, Kazuhisa Okamoto, Mitsutaka Shuto, Kensuke Fukuda, Akira Sonoda, Osamu Matsunari, Yuka Hirashita, Tadayoshi Okimoto, Masaaki Kodama, and Kazunari Murakami Gastroenterology Research and Practice, Volume 2017, pp.1–7, 2017
20171214 yokada

目的:我々は,粘膜色の微妙な違いを強調する新しい画像強調内視鏡であるLinked Color Imaging(LCI)が,内視鏡粘膜萎縮の境界を識別可能かを判断することを目的とした.手法:この研究には,萎縮性胃炎を有する30人の患者を用いた.内視鏡検査では,LCIとWhite Light Imaging(WLI)の両方で同じ構図の画像を連続的に撮影した.各画像において,萎縮性および非萎縮性の粘膜の色彩値は,International Commission on Illumination 1976(L,a,b)色空間を用いて定量化した.萎縮性粘膜と非萎縮性粘膜の間の色彩値のユークリッド距離として定義した萎縮性境界における色の差異は,WLIとLCI間で全患者について比較し,ヘリコバクターピロリ感染状態の患者について別個に比較した.結果:我々は,30人の患者の90点全体のサンプルにおいて,LCIにおいて色差がWLIより有意に高かったことを明らかにした.LCIは14.79±6.68であり,WLIは11.06±5.44であった(P<0.00001).LCIはまた,ヘリコバクター・ピロリ感染群(P=0.00003)およびヘリコバクター・ピロリ除菌群(P=0.00002)の両方において,より有効であった.結論:LCIは,ヘリコバクターピロリ感染状態にかかわらず,胃炎の様々な状態下での萎縮性境界の明確な内視鏡的視覚化を可能にする.

LCI によるピロリ菌感染内視鏡診断の改善

Linked color imaging improves endoscopic diagnosis of active Helicobacter pylori infection
Endoscopy International Open, Volume 4, Nomber 7, pp.800–805, 2016
20160928 yokada

研究背景と目的:LCI 画像は,粘膜の色のわずかな違いを高めるために,レーザー光源を使用して画像を強調 する新しい内視鏡検査法である.本研究の目的は,ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)を診断するための LCI と従来の白色光イメージング(WLI)内視鏡検査の有用性を比較することである. 患者と手法:2013 年 10 月から 2014 年 5 月において,60 名について LCI と WLI を用いて画像の分析を行った. 30 名はピロリ菌に感染しており,残りの 30 名は除菌治療後陰性となった検体である.また 4 名の内視鏡医によ り,2 つの画像を用いてピロリ菌感染診断に有用な画像の検討を行った. 結果:胃底腺粘膜の赤味を強調する LCI によって,ピロリ菌感染を発見することが可能となった.WLI を用い た時の正確度,感度,特異度はそれぞれ 74.2%,81.7%,66.7%となった.一方で,LCI を用いた時の正確度,感 度,特異度はそれぞれ 85.8%,93.3%,78.3%となった.したがって,LCI の正確度と感度において WLI より有意 に高くなることが分かった.また 4 人の内視鏡医間の k 統計値は WLI に比べて LCI において高くなることが分 かった. 結論:ピロリ菌感染は,LCI により胃底腺のびまん性発赤の内視鏡画像を強調することにより発見することが 可能となることが分かった.新しい画像強調内視鏡である LCI は WLI に比べて,ピロリ菌感染診断において有用 であることが分かった.

胃炎や胃癌を誘発するヘリコバクター・ピロリ菌

Helicobacter pylori-induced gastric inflammation and gastric cancer
Cancer letters, Volume 345, Nomber 2, pp.196–202, 2014
20160803 yokada

ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)は,世界の人口の半分以上に感染している.ピロリ菌感染の有病率とピ ロリ菌の病原性因子の主要な遺伝子型は,異なる地理的地域によって大きく異なる. ピロリ菌は,過酷な胃環境に数十年留まり,胃粘膜および胃ホルモン放出パターンにダメージを与え,胃の生理 機能に影響を与える.様々な毒性因子を利用することで,ピロリ菌は宿主の炎症反応を調整し,胃粘膜を攻撃し 始めるために,異なる細胞タンパク質を標的にし,結果的に慢性胃炎や消化性腫瘍を起こす.長期間ピロリ菌に 感染することによって,胃の悪性腫瘍,特に胃がんや胃粘膜関連リンパ組織リンパ腫が生じる.このように,ピ ロリ菌は国際がん研究機関によって発がん物質のクラス 1 として認識されている. ピロリ菌感染と胃の悪性腫瘍の発症に密接な因果関係があるにも関わらず,このプロセスに関与する正確なメ カニズムは解明されていない.過去 20 年間の研究により,ピロリ菌が細胞因子,宿主因子および環境要因間の複 雑な相互作用を介して胃粘膜上において発がん作用を発揮することが明らかにされた.多数のシグナル伝達経路 は,ピロリ菌によって活性化される. 本稿では,ピロリ誘発性胃炎と胃癌の病態生理学的メカニズムにおける最近の動向について詳しく述べる.

標準的な内視鏡検査による胃粘膜の観察からのピロリ菌感染状況の予測

Close observation of gastric mucosal pattern by standard endoscopy can predict Helicobacter pylori infection status
Journal of Gastroenterology and Hepatology, Volume 28, pp.279-284, 2013
20160524 yokada

背景と目的 ヘリコバクター・ピロリ菌に感染した胃における一般的な内視鏡所見には,前庭部結節や粘膜のひだ,胃粘膜 下血管が含まれる.これらの所見は際どいが,ピロリ菌感染症の診断ではない.拡大内視鏡検査は,ピロリ菌に 感染した胃の中で,より正確に異常な粘膜のパターンを強調することが可能である.しかし,その診断にはより 多くの経験や専門知識,時間を必要とする.そこで,標準的な内視鏡検査において拡大せずにピロリ菌に感染し た胃の状況を予測するための新しい分類を確立することを目的とする. 手法 2011 年 8 月から 2012 年 1 月に胃内視鏡検査を受けた 617 名の患者を使用した.内視鏡の先端と粘膜表面との 間に 10mm 以下の大きな曲率を維持しながら胃のクローズアップ検査を慎重に行った.そして我々はピロリ菌感 染の状態を予測するために,静脈の通常の規則的な配置(多数の微細な赤い点),モザイク状の外観(タイプ A, 膨れた部分の小窩や蛇行状の外観),均一な赤み(タイプ B),典型的でないパターン(タイプ C,溝が存在する 不規則な赤み)の 4 つのカテゴリに胃粘膜のパターンを分類した. 結果 静脈パターンとタイプ A,B,および C のパターンを持つ通常の規則的な配列を有する患者におけるピロリ菌 感染の比率は,それぞれ 9.4%,87.7%,98.1%および 90.9%であった.ピロリ菌感染の予測のための異常パターン の感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率はそれぞれ 93.3%,89.1%,92.3%および 90.6%となった.全体的な精 度は 91.6%であった. 結論 標準的な内視鏡検査による胃粘膜パターンの慎重なクローズアップ観察は,ピロリ菌の感染状況を予測するこ とが可能である