ヒトにおける感情知覚の一般的な神経相関

Common neural correlates of emotion perception in humans
Jastorff, Jan and Huang, Yun-An and Giese, Martin A and Vandenbulcke, Mathieu
Human brain mapping, Vol.36, pp.4184-4201, 2015
20180130 sikeda

神経イメージングの結果が感情カテゴリの識別可能な神経相関を支持するかどうかは長年にわたる論争である. 最近の 2 つのメタアナリシスでは,この命題に対して一方は支持,他方は反対といった正反対の結論に達した.こ の問題に関する直接的な証拠を得るため,単一の fMRI デザイン内で 4 つの感情の活性の比較を行った.怒り狂っ た,幸せな,恐ろしい,悲しいそして中立的な刺激が動的な身体表現として提示された.加えて相対的な感受性を 決定するために,被験者は行動実験によって中立的な感情と情動性感情との間の感情形態の分類を行った.脳行 動相関は,試験された 4 つの感情すべてにおいて同一であった大きな脳内ネットワークを明らかにした.この脳 内ネットワークは主に,デフォルトモードネットワークおよびセイリエンスネットワーク内に位置する領域から なっていた.4 つの感情について脳行動相関を示すにも関わらず,マルチボクセルパターン分析はこの感情ネット ワークのいくつかのノードが,個々の感情を区別することが可能である情報を含んでいることを示した.しかし有 意差は感情ネットワークに限定されず,行動観察ネットワーク内のいくつかの領域でも確認された.まとめると本 研究結果は,共通の感情的な脳内ネットワークは視覚処理と感情的な刺激の差別を支持している立場に賛成する.

異なるストレスタスクに対する唾液内α-アミラーゼとコルチゾール応答と性差について

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Salivary alpha amylase and cortisol responses to
different stress tasks:Impact of sex

International Journal of Psychophysiology. 2008, vol. 69, no. 1, p. 33-40.

α-アミラーゼ(sAA)やコルチゾール(CORT)のような神経分泌マーカーは,ストレス状況へのヒトの反応を
立証することにおいて,重要な役割を果たす.sAA レベルは交感神経系の活動を反映するが,唾液内コルチゾール
はHPA 軸の活動を計測することにおいて,重要であるように思われる.多くの研究では,ストレス反応時のsAA
やCORT の応答を検討するが,これらのシステムの相互作用,特にこの両方のシステムが活性化される場合の検
討は行われていない.さらに,CORT 応答の性差は比較的よく調査されている.しかし,sAA レベルの反応や性
差について,また両システムの相互的なシステムについては一義的な結論に至る研究は行われていない.本研究
では,健康な80 人の被験者に対して,回避的な絵付けタスクと寒冷昇圧タスクの2 つのタスクを与えた.2 つ目
のタスクはコントロールタスクと比較した.1 つ目のタスクのsAA レベルの上昇反応が2 つ目のタスクのCORT
反応と同様の反応になると期待し,2 つの反応の間の相互作用を調査した.結果,コルチゾールの反応は寒冷昇圧
タスクのときのみに観測されたが,sAA レベルは心理的,肉体的な両タスクに対して敏感なマーカであることが
示唆された.本研究において全ての実験を通して,男性のsAA レベルは女性に比べて高いレベルだった.しかし,
これらのタスクへの反応は男女で比較可能であった.sAA とCORT の反応の間に強い相関はみられなかった.

健康な若年成人における心理的ストレスが唾液内コルチゾール,アミラーゼに及ぼす影響

Effect of psychological stress on the salivary cortisol and amylase levels in healthy young adults
Clinica Chimica Acta 427 (2014) 79-85 Archives of Oral Biology, Volume 49, Issue 12, December 2004, Pages 963-968

目的唾液採取は,複数のサンプリングが容易でストレスがないこと,非侵襲性であるという利点を有する.私たちは若年成人における,心理的ストレスと緩和が唾液内コルチゾールとアミラーゼに及ぼす影響を検討し,これらのパラメータの特徴を比較した.デザイン被験者は個人的な不安の要素を評価するためにState-TraitAnxietyInventory(STAI)を行った.ストレッサーとして15分間,角膜移植手術ビデオを見せた.緩和として風光明媚な美しさのビデオを見せた.未刺激全唾液をセッション全体を通して3分毎に採取した.結果アミラーゼレベルはストレスフルなビデオの視聴開始後すぐに有意に上昇し,視聴終了後すぐにストレス前のレベルに戻った.コルチゾールレベルも増加したが,アミラーゼと比較すると少なかった.コルチゾールのピークレベルに達するまでの時間はアミラーゼより長かった.キャリーオーバー効果はアミラーゼ応答では観察されたが,コルチゾールではされなかった.アミラーゼの値とSTAIの得点には非常に優位な相関がみられたが,コルチゾールにはみられなかった.さらに,緩和ビデオの視聴はアミラーゼレベルを有意に減少させたが,コルチゾールレベルには影響を及ぼさなかった.結論唾液内アミラーゼレベルはコルチゾールに比べて,心理的ストレスに対してより大幅に増加し,迅速に反応した.唾液内アミラーゼレベルの方がよりよいストレス指標であることが示唆された.さらに,酵素が緩和やリラックスの指標であることが示唆された.

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