同時近赤外分光法により測定された協調作業中の2 人のprefrontal cortices の同期活動

Synchronous activity of two people ’s prefrontal cortices during a cooperative task measured by simultaneous near-infrared spectroscopy
Journal of biomedical optics, vol.16, no.7, pp. 077011, 2011
20170902 mmizuno
社会過程の一つである協力中の脳活動を検討した.我々は,複数の参加者の同時に起きる脳活動とその協調作 業のパフォーマンスとの関係を調査した.2 人の参加者の脳活動を同時に測定するために,wearable near-infrared spectroscopy (NIRS) システムが用いられた.参加者の各ペアは協調作業を行い,NIRS システムにより脳血流量 の相対的変化を測定するする.タスクとして,聴覚的な合図の後,参加者は心の中で10 秒を数え,ボタンを押す よう指示された.また,ボタンを押すタイミングを調整してできるだけ同期させるように指示された.各参加者の 2 つのボタンプレスと参加者のどちらが速いかの情報,すなわち「intertime interval」は,各試行後にビープ音に よって参加者にフィードバックされる. 各参加者のprefrontal cortices の活性パターン間の時空間共分散が高い場合,それらのボタンプレス時間の間の 時間間隔はより短かった. この結果は,2 人の参加者の脳の同期化された活性パターンが,協調作業において相互作用するときのパフォー マンスと関連していることを示唆している.

神経科学における新しい手法のアプローチ:functional near-infrared imaging ハイパースキャニングを用いた対 人間の脳の結合の評価

A new methodical approach in neuroscience assessing
inter-personal brain coupling using functional
near-infrared imaging (fNIRI) hyperscanning
Frontiers in human neuroscience, vol.7, 2013
20170803 mmizuno

10 年ほど前にfunctional magnetic resonance imaging (fMRI) を用いて2 人の被験者の脳活動を同時に計測す
る手法が初めて試されて以来,神経科学の新たなパラダイムが確立された.これは,「ハイパースキャニング」と呼
ばれ,2 人以上のヒトの脳活動を同時に計測する手法のことである.ハイパースキャニングによるアプローチは相
互作用による脳と脳の結合の基礎となる対人間の脳のメカニズムを明らかにする可能性があると期待される.こ
れらのメカニズムは実際の社会的相互作用中にも関係があり,1 人の被験者の計測では補うことができない.特に
functional near-infrared imaging(fNIRI) は費用対効果が高く,自然な状況での対人間の相互作用を計測すること
が容易であり,信頼できる有望な新しい技術である.この短いレビューでは,これまでに発表されたfNIRS ハイ
パースキャン研究について報告し今後の研究の可能性と課題をまとめる.

ハイパースキャニング研究への実験的アプローチとしての音楽演奏

Music Performance As an Experimental Approach to
Hyperscanning Studies
Frontiers in human neuroscience, vol.10, pp.2337-2352, 2016.
20170709 mmizuno

人間は基本的に社会的であり,お互いに交流するときに新しい組織を作り出す傾向があります.それらはダイ
アドから家族,小グループ,大グループ,社会,文明にまで至る.人間の社会的行動の神経基盤の研究は現在,社
会的神経科学の若い世代で勢いを増している.ハイパースキャニングは,被験者が互いに相互作用している間の2
つ以上の脳を同時に研究することができる神経イメージング技術である.本稿の目的は,ハイパースキャニング
実験を設計する上で重要と考えるいくつかの要因について検討することである.まず,持続的な相互作用の模範
となるEEG によるハイパースキャニング研究について述べる.次に,生態学的な基盤、社会的相互作用の感情的
要素の研究,縦断研究について議論する.後者2 つの側面は社会科学における最重要な要素にもかかわらずハイ
パースキャン研究の文献ではほとんどが無視されている.これらの前提に基づいて,我々は音楽演奏はハイパー
スキャンにおいて適切な実験設定であり,EEG はイメージング装置として適切であると提案する.

NIRS を用いたハイパースキャンによる対面コミュニケーションを伴う協調ジェンガゲーム中の脳内神経同期の 解明

NIRS-Based Hyperscanning Reveals Inter-brain Neural Synchronization during Cooperative Jenga Game with Face-to-Face Communication
Frontiers in human neuroscience, vol. 10, 2016
20170320 mmizuno

機能的近赤外分光法(fNIRS)は、社会的認知を研究するためのますます普及している技術である.特に,fNIRSは,自然な状況で相互作用する2人以上の個体における血流変化を同時測定することが可能である.ここでは,fNIRSハイパースキャンを使用して、Jengゲーム中の協調的および妨害的な2者間の相互作用における社会的認知およびコミュニケーションを研究した.それぞれのペアについて同期化されたチャネルを識別するための新規の手法を開発し,構造間ノードベースの空間レジストレーションアプローチによる2者間解析を用いた.
協調的および妨害的相互作用の間に、右中および前頭前部の後部領域、特にBrodmann領域8(BA8)において強い脳間神経同期(inter-brain neural synchrony:INS)が観察された.この同期性は,パラレル・ゲームのプレイ条件とダイアログ・セクションでは見られず,複雑なインタラクティブな動きや社会的意思決定などのゴール指向のソーシャル・インタラクションにBA8が関与していたことが示唆される. INSは,協調的相互作用のみの間に,背前頭前頭皮質(dmPFC),特にBrodmann 9においても観察された.これらのことから,協調的な社会的相互作用のために心の理論(theory-of-mind:ToM)が必要とされる場合,BA9が特に関与している可能性があることを示唆している.ここに記載されている新しい手法は,fNIRSアプリケーションを社会的認知研究に大きく拡張する可能性を秘めている.

社会的相互作用における「ツーインワン」システムを明らかにするためのハイパースキャニング・ニューロイ メージング技術

Hyperscanning neuroimaging technique to reveal the ”two-in-one” system in social interactions
Neuroscience research, vol.90, pp.25-32, 2015
20161123 murakami

ハイパースキャニングと呼ばれる 2 人の脳活動を同時に測定する技術を使用することで,個人間の相互作用に のみ現れる脳内神経効果を計算することが可能である.fMRI を用いたハイパースキャニング研究は,脳内効果に 関与する領域を正確に決定できる点で有利である.しかし,日常生活の脳内の影響を記録することはほとんど不 可能である.対照的に,EEG のハイパースキャニング研究は高い時間分解能を有しているため,瞬時の相互作用 を捉えることができる.さらに,EEG 計測器は持ち運び可能で使いやすいため,日々の生活の中で脳内の影響を 記録することに使用できる.しかしながら,このアプローチの欠点は,脳内効果を局在化することである.fNIRS は,fMRI よりも時間分解能と持ち運びに優れているが,空間分解能が限られており,脳の深部構造を記録する能 力が限られている.将来の研究では,超高速撮影 EEG-fMRI を使用すべきである.なぜなら,脳波の高い時間分 解能と fMRI の高い空間分解能とを組み合わせているためである.EEG-fMRI を用いたハイパースキャンは,日 常生活における社会的相互作用の特性の神経マーカーとして脳内の効果を使用することを可能にする.また,2 つ の脳が同期活動をどのように示すことができるかを説明する数学的モデルを開発する必要性がある.

協調時に脳活動の同期は,パートナーの性別に依存する:fNIRS ベースの Hyperscanning 研究

Synchronous Brain Activity during Cooperative Exchange Depends on Gender of Partner: A fNIRS-based Hyperscanning Study
Human Brain Mapping, vol.36, no.6, pp.2039-2048, 2015
20151110 murakami

今までの研究では,協調作業時にパートナー間の脳活動が同期していることが示されている.この神経同期がパートナーの性別に依存するかどうかを検討する必要がある.現在の研究では,脳-脳の相互作用を評価しながら,2人で行うゲーム(女性-女性,女性-男性,男性-男性)においての協調を検討するためにfNIRSベースのhyperscanningを用いている.協調は,女性同士のペアよりも男性同士のペアの方が大きく,男女のペアは中間的な協調のレベルだった.さらに,異なる性別(女性-男性)間の相互作用では前頭部で大きなタスク関連のコヒーレンスを見出した.同じ性別(女性-女性,男性-男性)間の相互作用ではそのような同期は関連していなかった.その上,課題区間の間脳コヒーレンスの変化が,男女の相互作用でのみ協調度合いの変化に多く関連している.これらのことは,男女混合と同じ性別同士の相互作用において,異なる神経プロセスが協調の根底にあることを示している.

社会的行動から脳の同期について: hyperscanning におけるレビューと展望

From social behaviour to brain synchronization: Review and perspectives in hyperscanning
Irbm, vol.32, no.1, pp.48-53, 2011
20151012 murakami

近年,神経科学の分野では「hyperscanning」と呼ばれる神経画像技術の使用に特に注目が集まっている.この新しい技術は,複数人の被験者の血行動態または神経活動の同時計測である.この小さな技術のステップには大きな方法論の飛躍がある.正しいパラダイムが実装されている場合,社会的認知の理解における画期的な洞察を実現しなければならない.最近,この技術の可能性を表す研究が増えている.本稿で私たちはhyperscanningを利用して脳研究の現在の問題と展望に焦点を当てている.またLineGarneroによる2つの研究を付け足している.これらの研究は,社会相互作用に関する2つの異なる現象を通してhyperscanningの可能性について説明している.

NIRS 同時計測は協力中に前頭皮質で対人コヒーレンスの増加を明らかにする

NIRS-based hyperscanning reveals increased interpersonal coherence in superior frontal cortex during cooperation
NeuroImage, vol.59, no.3, pp.2430-2437, 2012

20150917 murakami

我々は,横に並んでコンピュータベースの協力ゲームを行う時の2人の脳活動を同時計測する際にNIRSを使用した.脳活動のコヒーレンスは2人の参加者間で計算された.参加者の右の上前頭皮質によって形成された信号間のコヒーレンスが競争中ではなく,協力中に増加することが分かった.また,増加されたコヒーレンスはより良い協調のパフォーマンスに関連していた.我々の知る限り,この作業は,NIRSにおける2人の同時計測の最初の使用を表している.本研究は,自然環境での社会的相互作用の研究におけるNIRSベースの同時計測方法を示している.