アイコンタクト時に脳内および脳をまたいで同期する前頭側頭-頭頂システム

Frontal temporal and parietal systems synchronize within and across brains during live eye-to-eye contact
Hirsch, Joy and Zhang, Xian and Noah, J Adam and Ono, Yumie
Neuroimage, Vol.157, pp.314-330, 2017

機能的脳画像データの本質的に多変量の性質は,解剖学的に異種の脳領域が認知課題時にどのように相互作用 するかを探究する機会を与えている.イベント関連の機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)データを用いて脳領 域間相互作用を特徴付ける新しい手法を示す.本手法の主な利点は,既存の分析技術に比べて認知課題の明確な 段階の間に脳領域間の機能的接続性をモデル化することである.本手法は,一般化線形モデル(GLM)における 個々の試行の各段階で誘発された脳活動をモデル化するために別々の共変量を用いることによって実装されてい る.得られた GLM パラメータ推定値である β 値は,その値が導出された段階に従ってソートされ,段階固有の β 系列のセットを形成する.ある段階で β 系列が相関する領域は,その段階で機能的に相互作用していると推測 される.試行間の β 値の相関変動は機能的接続性を示唆するという仮定を検証するため,タッピングタスクを 2 回行ったイベント関連の fMRI データセットにこの方法を適用した.以前の電気生理学的研究および fMRI のコ ヒーレンス研究と一致して,本研究では二者間のより大きな協調を必要とする課題では 2 つの半球の運動領域間の より強い相関を引き起こすことを見出した.本手法は,被験者が遅延認識課題を行ったイベント関連の fMRI デー タセットにも適用した.この課題の段階では明確な機能的接続マップが生成され,認知課題の各段階でニューラ ルネットワークの重要かつ新規な観察が得られることを示している.

第三者の罰による複数脳の接続性:脳波ハイパースキャニング研究

Multiple-Brain Connectivity During Third Party Punishment: an EEG Hyperscanning Study
A. Ciaramidaro, J. Toppi, C. Casper, C. Freitag, M. Siniatchkin and L. Astolfi Scientific reports, vol. 8, no. 1, p.6822, 2018.

“同情は,他者の苦しみに対する特有の感情的反応であり,苦しみを和らげたいという願望を伴う.この利他的行動は,たとえ見知らぬ人であっても,非難された人の行動にペナルティが課される利他的な罰によって明らかにされる.
我々は,2種類の手法を適用することによって,同情が多面的な社会的行動であり,利他的な罰を予測可能であるという実証的証拠を与えた.特に,脳波ハイパースキャニングによる複数脳の接続性の研究によって,第三者の罰(third-party punishment:TPP)実験におけるリアルタイムな社会的相互作用時の同情を調査した.我々は,個人および対人間の行動および心理的な要因と特有の接続パターンの関係を明らかにした.したがって,本稿の結果は,同時計測および複数脳の接続性に基づく生態学研究が複雑な社会現象の分析に適していることを示唆する.”

競争時の脳:fNIRSを用いたハイパースキャニングによる認知力の向上と脳間カップリング

Brains in Competition: Improved Cognitive Performance and Inter-Brain Coupling by Hyperscanning Paradigm with Functional Near-Infrared Spectroscopy
Balconi, Michela and Vanutelli, Maria E Frontiers in behavioral neuroscience, vol.11, p.163, 2017.

脳のハイパースキャニングは,2人の被験者による競争課題に適用された.機能的近赤外分光法(fNIRS)および認知能力は,共同作業中の被験者(14ペア)間の脳間および認知戦略の類似性によって調査された.我々は,共同作業と競争によって脳間カップリングの増加と認知力の向上が示唆した.被験者の間の直接的な相互作用と観察されるパフォーマンスの外部フィードバック(実験的に誘発された架空のフィードバック)は,エラー率(ER)および応答時間(RT)の低下という認知能力に影響を及ぼすと考えられた.また,fNIRSの測定値(オキシヘモグロビン)は,前のフィードバック条件よりも後のフィードバックの条件において,前頭前皮質(PFC)における脳活動の増加を明らかにした.さらに,課題中の被験者ペアの脳活動の類似性はより高く,前フィードバック条件よりも後フィードバック条件において高かった.最後に,右半球において前頭部の有意な増加が観察された.実際,右のPFCは,後のフィードバック条件において,被験者ペア内で類似する応答性がみられた.共同作業および競合課題は,これらの認知能力の向上,ペア間の脳の同期した応答性のおよび左右機能分化効果(負の感情)を説明した.

社会的リスクのある意思決定はTPJ における男女差を明らかにする:fNIRS を用いたハイパースキャンイング の研究

Social risky decision-making reveals gender differences in the TPJ A hyperscanning study using functional near-infrared spectroscopy
Zhang, M., Liu, T., Pelowski, M., Jia, H., and Yu, D.
Brain and cognition, vol. 119, pp. 54-63, 2017

これまでの神経科学研究では,擬似社会的(主に非対面)の文脈における単一脳のフレームにおけるリスクのある意思決定の神経相関が調査されてきた.より自然な社会的相互作用における行動リスクのある意思決定を完全に理解するため,本研究ではfNIRS ハイパースキャニング技術を使用して,対面式のギャンブルカードゲームにおける参加者ペアの前頭-側頭の活動を同時に測定した.脳内の結果は,男性と女性ともに,mPFC および前頭極領域の下位部分ならびに側頭頭頂接合部(TPJ)において,低いリスクに対して高いリスクの場合により高い活性を示した.これは,意思決定タスクにおけるメンタライジングネットワークの重要性を示唆する以前の知見と一致している.脳間神経同期(INS)のfNIRS の結果は,男性および女性がmPFC およびdlPFC における脳間コヒーレンスの増加することも示唆した.女性に限り左のTPJ において脳間コヒーレンスが増加したことを示した.このINS の結果は,社会的相互作用において危険な決定をするとき,男性は非社会的認知能力に主に依存し,女性は社会的および非社会的認知能力の両方を使用することを示唆している.人間の相互作用と2 者の神経科学の一般的なトピックスについても同様に議論している.

fNIRSを用いたハイパースキャニングにより明らかにされた協力時の神経と行動特性における性差

Sex differences in neural and behavioral signatures of cooperation revealed by fNIRS hyperscanning
J.M. Baker, N. Liu, X. Cui, P. Vrticka, M. Saggar, S.H. Hosseini and A.L. Reiss
Scientific reports, vol. 6, Article 26492, 2016

複数の分野の研究者は性別がどのようにして人間の社会的行動を適度なものにしているのかを理解をしようと努めてきた.50年以上の研究が男性と女性の協力的な行動における違いを明らかにした一方で,これらの性別の違いの根本にある神経的関係は説明されていない.この謎の欠如した基本的な要素は,相互作用する二者の性別の構成が協力時の脳と行動にどのように影響を与えているのかについて理解することである.同性および異性の111組のペアにfNIRSに基づいたハイパースキャニングを用いることで,私たちはコンピュータベースの協力作業に関わる,行動と神経の性別に関連する有意な差異を特定した.少なくとも1人の男性を含むペアは,女性同士のペアよりも有意に高い行動成績を示した.個々の男性と女性は右前頭極と右下前頭皮質において有意な活性を示した.ただし,この活性は男性と比較して女性においてより大きかった.女性同士のペアは右側頭皮質で有意な脳間コヒーレンスを示した一方,男性同士のペアにおける有意なコヒーレンスは右下前頭前皮質で生じた.有意なコヒーレンスは異性のペアではみられなかった.最後に,同性のペアでのみで,タスク関連の脳間コヒーレンスが協力タスクの行動成績と正の相関を示した.私たちの結果は,神経と行動の協力時の同時的特性に関して複数の重要かつ以前見つかっていなかった性別の影響を強調する.

同時近赤外分光法により測定された協調作業中の2 人のprefrontal cortices の同期活動

Synchronous activity of two people ’s prefrontal cortices during a cooperative task measured by simultaneous near-infrared spectroscopy
Journal of biomedical optics, vol.16, no.7, pp. 077011, 2011
20170902 mmizuno
社会過程の一つである協力中の脳活動を検討した.我々は,複数の参加者の同時に起きる脳活動とその協調作 業のパフォーマンスとの関係を調査した.2 人の参加者の脳活動を同時に測定するために,wearable near-infrared spectroscopy (NIRS) システムが用いられた.参加者の各ペアは協調作業を行い,NIRS システムにより脳血流量 の相対的変化を測定するする.タスクとして,聴覚的な合図の後,参加者は心の中で10 秒を数え,ボタンを押す よう指示された.また,ボタンを押すタイミングを調整してできるだけ同期させるように指示された.各参加者の 2 つのボタンプレスと参加者のどちらが速いかの情報,すなわち「intertime interval」は,各試行後にビープ音に よって参加者にフィードバックされる. 各参加者のprefrontal cortices の活性パターン間の時空間共分散が高い場合,それらのボタンプレス時間の間の 時間間隔はより短かった. この結果は,2 人の参加者の脳の同期化された活性パターンが,協調作業において相互作用するときのパフォー マンスと関連していることを示唆している.

神経科学における新しい手法のアプローチ:functional near-infrared imaging ハイパースキャニングを用いた対 人間の脳の結合の評価

A new methodical approach in neuroscience assessing
inter-personal brain coupling using functional
near-infrared imaging (fNIRI) hyperscanning
Frontiers in human neuroscience, vol.7, 2013
20170803 mmizuno

10 年ほど前にfunctional magnetic resonance imaging (fMRI) を用いて2 人の被験者の脳活動を同時に計測す
る手法が初めて試されて以来,神経科学の新たなパラダイムが確立された.これは,「ハイパースキャニング」と呼
ばれ,2 人以上のヒトの脳活動を同時に計測する手法のことである.ハイパースキャニングによるアプローチは相
互作用による脳と脳の結合の基礎となる対人間の脳のメカニズムを明らかにする可能性があると期待される.こ
れらのメカニズムは実際の社会的相互作用中にも関係があり,1 人の被験者の計測では補うことができない.特に
functional near-infrared imaging(fNIRI) は費用対効果が高く,自然な状況での対人間の相互作用を計測すること
が容易であり,信頼できる有望な新しい技術である.この短いレビューでは,これまでに発表されたfNIRS ハイ
パースキャン研究について報告し今後の研究の可能性と課題をまとめる.

ハイパースキャニング研究への実験的アプローチとしての音楽演奏

Music Performance As an Experimental Approach to
Hyperscanning Studies
Frontiers in human neuroscience, vol.10, pp.2337-2352, 2016.
20170709 mmizuno

人間は基本的に社会的であり,お互いに交流するときに新しい組織を作り出す傾向があります.それらはダイ
アドから家族,小グループ,大グループ,社会,文明にまで至る.人間の社会的行動の神経基盤の研究は現在,社
会的神経科学の若い世代で勢いを増している.ハイパースキャニングは,被験者が互いに相互作用している間の2
つ以上の脳を同時に研究することができる神経イメージング技術である.本稿の目的は,ハイパースキャニング
実験を設計する上で重要と考えるいくつかの要因について検討することである.まず,持続的な相互作用の模範
となるEEG によるハイパースキャニング研究について述べる.次に,生態学的な基盤、社会的相互作用の感情的
要素の研究,縦断研究について議論する.後者2 つの側面は社会科学における最重要な要素にもかかわらずハイ
パースキャン研究の文献ではほとんどが無視されている.これらの前提に基づいて,我々は音楽演奏はハイパー
スキャンにおいて適切な実験設定であり,EEG はイメージング装置として適切であると提案する.

NIRS を用いたハイパースキャンによる対面コミュニケーションを伴う協調ジェンガゲーム中の脳内神経同期の 解明

NIRS-Based Hyperscanning Reveals Inter-brain Neural Synchronization during Cooperative Jenga Game with Face-to-Face Communication
Frontiers in human neuroscience, vol. 10, 2016
20170320 mmizuno

機能的近赤外分光法(fNIRS)は、社会的認知を研究するためのますます普及している技術である.特に,fNIRSは,自然な状況で相互作用する2人以上の個体における血流変化を同時測定することが可能である.ここでは,fNIRSハイパースキャンを使用して、Jengゲーム中の協調的および妨害的な2者間の相互作用における社会的認知およびコミュニケーションを研究した.それぞれのペアについて同期化されたチャネルを識別するための新規の手法を開発し,構造間ノードベースの空間レジストレーションアプローチによる2者間解析を用いた.
協調的および妨害的相互作用の間に、右中および前頭前部の後部領域、特にBrodmann領域8(BA8)において強い脳間神経同期(inter-brain neural synchrony:INS)が観察された.この同期性は,パラレル・ゲームのプレイ条件とダイアログ・セクションでは見られず,複雑なインタラクティブな動きや社会的意思決定などのゴール指向のソーシャル・インタラクションにBA8が関与していたことが示唆される. INSは,協調的相互作用のみの間に,背前頭前頭皮質(dmPFC),特にBrodmann 9においても観察された.これらのことから,協調的な社会的相互作用のために心の理論(theory-of-mind:ToM)が必要とされる場合,BA9が特に関与している可能性があることを示唆している.ここに記載されている新しい手法は,fNIRSアプリケーションを社会的認知研究に大きく拡張する可能性を秘めている.

社会的相互作用における「ツーインワン」システムを明らかにするためのハイパースキャニング・ニューロイ メージング技術

Hyperscanning neuroimaging technique to reveal the ”two-in-one” system in social interactions
Neuroscience research, vol.90, pp.25-32, 2015
20161123 murakami

ハイパースキャニングと呼ばれる 2 人の脳活動を同時に測定する技術を使用することで,個人間の相互作用に のみ現れる脳内神経効果を計算することが可能である.fMRI を用いたハイパースキャニング研究は,脳内効果に 関与する領域を正確に決定できる点で有利である.しかし,日常生活の脳内の影響を記録することはほとんど不 可能である.対照的に,EEG のハイパースキャニング研究は高い時間分解能を有しているため,瞬時の相互作用 を捉えることができる.さらに,EEG 計測器は持ち運び可能で使いやすいため,日々の生活の中で脳内の影響を 記録することに使用できる.しかしながら,このアプローチの欠点は,脳内効果を局在化することである.fNIRS は,fMRI よりも時間分解能と持ち運びに優れているが,空間分解能が限られており,脳の深部構造を記録する能 力が限られている.将来の研究では,超高速撮影 EEG-fMRI を使用すべきである.なぜなら,脳波の高い時間分 解能と fMRI の高い空間分解能とを組み合わせているためである.EEG-fMRI を用いたハイパースキャンは,日 常生活における社会的相互作用の特性の神経マーカーとして脳内の効果を使用することを可能にする.また,2 つ の脳が同期活動をどのように示すことができるかを説明する数学的モデルを開発する必要性がある.