脳機能接続のオンライ可視化

Online visualization of brain connectivity
Journal of Neuroscience Methods, Vol.256, p.106-116, 2015
20151211 ktanaka

背景 リアルタイム脳機能マッピングやニューロフィードバックのような脳活動を視覚化する実用的なアプリケーショ ンが構築される一方で,脳機能の接続性に関する分野では視覚化アプリケーションはまだ充分に発展していない. 加えて,接続性の推定は技術的にも難しいためオンラインアプリケーションにおいて脳機能接続性に関する実用 的な使用は避けられてきた.
提案手法 本研究では,オンライン脳波計測時における独立した信号源間の接続性を推定し,可視化することができるアル ゴリズムを提案する.
結果 信号源の抽出と接続性の推定に有効な CSPVARICA のような処理のコアプログラムは Python のツールボックス としてSCoTをオープンソース化している.我々は初めてオンライン上での接続性の可視化を実現可能にした.本 実験では 12 名の被験者に参加協力をして頂き,眼球の開閉によるレストと左右手運動想起で構成されているタス クを行った.接続パターンは 4 名の被験者において 2 つの運動想起間で顕著に異なった.また 7 名の被験者にお いてはレスト区間で異なる接続パターンが観測された.
既存手法との比較 既存の脳機能接続性に関する研究ではオフラインでの手法が主である.それに対して,オンラインでの接続性推 定の研究はさほど行われていない.例えば,一人の被験者に対して着用可能なウェアラブル型の EEG 端末を基に した Glass Brain Project は有名な Science 紙でかなりの注目を昨年浴びた.しかしながら,彼らの手法は多数の 被験者において有効な手法ではない.
結論 我々は EEG 計測時にオンラインで接続性パターンを観測した.これはリアルタイムで接続性を分析するための初 段階の試みである.

EEG, Connectivity, ICA, Real-time, Visualization

ウォーキングやランニング中に記録された高密度EEG からの移動アーチファクトの除去

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Removal of Movement Artifact From High-Density EEG
Recorded During Walking and Running

J Neurophysiol 103: 3526-3534, 2010

ヒトの認知は多くの場合,動的な運動行動の際に発生するが,ヒトの脳動態のほとんどの研究は静的な着席状
態や,伏せた状態で被験者を検討する.EEG 信号は,歴史的にヒトの歩行の際に脳動態を記録できるようにする
には,あまりにもノイズが発生しやすいと考えられてきた.本稿では,我々はウォーキングやランニング中に記
録されたEEG 信号から歩行に関する運動アーチファクトを除去するために,チャネルベースのアーチファクトテ
ンプレート回帰手順とその後の空間フィルタリング手法を適用した.我々は,最初にウォーキングやランニング
をしながらの視覚的オッドボール弁別課題中の,高密度EEG の記録から歩行アーチファクトを削除するために,
ストライドタイムワープを使用した.次に,最大限の独立成分にチャネルベースのノイズが低減されたEEG 信号
を解析するインフォマックス独立成分分析を適用し,その後成分ベースのテンプレート回帰を行った.適用チャ
ネルベースまたはチャネルベースのプラスコンポーネントベースのアーチファクトの除去は,大幅にウォーキン
グやランニング中に1.5 から8.5Hz の周波数範囲でEEG のスペクトルパワーを減少させた.ウォーキング状態で
は,歩行に関するアーチファクトはごくわずかであった.立った状態での視覚的オッドボール弁別課題とほぼ同
一であった事象関連電位は,ノイズ除去を適用した前後に見られた.ランニング状態では,歩行に関するアーチ
ファクトはひどくEEG 信号を損なった.IC プロセスの安定した平均ERP タイムコースはアーチファクト除去後
にのみ検出可能であった.これらの知見は,高密度EEG が全身運動中の脳動態を研究するために使用され得るこ
とを示す.そして,リズミカルな歩行事象からの機械的なアーチファクトは,テンプレート回帰手順を使用して最
小化することができる.

high-density EEG, ERP, movement artifact, ICA, visual oddball discrimination task, walking,running

レスティングステイトとワーキングメモリ課題中の脳内ネットワークが課題成績を予測する

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Brain connectivity during resting state and subsequent
working memory task predicts behavioural performance

Cortex, vol.48, pp.1187-1196, 2012

認知的処理時に、同時に活動する脳領域はラージスケールネットワークを形成し、機能的に結合している。これ
らの機能的ネットワークは活動状態(task-fMRI) や受動状態(resting-fMRI) の実験で研究されている。その中で
もディフォルトモードネットワーク(DMN) が最も広く研究されているシステムである。安静時と注意時の切替
において重要とされているが、DMN の役割はまだ明確になっていない。また、先行研究との関連において不明瞭
な証拠がいくつか存在する。我々はfMRI を用いて、n-back 課題の難易度を変化させた際の16 名の健常被験者の
脳結合パターンを調査した。ワーキングメモリ課題の前に、被験者はfMRI の外で簡略化した課題で訓練した。そ
の直後に、彼らはn-back 課題とレスティングステイトfMRI を行った。我々はDMN における本来の相関を確認
し、ワーキングメモリのネットワークは3-back 時に最大の度合いとなった。さらに個人解析では、課題成績の良
い場合、両方のコンディションにおいて2 つのネットワークの間に強い負の相関を示した。興味深いことに、我々
が考慮する先行研究によって明らかとなっている8 つの異なるレスティングステイトfMRI のネットワークにおい
て、DMN の一部である楔前部の後内側結合のみがワーキングメモリの実行を予測した。fMRI 解析のための確率
的アプローチを用いた我々の結果は、行動データ成績とDMN とワーキングメモリのネットワーク間の負の相関
の度合いとの間に直接的な関連の証拠を示した。それらの証拠は危機的な認知的問題のための状況の予知を示唆
する。後頭葉の後内側の安静時の大きな活動は注意の予測資源の上昇に関連している可能性がある。