個人特有の皮質ネットワークの空間トポグラフィによる人の認知、人格、および感情の推定

Spatial Topography of Individual-Specific Cortical Networks Predicts Human Cognition, Personality, and Emotion
Kong R, Li J, Orban C, Sabuncu MR, Liu H, Schaefer A, Sun N, Zuo XN,, Holmes AJ, Eickhoff SB, Yeo BTT Cereb Cortex. 2018 Jun 6.

Resting-stateのfMRIデータは,個々の脳ネットワークを表現する指標を提供する.主な問題は,個人固有のネットワークのトポグラフィ(すなわち,位置および空間的構造)が,行動に関連しているかどうかである.ここでは,個人固有の皮質上のネットワークを推定し,個人固有のネットワークトポグラフィが人間行動を予測できるかどうかを調べるためのマルチセッション階層ベイジアンモデル(MS-HBM)を提案する.MS-HBMの複数の層は,被験者内と被験者間とのネットワーク変動を明示帝に区別する,被験者内変動を無視する従来のネットワークマッピングは被験者間の差異について被験者内の変動が影響する可能性がある.他のアプローチと比較して,MS-HBMによる分割は,同じ被験者からの新たなrs-fMRIおよびtask-fMRIデータに対し,個人内でより一般化されたものであった.より具体的には,1回のrs-fMRIセッションから推定されるMS-HBMによる分割は,5セッションを用いた2つの最先端の方法によって推定される分割と同等の汎用性を示した.我々はまた,認知,人格,および感情を横断する行動表現のタイプが,個々の特異的なネットワークトポグラフィによって,適度な正確さで推定されうることを示した.これは,接続強度に基づいて行動表現のタイプをする以前の報告に匹敵する.MS-HBMによる推定される分割により生成されるネットワークトポグラフィは,ネットワークサイズよりも行動推定に有効であり,他の分割法で推定されたネットワークトポグラフィよりも効果的であった.したがって,接続強度と同様に個人固有のネットワークトポグラフィは,人間の行動推定の指標としても役立つ可能性がある.

高度にサンプリングされた個人の脳の機能システムと領域構成

Functional System and Areal Organization of a Highly Sampled Individual Human Brain
Laumann, Timothy O and Gordon, Evan M and Adeyemo, Babatunde and Snyder, Abraham Z and Joo, Sung Jun and Chen, Mei-Yen and Gilmore, Adrian W and McDermott, Kathleen B and Nelson, Steven M and Dosenbach, Nico UF and others
Neuron, vol.87, no.3, pp.657-670, 2015.

安静時の機能的MRI(fMRI)は,複数の空間スケールでグループレベルの機能的脳組織の記述を可能にした.しかし,被験者間の平均化は,各個体に特有の脳組織のパターンを不明瞭にする可能性がある.ここでは,1年以上にわたって繰り返し測定された単一の個人の脳組織を特徴付けました.被験者固有のタスクアクティベーションに対応する,再現可能で内部的に有効な被験者固有のエリアレベルのパーセル化を報告する.充分なデータが集められれば,高度に収束した相関ネットワークの推定値が得られる.注目すべきことに,セッション内の被験者内の相関の変動性は,被験者間変動のパターンとは異なり,視覚および体動運動領域に集中した皮質を横切る不均質な分布を示した.さらに,個人のシステムレベルの組織は,グループに概ね類似しているが,明確なトポロジカルな特徴を示している.これらの結果は,特に特別なまたは稀な個人のために,皮質の組織化および機能における個人差の研究の基礎を提供する.

個人における皮質機能ネットワークの分割

Parcellating Cortical Functional Networks in Individuals
Danhong Wang, Randy L Buckner, Michael D Fox
Nature Neuroscience, Volume 18, Pages 1853-1860
20171106knakamura

個人の脳の機能的アーキテクチャを解明するということは,個人の医学における重要なステップであり,人間の認知および行動の変化における神経基盤の解明に寄与する.本研究では,静止状態のfMRIデータを用いて個人のレベルで機能的に組織を正確にマッピングするための新しい皮質分割法を開発した.個々の被験者における脳機能ネットワークの反復的検索を行うために,集団ベースの機能アトラスと個人の変動性のマップを使用した.このアプローチによってマッピングされた機能アトラスは,被験者内において再現性が高く,また,被験者間の変動性を効果的に反映する.このアルゴリズムは,タスクfMRIを含む異なる被験者集団およびデータタイプにわたって良好に機能した.このアプローチは,外科的患者の侵襲性の皮質刺激の臨床応用における大きな可能性が存在することを示唆する.

fMRI 撮像時における成年男性のコルチゾールとBOLD 反応の関係性について

The association between cortisol and the BOLD response in male adolescents undergoing fMRI
Brain research, 2015, vol. 1598, p. 1-11.
MRI の被験者は主観的ストレスと神経内分泌系ストレスを誘発することが示された.近年の研究では,fMRI 撮像時のコルチゾール濃度は認知的パフォーマンスと脳機能に年齢依存的に影響を与えることを示している.この研究では,この年齢依存的影響が青春期にも当てはまるのかについて調査した.唾液内コルチゾールならびに被験者の経験した不安は,セッション中や自宅,fMRI のセッションの前後において,成年男性と成人男性を対比して評価された.両方の年代において,コルチゾール濃度はセッション中と撮像後に比べて,撮像前が大きくなっており,ストレスへの期待と不安が推測される.全体として,ギャンブルタスクのfMRI 撮像中のコルチゾール生成と脳活動の強さの間に負の相関がみられた.成人男性ではなく若い男性において,高いコルチゾール生成は前部帯状回と後部帯状回における強い負活性と関係していた.若い男性ではなく成人男性において,コルチゾールと下頭頂小葉と上前頭回における活性との間に負の相関がみられた.よって,コルチゾールはいくつかの脳領域を不活性にするが,その領域は年齢によって異なった.この調査結果はfMRI 撮像時のコルチゾール生成は困惑させられるものとして認識すべきであり,青年期の発達に伴う脳活動の変化についての分析を進める必要性を示唆した.

2015.0610.okamura

ワーキングメモリの訓練による流動的知性の向上

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Improving fluid intelligence with training on working memory

Proc Natl Acad Sci U S A., vol.105, no.19, pp.6829-6833, 2008

流動的知性は既知の知識に依存せず,新たな問題を解決したり推論したりする能力である.流動的知性は様々な
種類の認知課題において必要不可欠であり,学習においても最も重要な要因のひとつである.さらに,流動的知
性は特に複雑で過酷な環境において,専門的で教育的な成功に密接に関係する.流動的知性のテストにおける直
接的な練習によって,流動的知性のテスト成績は向上する可能性があるが,成人において他の訓練方法による流
動的知性の向上となる証拠は得られていない.また,認知訓練における長年の研究結果は訓練した課題の成績は
劇的に向上するが,他の課題への学習の転移は乏しいことを示している.本稿では,厳しいワーキングメモリ課
題の訓練から流動的知性への転移の証拠を提示する.訓練課題が知能テストと全く異なるのにもかかわらず,こ
の転移は生じた.さらに,我々は訓練をすればするほど,流動的知性が向上するということを示した.つまり,訓
練の影響は訓練量依存性である.したがって,多くの先行研究に反して,我々はテストする課題を練習すること
なく流動的知性向上の可能性があることを結論づける.