1人より2人の方が優れている:fNIRSによる戦略的協力が脳内と脳間の結合性に及ぼす影響

Two is better than one :The effects of strategic cooperation on intra- and inter-brain connectivity by fNIRS
M. Balconi, L. Pezard, J.-L. Nandrino and M.E. Vanutelli
PloS one, vol.12, no. 11, p.e0187652, 2017.

共同作業中の脳間同期は社会的神経科学の中心的問題である.また,自己効力感の知覚ような心理学的変数の役割や脳内と脳間の機能的結合性の関与の違いは未だ明らかにされていない.同期ゲーム中の共同作業の基礎となる認知能力および神経基盤は,NIRSによって記録された.8チャネルの光学センサーを前頭前野領域に配置した.タスク中,2者は一般的な戦略の採用を誘導するために実験的に操作し補強されたフィードバックを受けた.脳内および脳間の接続性の指標と共に,脳内/脳間結合指数(ConIndex)を算出した.最後に,相関分析を行い,行動レベルと生理レベルとの関係を評価した.その結果,行動および神経基盤の両方において外部フィードバックが,被験者の応答を調節し得ることを示した.補強操作後は,応答時間が速くなり,脳間の接続性が向上した.脳内/脳間結合指数は主に背外側前頭前野でみられた.さらに,応答時間と脳間接続との間に有意な相関が存在することから,「2者の接続」のみが効率的なパフォーマンスを生むことが明らかになった.本研究は,社会的補強が与えられた場合の脳内および脳間の機能的接続性の同定に重要な知見を与える.

裏切るか裏切らないか:EEG 計測による協調ゲームにおける人間の行動の読み方

Cortical Activity and Connectivity of Human Brain during the Prisoner’s Dilemma: an EEG Hyperscanning
Fallani, F. D. V., Nicosia, V., Sinatra, R., Astol, L., Cincotti, F., Mattia, D., Babiloni, F.
PloS one, vol. 5, no. 12, pp. e14187, 2010
20171025 mmizuno

人間の社会的相互作用に関与する神経機構を理解するためには,2 人以上の個体の脳活動を同時に計測し,観察された社会パターンと相関させる必要があるため困難である.我々は,hyper-brain ネットワークの概念を取り入れた.これは,単一の脳の皮質領域間の情報と2 つの異なる脳の領域間の関係を示す接続状態のことである.反復囚人ジレンマ課題中の26 人のカップルのEEG 計測により構築されたhyper-brain ネットワークのグラフ分析によって,意思決定段階で非協調的相互作用を予測する可能性を示唆した.2 人の裏切るペアのhyper-brain ネットワークは,協力的またはしっぺ返し戦略をとるペアよりも,脳間結合が有意に少なく,全体的により高いモジュール性,すなわち2 つの分離したのサブグラフを形成する傾向が有意である.hyper-brain ネットワークにおける接続性の変化を評価することによって,裏切りの判定を事前に「読み取る」ことが可能である.