共同力発揮時のオンライン協調の神経相関

Neural correlates of online cooperation during joint force production
M.O. Abe, T. Koike, S. Okazaki, S.K. Sugawara, K. Takahashi, K. Watanabe and N. Sadato NeuroImage, vol. 191, pp. 150-161, 2019.

共同作業間では,2人以上の人が目標を達成するためにお互いに依存する.この相互再帰,つまり循環依存は協力の特徴の一つである.協調の神経基盤を評価するために,我々はハイパースキャニングによる機能的MRI研究を実施し,19組のダイアドが共同力発揮課題を行なった.この課題の目的は,30秒にわたる視覚的フィードバックを通し,握力の平均値を指定の値(最大握力の20%)に合わせることであった.課題では,自己生成した力をリアルタイムで調整するために他者が生成した力を考慮することが必要であり,協調を意味した.ダイアドによる握力の時系列データを記録し,パートナーからの影響尺度であるノイズ寄与率(NCR)を多変量自己回帰モデルを使用して計算し,各参加者の握力がパートナーの握力によりどの程度説明されるか,つまり協調の程度を特定した.単独の力発揮課題と比較して,共同課題はNCRを高め,内側前頭前野,楔前部,そして側頭頭頂接合部(TPJ)の両側後部を含むメンタライジングシステムを活性化した.加えて,右TPJ前部の特有な活性が共同課題時の参加者間のNCRと有意かつ正に相関した.参加者が握力を調整したとき,TPJ前部から後部への実効的結合が強まった.最後に,共同課題は右TPJ前部の脳間の機能的結合を強め,パートナーの運動出力の時間的パターンに対する共同注意を示した.TPJ後部は知覚されたエージェントの意図を追跡するためのメンタライジングシステムの一部であるので,我々の発見は協調,すなわちパートナーの運動出力に依存する個々の運動出力の調節の程度が,右TPJの相互接続された一部により仲介されるということを示す.

脳と脳のカップリング: 社会的世界を創造し共有する仕組み

Brain-to-Brain coupling: A mechanism for creating and sharing a social world
Trends in cognitive sciences, vol.16, no.2, pp.114-121, 2012
20161213 murakami

認知は対人空間で実現する.複雑な行動の出現には,共通のルールセットに従って個人間の行動の調整が必要 である.私たちの心を形成する上で他の個人の中心的な役割にも関与せずにほとんどの認知研究は,単一の個人 の中で起こるプロセスに焦点を当てている.私たちは,単一の脳から多脳のフレームへの移行を求めている.私 たちは,多くの場合,1 つの脳の神経プロセスが.環境を通るシグナルの伝達を介して別の脳の神経プロセスに結 合されると主張する.脳と脳のつながりは,ソーシャルネットワーク内の各個人の行動を制限して形作り,孤立せ ずに複雑な共同行動を発生させた.