機能的近赤外分光法による視覚的作業記憶容量の初期開発の調査

Probing the early development of visual working memory capacity with functional near-infrared spectroscopy
Aaron T. Buss, Nicholas Fox, David A. Boas, John P. Spencer
NeuroImage, vol.85, pp.314-325, 2014

ビジュアルワーキングメモリ(VWM)は、非常に限られた容量を有するコア認知システムである。現在の研究 は、機能的な神経イメージングを用いた初期の発達における VWM の容量限界を調べる研究である。 3~4 歳の 患者が短時間の遅れで物体の形状の変化を検出した変化検出タスクを完了している間に、光学的な神経画像デー タを記録した。近赤外線源および検出器は、左前頭皮質の F3 および F5、右前頭皮質の F4 および F6、左頭頂皮 質の P3 および P5、右頭頂皮質の P4 および P6 の 10-20 の位置に配置した。最初の疑問は、成人の fMRI 文献で 同定された前頭部ネットワークの頑強なタスク特有の活性化が見られるかどうかであった。これは事実であった.3 つの左正面チャネルおよび 12 の頭頂壁細胞チャネルのうち 11 つが、試料アレイの提示後の酸素化酸素と脱酸素 化ヘモグロビンの濃度の間に統計的に有意な差を示した。さらに、P3、P5、および F5 付近の左半球の 4 つのチャ ネルは、作業記憶負荷が 1 から 3 の項目に増加するにつれて、有意な増加を示した。特に、血行力学的応答は、成 人の fMRI の先行研究から予想されたように、1-2 項目で漸近的に漸増しなかった。最後に、4 歳児は、3 歳児に対 してより堅牢な頭頂壁反応を示し、記憶負荷操作に対する感受性が高まった。これらの結果は、fNIRS が、VWM 能力の初期開発の根底にある神経プロセスを研究するための有効なツールであることを示している。

機能的近赤外分光法におけるモーションアーチファクトの検出と補正:スプライン補間法とSavitzky-Golayフィルタリングに基づく新しい混成法

Motion artifact detection and correction in functional near-infrared spectroscopy: a new hybrid method based on spline interpolation method and Savitzky-Golay filtering
Sahar Jahani, Seyed K. Setarehdan, David A. Boas, and Meryem A. Yucel
Neurophotonics. 5(1), 2018

近赤外分光法(NIRS)データにおけるモーションアーチファクトは, 実生活に適用するNIRSの可能性を完全に実現する上で重要な課題となっている. 様々な運動補正アルゴリズムは, 血行力学的応答関数の推定にモーションアーチファクトの影響を緩和するために使用されてきた. ウェーブレットフィルタリングなどのスムージング手法は, 動きに起因する鋭いスパイクの除去に優れているが, 信号のベースラインシフトはこのタイプのフィルタリング後も残る. 一方, スプライン補間法などの方法は, ベースラインシフトを適切に補正することが可能である. ただし, 高周波スパイクは残ったままである. 我々は, 異なる補正アルゴリズムを利用する混成法を提案する. この方法では, 最初にベースラインシフトを特定し, スプライン補間法または対象主成分分析を使用して補正する. 一方, 残りのスパイクは, Savitzky-Golay(SG)フィルタリングまたはロバストな局所加重回帰および平滑化の平滑化手法によって補正される. 平均誤差(meanquared error), ピーク間誤差(Peak-to-Peak Error:Ep), ピアソン相関(Pearson’s correlation:R2), およびレシーブオペレータ特性曲線の下の面積を用いて, 血行力学的応答関数推定の条件から, 既存の補間アルゴリズムと新しい手法を比較した. 我々は, スプラインSG混成法が, 比較的短い計算時間で, これらの計測基準すべてにおいて合理的な改善を提供することを見出した. 本研究で使用されたデータセットとコードは, 興味を持ったすべての研究者の使用のためにオンラインで入手可能である.

脳の近赤外分光における光の伝播

Light Propagation in NIR Spectroscopy of the Human
Brain
IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics,vol. 20,no. 2,pp.289-298,2014
170908 syokoyama
脳の研究において,大脳皮質の酸素濃度の変化は、オキシヘモグロビンおよびデオキシヘモグロビンの濃度が 血行動態の皮質神経活動への結合に起因して変化するため,非常に重要である.多くの研究では,光源と検出器 の距離を伸ばすことにより,照射光が脳組織に深く浸透することを示している.本稿では,組織模倣ファントム測 定,額生体内測定およびモンテカルロ(MC)シミュレーションを使用して,大脳皮質の感知を可能とする脳内の 光伝播および最小の光源と検出器の距離を推定する.我々は,人間の額を模擬した多層のファントム内の異なる深 さに位置する血管内の脈動する水性脂質懸濁液の光学的感知を示す.実験結果をファントムの光学特性を考慮した MC シミュレーションと比較する.異なる組織層の厚さおよび形態は,被験者の頭部の解剖学的磁気共鳴画像から 得た.これら3 つの方法の結果は互いに相関し,NIRS に基づく光学的方法で脳皮質を感知できることを示した.

同時近赤外分光法により測定された協調作業中の2 人のprefrontal cortices の同期活動

Synchronous activity of two people ’s prefrontal cortices during a cooperative task measured by simultaneous near-infrared spectroscopy
Journal of biomedical optics, vol.16, no.7, pp. 077011, 2011
20170902 mmizuno
社会過程の一つである協力中の脳活動を検討した.我々は,複数の参加者の同時に起きる脳活動とその協調作 業のパフォーマンスとの関係を調査した.2 人の参加者の脳活動を同時に測定するために,wearable near-infrared spectroscopy (NIRS) システムが用いられた.参加者の各ペアは協調作業を行い,NIRS システムにより脳血流量 の相対的変化を測定するする.タスクとして,聴覚的な合図の後,参加者は心の中で10 秒を数え,ボタンを押す よう指示された.また,ボタンを押すタイミングを調整してできるだけ同期させるように指示された.各参加者の 2 つのボタンプレスと参加者のどちらが速いかの情報,すなわち「intertime interval」は,各試行後にビープ音に よって参加者にフィードバックされる. 各参加者のprefrontal cortices の活性パターン間の時空間共分散が高い場合,それらのボタンプレス時間の間の 時間間隔はより短かった. この結果は,2 人の参加者の脳の同期化された活性パターンが,協調作業において相互作用するときのパフォー マンスと関連していることを示唆している.

調整可能な光学特性を有する液体ファントムを用いた組織の酸素測定機器の比較

Comparison of tissue oximeters on a liquid phantom
with adjustable optical properties
European Conference on Biomedical Optics,vol. 7,no. 8,pp.2973-2992,2016
170620 syokoyama

SafeBoosC 試験は,脳酸素測定と治療ガイドラインを組み合わせることで,新生児の低酸素負荷を50 [%] 削減することができることを示した.しかし,1 つの酸素測定機器による脳酸素測定に基づく指標は,他の酸素測定機器によって直接使用することはできない.新生児頭部をシミュレートした血中脂質ファントムを作製し,異なる酸素測定機器によって得られた酸素値の関係を決定した.1 つの酸素測定機器から他の酸素測定機器に簡単に変換できる係数を計算した.さらに,ヘモグロビン量を25 [M] から70 [M] まで変化させた場合の不確かさを9.2 [%]まで測定した対応するSafeBoosC 介入閾値を決定した。結論として,この論文では,異なる酸素測定機器によって得られた絶対値の比較ができる.

長期シミュレート運転中の健常者におけるfNIRS を用いた機能的接続解析

Functional connectivity analysis using fNIRS in healthy
subjects during prolonged simulated driving
Neuroscience Letters, vol.640, pp.21-28, 2017
20170531_yfujiwara

長時間運転時の脳活動と関連した運転疲労を非侵襲的に正確に評価することは,交通安全と事故防止に貢献す
ることができる.この研究では,機能的な接続性であるfunctional connectivity を用いて評価した.半没入型バー
チャルリアリティ技術とfNIRS を組み合わせた新しいシミュレータにより,異なる脳領域における相乗的メカニ
ズムを発見した.各被験者は精神的計算と関連した運転課題を完了するよう指示された.ウェーブレットコヒー
レンス(WCO)およびウェーブレット位相コヒーレンス(WPCO)を計算し,(I)0.6~2 および(II)0.145~
0.6Hz,(III)0.052~0.145,(IV)0.021~0.052,(V)0.0095~0.021 および(VI)0.005~0.0095Hz の周波数間隔で
測定される.WCO とWPCO は脳の接続性の強さと同期化を明らかにした.運転タスク終了時に,WCO レベル
がprefrontal cortex においてインターバルI およびIII,およびmotor cortex におけるIV で有意に低い結果が得
られた.さらに,prefrontal cortex ではインターバルI およびIII で,motor cortex ではインターバルIV で有意
に低いWPCO が見出された.prefrontal cortex とmotor cortex との協調メカニズムにより,精神疲労が認知機
能に悪影響を及ぼすことが示唆された.

長期シミュレート運転中の健常者におけるfNIRS を用いた機能的接続性解析

Functional connectivity analysis using fNIRS in healthy
subjects during prolonged simulated driving
Neuroscience Letters, Vol. 640, pp.21-28, 2017170510_snakamura

長時間運転中の脳活動と関連した運転疲労の非侵襲的かつ正確な評価は,交通安全および事故防止に寄与する
ことができる.この研究では,関連する脳領域における機能的結合性を評価した.セミ没入型バーチャルリアリ
ティ技術と機能的近赤外分光法を組み合わせた新しいシミュレータにより,異なる脳領域における相乗的メカニズ
ムが検出された.各被験者は,精神計算タスクと相まって運転課題を完了するよう指示された. (I)0.6-2 Hz お
よび(II)0.145-0.6 Hz で、ウェーブレットコヒーレンスおよびウェーブレット位相コヒーレンスを計算し,評価
した. (III)0.052~0.145 Hz、(IV)0.021~0.052 Hz、(V)0.0095~0.021 Hz および(VI)0.005~0.0095 Hz
では機能的結合性を評価した. ウェーブレットコヒーレンスとウェーブレット位相コヒーレンスは,それぞれ脳
の接続性の強さと同期を明らかにした.運転前の最後に,前頭前皮質(PFC)および運動皮質(MC)のIV にお
いて有意に低いウェーブレットコヒーレンスレベルが区間I およびIII で見出された.さらに,前頭前皮質では区
間I およびIII で,運動皮質では区間IV で有意に低いウェーブレット位相コヒーレンスが見出された.実験的知
見は,進行性の精神疲労が前頭前皮質における認知機能および前頭前皮質と運動皮質との間の協調メカニズムに
悪影響を与えることを示唆した。

機能的刺激中の視覚および運動皮質におけるオキシヘモグロビンおよびデオキシヘモグロビン濃度変化の異な る時間進化:近赤外分光法の研究

Different Time Evolution of Oxyhemoglobin and Deoxyhemoglobin Concentration Changes in the Visual and Motor Cortices during Functional Stimulation :A Near-Infrared Spectroscopy Study
NeuroImage, vol.16, No.3, Part A, pp.704–712, 2002

20170108 syoshitake

神経血管結合は,脳代謝速度(CMRO2),脳血流,および脳活動に関連する脳血流量の変化の総称である. こ の論文の目的は,周波数領域近赤外分光法を用いた視覚および運動皮質における神経血管結合の効果をよりよく 理解することである.視覚および運動皮質のオキシヘモグロビン,デオキシヘモグロビン,および総ヘモグロビ ンの濃度変化の地図は,逆チェッカーボードスクリーンおよびスクイージングを用いて刺激中にそれぞれ生成され た.18~37 歳の 7 人の健全なボランティアが含まれていた.視覚野では,オキシヘモグロビンとデオキシヘモグ ロビンのパターンは強く直線的に相関していた(計 24 箇所中 13 箇所で r2>0.8).20 箇所においてオキシヘモグ ロビンの変化は 0.25 μ M より大きかった.オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンとの間の線形回帰の平 均傾きは,-3.93 ± 0.31(SE)であった.運動皮質上のオキシヘモグロビンおよびデオキシヘモグロビントレース のパターンは異なって見えた.オキシヘモグロビンは,デオキシヘモグロビンが最小に達する数秒前に最大変化 に達した.これは,線形回帰分析によって確認された(40 カ所のうち r2>0.8).20 箇所においてオキシヘモグロ ビンの変化は 0.25 μ M より大きかった.回帰直線の平均勾配は-1.76 ± 0.20 であり,運動皮質のそれより有意に 高かった(P< 0.0000001).オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンのパターンは皮質領域によって異なる. これは,視覚野の灌流の調節が運動野のそれとは異なることを意味する.視覚皮質において CMRO2 が実質的に 増加するという証拠があるが,これは運動皮質については当てはまらない.

表層および表層組織におけるヘモグロビン変化を模擬するための2つのステージ駆動吸収装置を備えた動的ファ ントム

Dynamic phantom with two stage-driven absorbers for mimicking hemoglobin changes in superficial and deep tissues
Journal of biomedical optics,vol. 17,no. 4,pp.047001,2012
161219_syokoyama

脳活動と脳機能の連結性を監視するための近赤外分光法(NIRS)では,NIRS 信号に対する表面組織の影響を 考慮する必要がある.頭皮と脳の影響を判定するいくつかの方法が提案されているが,実際の吸収変化を知るこ とができないため,方法の直接の検証は困難であった.この問題に対して,私たちは表層と深層組織におけるヘ モグロビンの変化を模擬する動的ファントムを開発し,その方法を実験的に検証することができた.2 つの吸収体 層は,2 つの 1 軸自動ステージが独立して駆動される.ファントムを使用し,吸収変化の任意のタイプの波形(例 えば,脳活動または全身変動)を設計することができ,その波形は再現可能に測定された.ファントムの有効性 を判定するために,複数の光源検出器の距離測定に使用した.近距離回帰を用いた減算法の性能についても検討 した.最短距離チャネルを使用した場合、最も正確な下位層の変化が得られた.さらに,同じデータに対して独 立成分分析を適用した場合,抽出された成分は実際の信号とよく一致した.これらの結果は,提案されたファン トムが表層組織の効果を識別する方法を評価するために使用できることを示した.

機能的近赤外イメージングに対する標準解析にむけて

Towards a standard analysis for functional near-infrared imaging
NeuroImage, Vol. 21, No. 1, pp.283–290, 2004
20161212 syoshitake

機能的近赤外分光法(fNIRS)は,オキシヘモグロビンおよびデオキシヘモグロビンの濃度の変化を測定する ことにより,脳の活性化をモニターすることが可能である.現在まで,fNIRS データ分析のための標準アプロー チは確立されていないが,これは将来の適用のための前提条件とみなされなければならない.そこで,我々は確 立された一般線形モデルを光イメージングデータに適用した.さらに,fNIRS データを周波数領域で解析を行っ た.1 次視覚野と 2 次視覚野を活性化させるチェッカーボードパラダイムと運動領域 V5 を追加で含む運動色彩刺 激(’L’ の回転)からなるパラダイムの 2 つの視覚課題を光イメージング法で調べた.一般線形モデルを用いた解 析は,第 1 のパラダイムの間に 1 次および 2 次の視覚野における活性化に焦点を置き,検出した.第 2 のパラダ イムでは,V5 を表す可能性が最も高い第 2 の側面に位置する活性化脳領域が見出された.空間解析でのスペクト ル分析では,同じそれぞれの脳領域におけるパワースペクトル密度およびコヒーレンスの最大値を示すことによっ て結果を確認した.さらに,運動領域における血行動態応答の遅延を示した.よって,本研究は,一般線形モデ ルおよび空間分解スペクトル分析が,光イメージングデータの標準的な統計的アプローチとして使用できること を示唆している.