瞑想と脳- 近赤外分光法で評価したマインドフルネスの神経相関

Meditation and the brain -neuronal correlates of mindfulness as assessed with near infrared spectroscopy
Psychiatry Research: Neuroimaging, 2017

20170422_sfujii

治療への介入としてのマインドフルネス瞑想はうつ病や痛み,不安症のような精神的な問題に対してプラスの影響があることが示されている.

本研究では,安静状態とマインドフルネス状態で瞑想熟練者(14名)と対照群(16名)の血行動態の違いを見つけるために機能的近赤外分光法を用いた.
2つの状態において,瞑想ボウルの音が聴覚系と隣接した皮質領域における群間の違いを見つけるために使われた.
脳の様々な側性化(偏っていること)のパターンは安静状態(左半球の拡大)またはマインドフルネス状態(右半球の拡大)の間,瞑想熟練者で見られた.
対照群と比較して,瞑想熟練者は安静時の間,聴覚野においてより活動のパターンが拡がった.
マインドフルネス状態では,対照群は高次の聴覚領域(ブロードマンの1,6,40)で活動の低下が見られたが,瞑想熟練者では優位にそれらの領域で増加した.
さらに,瞑想熟練者は脳の長期的変化の可能性と共感,メタ認知能力,健康におけるプラスの影響があることを示す脳領域(ブロードマンの39,40,44,45)で大いに活性した.

オキシトシン受容体およびアルギニン-バソプレッシン受容体1A の遺伝的変異と母親および父親の子供への愛 着の神経相関との関連性の解明

Genetic variants in oxytocin receptor and arginine-vasopressin receptor 1A are associated with the neural correlates of maternal and paternal affection towards their child

Hormones and Behavior, vol.87, pp.47-56, 2017.
20170414 mmizuno

動物研究において,腸内臓器(Microtus)におけるオキシトシン(OT)受容体およびアルギニン-バソプレシン(AVP)受容体1a は母親および父親の行動の調節にそれぞれ重要であるという広範な証拠がある.ヒトの研究においては,ホルモン受容体遺伝子変異体と行動の間の関連性が示めされているが,変異体とその基礎となる脳活動との関係性は研究されていない.これを研究するために,子供との付き合いに関連するポジティブな影響を与える彼らの子供の笑顔のビデオに対する,母親と父親の前頭前野皮質(APFC)の神経活動とOT 受容体の遺伝的変異体(OXTR)およびAVP 受容体1A(AVPR1A)の関係性を検討した.全体として43 人の母親と41 人の父親を対象とし,それぞれの親の子供のビデオを録画した.参加者には,遺伝子型判定をし,近赤外分光法を用いて,笑顔を観察している際のAPFC の活動を計測して,親しくない子供と自分の子供に対する活動を比較した.その結果,子供のビデオ刺激に対して母親は右下部APFC が活性することが明らかになった.また,-A の母親とOXTR rs2254298-G/G の母親の異なる半球の活性を明らかにした.しかし,この違いは父親には見られなかった.さらに,AVPR1A RS3-334 と334 キャリアの父親の間で,左下部のAPFC 活性化に違いがあることを明らかにしたが,母親にはこの違いはみられなかった.我々の結果は,遺伝的変異体と,母親および父親のポジティブな影響に対するAPFC の活性の男女差を示しており,voles で報告された結果と類似していた.

偏相関分析を用いた安静状態の機能的結合の検出:多距離と全頭プローブの近赤外分光法を使用した研究

Detection of resting state functional connectivity using partial correlation analysis: A study using multi-distance and whole-head probe near-infrared spectroscopy
NeuroImage, Available online 10 August 2016
20161011 katayama

多チャンネル近赤外分光法(NIRS)は,血中酸素濃度の変化の簡易で非侵襲的な計測を可能にした脳機能イメー ジングモダリティである.我々は,安静状態の機能結合の推定するための臨床的に適用可能な方法を,NIRS で神 経以外の成分の影響を減らすために偏相関分析を用いて発展させた.多距離のプローブ配置の NIRS を用いて,健 康な 17 人の被験者の 8 分間の安静状態の脳活動を計測した.主成分分析は元の NIRS データから浅い信号と深い 信号を抽出するために使われた.本来の信号から計算されたピアソンの相関は,深い信号から計算された相関と比 較して有意に高かった.一方で,本来の信号から計算された偏相関は,深い信号(脳信号)独自から計算された 相関と匹敵した.それ以上我々の方法を検定するために,健康な 80 人の 17 の皮質領から構成される全頭の NIRS 配置を用いて 8 分の安静状態の脳活動を計測した.隣接,半球間相同,遠い同側性の脳領域のペアの間で有意な 安静状態の機能結合が見られた.そのうえ,女性は,男性と比較して半球間の後頭部の領域のペアで高い安静状 態の機能結合を示した.加えて,左側頭部の同側性のペアで高い結合性が見られた.2 つの構成要素の実験の混合 性の結果は,偏相関分析は脳外の信号の影響の還元性に有効であること,NIRS はよく述べられた安静状態のネッ トワークと安静状態の機能結合の性別に関する違い検出できることを指し示す.

機能的近赤外分光法に基づく独立成分分析由来の安静状態の機能的結合性の追試の評価

Test-retest assessment of independent component analysis-derived resting-state functional connectivity based on functional near-infrared spectroscop
NeuroImage, vol.55, pp.607-615, 2011
20160908 katayama

機能的近赤外分光法(fNIRS)の安静状態の最近の研究はホットトピックとして現れ,安静状態の機能的結合 (RSFC)は安静時の脳の固有の特徴があることを明らかにした.しかしながら,fNIRS に基づく RSFC の追試は 信頼性があるかは現在,不明瞭である.本研究では,信頼性の問題に取り組むために独立成分分析(ICA)を効果 的な RSFC 検出ツールとして用いた.16 名の被験者は,一週間あけて 2 つの安静状態の fNIRS の記録セッション に参加した.そして,感覚運動領域の RSFC は ICA を用いて抽出された.信頼性の追試は,セッション内やセッ ション間で,個人とグループレベルの両方において,異なるヘモグロビン濃度信号で評価された.我々の結果は, マップごとの信頼性はグループレベルで優れており(ピアソンの r の係数は 0.88 まで有する),個人レベルで一 般的に公平であることを明らかに示した.クラスタごとの信頼性は,グループレベルでよりよかった(サイズは 0.97 までと RSFC を検出する部位は 0.80 までの再現性の指標を有する)のと個人レベルでより弱かったがまだ公 平であった(それぞれセッション内とセッション間の信頼性は 0.56 と 0.46 である).クラスタごとのクラス内相 関係数(ICCs)も公平な信頼性を示していた(単一測定の ICC は 0.56 を有する).一方で,チャンネルごとの単 一測定の ICCs は低い信頼性を示した.fNIRS を基にした ICA 由来の RSFC は,マップとクラスタごとの方法で 解釈された場合に,個人とグループレベルで必要不可欠で信頼性のあるバイオマーカーであると結論づけた.我々 の結果はまた,チャンネルごとの個人レベルの RSFC の結果は,もしプローブが再登録された手順で行われるな らば,注意して解釈されるべきだと示唆し,fNIRS を使ったさらなる RSFC の研究で,「クラスタ」は最小の分析 単位として扱われるべきだと指し示した.

n バックのワーキングメモリ課題中の統合失調症患者における広範囲な前頭前野の活動の減少 :多チャンネル NIRS の研究

Reduced but broader prefrontal activity in patients with schizophrenia during n-back working memory tasks : A multi-channel near-infrared spectroscopy study
Journal of psychiatric research, Vol.47, No.9, pp.1240-1246, 2013
20160413harada

背景:背外側(DLPFC)と腹外側(DLPFC)前頭前野を含む前頭前野の尾側領域は,ワーキングメモリといっ た重要な認知機能に関与している.対照的に,前頭極皮質(FPC)といった,より吻側の領域は,認知機能の中 で統合機能を有し,これにより,実世界の社会的活動に決定的に寄与している.以前の機能的磁気共鳴イメージ ング研究では,健常者と比較して,統合失調症患者が認知的負荷の変化に対応して異なる DLPFC の活動パター ンを持つことを示した.しかし,尾側および吻側前頭前野の活性における空間的関係は無制約条件下で評価され ていない.

方法:26 人の統合失調症患者および 26 歳の発病前の知能に一致した健常者がこの研究に参加した.異なる認知 負荷で n バックのワーキングメモリ課題時の血行動態変化は,多チャネルの近赤外分光法(NIRS)を用いて測定 された.

結果:健常者群は,両 VLPFC における課題に関連する重要な活性と DLPFC における課題に関連する重要な 不活性を,課題がより認知機能を要求するときにより大きな信号変化を伴うことで示した.対照的に,統合失調症 患者は,両 DLPFC と FPC を含む,より吻側の領域で活性化を示した.認知機能の発生する上昇割合において, 不活性でもなければ活性でもない.

結論:この多チャンネル NIRS の研究では,活性化の強度は,認知機能の変 化を伴う統合失調症患者において上昇しなかったことを実証し,統合失調症における認知障害として前頭葉の機 能低下が示唆される.

NIRS を用いた言語関連パラダイムにおける前頭側頭部のマッピングとコネクティビティ

Fronto-temporal mapping and connectivity using NIRS
for language-related paradigms
Journal of Neurolinguistics, vol.26, issue 1, pp.178-194, 2013
20160409 htanaka

言語パラダイムによる前頭側頭部の血行動態反応を理解するために,15名の右利き健常者に対してNIRS研究が行われた.32チャンネルのNIRSシステム(ImagentISS社)が言語表現や言語認識のパラダイムに対するNIRS研究を行うために用いられた.活性,機能的コネクティビティ,左右差の解析が,それぞれのパラダイムや刺激ごとに全ての被験者にわたって行われ,関連付けられた.(NIRSの先行研究で示されているように)言語表現のパラダイムに反応するときに,ブローカー野が主要な役割を果たし,ウェルニッケ野が補助的な役割を果たすことが示された.それに対して,(fMRI研究で示されているように)簡単に理解できるテキスト理解の間に主要な役割を果たすのは,右ウェルニッケ野(や右ブローカー野の一部分)のホモログである.てんかんや統合失調症の患者における今後の治療に向けて,様々な解析から言語を理解するために前頭側頭部領域全体を視覚化するNIRS研究は,本研究が初めてである.

Near infrared spectroscopy (NIRS), Functional connectivity, Hemodynamic response,Fronto-temporal,Brain activation,Cortical lateralization, Language, Broca,Wernicke

連続波fNIRS およびイメージング計測機器や方法論のレビュー

Areviewoncontinuouswavefunctionalnear-infraredspectroscopyandimaginginstrumentationandmethodology

Scholkmann, F., Kleiser, S., Metz, A. J., Zimmermann, R., Pavia, J. M., Wolf, U., Wolf, M. (2014). A
review on continuous wave functional near-infrared spectroscopy and imaging instrumentation and methodology.
Neuroimage, Vol. 85, pp.6-27.

20150908 taki

今年はfNIRSおよび機能的近赤外イメージングの20周年の年である.本書の目的は連続波機能的近赤外イメージングの機器及び方法論現在の状態を確認することである.この目的のために,市販の機器および光源や検出器やセンサ装置のような機器の側面の概要を記す.方法論的な側面では,oxy-Hbやdeoxy-Hbの濃度を計算するためのアルゴリズムやデータ解析のためのアプローチもまたレビューする.初期の数年のシングル位置計測から計測機器は最初に2次元,その後3次元に画像化するために進歩してきた.分析の方法もまた,現在使用されているデ-タ解析方法及び画像再構成を複雑化するために簡単な修正ランベルトベールの法則から大幅に変更された.これらの進歩により,機能的近赤外イメージングは広く神経科学の研究に使用されている様式となっており,いくつかのメ-カ-は,市販の機器を提供している.機能的近赤外イメージングは近い将来,単一の被験者での診断が可能となる臨床機器になる可能性が高いようである.

オンライン運動想起におけるセルフペース型BCI のためのNIRS-EEG システム

A hybrid NIRS-EEG system for self-paced brain computer interface with online motor imagery
Journal of Neuroscience Methods, Vol. 244, No. 15 2015, pp. 26-32

自分の良きタイミングでBCIをコントロールするためには,システムが運動想起の種類とその発生を認識しなければならない.しかし,自動で運動想起発生時を検出することは困難な為,一般的なBCIの研究では視覚刺激を用いた運動想起パラダイムに焦点が当てられてきた.本件では,セルフペースで操作を可能するNIRSとEEGを使用したオンライン上で動作する新たなBCIシステムを提案する.我々は新たなシステムを実現するためにNIRSとEEGを同時に計測することが出来る独自のセンサーフレームを設計した.そしてこのシステムを基に,NIRSを用いて運動想起発生を検出し,EEGのデータから識別を行う新たな解析手法を提案した.結果としてオンライン上での実験で88%のTruePositiverate,そして7%のFalsePositiverateの結果を得た.平均反応時間は10.36秒であった.既存手法との比較をした場合,我々の知る限りでは,EEGとNIRSを用いたBCIにおけるセルフペース型運動想起のための血行動態脳スイッチを検証している論文は存在しない.本稿での実験の結果から我々が提案するシステムはBCIにおけるセルフペース型訓練に使用するだけの信頼性は十分にあることが示唆された.

20150714 ktanaka

Electroencephalogram (EEG), Hybrid brain-computer interface (BCI), Motor imagery based BCI, Near infrared spectroscopy (NIRS), Online BCI system, Self-paced BCI

疲労の主観的な感覚が,腹外側前頭前皮質での反応の低下に関係している

Subjective feeling of psychological fatigue is related to decreased reactivity in ventrolateral prefrontal cortex
Brain Research, Vol.1252, pp.152-160, 2009

本研究の目的は,疲労感と脳機能との関係を検討することである.23 名の健康な若いボランティアがこの研究 に参加した.visual-analogue scale (VAS) の得点と睡眠時間を用いて評価される疲労感と,近赤外分光法(NIRS)の52 チャンネルにより測定される言語流暢課題時の大脳皮質の反応性との間で,その関係は調査された.VAS の 得点は,前頭部の腹外側部から側頭部の上部にかけての左右領域のチャンネルにおける,言語流暢課題時の酸素化ヘモグロビン濃度(oxy-Hb) 増加量と負の相関をもった.前夜の睡眠時間は,前頭前野背外側部の左右領域のチャ ンネルにおける,言語流暢課題時のoxy-Hb 増加量と正の相関をもった.VAS の得点や前夜の睡眠時間において,コントロール課題である左指タッピング課題時のoxy-Hb 増加量とは有意な相関関係が存在しないことがわかった. 疲労の主観的な感覚は,前頭部の腹外側部や側頭部の上部での反応の低下に関係していて,前頭前野背外側部の反応と相関のある前夜の睡眠時間には関係していない.これらの結果は,前頭部の腹外側部や側頭部の上部での 一過性の機能低下や持続的な機能不全が疲労における脳の基質の一つであることを示唆している.また,NIRS は自然に近い環境での検討を可能にするので,これらは疲労のような主観的現象時の脳機能を調査するためにNIRS の利点をも実証する.