タスクベースの神経フィードバック訓練:実行機能を訓練するための斬新なアプローチ

Task-based neurofeedback training: A novel approach toward training executive functions
Neuroimage, vol.134, pp. 153-159, 2016
20170915_sfujii

認知訓練は,様々な神経発達および神経変性疾患における認知機能を改善するための新興アプローチである.しかしながら,現在の訓練プログラムは,比較的長い可能性があり,認知困難な患者にとって,もしかすると忠実に行うことは難しいかもしれない.以前の研究では,脳活動のレベル(神経フィードバック)に関するリアルタイムのフィードバックを個人に提供することは,もしかすると特定の脳領域の活性化を制御することを学ぶのを助けることを示唆している.本研究では,ニューロフィードバックの効果をコンピュータ化された訓練と並行して享受する,タスクベースのニューロフィードバック訓練パラダイムを開発した.我々は,様々な発達障害および神経変性疾患における中心的介入を考慮して,実行機能トレーニングに重点を置いた.前頭前野の酸素化ヘモグロビンの変化を測定することにより,神経フィードバックを提供するために,近赤外分光法(NIRS)が使用された.20 人の健常成人参加者のうち,10 人が認知訓練中の前頭前野活動に対して実際の神経フィードバック(NFB)を受け,10 人が偽フィードバック(SHAM)を提示された.SHAM と比較して,NFB 群は,4 回の訓練(合計100分)後の作業記憶の測定値を含む,有意に改善された実行機能パフォーマンスを示した.NFB 群はまた,SHAMと比較して右前頭前野領域および下前頭領域を含む実行機能ネットワークにおいて,トレーニング関連脳活動を有意に減少させた.我々のデータは,認知訓練に加えて神経フィードバックを提供することは,比較的短い訓練期間の後に実行機能を高めることを示唆している.類似の設計は,既知の神経病理学を有する患者集団のために潜在的に使用され,もしかするとそれらが冒された脳領域における活性を増強/回復するのを助ける.

脳表面における脳血流量変化からの人間の感情の認識: 事象関連近赤外分光法に関する研究

Recognition of Human Emotions from Cerebral Blood Flow Changes in the Frontal Region
-A Study with Event-Related Near-Infrared Spectroscopy-
Neuroimaging, Vol.21, pp.e94-e101, 2011
20170523 sikeda

本研究の目的は,脳機能が著しく損なわれている患者の心を理解するために,脳血流(CBF)に基づく人間の快・不快感情を認識する近赤外分光法(NIRS)に基づいたシステムを開発することである.前頭領域は容易にNIRS測定が可能であるが,感情の処理における前頭前野皮質(PFC)の役割はまだ解明されていない.まず,イベント関連のNIRSを用いて,感情に直接関連する脳活動を反映するが,前頭前野質における認知動作には影響しない,局所的CBF変化の指標として酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)の変化を調べた.また,事象関連電位(ERP),全身血圧,および脈拍数も同時に測定した.6秒間の画像提示期間におけるoxy-Hbの変化に関する事象関連分析は,非常に不快な感情が両側腹側PFCにおけるoxy-Hbを増加し,非常に快な感情は左背側PFCにおけるoxy-Hbの減少を示した.2つの感情状態の間にERPまたは自律神経系活動のいずれにおいても有意差はなかった.これらの結果から,CBFの変化から患者の感情を認識する可能性を示唆している.

近赤外分光法により明らかにされた安静時の動的機能的コネクティビティ

Dynamic functional connectivity revealed by
resting-state functional near-infrared spectroscopy
Biomedical optics express, vol.6, no. 7, pp.2337-2352, 2015.
20170513 mmizuno

脳は,時間変化する機能的コネクティビティ(functional connectivity:FC)およびネットワーク構造を有する
複雑なネットワークである.しかしながら,安静時のfNIRS 計測によって脳組織の内発的な動的特性を特徴づけ
ることができるかどうかは明らかになっていない.本研究では初めて,全脳fNIRS の時系列とスライディングウィ
ンドウ相関法を使用し,fNIRS 計測が安静時の脳の動的接続性の特性を定量化するために有用であることを実証
した.我々の結果は,fNIRS 由来のFC が時変であり,変動性強度(Q)が時間平均した静的FC と負の相関を有
することを示唆している.さらに,Q 値は異なる空間的位置(例えば,半球内および同位体間の接続)間の連結
性に有意差を示している.この結果は,異なるスライディングウィンドウの長さと異なる脳スキャンセッションの
どちらでも再現性があり,fNIRS に由来する相関の動的特性が確かに脳の揺らぎによるものであることを示唆し
ている.

正規産児や早産児、ダウン症の乳児の大脳皮質における機能的コネクティビティ

Functional connectivity of the cortex of term and
preterm infants and infants with Down’s syndrome
Attention, NeuroImage, Vol.85, pp.272-278, 2014
20160523 htanaka

NIRS研究は,乳児期早期における脳の機能的発達を明らかにしてきた.NIRSを用いて脳血流における酸素化ヘモグロビン濃度の自発的な変化を計測することで,我々は大脳皮質における機能的コネクティビティの発達段階を検証することができる.しかし,早産や染色体の異常が大脳皮質における機能的コネクティビティの発達に影響するかどうかは明らかにされていない.本研究では,我々は正規出産の際に新生児集中治療室に入院した,眠っている乳児の自発的な脳活動を調査した.我々は乳児を(I)正規産児もしくは後期早産児,(II)早産児,(III)ダウン症候群(DS)の三つの群に分類した.我々は前頭部,側頭部および後頭部をカバーする10チャンネルでoxy-Hbとdeoxy-Hbの自発的な変化を計測するために,多チャンネルのNIRSを使用した.大脳皮質における機能的コネクティビティを解明するために,我々は全チャンネル間における時系列信号の相関係数を算出した.機能的コネクティビティは,(I)短距離型,(II)左右型,(III)同側型,(IV)制御型の四種類に分類された.血行動態の局所的な性質が病理学的状態に反映するかどうかを検証するために,我々は三つの群でoxy-Hbとdeoxy-Hbの時系列信号間の位相差を算出した.機能的コネクティビティにおける統計解析は,三つに分類した乳児の群および四種類のコネクティビティの種類における主要な影響を示した.群における影響に関しては,正規産児もしくは後期早産児の群における機能的コネクティビティの平均は早産児の群と違わず,ダウン症候群における機能的コネクティビティの平均は他の二グループよりも低かった.コネクティビティの種類における影響に関しては,短距離型のコネクティビティは他の種類のコネクティビティよりも最も強く,二番目に強いコネクティビティは左右型であった.oxy-Hbとdeoxy-Hb変化の位相差においては,ダウン症候群と他の二群との間に有意差があることを示した.本研究では,大脳皮質における機能的コネクティビティの発達は,乳児相当の年齢では正規産児もしくは後期早産児と早産児との間で違いが見られなかったが,ダウン症候群との間では機能的コネクティビティや局所的な血行動態に違いがあることが示された.最も強く見られた短距離型コネクティビティや二番目に強い左右型コネクティビティは,大脳皮質における機能的コネクティビティの基盤が乳児の年齢で存在することを示した.

拡散光イメージングにおけるウェーブレットを用いた血流反応の推定

Wavelet-based estimation of the hemodynamic responses in diffuse optical imaging
Medical image analysis, vol. 14, no. 4, pp. 606 – 616, 2010
20151202 sshigaraki

拡散光イメージングは,血流反応を通した神経活動の間接的な測定を行うために光を用いている.比較的低吸収率の近赤外光を用いることで,皮質1cmの深部までの血流変化の計測を可能としている重要な信号から生理学を切り離そうとする時,酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの両方の情報の急速な獲得,そして情報へのアクセスで新しい挑戦が生まれる.特に,近年の研究では視覚野の信号における1/fのノイズ構造の存在が証明され,慣習的な手法と比較した時に,ウェーブレットに基づいた一般線形モデルは構造化されたノイズの相関を失わせ,反応振幅のより優れた評価を提供しうる.この研究では,ウェーブレットの手法を血流変化の全ての時間的形状を取り戻す.

ワーキングメモリ課題中の前頭前野皮質の活動のNIRS-fMRI における研究

A NIRS-fMRI investigation of prefrontal cortex activity during a working memory task
NeuroImage, Vol.83, pp.158{173, 2013
20151124_2rhagiwara

近赤外分光(NIRS)は一般にヒトの脳機能の研究で使用される.しかし,皮膚血流のような表面の血流動態変化は前頭のNIRSのヘモグロビン(Hb)信号に影響するといくつかの研究は示す.前頭のNIRS-Hb信号の基準関連妥当性を調べるために,ワーキングメモリ(WM)中の機能的信号に焦点を当て,同時に計測した核磁気共鳴画像法(fMRI)によるBOLD信号との類似性を研究した.また,NIRS-Hb信号における表面の血流動態変化の影響を調べるために,同時にレーザードップラー血流計(LDF)で皮膚血流も計測した.賦活領域における前頭のNIRS-Hb信号の時間変化は軟組織のBOLD信号とLDF信号より灰白質のBOLD信号と関係することが相関分析によって示された.NIRS-Hb信号と頭蓋外のBOLDあるいはLDF信号との比較は注意しなければならないが,NIRS-Hb信号が主に灰白質の血流動態変化を示すことがこれらの結果から示唆された.さらに,NIRS-Hb信号のタスクに関する反応の振幅は被験者間において灰白質のBOLD信号と関係していて,これは強いNIRS-Hb反応の被験者は強いBOLD反応を示すことを意味する.したがって,NIRSは前頭前野皮質の活動における血流動態信号を計測するために使用することが可能であることをこれらの結果が支持する証拠となる.

複数の認知課題におけるNIRS とfMRI の定量的な比較

A quantitative comparison of NIRS and fMRI across multiple cognitive tasks
NeuroImage, Vol.54, No.4, pp.2808{2821, 2011
20151124_1rhagiwara

近赤外分光法(NIRS)は脳機能の研究で最も注目されている技術である.NIRSは酸素化と脱酸素化の両ヘモグロビンの濃度変化の計測,より細かい時間分解能,管理の容易さというような核磁気共鳴画像法(fMRI)と比べていくつかの利点と,空間分解能が悪くSNRが低いという欠点がある.fMRIはヒトの脳のinvivoのイメージングで標準となったが,実際にNIRSはfMRIより手頃で安価な技術である.それゆえに多くの研究者は脳機能の研究においてNIRSとfMRIの比較の仕方に興味がある.本研究では前頭と後頭の両脳領域のNIRSプローブをつけ,一連の認知課題においてNIRSとfMRIで同時に被験者を撮像した.時間的,空間的の両領域で信号の詳細な比較を行った.NIRS信号のSNRは著しく低いが,それにもかかわらずfMRIの計測としばしば高い相関があることがわかった.NIRS/fMRIの相関はSNRと頭皮と脳間の距離の両方によって可変となる.空間領域では,NIRSの放射と感知間の楕円を形成する光経路がBOLD反応とより強く関係があることがわかった.まとめると,NIRSは認知課題に関する研究においてfMRIの適切な代わりとなるが,1)空間分解能は目的の質問に答えるためには十分であること,2)特に頭皮からより遠い脳領域ではより低いSNRとなること,をNIRSを用いた研究をする際に注意しなければならない.

事象関連 fNIRS:この計測に信頼性があるのか

Event-related functional near-infrared spectroscopy(fNIRS): Are the measurements reliable?
NeuroImage, vol. 31, no. 1, pp. 116 – 124, 2006

本実験の目的は,事象関連 fNIRS の再試験信頼性の調査をすることである.周期的なチェッカーボード刺激により,後頭葉において独立した機能的活性が引き起こされた.52 チャンネルの fNIRS を用いて計測し,12 人の被験者には 2 セッションで計 60 回の視覚刺激の実験を行ってもらった.再試験のインターバルとして 3 週間あけ.散布図により補足される t 値の差異の線形相関,活性チャンネル量や活性位置の決定のための再現性の指標だけでなく級内相関係数を算出した.グループ間比較による結果では,級内相関係数や活性チャンネル量と活性位置の決定により定量化された素晴らしい再現性(96 %以上で再現性があるとしている)の観点から良い信頼性を示した.しかしながら,個人毎における結果では,劣っていた.そのうえ,単一の級内相関係数の計測により評価される信頼性は,集団レベルを参照するならば向上した.

20151103 sshigaraki

NIRS 同時計測は協力中に前頭皮質で対人コヒーレンスの増加を明らかにする

NIRS-based hyperscanning reveals increased interpersonal coherence in superior frontal cortex during cooperation
NeuroImage, vol.59, no.3, pp.2430-2437, 2012

20150917 murakami

我々は,横に並んでコンピュータベースの協力ゲームを行う時の2人の脳活動を同時計測する際にNIRSを使用した.脳活動のコヒーレンスは2人の参加者間で計算された.参加者の右の上前頭皮質によって形成された信号間のコヒーレンスが競争中ではなく,協力中に増加することが分かった.また,増加されたコヒーレンスはより良い協調のパフォーマンスに関連していた.我々の知る限り,この作業は,NIRSにおける2人の同時計測の最初の使用を表している.本研究は,自然環境での社会的相互作用の研究におけるNIRSベースの同時計測方法を示している.

NIRS によって明らかにされたレスト状態におけるある特定の周波数の機能的結合

Frequency-speci c functional connectivity in the brain during resting state revealed by NIRS
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NeuroImage, Volume 56, Issue 1, 1 May 2011, Pages 252-257

fMRIで観察された自然な血流変化の解析は,レスト中の広く分離する脳領域間の信号変化において,”レスト状態の機能的結合”と呼ばれる時間的相関の存在を明らかにした.最近の研究はこれらの相関がNIRSで計測された血行動態信号の中にもまた存在することを証明した.しかしながら,これには未だ周波数特有の特性がこれらの信号内に存在するか不確かである.本研究では,私たちは多チャンネルNIRSを様々な脳皮質領域間の機能的結合の周波数依存をoxy-Hbとdeoxy-Hb信号の変化を様々な周波数帯域に分解することで調査した.まず,0.009-0.1Hzの広い範囲の中で,私たちはoxy-Hbとdeoxy-Hbの両方で,近い領域同士と反対半球の領域同士で機能的結合を示すことを確認した.次に計測した変化を低い周波数成分に分解することによって,oxy-Hbは0.04-0.1Hzの間で前頭部と後頭部の間に周波数特有の機能的結合が見られたと判断した.機能的結合の結合力を明らかにするために,私たちは選択したチャンネル間の結合度の平均を計算した.このアプローチは前頭部と後頭部間の結合性は0.04-0.1Hzという狭い範囲で高い結合度を示した一方,ある皮質領域の対極半側間のoxy-Hb信号に基づく機能的結合は0.009-0.1Hzの広い範囲で高い結合度を示した.これらの発見は,前頭部と後頭部間の結合では,一事象に対する一般的な血行動態反応の時間尺度が特有の狭い周波数範囲においてのみ高い結合度を示すことから,離れた皮質領域間の過度な神経活動の同期を反映している可能性が示唆された一方で,対極半側領域の結合性は広い周波数領域にわたって,神経解剖学的な直接の接続を通して神経活動の同期を反映している可能性を示唆した.本研究はNIRSがレスト中の皮質のネットワーク特性を明らかにする強力な手法をもたらすことを示した.