ワーキングメモリトレーニングがもたらす前頭部の活動は通常の高齢者と軽度認知障害を予測する可能性

Prefrontal activation may predict working-memory training gain in normal aging and mild cognitive impairment
A. Vermeij, R.P. Kessels, L. Heskamp, E.M. Simons, P.L. Dautzenberg and J.A. Claassen
Brain imaging and behavior, vol. 11, no. 1, pp. 141−154, 2017

認知訓練は, 正常な加齢と軽度認知障害(MCI) の行動パフォーマンスの改善をもたらすことが示されているが, 認知可塑性の神経相関, または認知訓練に対する反応性の個人差についてはほとんど知られていない. この研究では, 21 人の健康な高齢者と14 人のMCI 患者が5 週間の適応型コンピューター化作業記憶(WM)トレーニングを受けた. トレーニングの前後に, 機能的近赤外線分光法(fNIRS) を使用し, さまざまなレベルのWM 負荷の言語n-back の実行中に左右の前頭前野の血行動態反応を評価した. トレーニング後, 健康な高齢者は, 高WM 負荷で前頭前野の活性化の低下を示した. これは, 処理効率の向上を示している可能性がある. MCI 患者はトレーニング後の低WM 負荷で行動パフォーマンスが改善したが, トレーニングに関連した前頭前野活性化の変化の証拠はなかった. 全群分析では, 低WM負荷での比較的強い血行力学的反応はより悪い行動パフォーマンスに関連し, 高WM負荷での比較的強い血行力学的反応はより高いトレーニング効果に関連することが示された. したがって, 高齢の”若者のような”前頭前野活性化パターンは, より良い行動結果と認知的可塑性と関連している可能性がある.

機能的近赤外イメージングに対する標準解析にむけて

Towards a standard analysis for functional near-infrared imaging
NeuroImage, Vol. 21, No. 1, pp.283–290, 2004
20161212 syoshitake

機能的近赤外分光法(fNIRS)は,オキシヘモグロビンおよびデオキシヘモグロビンの濃度の変化を測定する ことにより,脳の活性化をモニターすることが可能である.現在まで,fNIRS データ分析のための標準アプロー チは確立されていないが,これは将来の適用のための前提条件とみなされなければならない.そこで,我々は確 立された一般線形モデルを光イメージングデータに適用した.さらに,fNIRS データを周波数領域で解析を行っ た.1 次視覚野と 2 次視覚野を活性化させるチェッカーボードパラダイムと運動領域 V5 を追加で含む運動色彩刺 激(’L’ の回転)からなるパラダイムの 2 つの視覚課題を光イメージング法で調べた.一般線形モデルを用いた解 析は,第 1 のパラダイムの間に 1 次および 2 次の視覚野における活性化に焦点を置き,検出した.第 2 のパラダ イムでは,V5 を表す可能性が最も高い第 2 の側面に位置する活性化脳領域が見出された.空間解析でのスペクト ル分析では,同じそれぞれの脳領域におけるパワースペクトル密度およびコヒーレンスの最大値を示すことによっ て結果を確認した.さらに,運動領域における血行動態応答の遅延を示した.よって,本研究は,一般線形モデ ルおよび空間分解スペクトル分析が,光イメージングデータの標準的な統計的アプローチとして使用できること を示唆している.

安静時の fNIRS 測定結果を独立成分分析することによって明らかにされた機能的神経結合

Functional connectivity as revealed by independent component analysis of resting-state fNIRS measurements
Neuroimage, vol.51, issue 3, pp.1150-1161, 2010
20151208 htanaka

非侵襲的イメージング技術として有望な近赤外分光法 (fNIRS) は,安静時の機能的神経結合 (RSFC) の研究に おいて,近年注目されている.fNIRS を用いた RSFC の先行研究では,関心領域の時系列変化をもとに全脳領域 との相関を算出する手法を適用し,興味深い結果が得られた.しかし,この手法には,複数の関心領域間の相互作 用や関心領域抽出における依存関係を無視するなど,いくつかの問題点がある.さらに,fNIRS の測定結果に含 まれるノイズやアーティファクトもまた,RSFC の結果に影響を与える.本研究では,安静時の fNIRS の測定結 果を用いて RSFC を検討する際の問題点を解決するために,独立成分分析 (ICA) が適用された.感覚運動野と視 覚野のデータによる ICA の結果は,機能的に明確な神経結合を示した.ICA と関心領域から相関を算出する従来 の手法を比較した結果,ICA ではより複雑なノイズが含まれている場合でも,質的および定量的に優れた結果が 実証された.ICA により,安静時の fNIRS データからノイズやアーティファクトを分離し,ノイズやアーチファ クトを抽出することが可能であると示された.最終的に,安静時の fNIRS データに ICA を適用することにおける いくつかの実用的な問題点が議論された.