脳表面における脳血流量変化からの人間の感情の認識: 事象関連近赤外分光法に関する研究

Recognition of Human Emotions from Cerebral Blood Flow Changes in the Frontal Region
-A Study with Event-Related Near-Infrared Spectroscopy-
Neuroimaging, Vol.21, pp.e94-e101, 2011
20170523 sikeda

本研究の目的は,脳機能が著しく損なわれている患者の心を理解するために,脳血流(CBF)に基づく人間の快・不快感情を認識する近赤外分光法(NIRS)に基づいたシステムを開発することである.前頭領域は容易にNIRS測定が可能であるが,感情の処理における前頭前野皮質(PFC)の役割はまだ解明されていない.まず,イベント関連のNIRSを用いて,感情に直接関連する脳活動を反映するが,前頭前野質における認知動作には影響しない,局所的CBF変化の指標として酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)の変化を調べた.また,事象関連電位(ERP),全身血圧,および脈拍数も同時に測定した.6秒間の画像提示期間におけるoxy-Hbの変化に関する事象関連分析は,非常に不快な感情が両側腹側PFCにおけるoxy-Hbを増加し,非常に快な感情は左背側PFCにおけるoxy-Hbの減少を示した.2つの感情状態の間にERPまたは自律神経系活動のいずれにおいても有意差はなかった.これらの結果から,CBFの変化から患者の感情を認識する可能性を示唆している.

機能的磁気共鳴イメージングと毛細血管内脱酸素化ヘモグロビン量の信号間の逆説的な相関:新しい理論的説明

Paradoxical correlation between signal in functional magnetic resonance imaging and deoxygenated haemoglobin content in capillaries: a new theoretical explanation

Physics in medicine and biology, vol.47, No.7, p.1121

機能的な磁気共鳴映像法(fMRI)の信号増加は,神経活動領域で常磁性の遊離酸素を除去されたヘモグロビン(deoxy-Hb)含有量の減少の結果であると考えられている.しかし,このBOLD 効果における矛盾は光学的技術を使用している研究において示された.そして,それはヘモグロビン変化を直接判断する.この矛盾を説明するために,我々はMR 信号とヘモグロビン変化を架橋している新しい理論を用いた.我々は毛管血管の影響に着目した.これは,ほとんどのfMRI の先行研究では無視し,言語タスクを使用してfMRI と近赤外分光法(NIRS)を組み合わせて研究を行った.逆説的に,MR 信号とdeoxy-Hb の両方がブローカ野で増加した.一方,大静脈の近くの聴覚領域におけるfMRI の活性は,deoxy-Hb が減少し,oxy-Hb が増加しており,BOLD 理論と一致していた.すべてのfMRI 信号の変化は,MR に鈍感であるoxy-Hb 変化と相関していた.我々は,BOLD 理論との矛盾が毛細血管の影響を無視することに起因すると結論付けた.私たちの理論は,MR 信号にoxy-Hb とdeoxy-Hb 貢献の逆説的な現象を説明し,fMRI やNIRS データを分析することにより,活性化の正確な血行動態に新しい洞察力を与える.

20150714 sohtani