脳の近赤外分光における光の伝播

Light Propagation in NIR Spectroscopy of the Human
Brain
IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics,vol. 20,no. 2,pp.289-298,2014
170908 syokoyama
脳の研究において,大脳皮質の酸素濃度の変化は、オキシヘモグロビンおよびデオキシヘモグロビンの濃度が 血行動態の皮質神経活動への結合に起因して変化するため,非常に重要である.多くの研究では,光源と検出器 の距離を伸ばすことにより,照射光が脳組織に深く浸透することを示している.本稿では,組織模倣ファントム測 定,額生体内測定およびモンテカルロ(MC)シミュレーションを使用して,大脳皮質の感知を可能とする脳内の 光伝播および最小の光源と検出器の距離を推定する.我々は,人間の額を模擬した多層のファントム内の異なる深 さに位置する血管内の脈動する水性脂質懸濁液の光学的感知を示す.実験結果をファントムの光学特性を考慮した MC シミュレーションと比較する.異なる組織層の厚さおよび形態は,被験者の頭部の解剖学的磁気共鳴画像から 得た.これら3 つの方法の結果は互いに相関し,NIRS に基づく光学的方法で脳皮質を感知できることを示した.

3Tの核磁気共鳴装置によるみかけの拡散係数の測定のための新 たなファントムと実験式

A new phantom and empirical formula for apparent diffusion coefficient measurement by a 3 Tesla magnetic resonance imaging scanner
Oncology letters,vol. 8,no. 2,pp.819-824,2014
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本研究の目的は,3 テスラ(3T)の核磁気共鳴画像法(MRI)装置のための拡散強調像(DWI)を用いたみか けの拡散係数(ADC)の較正ための新しいファントムの作成と 37 ℃の生理的温度を含む様々な温度で正常組織と 腫瘍組織の ADC 値を模擬することである.ファントムは 0 から 1.2M のいくつかの濃度のスクロースを用いて作 成し,DWI は様々なファントムの温度で撮像した.正確な ADC 値は,ファントムの DWIs を用いて計算し,実 験式は任意のスクロース濃度と任意のファントム温度からファントムの ADC 値を較正するために開発された.実 験式は,以前の研究で 3T の MRI によって臨床的に測定された人体の ADC 値の範囲を含んだ 0.33 から 3.02 の範 囲の ADC 値を生成することができた.本研究で開発したファントムと実験式は 3T の MRI で臨床の人間の病変 の ADC 値を模倣するために利用することができる.

拡散異方性ファントムを用いた評価:拡散テンソル画像法における拡散異方性の定量化とみかけの拡散係数を 用いた MR パラメータの変更が及ぼす影響

Effects of MR Parameter Changes on the Quantification of Diffusion Anisotropy and Apparent Diffusion Coefficient in Diffusion Tensor Imaging: Evaluation Using a Diffusional Anisotropic Phantom
Magnetic resonance imaging,vol. 27,no. 4,pp.541-548,2009
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DTI 線維ファントムの特性である液体と線維間の磁化率の違いが及ぼす影響を調べた.それに対して,安価で 簡単に製造可能な機械製の DTI 線維ファントムは,円形のアクリルガラスの紡錘に直径 15 μ m のポリアミド線 維を巻くことで作成された.達成した異方性比率は 0.78 ± 0.02 であった.ファントム測定とモンテカルロシミュ レーションにより,線維と液体の磁化率が同一でない場合,横緩和時間 T2 は線維と B0 フィールドの間の角度に 強く依存することが示された.ファントムでは,3T で測定された T2 時間は B0 に垂直に走行している線維を 60 %減少した.モンテカルロシミュレーションは,この結果を確認して正確な緩和時間は,正確な線維の充填に強 く依存することを明らかにした.ファントムでは,測定された拡散は線維方向とは無関係であった.モンテカル ロシミュレーションでは,拡散は 3 T で立方に充填することで 50 %以上過小評価されることから,測定された拡 散は正確に線維を充填することに強く依存し,測定された拡散の電界強度と配向との依存関係は,六角形に充填 することで最小になる可能性があることが明らかになった.これらの影響を克服するため,液体と線維の磁化率 は塩化ナトリウム水溶液(1kg の水に対して 83g の NaCl)を用いることで一致させた.これにより,評価目的の ために方向とは無関係な信頼性の高い DTI ファントムの使用を可能になる.

拡散MRI の検証のためのバイオメティックファントム

Biomimetic Phantom for the Validation of Diffusion Magnetic Resonance Imaging
Magnetic Resonance in Medicine, vol. 73, no. 1, pp. 299-305, 2015.
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目的:拡散MRIの高範囲で拡散テンソル画像法(DTI)を用いた白質線維の配向性を特徴付ける技術が現在開発されている.手法検討の手助けとなる脳白質の微細構造の特徴を模した物理的なファントムが必要である.方法:中空糸,電界紡糸,などサイズ分布が調節可能な整列された線維が大量に生産され,管孔内にMRで可視化出来る溶液が満たされた.ファントムの形態やサイズはSEMと臨床時や臨床前のスキャンによって得られたDTIの結果より評価された.結果:ファントム線維の内径を変化させることで(SEM:9.5mm,11.9mm,13.4mm),DTIから算出されるFA値や放射状拡散の数値において,FA値では0.330.04から0.450.05の間で,放射状拡散の数値においては0:380:05103から4:610:06103cms??1の間で変化した.結論:我々はこれらのファントムを拡散MRI分野における新規手法や既存手法の検証のために使用することと同様に,プログラム手順の品質保証を目的とし,他施設の試験におけるスキャン性能の確立を想定する.

異方性の定量化による決定論的tractography 手法の改善

Deterministic Diffusion Fiber Tracking Improved by Quantitative Anisotropy

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PloS one, Vol. 8, No.11, pp. e80713, 2013.

脳の領域間の繋がりをマッピングするのに便利で評判の良いツールである拡散MRItractographyが登場した.本研究では,決定論的tractography手法における異方性の定量化(quantitativeanisotropy:QA)の性能を調査した.そこで二種類のファントムを用いて研究を実施した.一つ目のファントムではパーシャルボリュームエフェクトに対する異方性比率(fractionalanisotropy:FA),汎用的異方性比率(generalizedfactionalanisotropy:GFA),QAの感受性を調査した.二つ目のファントムではFA,GFA,QAを用いた際のtractographyにおける空間分解能の調査を行った.生体における調査では弓状束に対するトラッキングで,二人の神経外科医は描画や解析の設定を認知していなかったため,誤った追跡を識別する結果を招いた.QAを用いたトラッキングの性能を,FAやGFA,T1強調画像から見て取れる解剖学的情報と比較を行った.一つ目のファントムの調査の結果,QAはcrossing走行の線維や自由水におけるパーシャルボリュームエフェクトの影響を受けにくいため,堅調な指標となることが示唆された.二つ目のファントムの調査の結果,QAを用いたtractographyはFAやGFAを用いたtractographyより良い解像度となった.生体内の調査,さらにその調査の結果より,QAを用いたtractographyはFAやGFAを用いたtractography,また,解剖学的情報よりも優れていることが見て取れた.シェル方式(HARDI)では,FAやGFAを用いたtractography,また,解剖学的情報によるtractographyではそれぞれ30.7%,32.6%,24.45%と誤った追跡を示したと同時に,QAを用いたtractographyでは16.2%であった.グリッド方式(DSI)では,FAやGFAを用いたtractography,また,解剖学的情報によるtractographyではそれぞれ12.3%,9.0%,10.93%と誤った追跡を示したと同時に,QAを用いたtractographyでは4.43%であった.QAを用いた決定論的tractography手法は,線維追跡の研究の支援をし,人間のコネクトームの進歩を促進するかもしれない.