高齢者の運動による神経可塑性を検討するための複数の神経画像測定

Multiple Neuroimaging Measures for Examining
Exercise-induced Neuroplasticity in Older Adults: A
Quasi-experimental Study
Frontiers in aging neuroscience, Vol.9, 2017
20170717tmiyosh

身体運動は身体的,精神的な健康を改善することができる.いくつかのイメージング研究では,身体運動によ
る認知の改善における神経可塑性の役割を調べてきた.しかし,そのような神経可塑性の変化は,一部の研究に
おいて,サンプル数が少ないために報告が一貫していない.私たちは,マルチモダリティのイメージング測定に
よる一貫した結果を特定することが比較的信頼性の高い結果をもたらすと考えた.私たちは,60 歳以上の健康な
成人24 人にWii- tness エクササイズプログラムを6 週間行わせ,脳の容積,ALFF,局所的均質性,シードベー
スの機能的接続性,および安静時のノード接続性の全体的効率性を計測した.私たちは,これらの尺度において,
運動後の変化を示す共通領域が存在するかどうか,およびどの尺度が認知の改善と密接に相関しているかに注目
した.6 週間の運動プログラムの後,参加者は,神経心理学的課題おける記憶および実行機能と,感情記憶課題
おける記憶想起の有意な改善を示した.異なる尺度で有意な変化を示した脳領域は,右線条体および後部帯状回
(PCC)であった.運動後,PCC では,局所的均質性は減少,容積は増加した.線条体では,コントロール群の
ように体積の現象はなく,帯状回,側頭,頭頂および後頭領域との結合を増やした.さらに,線条体と視床との間
の接続性の変化は,実行機能の改善と相関していた.この結果は,線条体とPCC が身体運動におけるネットワー
クに関連することを意味する.私たちの研究は,神経可塑性を調べる際のマルチモダリティの神経イメージング
尺度の有効性を強調している.

The Human Brainnetome Atlas:接続構造に基づく新たな脳アトラス

The Human Brainnetome Atlas: A New Brain Atlas
Based on Connectional Architecture
Cereb Cortex, Vol.26, No.8, pp.3508-3526, 2016
20170621knakamura

脳の解剖学的構造と心理学,または認知機能とを関連付けるためのヒトの脳アトラスは,ex vivo である組織学
ベースのアトラスから,マルチモーダルかつin vivo であるデジタルなアトラスに移行しつつある.現在の多くの
ヒト脳アトラスは,特定の構造だけをカバーし,細かく分割することができず,また,機能的に重要な接続情報
を持たない.我々は,非侵襲的なマルチモーダル神経イメージング技術を使用して,人間の全脳をマッピングす
るコネクティビティベースの分割手法を設計し,in vivo でその接続構造を明らかにした.結果として得られたヒ
ト脳アトラスは,210 の皮質および36 の皮質下領域を有する.このアトラスは,交差検定されたものであり,解
剖学的および機能的接続の両方についての情報を含む.さらに,BrainMap データベースにより,認知機能をアト
ラスの詳細な構造にマッピングした.このアトラスは,構造,接続性,機能の複雑な関係を探求するための客観
的で安定した出発点を提供し,最終的に人間の脳の働きの理解を向上させる.このヒトのBrainnetome Atlas は,
http://atlas.brainnetome.org で自由にダウンロードでき,健常者および病理学的状態の研究に対し,脳全体の接
続,機能データを容易に利用することが可能である.

偏相関分析を用いた安静状態の機能的結合の検出:多距離と全頭プローブの近赤外分光法を使用した研究

Detection of resting state functional connectivity using partial correlation analysis: A study using multi-distance and whole-head probe near-infrared spectroscopy
NeuroImage, Available online 10 August 2016
20161011 katayama

多チャンネル近赤外分光法(NIRS)は,血中酸素濃度の変化の簡易で非侵襲的な計測を可能にした脳機能イメー ジングモダリティである.我々は,安静状態の機能結合の推定するための臨床的に適用可能な方法を,NIRS で神 経以外の成分の影響を減らすために偏相関分析を用いて発展させた.多距離のプローブ配置の NIRS を用いて,健 康な 17 人の被験者の 8 分間の安静状態の脳活動を計測した.主成分分析は元の NIRS データから浅い信号と深い 信号を抽出するために使われた.本来の信号から計算されたピアソンの相関は,深い信号から計算された相関と比 較して有意に高かった.一方で,本来の信号から計算された偏相関は,深い信号(脳信号)独自から計算された 相関と匹敵した.それ以上我々の方法を検定するために,健康な 80 人の 17 の皮質領から構成される全頭の NIRS 配置を用いて 8 分の安静状態の脳活動を計測した.隣接,半球間相同,遠い同側性の脳領域のペアの間で有意な 安静状態の機能結合が見られた.そのうえ,女性は,男性と比較して半球間の後頭部の領域のペアで高い安静状 態の機能結合を示した.加えて,左側頭部の同側性のペアで高い結合性が見られた.2 つの構成要素の実験の混合 性の結果は,偏相関分析は脳外の信号の影響の還元性に有効であること,NIRS はよく述べられた安静状態のネッ トワークと安静状態の機能結合の性別に関する違い検出できることを指し示す.

安静状態の機能的コネクティビティにおける定量的な比較:fNIRS と fMRI の同時計測研究

Quantitative comparison of resting-state functional connectivity derived from fNIRS and fMRI: a simultaneous recording study
NeuroImage, vol.60, issue 4, pp. 2008-2018, 2012
20160720 htanaka

安静状態の機能的コネクティビティ (RSFC) を fNIRS で評価できる可能性は,すでに実証されている.しかし, fNIRS による RSFC 評価の妥当性においては,ほとんど研究されていない.本研究では,21 名の被験者から安静 状態時の fNIRS と fMRI データを同時に取得した.fMRI データを fNIRS 測定空間に変換することで,空間的な 位置合わせが二つのモダリティ間でなされた.その後に,RSFCにおけるモダリティ間の類似性 (BMS)の指標が, 複数の空間スケールで評価された.まず,左右の一次運動野 (ROI) における RSFC が,fNIRS と fMRI 間で全被 験者とも類似していた (HbO : BMS (ROI) = 0.95 ± 0.04,HbR : BMS (ROI) = 0.86 ± 0.13).次に,体性感 覚野での RSFC においては,グループ水準の方 (HbO : 0.79,HbR : 0.74) が個人の被験者の水準 (HbO : 0.48 ± 0.16,HbR : 0.41 ± 0.15) よりもモダリティ間で高い類似性をもつことが示された.そして,我々は安静状態時の 脳内ネットワークにおける幾何学特性を調査するために,fNIRS データとグラフ理論を初めて組み合わせた.最 も重要なパラメータであるクラスター係数 (C(p)) と固有パス長 (L(p)) は,モダリティ間で高い類似性を示した (BMS(Cp) = 0.90 ± 0.03 (HbO),0.90 ± 0.06 (HbR) ; BMS(Lp) = 0.92 ± 0.04 (HbO),0.91 ± 0.05 (HbR)). つまり,全ての空間スケールにおける結果は,fNIRS が fMRI に匹敵する RSFC 評価を行うことが可能であるこ とを実証し,安静状態における脳機能統合における脳内コネクティビティおよび脳内ネットワーク手法の有効性 に対して,直接的な根拠を示す.

2 つの結合によってより大きな前進が見込める:構造的結合と安静自機能的結合を組み合わせた研究のレビュー

Greater than the sum of its parts: a review of studies combining structural connectivity and resting-state
functional connectivity Brain Structure and Function, Vol.213, No.6, 525{533, 2009
20160402 rhagiwara

一般的に脳の機能的結合は脳の構造的結合を反映していると考えられている.しかしながら,構造と機能の間の正確な関係は,簡単なものではない.このレビューでは,「安静時」の脳における構造と機能間の関係の理解がこの数年間でどのように前進したかを調査することを目指す.安静時機能的結合と構造的結合を直接比較する8つの論文と,大脳半球間の白質結合が少ない患者の3つの臨床例の研究について議論する.調査したすべての研究は主として同様の結果を示す.それは安静時機能的結合の強さは,構造的結合の強さと正の相関を示すということである.しかしながら,機能的結合は構造的結合が少ないあるいはない領域間でも観察され,それは間接的な構造的結合によって媒介される(第3領域を介して)機能的相関を示す.構造的かつ機能的結合を計測する方法論は改善し続け,両結合の相補的な特徴を考慮して適用することによって,アルツハイマー病,多発性硬化症,および脳卒中のような病気の診断や予後への重要となる前進が期待できる.

自閉症患者における機能的・構造的脳内ネットワーク組織の変化

Altered functional and structural brain network organization in autism
NeuroImage: Clinical, Vol. 2, pp.79–94, 2013
20151006sobuchi

構造的と機能的のアンダーコネクティビティは自閉症患者の多数の脳領域,機能的システム,そして白質路において報告されてきた.近年の複雑ネットワーク解析の発展は脳がスモールワールド性を示すモジュラーネットワークであることを明らかにしたにもかかわらず,自閉症患者のネットワークレベルの組織は詳細に調査されてはいない.本稿では,児童と青年の自閉症患者が,機能的システムにおける短く幅広いコネクティビティの減少とディフォルトと高次視覚領域における機能的システム間の強いコネクティビティを示すため,レスティングステイトfMRIを用いた(n=42自閉症児,n=37健常児).グラフ理論を用いて,機能的コネクティビティにおけるグループの違いが,モジュラリティとクラスタリングにおいて,ネットワークレベルの減少として反映されていたが,キャラスタリスティックパスレングスにはそれがみられないことを示した.拡散テンソルMRIによって得られた線維束の構造的ネットワークは,白質形態の統合性は低いが,線維本数が多いことを示した(n=51自閉症児,n=43健常児).健常児と自閉症児の各人は構造的・機能的コネクティビティの関係において類似性がみられた(n=35自閉症児,n=35健常児).しかしながら,構造的と機能的ネットワークを統合する主成分分析では,構造的と機能的ネットワーク間のロカール・グローバルエフィシエンシーのバランスは自閉症児にのみ低下していることが明らかにされた.それらは年齢に正の相関があり,自閉症の症状に負の相関があった.まとめると,我々の発見は複雑ネットワークとした脳モデルは自閉症と他の神経精神学の障害の解明されていない生物学的基礎において非常に有益なものとなることが示唆された.