人間の大脳皮質におけるリッチクラブ組織のコストと利益に関与する構造的および機能的側面

Structural and Functional Aspects
Relating to Cost and Bene t of Rich Club Organization
in the Human Cerebral Cortex
Cerebral cortex, vol. 24, no. 9, pp. 2258-2267, 201420170212 mmizuno

最近の研究では,連結された脳領域の小さなセットが,皮質領域間の効率的な通信を可能にする中心的な役割を果たし,密接に相互接続された「リッチクラブ」を形成することが示されている.しかし,リッチクラブの密度と空間的レイアウトが脳構造の高価な特徴を構成することも示唆されている.そこで,解剖学的T1 拡散テンソルイメージング,磁気イメージング,およびfMRI を組み合わせて,いくつかの側面から脳のリッチクラブの構造的および機能的連結性を調べた.本研究において,リッチクラブ領域とリッチクラブの結合は,高い結合レベル,高い白質組織のレベル,高いレベルの代謝エネルギー使用,長い成熟軌道,より多様な領域の時系列変化,より多くの領域間の機能的結合を示唆する.つまり,これらの構造的かつ機能的な尺度から,リッチクラブ組織が,脳の資源に大きな負担をかける脳構造の高コストの特徴であることを示している.しかしながら,リッチ・クラブの高いコストは,リッチ・クラブが脳ネットワーク全体に与える重要な機能的利益によって相殺されるのかもしれない.

児童と成人の脳における構造的・機能的リッチクラブ組織

Structural and Functional Rich Club Organization of the Brain in Children and Adults
PLoS ONE, Vol.9, No.2, e88297, 2014
20151124sobuchi

磁気共鳴画像法(MRI)を用いた近年の研究は,脳の白質が最も密に結合する脳領域は相互に結合していることを示すリッチクラブの組織をなすことを示唆している.本論文では,リッチクラブ現象が機能的コネクティビティに存在しているのか,そしてこの組織がどのように構造的な現象に関係しているのかを機能的MRIと拡散強調MRIを用いて検討する.また,リッチクラブな領域が他の脳システムの間の情報の統合に関与しているか,そしてリッチクラブ現象の発達的過程について検討をする.先行研究と同様に,成人と児童の両方において,上中部前頭,中部頭頂,島,下側頭回の領域に強固な構造的リッチクラブ組織が見られた.また,これらの領域は脳の主なネットワークにまたがり密に結合されていることが示された.機能的脳ネットワークはリッチクラブ組織に類似した空間的配置を持っているが,システム間では高い分離性があることが示唆された.構造的には成人と児童の間で有意な差はあらわれなかったが,成人では有意に大きな機能的リッチクラブ組織が見られた.この違いは特に上頭頂,島、そして縁上回の間の結合によって引き起こされることが考えられた.要約すると,本研究では発達過程での機能的な変化と,成人と児童における構造的・機能的リッチクラブの存在を示している.また,本研究がADHDや自閉症などの脳の発達障害における典型的なネットワーク組織の検討につながる可能性があることが示された

ヒューマンコネークトームのリッチクラブ組織

Rich-Club Organization of the Human Connectome
The Journal of Neuroscience, vol.31, no.44, pp.15775–15786, 2011
ヒトの脳は結合された領域の複雑なネットワークである.近年の研究は,異なった領域間のネットワークの間のグローバルな情報統合において重要な役割を担う領域である,密に結合され,高い中心性をもつ新皮質のハブ領域の存在を示している.これらのハブ領域の潜在的で機能的な重要性は,これらの構造および機能的なコネクティビティの外形の障害が神経病理学と結びついていると示している近年の研究により強調される.本研究は脳の皮質下と新皮質の両方を図示し,特にそれらの構造的リンクにおいて,それらの相互関係を調査する.ここでは,脳ハブがいわゆるリッチクラブを形成し,次数の大きいノードが次数の低いノードよりもそれら自身でより結合している傾向によって特徴付けられ,脳ネットワークの高次なトポロジーにおける重要な情報を提供することを示す.21人の被験者の全脳の構造的ネットワークは拡散テンソルデータを用いて再現される.これらのネットワークのコネクティビティプロファイルの調査は12の強く相互接続された両側半球のハブ領域を明らかにし,皮質下の海馬,被殻,および視床だけでなく,楔前部とより上前頭,およびより上頭頂皮質から成っていた.重要なことに,これらのハブ領域は,次数のみに基づいて予測されるものより,密に相互接続され,リッチクラブを形成する.本稿では,特に情報の統合と構造的コアへの協議ロバストネスの役割について,ヒューマンコネクトームのリッチクラブ組織の潜在的で機能的な意味を議論する.

20150707sobuchi

人間の大脳皮質におけるリッチクラブ組織のコストとベネフィットに関する構造的・機能的な側面

20150407sobuchi

Structural and Functional Aspects Relating to Cost and
Bene t of Rich Club Organization in the Human
Cerebral Cortex

Guusje Collin, Olaf Sporns, Rene C.W. Mandl, and Martijn P. van den Heuvel
Cerebral Cortex, vol.24, pp.2258–2267, 2014

近年の調査結果によると,高度に結合された脳領域の組み合わせは皮質領域間の効率的な伝達を可能にする役
割を担う可能性があることを示している.そして,ともになって密な相互接続である「リッチクラブ」を形成す
る.しかしながら,リッチクラブの密度や空間的配置はまた脳構造のコストの高い特徴を構成することを示唆し
ている.本稿では,構造的T1,拡散テンソル画像法,magnetic transfer imaging,そして機能的磁気共鳴画像法
を結合し,脳のリッチクラブに関する構造的・機能的コネクティビティのいくつかの側面を検討した.結果,リッ
チクラブ領域とリッチクラブな結合は高度なワイヤリング構造,高度な白質形態,多くの代謝エナジーの利用,長
い成熟した神経線維,より多くの価値のある領域的時系列,そしてより多くの領域内機能的カップリングを示す.
まとめると,これらの構造的・機能的測定は脳のリソースに対して,大きな負担を与える脳構造のコストの高い
特徴を示すというリッチクラブ組織の概念をひろげる.しかしながら,リッチクラブの大きなコストは全脳のネッ
トワークにも寄与するリッチクラブの重要な機能的なベネフィットによって補われる.