ワーキングメモリにおけるDLPFCと海馬の接続性の変化:統合失調症の推定のための独立した遺伝リスクモデルの複製と障害の特異性

Altered DLPFC-Hippocampus Connectivity During Working Memory: Independent Replication and Disorder Specificity of a Putative Genetic Risk Phenotype for Schizophrenia
Michael Schneider, Henrik Walter, Carolin Moessnang, Axel Schafer Susanne Erk, Sebastian Mohnke, Lydia Romund, Maria Garbusow Luanna Dixson, Andreas Heinz
Schizophrenia Bulletin, sbx001, 2017
2017_1107taimoto

“作業記憶中の外側前頭皮質(DLPFC)および海馬の結合性の変化は,統合失調症(SCZ)の表現型と考えられるが,
共通の遺伝的背景を有する他の精神障害との関連性は未知のままである.
ここでは,双極性障害(BD)または大うつ病性障害(MDD)を有する患者のその病気に冒されていない一親等の存在を調べた.さらに私たちは,この表現型の独立した複製を,SCZ患者の一親等にまで提供することを目的とした.
私たちは,N-backタスクにおける,SCZ(n = 62),BD(n = 66),MDD(n = 90)の計218名の患者と
その患者の一親等の健常対照者309名のfMRIデータを取得した.私たちは,DLPFC-海馬(PFWE = 0.031,全てのP値の関心領域[ROI]を補正)に対する有意な群効果を観察した.事後の比較では,この効果は,SCZ親族に由来するものであることが明らかになった.SCZ親族は対照群,BD親族(PFWE = .015)およびMDD親族(PFWE = .082)と比較して,DLPFCおよび右海馬の負の機能的連結性の有意な増加を示した.DLPFCおよび右海馬の負の機能的連結性の有意な増加を示したSCZ親族,MDD親族(PFWE = .082)も同様であった.コントロールに対するBD親族とMDD親族の比較では差はみられなかった(PFWE値$>$ .451).補足分析は,SCZ親族が,構造的差異を含む潜在的ノイズの範囲に対して頑強であることを示唆した.我々のデータは,SCZの中間表現型として,作業記憶中に変化したDLPFC-海馬の接続性をさらに支持する.このことは,この表現型がSCZに比較的特異的であり,気分 – 精神病スペクトルにおける他の遺伝的に関連する障害に影響されないことを示唆している.”

コネクティビティに基づく脳の分割

Connectivity-Based Brain Parcellation
Neuroinformatics, Vol.14, No.1, pp.83-97, 2016
20170529knakamura

関心のある脳構造を定義することは,脳のコネクティビティ分析における重要な手順である.脳構造における
接続パターンに関心を持つ研究者は,通常,接続解析の範囲を関連領域に限定するために,手作業で描写された
関心のボリュームまたは容易に利用可能なアトラスの領域を使用する.しかしながら,ほとんどの構造的脳アト
ラスおよび手作業で描写された関心ボリュームは,ボクセルの接続パターンを考慮しないので,解剖学的コネク
ティビティ分析には理想的ではない.本研究では,コネクティビティに基づいて脳を関心領域に分割する方法を
提案する.我々は接続ベースの分割を新しいマルチクラスホップフィールドネットワークアルゴリズムを用いて
グラフカット問題として近似的に解く.進行中の統合失調症の研究からの拡散テンソルイメージングデータを用
いて,このアプローチの適用を実証する.標準的な解剖学的アトラスと比較して,コネクティビティベースのア
トラスは,統合失調症を正常な被験者と区別する際により優れた分類性能をサポートする.正常および精神分
裂病の被験者で平均した接続パターンを比較すると,2 つのアトラス間の有意な体系的な違いが示唆された.

Connectivity-based parcellation,Probabilistic tractography,Graph-cut,Multi-class Hop eld network,Schizophrenia,Diffusion tensor imaging

リスペリドンによる脳の動的な接続性への影響- 統合失調症におけるResting-state fMRI の研究

Risperidone Effects on Brain Dynamic Connectivity?A
Prospective Resting-State fMRI Study in Schizophrenia
Frontiers in Psychiatry, vol.8, 2017
20170519tmiyoshi

統合失調症におけるResting-state の機能的コネクティビティ研究では,実験全体の平均的な接続性を評価すると異常なネットワークの統合が報告されているが,結果は変わりやすい.動的な機能的コネクティビティを調べることは,いくつかの矛盾を説明するのに役立つかもしれない.我々は,統合失調症の患者に対して,リスペリドンの未投与時(n=34),リスペリドン治療開始1 週間後(n=29),6 週間後(n=24),また,コントロールとしてベースライン時(n=35),および6 週間後(n=19)のResting-state fMRI を用いて動的なネットワークを評価した.Resting-state fMRI のネットワークを含む41 個の独立成分(IC)を特定した後,線形SVM で求められた最適なウィンドウサイズを使用して,IC 時系変化でスライディングウィンドウ解析を行った.次に,ウィンドウ化された相関行列は,比較的まばらに接続した状態,比較的多く接続した状態,およびその中間状態の3 つの接続状態に分類した.リスペリドン未投与の患者では,コントロール群と比較して5 組のIC 間で静的な接続性が増加し,2 組のIC 間で減少し,動的な接続性は3 つの状態のうち1つにおいて視床と運動野の接続性を増加させた.統計の結果によれば,未投与の患者はコントロール群と比較して,まばらな接続状態での結合時間及び費やされた時間の割合が短く,中間連結状態での結合時間及び費やされた時間の割合が長いことが示された.リスペリドンは6 週間後の平均的な結合時間を正常化したが,費やされた時間の割合では正常化はなかった.統合失調症における静的な接合性の異常は,機能的ネットワーク内及び機能的ネットワーク間の一貫性の欠如よりもネットワークの時間的変化に部分的に関連し,相補的なデータ解析の実施の重要性を示した.

静的および動的なレスティングステイト fMRI の脳コネクティビティを用いた統合失調症と双極性患者の分類

Classification of schizophrenia and bipolar patients using static and dynamic resting-state fMRI brain connectivity
NeuroImage, Vol.134, 645-657, 2016
20161018 rhagiwara

最近,機能的ネットワークコネクティビティ(空間的に離れた脳内ネットワーク間の時系列相関として定義され た,FNC)が,様々な精神疾患における脳内ネットワークの機能的な構成を調べるために使用されている.動的 な FNC は,時間の短い期間にわたって FNC の変化を考慮する従来の FNC 解析の最近の拡張である.このよう な動的 FNC 計測は,コネクティビティの様々な側面について利益となるかもしれないが,複雑な精神疾患におい て分類するために静的および動的 FNC の性能の詳細な直接的な比較はない.本論文では,静的および動的 FNC の特徴に基づいて,統合失調症,双極性患者および健常者の自動分類のためのフレームワークを提案する.また, 静的および動的 FNC 間の交差検定分類性能を比較する.結果は,動的 FNC からの特徴が分類目的のための静的 FNC より明確な利点を示し,動的 FNC が予測精度の面で静的 FNC よりもより優れていることを示す.また,静 的および動的 FCN の特徴の組み合せは,動的 FNC の特徴だけであるより分類性能を大幅に改善することなく, 静的 FNC は分類目的のために動的 FNC を組み合わせたとき重要な情報を追加しないことを示す.静的および動 的 FNC の特徴に基づいた 3 つの分類方法は,高い精度で適切な症状のグループに個々の対象を判別する.提案し た分類のフレームワークは,追加の精神疾患に潜在的に適用可能である.

n バックのワーキングメモリ課題中の統合失調症患者における広範囲な前頭前野の活動の減少 :多チャンネル NIRS の研究

Reduced but broader prefrontal activity in patients with schizophrenia during n-back working memory tasks : A multi-channel near-infrared spectroscopy study
Journal of psychiatric research, Vol.47, No.9, pp.1240-1246, 2013
20160413harada

背景:背外側(DLPFC)と腹外側(DLPFC)前頭前野を含む前頭前野の尾側領域は,ワーキングメモリといっ た重要な認知機能に関与している.対照的に,前頭極皮質(FPC)といった,より吻側の領域は,認知機能の中 で統合機能を有し,これにより,実世界の社会的活動に決定的に寄与している.以前の機能的磁気共鳴イメージ ング研究では,健常者と比較して,統合失調症患者が認知的負荷の変化に対応して異なる DLPFC の活動パター ンを持つことを示した.しかし,尾側および吻側前頭前野の活性における空間的関係は無制約条件下で評価され ていない.

方法:26 人の統合失調症患者および 26 歳の発病前の知能に一致した健常者がこの研究に参加した.異なる認知 負荷で n バックのワーキングメモリ課題時の血行動態変化は,多チャネルの近赤外分光法(NIRS)を用いて測定 された.

結果:健常者群は,両 VLPFC における課題に関連する重要な活性と DLPFC における課題に関連する重要な 不活性を,課題がより認知機能を要求するときにより大きな信号変化を伴うことで示した.対照的に,統合失調症 患者は,両 DLPFC と FPC を含む,より吻側の領域で活性化を示した.認知機能の発生する上昇割合において, 不活性でもなければ活性でもない.

結論:この多チャンネル NIRS の研究では,活性化の強度は,認知機能の変 化を伴う統合失調症患者において上昇しなかったことを実証し,統合失調症における認知障害として前頭葉の機 能低下が示唆される.

統合失調症における社会心理的ストレスへの辺縁系の反応:fMRI 研究

pdf

Limbic response to psychosocial stress in schizotypy: a functional magnetic resonance imaging study

Schizophrenia research. 2011, vol. 131, no. 1, p. 184-191

精神的ストレスは線条体によって生成されるドーパミンによって引き起こされ,精神疾患の罹患性に関係する
と考えられている.先行研究では,ストレスへのドーパミン上昇反応は個人に対する心理的な弱さの指標になる
と示唆している.fMRI 研究では,我々は健康な被験者において,リスクの増加についての心理状態の変化時にストレスに誘発された脳活動がを観測した.参加者は15 人の統制群と25 人の統合失調症患者群に協力してもらっ
た.その中の12 人は陽性(知覚的な異常)の13 人の陰性患者(身体的なアンヘドニア)だとアンケートによっ
て判断された.スキャナーの中では,被験者はMIST と感覚-運動一致コントロールタスクを行った.自己申告に
よるストレスと唾液内コルチゾールレベルの計測は実験を通して行われた.3 つ全てのグループにおいて,自己申
告のストレスと線条体と辺縁系のfMRI 信号が有意に増加した.しかし,身体的なアンヘドニアのグループは他
の2 グループに比べ,線条体と辺縁系に大きなストレスによって誘発されたdeactivation がみられた.線条体で
のdeactivation は,全ての被験者における身体的なアンヘドニアの得点と有意な相関を示した.我々の発見は,線
条体での異常の存在が統合失調症の陰性におけるストレスの反応に現れることを示唆した.