グループレベルの全脳皮質の構造的分割:ロジスティクランダムエフェクトに基づくアプローチ

Groupwise structural parcellation of the whole cortex: A logistic randomeffects model based approach
Gallardo, G., Wells III, W., Deriche, R., & Wassermann, D.
NeuroImage, Volume 170, 15 April 2018

現在の理論では,脳機能は軸索を介した長距離の物理的接続,すなわち外因性の神経接続と密接に関連していると考えられている.しかしながら,外因性接続に基づく群間での皮質の分割をえることは依然として困難である.これは,現在の分割方法は計算コストが高く,いくつかのパラメータチューニングが必要であるためである.さらに,これらの方法はいずれも皮質における神経接続のモデルを提案していない.これらの問題に取り組むために,我々は,神経接続のモデルおよび,トラクトグラムのクラスタリングに基づく効率的な分割技術を提案する.我々の手法は,皮質全体の個人レベルおよびグループレベルの分割の作成を可能にする.我々の手法で得られた分割のいくつかの領域の集合は,文献中の構造的および機能的な領域の集合と一致する.特に,運動と知覚皮質では,ペンフィールドのホムンクルスのマップと一致して分割されている.また,分割結果は,Human Connectome Projectデータに含まれる運動野マッピングと比較して説明された.

2 つの結合によってより大きな前進が見込める:構造的結合と安静自機能的結合を組み合わせた研究のレビュー

Greater than the sum of its parts: a review of studies combining structural connectivity and resting-state
functional connectivity Brain Structure and Function, Vol.213, No.6, 525{533, 2009
20160402 rhagiwara

一般的に脳の機能的結合は脳の構造的結合を反映していると考えられている.しかしながら,構造と機能の間の正確な関係は,簡単なものではない.このレビューでは,「安静時」の脳における構造と機能間の関係の理解がこの数年間でどのように前進したかを調査することを目指す.安静時機能的結合と構造的結合を直接比較する8つの論文と,大脳半球間の白質結合が少ない患者の3つの臨床例の研究について議論する.調査したすべての研究は主として同様の結果を示す.それは安静時機能的結合の強さは,構造的結合の強さと正の相関を示すということである.しかしながら,機能的結合は構造的結合が少ないあるいはない領域間でも観察され,それは間接的な構造的結合によって媒介される(第3領域を介して)機能的相関を示す.構造的かつ機能的結合を計測する方法論は改善し続け,両結合の相補的な特徴を考慮して適用することによって,アルツハイマー病,多発性硬化症,および脳卒中のような病気の診断や予後への重要となる前進が期待できる.

児童と成人の脳における構造的・機能的リッチクラブ組織

Structural and Functional Rich Club Organization of the Brain in Children and Adults
PLoS ONE, Vol.9, No.2, e88297, 2014
20151124sobuchi

磁気共鳴画像法(MRI)を用いた近年の研究は,脳の白質が最も密に結合する脳領域は相互に結合していることを示すリッチクラブの組織をなすことを示唆している.本論文では,リッチクラブ現象が機能的コネクティビティに存在しているのか,そしてこの組織がどのように構造的な現象に関係しているのかを機能的MRIと拡散強調MRIを用いて検討する.また,リッチクラブな領域が他の脳システムの間の情報の統合に関与しているか,そしてリッチクラブ現象の発達的過程について検討をする.先行研究と同様に,成人と児童の両方において,上中部前頭,中部頭頂,島,下側頭回の領域に強固な構造的リッチクラブ組織が見られた.また,これらの領域は脳の主なネットワークにまたがり密に結合されていることが示された.機能的脳ネットワークはリッチクラブ組織に類似した空間的配置を持っているが,システム間では高い分離性があることが示唆された.構造的には成人と児童の間で有意な差はあらわれなかったが,成人では有意に大きな機能的リッチクラブ組織が見られた.この違いは特に上頭頂,島、そして縁上回の間の結合によって引き起こされることが考えられた.要約すると,本研究では発達過程での機能的な変化と,成人と児童における構造的・機能的リッチクラブの存在を示している.また,本研究がADHDや自閉症などの脳の発達障害における典型的なネットワーク組織の検討につながる可能性があることが示された

注意欠陥/多動性障害における機能およびコネクトームのイメージング

Imaging Functional and Structural Brain Connectomics
in Attention-De cit/Hyperactivity Disorder

Cao, Miao and Shu, Ni and Cao, Qingjiu and Wang, Yufeng and He, Yong

Molecular neurobiology, 2014, vol.50, no.3, p.1111-1123.

注意欠陥/多動性障害(ADHD)は,小児期の最も一般的な神経発達障害の一つである.臨床的に,この障害の
中核症状は不注意,多動,衝動性が含まれる.以前の研究では,ADHD の子供において,これらの障害は脳の領
域の異常だけでなく,領域間で機能的および構造的つながりの変更にも関連されるということが報告されている.
過去数年間では,グラフ理論的なアプローチと結合して非侵襲性の神経生理学的および神経画像処理技術(例え
ば、脳波計、機能的なMRI と拡散MRI)を用いた大規模な脳のネットワーク(コネクトーム)の位相的な変更
をマッピングすることによって,ADHD がどのように脳の連結性に影響を及ぼすかという研究がおおいに進めら
れた. 本報告では、我々は大規模な脳のシステムのグラフィック分析に焦点を当て、ADHD における機能的およ
び構造的なコネクトームの最近の進歩をまとめる.収束の証拠は,ADHD の子どもたちが規則的な構成に向けて,
ネットワークトポロジーの障害関連のシフトを示唆して,より高いクラスタ形成と低いグローバル整合性によっ
て特徴づけ,機能的および構造的脳ネットワークの両方で異常なスモールワールド特性を有していたことが示唆
された.さらに、ADHD の子供たちは,デフォルト・モード,注意と感覚運動システムを含んでいる領域のノー
ドと連結性の再分配を示した.重要なことに,これらのADHD 関連の変化は,かなり行動障害(例えば、不注意
と多動/衝動性の徴候)と相関して,臨床サブタイプの間で他と異なるパターンを示した.これらのコネクトーム
ベースの研究は,ADHD で脳のネットワーク機能障害を強調する.したがって,我々がこの障害の病態生理学的
機序を理解することに新しいウインドウを開ける.これらの研究には,ADHD で臨床診断と処置評価のためにも
イメージング・ベースのバイオマーカーの発展に関して,重要な部分があるかもしれないと考えられる.

確率的トラクトグラフィーとグラフ理論解析を用いた注意欠陥・多動性障害を伴う薬品未投与の患者の白質形 態の統合性異常の解明

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Analysis Reveal Abnormal White Matter Structural
Connectivity Networks in Drug-Naive Boys with
Attention Deficit/Hyperactivity Disorder

The Journal of Neuroscience, vol.33, no.26, pp.10676-10687, 2013

不注意と多動性の症状を特徴とした注意欠陥・多動性障害は幼少期の最も一般的な神経障害のひとつである.こ
れらの行動の障害は脳領域間の異常な機能的結合に関連することを脳イメージングの研究は示してきた.しかし
ながら,これらの行動的,機能的欠陥の基礎となる構造的結合の変化はまだ理解に乏しい.本論文では,30 名の
ADHD 児と30 名の健常人の全脳白質形態の統合性を検討するため,拡散磁気共鳴画像法と確率的トラクトグラ
フィーを用いた.ヒトの脳の白質ネットワークは確率的に領域間の結合を推定することによって構築された.ス
モールワールド性やネットワークエフェシエンシーなどの結果として生じるネットワークのトポロジカルな特徴は
グラフ理論的なアプローチを用いて解析された.これらのグラフマトリックスのグループ間の比較にはノンパラ
メトリックな順位検定が適用された.その結果,ADHD と統制群の両方ともが全脳白質ネットワークにおいて効
率のよいスモールワールド性を示し,構造的な分離と統合の結合パターン間のバランスを示唆した.しかしなが
ら,統制群と比較してADHD グループは低いグローバルエフィシエンシーと高いショーテストパスレングスを示
した.特にエフィシエンシーの低下は左の頭頂,前頭,そして後頭の皮質において顕著であった.興味深いこと
に,ADHD グループは前頭優位回路の構造的結合の低下と眼窩線条体回路の結合の増加を示した.そして,これ
らの変化には不注意と多動性・衝動性の症状とそれぞれ有意な相関があった.本研究ではADHD 患者の白質ネッ
トワークのトポロジカルな組織の崩壊を示し,ADHD 患者の構造的障害の基礎となる神経回路の構造的分裂に関
する理解を広げる