人対人の言語コミュニケーションに対する交差脳神経メカニズム

A cross-brain neural mechanism for human-to-human verbal communication
J. Hirsch, J. Adam Noah, X. Zhang S. Dravida and Y. Ono
Social cognitive and affective neuroscience, vol. 13, no. 9, pp.907-920, 2018.

動的な社会的相互作用を仲介する神経メカニズムは,その進化の重要性にも関わらず,依然として研究が進んでいない.インタラクティブブレイン仮説は,相互的な社会的合図が専用の脳基盤によって処理されるということを提案しており,社会的相互作用の根底にある神経メカニズムを調査するための一般的な理論的枠組みを提供する.我々は,会話と聞き取りに基づいた社会的相互作用時に標準的な言語領域が脳間で増加し,動的に結合されるというこの仮説の具体的な事例を実験する.自然な環境で相互作用がある場合とない場合でObject NamingタスクとDescriptionタスクを実行し,交互に会話と聞き取りを行なう相手の脳のデオキシヘモグロビン信号を機能的近赤外分光法を用いて同時に取得した.相互的と非相互的条件の比較により,相互作用時に上側頭回を含むウェルニッケ野に関連する神経活動の増加が確認された(P=0.04).ところが,仮説はブローカ野に対しては支持されなかった.上側頭回や中心下領域に由来する信号のウェーブレット分析により定められるクロスブレインコヒーレンスは非相互作用時より相互作用時の方がより大きかった(P<0.01).インタラクティブブレイン仮説の裏付けとして,これらの知見は対人情報を共有する経路に特化した,動的に結合されたクロスブレインの神経メカニズムを示唆する.

アイコンタクト時に脳内および脳をまたいで同期する前頭側頭-頭頂システム

Frontal temporal and parietal systems synchronize within and across brains during live eye-to-eye contact
Hirsch, Joy and Zhang, Xian and Noah, J Adam and Ono, Yumie
Neuroimage, Vol.157, pp.314-330, 2017

機能的脳画像データの本質的に多変量の性質は,解剖学的に異種の脳領域が認知課題時にどのように相互作用 するかを探究する機会を与えている.イベント関連の機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)データを用いて脳領 域間相互作用を特徴付ける新しい手法を示す.本手法の主な利点は,既存の分析技術に比べて認知課題の明確な 段階の間に脳領域間の機能的接続性をモデル化することである.本手法は,一般化線形モデル(GLM)における 個々の試行の各段階で誘発された脳活動をモデル化するために別々の共変量を用いることによって実装されてい る.得られた GLM パラメータ推定値である β 値は,その値が導出された段階に従ってソートされ,段階固有の β 系列のセットを形成する.ある段階で β 系列が相関する領域は,その段階で機能的に相互作用していると推測 される.試行間の β 値の相関変動は機能的接続性を示唆するという仮定を検証するため,タッピングタスクを 2 回行ったイベント関連の fMRI データセットにこの方法を適用した.以前の電気生理学的研究および fMRI のコ ヒーレンス研究と一致して,本研究では二者間のより大きな協調を必要とする課題では 2 つの半球の運動領域間の より強い相関を引き起こすことを見出した.本手法は,被験者が遅延認識課題を行ったイベント関連の fMRI デー タセットにも適用した.この課題の段階では明確な機能的接続マップが生成され,認知課題の各段階でニューラ ルネットワークの重要かつ新規な観察が得られることを示している.