ヒトにおける感情知覚の一般的な神経相関

Common neural correlates of emotion perception in humans
Jastorff, Jan and Huang, Yun-An and Giese, Martin A and Vandenbulcke, Mathieu
Human brain mapping, Vol.36, pp.4184-4201, 2015
20180130 sikeda

神経イメージングの結果が感情カテゴリの識別可能な神経相関を支持するかどうかは長年にわたる論争である. 最近の 2 つのメタアナリシスでは,この命題に対して一方は支持,他方は反対といった正反対の結論に達した.こ の問題に関する直接的な証拠を得るため,単一の fMRI デザイン内で 4 つの感情の活性の比較を行った.怒り狂っ た,幸せな,恐ろしい,悲しいそして中立的な刺激が動的な身体表現として提示された.加えて相対的な感受性を 決定するために,被験者は行動実験によって中立的な感情と情動性感情との間の感情形態の分類を行った.脳行 動相関は,試験された 4 つの感情すべてにおいて同一であった大きな脳内ネットワークを明らかにした.この脳 内ネットワークは主に,デフォルトモードネットワークおよびセイリエンスネットワーク内に位置する領域から なっていた.4 つの感情について脳行動相関を示すにも関わらず,マルチボクセルパターン分析はこの感情ネット ワークのいくつかのノードが,個々の感情を区別することが可能である情報を含んでいることを示した.しかし有 意差は感情ネットワークに限定されず,行動観察ネットワーク内のいくつかの領域でも確認された.まとめると本 研究結果は,共通の感情的な脳内ネットワークは視覚処理と感情的な刺激の差別を支持している立場に賛成する.

聴覚の非空間的なモダリティと視空間モダリティに対するトップダウン注意に関する分離可能なネットワーク

Separable networks for top-down attention to auditory non-spatial and visuospatial modalities
NeuroImage, vol.74, pp.77-86, 2013
20170111 htanaka

認知神経科学における中心的な課題は,注意の配分を制御する単一の神経システムがあるかどうかである.脳 領域における背側の前頭ー頭頂間ネットワークは,あらゆる感覚入力に対するトップダウン注意の仲介役として しばしば提案されている.我々は,トップダウン注意を支える皮質ネットワークが,実際にモダリティに特有し ていて,視空間と聴覚の非空間的なモダリティとではそれぞれ前頭ー頭頂間および前頭ー側頭間のネットワーク が異なって形成されることを示すために,ヒトに対して機能的磁気共鳴画像法を用いた.それに対して,右中前 頭回や下前頭回がモダリティに関係なく注意制御に共通して反応したことを示し,感覚経験とは切り離された抽 象的な注意の構成要素が前頭皮質に限定されたという根拠を示した.

多感覚検出課題中の統合失調症における血流動態反応関数の異常

Hemodynamic response function abnormalities in schizophrenia during a multisensory detection task
”Human Brain Mapping” 2015
20151215 taki

fMRI の BOLD 応答は血流動態反応関数が一定であると仮定された BOLD 応答の正の位相を調べることで統合 失調症を有する患者における認知及び感覚障害の根底にある神経病理を研究するために用いられてきた.しかし, HRFの各位相は基となる病態の様々な異なる影響を受ける可能性がある.統合失調症と健常者でHRFのアンダー シュートを含めた位相を調査するために,現在の実験は速い事象関連の fMRI パラダイムで,多感覚検出課題を使 用した.行動の結果はタスク・パフォーマンスの違いによるグループ間の有意差を示さなかった.HRF の形を調 べた分析は 2 つのグループの違いを示した.第一に,二次聴覚野と視覚野において健常者と比較して通常の事象 関連の正の BOLD 活性に続いて統合失調症の患者はアンダーシュートが減少または長期化、またはその両方の傾 向を示した.第二に,統合失調症患者はデフォルトモードネットワークにて,健常者と比較してタスクによる負 の活性を示さなかった.正の位相に焦点を当てる従来の分析を行う場合は対照的に,群間に差は無かった.興味 深いことに,二次聴覚野と視覚野においてアンダーシュートの大きさは,デフォルトモードネットワークの中の タスクによる負の活性の大きさと明らかに関係していた.そして,これらの異常(神経抑制の失敗)の両方の基 礎をなしている可能性がある一般の神経のメカニズムを提案した.これらの結果は別々の神経処理が HRF の 2 つ の位相の基礎をなすことと,統合失調症の患者が差別的に影響を受けるという見解と一致している.

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Variations of response time in a selective attention task
are linked to variations of functional connectivity in the
attentional network
NeuroImage, Volume 54, Issue 1, January 2011, Pages 541-549

一般的に,特定の実験条件内での応答時間(RT)変化は無視されるが,それらは認知および神経プロセスの効
率の重要な変化を反映することがある.本研究では,クロスモーダル選択的注意タスクにおける応答時間(RT)
のtrial-by-trial な変化が,注意基盤と考えられている脳領域間の機能的結合の変化と関連しているかどうかを調
べた.機能的磁気共鳴画像(fMRI)を用いて,健康な若年成人16 名が無関係の聴覚刺激を無視,関係する視覚刺
激に注意する視聴覚選択的注意課題を行う際の脳活動を記録する.予測に沿って,RT の変動は,右背外側前頭前
皮質や後部両側頭頂皮質のような注意制御の基盤に位置する様々な脳部位と前帯状皮質の間の機能的結合の変化
と関連していた.それらはまた,関連モダリティである視覚皮質において,解剖学的に初期の領域と解剖学的に
高次の領域の間の機能的結合の変動に関連し,その伝達は注意制御処理により調節されると考えられる.選択的
注意課題におけるRT の変動は注意ネットワークにおける機能的結合の変動に関連することを明らかにすること
により,本調査結果は注意の変動が行動パフォーマンスのtrial-by-trial の変動に寄与する可能性を示唆している.