視覚探索時の目標刺激の有無と視覚提示の均一性との間の神経学的相互作用:fMRI を用いた研究

Neural basis of interaction between target presence and display homogeneity in visual search : An fMRI study
NeuroImage, vol.45, pp. 993-1001, 2009
20161026 htanaka

機能的磁気共鳴画像法 (fMRI) の技術は,同種もしくは異種の視覚探索に機能する注意機構の神経メカニズムを 研究するために使用された.参加者は,トライアルの半分で目標刺激が存在する場合の探索を行い,残りの半分 で目標刺激が存在しない場合の探索を行う設計といった,同じ配向もしくは異なる配向をもつ妨害刺激の中での 探索が求められた.行動的には,妨害刺激が不均一であった時には妨害刺激がある場合よりもない場合の方が反 応時間は遅く,妨害刺激が均一であった時には妨害刺激がない場合の方が反応時間は早かった.神経レベルでは, 幅広く分布する分散ネットワークは,この妨害刺激の有無の作用が関与している.左右の前頭眼野,頭頂間溝,中 心前回そして補足眼野は,妨害刺激に対して目標刺激が際立って見える場合や目標刺激の有無を探索したり反応 したりする場合に機能する.右側の上前頭回や左右の側頭頭頂接合部は,探索過程において妨害刺激の情報を処 理する際に機能する.

Visual search, Feature search, Display homogeneity,fMRI

視覚探索における予備的注意制御の機能的脳内機構

Functional brain organization of preparatory attentional control in visual search
Brain Research, vol.1530, pp.32-43, 2013
20160825 htanaka

雑然とした視覚提示に存在する対象物を探すことは,視覚情報をつくり出し,その入ってくる視覚情報と対象物 を照合するための詳細な情報が必要である.ここでは,視覚対象物を探索するときに機能する脳内ネットワークを 特定するために,高速事象関連の fMRI が使用された.課題の準備段階を切り離して考えることで,同一の視覚刺 激に対しても,被験者が特徴探索と結合探索のどちらを予測するかによって,異なる活動パターンを引き起す可能 性が考えられている.結合探索を予測する際には,腹側後頭領域でより活発な活性が見られ,横後頭溝や右側の 頭頂間溝後部では真新しい活動が見られた.さらに,特徴探索と結合探索のどちらの探索であるかを予測するこ とは,腹側線条体と外側小脳を活性させた.これらの結果は,被験者が指示された探索を予測するときには,指 示されていない探索を予測するときと比べて,同一の視覚刺激に対して異なる活動を活性化させることを示した.

視覚探索効率が刺激の特徴に基づいた刺激と反応との互換性の時間経過に与える影響

The influence of visual search efficiency on the time-course of identity-based SR-compatibility

Acta Psychologica, vol.140, issue 1, pp.101-109, 2012
20150917 htanaka

3つの実験は,刺激制御が刺激と反応(SR)との互換性の時間経過に与える影響を調査するために行われた.参加者は,複数の妨害刺激の中からシングルトン矢印の有無に反応した.シングルトン矢印が存在するときは,参加者は右人差し指でボタンを押し,シングルトン矢印が存在しないときには,左人差し指でボタンを押した.刺激と反応との互換性は,目標刺激の特徴と刺激に対する反応との関係に依存した:目標刺激のシングルトン矢印が課題に無関係であったとしても(その矢印が右向きであろうと左向きであろうと),矢印の方向は刺激が存在するときの(右手による)反応と右矢印のときは対応し,左矢印のときは対応しない.パフォーマンスにおける時間経過を検証するために,視覚探索効率やそれに応じた反応時間が増減するように目標刺激と妨害刺激の類似性が変えられた.3つの検証結果が得られた.まず,実験1の結果は,単に矢印の有無を判断する課題では,シングルトン矢印が左向きで右手による反応と対応していないときと同様に,矢印が右向きで反応と対応しているときは,参加者は同じ速度で反応したと示した.実験2では,参加者はシングルトン矢印の特徴を意識すように教示した場合にのみ,時間が経過するにつれて向上するとされる刺激と反応との互換性効果の影響が見られた.実験3では,刺激と反応との互換性の時間経過は,視覚探索効率の影響を受けなかった.本研究の結果は,視覚的な選択と反応の選択が異なる段階で起こることを示唆している.

割り込み型の探索は,年齢に関与する視覚探索の上達と無関係である

Rapidresumptionofinterruptedsearchisindependentofage-relatedimprovementsinvisualsearch

Journal of Experimental Child Psychology, Vol.109, Issue 1, 2011, pp.58-72

20150817 htanaka

本研究では,7-19歳の被験者が2つの実験において割り込み型の探索課題を行った.私たちの質問は,ほんの数秒ディスプレイを見た後に500ミリ秒以内に刺激に反応する傾向が,全体の効率的な探索と同様に年齢によってみられるかどうかであった.結果は,年齢層(7,9,11および19歳)でも個々の被験者でも,迅速な反応と探索速度との相関は示さなかった.また,目標刺激を無作為に再配置することは,年齢と同様に,迅速な探索速度を減少させた.これらの結果は,探索時の暗黙的な知覚予測が,年齢に関わらず不変であり,刺激の特徴統合や空間的注意の制御のような重要なプロセスとは区別されることを示す.

視覚探索におけるプライミング効果:繰り返される目標刺激や妨害刺激および役割逆転における効果の分離

Priming in visual search: Separating the effects of target repetition, distractor repetition and role-reversal
Vision Research, Vol.48, Issue 10, pp.1217-1232
最近の研究は,視覚探索課題におけるプライミング効果をトライアル間で明らかにしてきた.しかし,多くの場
合,プライミング効果は連続するトライアル中に起こりうる類似性もしくは変化に関係していたり,たいていは,
繰り返される目標刺激の影響における主だった強調に関与していたりする.私たちは,高速の視覚探索における
プライミング効果のトライアル間のさらなる特徴を得ようとした.視覚探索課題では,被験者は一連の妨害刺激
の中から目標刺激の有無を判断した.その結果は,様々な分離できるプライミング効果が視覚探索のパフォーマ
ンスに大きな影響を与えることを示す.目標刺激がトライアル間で繰り返される時に,視覚探索が促進されるこ
とは明らかだった.しかし,目標刺激が存在しない連続するトライアル間でも,繰り返される妨害刺激の種類に
よるプライミング効果が強く存在した.同じ種類の妨害刺激が繰り返された場合や,提示された目標刺激が前の
目標刺激と異なった時でさえも,視覚探索はより早く進行した.また私たちは,あるトライアルで目標刺激とな
る場合から次のトライアルで逆に妨害刺激になる場合まで,特定の提示刺激に対する役割逆転の影響の可能性を
調査した.繰り返される刺激が一定に保たれた時には,そのプライミング効果に加えて,そのような役割逆転は
実質的に視覚探索のパフォーマンスに影響を与えることがわかった.

20150609 htanaka

視覚探索におけるトップダウン的な空間情報および特徴情報の神経的統合

Neural Integration of Top-Down Spatial and Feature-Based Information in Visual Search

視覚探索は,探すものの特徴や空間的にどのあたりにあるのかという過去の知識情報をもとに行われる.しかしながら,人間の脳活動において,視覚探索過程で,特徴情報と空間情報をどのように統合されるのかに関しては未だに明らかになっていない.特に,解剖学的に分離された領域において特徴情報と空間情報のどちらが初めに表出するのか,どの段階で統合されるのかが明らかになっていない.これらの問題を解決するため,独立的パラメトリック手法で空間的および特徴(色)情報を対象とした視覚探索課題時のBOLD信号を記録した.探索のパフォーマンス向上は,空間的および特徴の手がかり情報の量により改善され,視覚探索の準備期間に空間および特徴の手がかり情報を前頭葉,頭頂葉および帯状皮質で加算的に表出されたことがBOLD信号により示された.これらのデータは,空間および特徴情報に基づく情報表出が,探索が始まる前のトップダウン的および眼球運動の情報源の領域に集積されていることを示している.従来は,空間情報と特徴情報は異なる神経基盤により情報処理が行われていると考えられていたが,同一の神経基盤により処理されていることが明らかとなった.この神経基盤は,主に前頭葉,頭頂葉および帯状皮質に加算的な変化として表出されることが示された.また,この神経活動がトップダウン的な探索機能に関わりがあり,さらに頭頂間溝が情報の取りまとめに重要であることが示唆された.

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