成人の ADHD 患者におけるワーキングメモリ課題中の前頭前野の活性減少:fNIRS の研究

Reduced lateral prefrontal activation in adult patients with attention-deficit/hyperactivity disorder (ADHD) during a working memory task: A functional near-infrared spectroscopy (fNIRS) study
Journal of Psychiatric Research,Vol.42,pp.1060-1067,2008

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近赤外分光法 (NIRS)は生体内の皮質組織における酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの濃度の変化を 測定する光学的撮像法である.本研究では,私たちはワーキングメモリ(N-back)の遂行中の多チャンネル NIRS を用いることにより,13 人の成人の ADHD 患者に対して,年齢と性別を適応させた 13 人の健常者対照群との 比較実験を行った.健常者対照群と比較すると ADHD 患者は,VLPFC 上に位置する NIRS チャンネルにおける N-back 課題の遂行時の活性の減少を示し,タスクに関連した酸素化ヘモグロビンの濃度の増加の減少が見られた. この発見は,高い作業負荷(2back)で特に顕著にみられた.そして患者群におけるオミッション・エラーの増加 に対して,統計的な傾向があった.以上のデータから,これまでの ADHD 患者におけるワーキングメモリ障害や 前頭前野の機能不全の所見の裏付け,及び,撮像結果とワーキングメモリの機能モデルの観点から議論する.

Working Memory,N-back task,VLPFC,ADHD,fNIRS

社会的包摂と社会的排除に行動抑制系と行動賦活系が及ぼす影響

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The effects of the behavioral inhibition and activation
systems on social inclusion and exclusion

Journal of Experimental Social Psychology,2011,Vol.47,pp.502-505

人は人間関係を築き,維持する必要がある.したがって,社会的排除は,除外された個人の社会的痛みを引き起
こす.しかし,社会的包摂は,その人の喜びを引き起こす.この研究では,性格の個人差,特に行動抑制系と行動
賦活化系(BIS とBAS)の差が,社会的喜びおよび苦痛の経験に影響するかどうかを,近赤外分光法(NIRS)を
用いて調査した.37 人の大学生が,オンラインでボールをトスするゲーム中に,社会的拒絶および包摂の両方を
含むNIRS セッションに参加した.BIS の感度が高い被験者は,社会的排除の間に社会的苦痛をより経験した.一
方で,BAS 感度が高い被験者は,社会的包摂中に社会的喜びをより感じた.社会的排除の間に,BIS の感度は腹
外側前頭前皮質(VLPFC) の活動と否定的に関連していた.VLPFC の活動は,社会的排除の間に経験されるBIS
の感度と社会的苦痛を関連付けた.